いたづら秋子さん お風呂上がりですよ その2
まったくもう、祐一さんったら…
お風呂上がりの私の裸を見るなんて…
見るなんて…
見る…
ぼっ(赤面)
恥ずかしいです
いやです
祐一さんに見られたことを思い出すたびに、私の身体は火のように熱く燃えさかってしまって…
もう、私、ダメなんです。
もう一度、見て貰おうかしら
違います。
あら?
えっと、でも…
…ぴっか〜ん☆
そうですね。
ちょっと、はしたないかも知れませんが。
うふふ、面白いことを思いついてしまいました――――
*
また、二、三日経ったある晩のことです。
時刻は十時半。
名雪はいつも通りおねむで早々に自分の部屋に引っ込んでいきました。
祐一さんは居間のソファに腰掛けて、気怠そうにテレビドラマを見ています。
チャンス到来です。
私は、人知れずほくそ笑みました。
「祐一さん、先に『お風呂』入りますね」
わざわざお風呂の部分を強調して声をかけます。
すると、私の思惑通り、
「は、はい」
あの時のことを思い出したのか、祐一さんは平静を装いながらも、少なからず動揺したようでした。
その証拠に。
うふふ、祐一さん。
お顔が真っ赤ですよ。
でも、まだまだ。
本当にびっくりするのは、これからなんですから…
*
さて。
お風呂をあがって…
私は、湯気の立ち上る身体で、まっすぐ目的の場所へ向かいました。
どこへ?
決まってるじゃないですか。
祐一さんのいる、居間へ、です。
うふふふ…
いやです、思わず顔から隠しきれない笑みがこぼれちゃいます。
とたとたとた…
さて、居間へ着きました。
いたいた。
祐一さんは、まだ平和そうにテレビを見ています。
後ろから、祐一さんに声をかけます。
「祐一さん♪ お風呂あがりましたよっ」
ついつい、声も弾んじゃいますね。
祐一さんが振り返ります。
「あ、秋子さん、お風呂あがっ……のわぁっ!?」
祐一さんは私の姿を見て、びっくり仰天のようです。
それはそうです。
だって、今…
私は、バスタオル一枚なのですから。
どき どき
あらっ
でも、やっぱり恥ずかしいのか、私もちょっとどきどきしていますね。
「あっ、ま、また、秋子さん、な、なな、なんて姿で」
祐一さんの動揺が手に取るように伝わってきます。
うふふ〜
とっても楽しいです。
私は艶然と微笑み、祐一さんにずい、と近寄ります。
そして、なるたけ冷静な声で。
「…祐一さん、どうかしましたか?」
「い、いえっ、なんでもないです!」
あらあら。
ついに祐一さんはそっぽを向いて俯いてしまいました。
可愛いですね。
さて。
もう充分のような気もしますが、実はこれからが本番です♪
「祐一さん?」
「は、はい」
「この部屋、暑いと思いませんか?」
「え? いえ、そんなことは無いと思いますが…」
「私は、暑いです」
「そ、そうなんですか」
「だから……」
だから、と言ったきり私は口を閉ざします。
私の思わせぶりな沈黙に、祐一さんがようやくおそるおそるこちらを向きます。
私は、その瞬間を逃さず。
「脱いじゃいますね☆」
ばさっ
バスタオルを両手で広げました。
「のわぁっ!」
祐一さんが驚きのあまり目を見開きます。
ああっ…
見られてます
私、見られてます
私のバスタオルの中身を、祐一さんに、見られてます
気のせいか、視線が熱いです。
新しい快感
違います。
「あ、秋子さん、そんな! お、俺はっ!」
あらあら、祐一さん。
自分の顔を手で覆っちゃって、見ないつもりですか?
うふふ、
それなら、ちゃんと指の隙間を閉じないと駄目ですよ。
でもね。
祐一さん、残念でした。
私は、実はその時…
バスタオルの下に、水着を着込んでいたのです♪
うふふ、久々のいたづら、大成功ですね。
あらあら。
それに気づいたのか、
両手で覆われたままでも、一段階、二段階と、祐一さんの顔が面白いように落胆していくのがわかります。
がたっ
ついに祐一さんは立ちあがり、
「…じゃあ、風呂入ってきます…」
と、ぼそりと一言残して、居間から出ていってしまいました。
ちょっと、いたづらが過ぎたかしら…?
でも、この間、あんなに私に恥をかかせたんですから。
おあいこですよ。
でも、祐一さんが望むなら、いつでもバスタオルの中身くらい
違いますっ!
…でも、どうして出ていくとき祐一さんは前屈みだったのかしら?
それだけが不思議です…
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