いたづら秋子さん 逆襲の祐一(前編)
もう、皆さん飽きましたか?(爆)
何本目かわかりませんが、お茶目な秋子さんシリーズです。
それでは、少しだけお付き合い下さい…
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
う〜む…
俺は一人、自分の部屋で頭を悩ませていた。
その、悩みの根元は…
言うまでもなく、秋子さんだ。
いっつもいっつも俺の事をからかって、本人は楽しいのだろうが、やられる方の身となれば、すごく嬉し
……く…な…くて。悔しい。
凄く悔しい。
だからこそこの間、ちょっとした復讐のつもりで、戯れに『オバサン』なんて呼んでみたら、結果は大失敗。
くっそ…なにか、秋子さんに一泡吹かせる方法はないものかな…
と、少ない脳味噌を絞りながら、意味もなく机の引き出しを開けたり締めたりしていると。
…とある物が、目に付いた。
…そうだな、これを使って…
ふ…ふふ…
天才的な思いつきに、俺は人知れずほくそ笑むのだった。
*
さて、少し経ったある日曜日。
名雪は部活だそうで、「ちこく、ちこくだよ〜」と慌ただしく出ていった。
慣れると、これが平和なように思えてくるから恐ろしい。
ティーカップに残った、僅かばかりの紅茶(セイロンだ)を、一息に飲み干す。
いつも通りの美味しい朝食を食べ終えたあと、俺はキッチンで洗い物をしている秋子さんに声をかけた。
「秋子さん、俺、ちょっと出掛けてきますから」
「あら? そうですか、気を付けて下さいね」
少しだけ寂しそうに微笑む秋子さんを後目に、俺はさっさと玄関を開けて、出ていく…
フリをして、音を立てないように階段を上り、二階の狭い物置に身を潜めた。
何故、こんな馬鹿なことをしているかというと、―――俺は知っているのだ。
秋子さんが、洗い物を終えたあと、掃除に移るという事を。
そして、律儀に俺の部屋も掃除してくれると言うことを、だ。
最も、秋子さんもそれほど非常識なわけではないから、事前に俺からの承諾を取ってはいるが…
勿論、机の中までは絶対に見たりしない。せいぜい、床に掃除機をかけるくらいの物だ。
だから、見られては困るような物は机の中に入れておけば、安心というわけだ。
今日はちょっと勝手が違うんだけどな…
ずー、ががががと、階下の方で掃除機をかける音が断続的に響き始める。
いよいよ、始まったか。
俺は、狭く暗い物置の中で、秋子さんが二階に上がってくるのを待っている。
まだか…
まだか…
くっ、いいかげん背中が痛くなってきた…
まだか…
まだか…
まだかまだかまだか…
…ぬぅ…
っああ! 狭い!
苦しい!
作戦失敗か!?
俺が半ばあきらめかけた、その時。
とん…とん…とん…
軽やかに階段を踏む足音。
―――来た!
俺は音を立てないように気を付けながら姿勢を直し、息を潜めて秋子さんの動向に聴覚を集中した。
ぎぃ…ばたん。
俺の部屋のドアが閉まる音が、はっきりと聞こえた。
よし!
ようやく俺は、狭い物置から這い出した。
そして、そろそろと部屋に近づき、秋子さんが俺が仕掛けた罠に掛かるのを待った。
じりじりと、焦燥だけが募って行く。
そっとドアを開け、中の様子を探る。
果たして秋子さんは、
――――――俺の仕掛けた罠に掛かっていた。
俺はニヤリと笑いを噛みしめ、頃合いを見計らい、部屋に踏み込んだ。
俺の仕掛けた罠とは―――――――
(続く!)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
次回は、二パターン用意しております(^^;
それでは〜
後編(A)へ
後編(B)へ
Libraryへ トップへ