いたづら秋子さん 逆襲の祐一(前編)



もう、皆さん飽きましたか?(爆)
何本目かわかりませんが、お茶目な秋子さんシリーズです。
それでは、少しだけお付き合い下さい…

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 う〜む…
 俺は一人、自分の部屋で頭を悩ませていた。

 その、悩みの根元は…
 言うまでもなく、秋子さんだ。

 いっつもいっつも俺の事をからかって、本人は楽しいのだろうが、やられる方の身となれば、すごく嬉し



 ……く…な…くて。悔しい。
 凄く悔しい。


 だからこそこの間、ちょっとした復讐のつもりで、戯れに『オバサン』なんて呼んでみたら、結果は大失敗。

 くっそ…なにか、秋子さんに一泡吹かせる方法はないものかな…



 と、少ない脳味噌を絞りながら、意味もなく机の引き出しを開けたり締めたりしていると。

 …とある物が、目に付いた。


 …そうだな、これを使って…

 ふ…ふふ…


 天才的な思いつきに、俺は人知れずほくそ笑むのだった。







 さて、少し経ったある日曜日。
 名雪は部活だそうで、「ちこく、ちこくだよ〜」と慌ただしく出ていった。
 慣れると、これが平和なように思えてくるから恐ろしい。

 ティーカップに残った、僅かばかりの紅茶(セイロンだ)を、一息に飲み干す。
 いつも通りの美味しい朝食を食べ終えたあと、俺はキッチンで洗い物をしている秋子さんに声をかけた。

「秋子さん、俺、ちょっと出掛けてきますから」

「あら? そうですか、気を付けて下さいね」

 少しだけ寂しそうに微笑む秋子さんを後目に、俺はさっさと玄関を開けて、出ていく…





 フリをして、音を立てないように階段を上り、二階の狭い物置に身を潜めた。


 何故、こんな馬鹿なことをしているかというと、―――俺は知っているのだ。

 秋子さんが、洗い物を終えたあと、掃除に移るという事を。

 そして、律儀に俺の部屋も掃除してくれると言うことを、だ。


 最も、秋子さんもそれほど非常識なわけではないから、事前に俺からの承諾を取ってはいるが…


 勿論、机の中までは絶対に見たりしない。せいぜい、床に掃除機をかけるくらいの物だ。

 だから、見られては困るような物は机の中に入れておけば、安心というわけだ。


 今日はちょっと勝手が違うんだけどな…


 ずー、ががががと、階下の方で掃除機をかける音が断続的に響き始める。

 いよいよ、始まったか。

 俺は、狭く暗い物置の中で、秋子さんが二階に上がってくるのを待っている。

 まだか…

 まだか…

 くっ、いいかげん背中が痛くなってきた…


 まだか…

 まだか…


 まだかまだかまだか…


 …ぬぅ…


 っああ! 狭い!
 苦しい!
 作戦失敗か!?


 俺が半ばあきらめかけた、その時。


 とん…とん…とん…


 軽やかに階段を踏む足音。
 ―――来た!

 俺は音を立てないように気を付けながら姿勢を直し、息を潜めて秋子さんの動向に聴覚を集中した。


 ぎぃ…ばたん。


 俺の部屋のドアが閉まる音が、はっきりと聞こえた。


 よし!
 ようやく俺は、狭い物置から這い出した。


 そして、そろそろと部屋に近づき、秋子さんが俺が仕掛けた罠に掛かるのを待った。


 じりじりと、焦燥だけが募って行く。

 そっとドアを開け、中の様子を探る。



 果たして秋子さんは、

 ――――――俺の仕掛けた罠に掛かっていた。
 俺はニヤリと笑いを噛みしめ、頃合いを見計らい、部屋に踏み込んだ。



 俺の仕掛けた罠とは―――――――









 (続く!)

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次回は、二パターン用意しております(^^;
それでは〜



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