祐一、美汐にマッサージする。
〜前編「プロの世界」〜
田尻「どもみなさん。自分は田尻というしがないSS書きですが、今回F.coolさんの作品である『マッサージシリーズ』の外伝を書かせていただくことになりました(嬉)」
天野「・・・そんな酷な事はないでしょう」
田尻「いや、だってリクエストだってあがってたし・・・」
天野「これ以上私を巻き込まないでください」
田尻「悪い。もう巻き込んだ」
天野「・・・(-_ー)」
田尻「み、美汐〜。口を訊いてくれ〜(>_<;)」
☆これまでの祐一の覇道の過程☆
舞、佐祐理さんに手ほどきを受ける。
秋子さんをイわす。
名雪をもみしだく。
香里に馬乗りになる。
佐祐理さんとし損ねる。
舞にお返し。
北川を騙す。
あゆを泣かす。
・・・そして今回の犠牲者は(カッ)天野 美汐!!
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俺「天野ん家は・・・メモの番地によると、ここだな」
表札に天野って書いてあるし。
それにしてもでかい家だな、俺の今いる家の3倍くらいあるんじゃないのか?
天野ってお嬢だったのか。
屋根や塀が和風でどこか天野らしいと思ってしまう。
眺めているのもいい加減に、俺はインターホンを鳴らした。
ぴんぽーん
声「はい」
俺「おっ、その声は天野だな。俺だよ、来たぞ」
声「俺って、どなたですか」
俺「ぐっ・・・」
わかっているはずなのにいちいち確認するか、天野は。
まああいつの性格はわかっているから責めたりしないが。
俺「相沢です、美汐さんの友達のあ・い・ざ・わ・ゆ・う・い・ち」
声「ちょっとお待ちください」
しばらくしてガラガラと木製のでかい門が開く。
それから少し微笑んでいる天野が顔を見せる。
天野「こんにちは、相沢さん」
俺「おう、こんにちは」
俺と挨拶を交わすとすぐに左右の道をきょろきょろと見回した。
天野「真琴はどうしたんですか?」
今日俺と真琴で天野の家に遊びに行くことになっていたのだ。
俺「あいつ、今日になって熱出してしまってな。遊びに来るのをやめようかとも思ったがここの電話番号知らないから。俺だけ来たんだ」
天野「そうですか」
納得顔になる天野。
天野「とりあえず入ってください」
俺「そうだな」
門をくぐると手入れの行き届いた広い庭が目に付いた。
俺「はぁ〜。広い家だな、ここは」
目的の家まで50mはあろうかと思わせる道が続いている。
天野「そうですか? あまり考えたことはないんですけど」
俺「こんな広いとお手伝いさんとかが門を開けに来ると思ったが」
天野「今日は誰もお勤めには来てないんです」
今日は、ねぇ・・・。
完璧な金持ちだな、天野の家は。
俺も将来的にはフリルのエプロンを着たメイドさん一人くらいは家に欲しいものだ。
住み込みで・・・ってそんな事どうでもいいか。
俺「お邪魔しまーす」
ずっと歩いてようやく家に辿り着く。
これまた大きめの引き戸を開けて家に入った。
天野「誰もいませんけどね」
俺「え・・・そうなのか?」
天野「はい」
俺「ふーん」
・・・いや、ちょっと待て!!
それって考えてしまうシュチュエーションじゃないのか!?
こんなだだっ広い家に年頃の男と女が二人きり・・・。
・・・・・・。
・・・いや。
相手は天野だ、そんなことはありえない。
理由はわからないがそれは天野だからだ。きっとそうに違いない。
俺「はぁ・・・」
天野「・・・?」
溜息を漏らす俺を不思議そうに天野が見つめていた。
俺「・・・」
天野「・・・」
ずずー。
俺と天野はお茶をすすっていた。
合間に茶菓子をパクつく。
俺「・・・」
天野「・・・」
・・・気まずい。
大変気まずい。
ちなみにここは天野の部屋だ。
これが本当に今時の女子高生の部屋かと思わせる位整頓された一室。
まあ天野は浮世離れしているところがあるからわからないこともないが・・・。
だから遊ぶものがなかった。
俺が部屋に入ってすぐ、天野が茶菓子を出してくれたはいいがそれから一向に話が進まない。
俺は思い切って話を切り出す。
俺「なあ天野」
天野「・・・なんですか?」
お茶を飲んでスローペースで答える天野。
お婆さんじみていたがそれが悲しいことにしっくりきていた。
俺「暇じゃないか?」
天野「・・・相沢さんは暇ですか?」
俺「いや、相沢さんはって。天野は暇じゃないのか?」
天野「いえ。相沢さんとお茶菓子を食べているだけで十分ですけど・・・」
・・・。
そ、それは喜んでいいのだろうか?
しかしこのままでは(天野は満足らしいが)遊ぶという当初の目的からかけ離れたまま今日という日が終わってしまいそうだったので俺は一計を案じた。
俺「天野、俺がマッサージしてやろうか?」
天野「できるんですか?」
俺「ああ。今すぐプロの資格が取れるくらいだ」
天野「じゃあ、お願いします」
あれ、意外に早く交渉成立したな。
・・・まあいいか。
その時点で俺の手はわきわきと中空を掻いていた。
この所中毒といえるくらいマッサージに凝っているので始める前から楽しみになってくるのだ。
ソファーがなかったので天野を座布団を並べた上にうつ伏せに寝かせる。
服がボディラインそのままを形どっていて、天野もなかなかスタイルがいい事がわかる。
俺はとりあえず最初なのでリクエストを訊いてみた。
俺「どこか凝っている場所はないか?」
天野「あまりないです。相沢さんの得意なところからで結構ですよ」
驚いた。そんなことを言われたのは初めてだったからだ。
もしかして天野、慣れてるんじゃないのか?
俺「俺は胸が得意なんだけど」
天野「・・・嫌、ですよ」
冗談を言うと、天野は首をもたげて上目遣いで俺を見てくる。
片手で自分の胸をかばうようにしていて、少し怒った顔の頬は赤くなっていた。
・・・可愛い。
可愛すぎる。
正直、天野がここまで可愛らしい反応をするのを始めて見た。
俺は自分が理性を保てるようにとっととマッサージを開始することにした。
天野の小さな背中に乗って教科書どおり肩から入ることにする。
もみもみ。
もみもみ。
俺「・・・」
天野「・・・」
俺「天野」
天野「なんですか」
俺「気持ちいいか?」
天野「はい。とても」
俺「そうか。良かった」
天野「・・・」
俺「・・・」
もみもみ。
もみもみ。
うーむ。
今のはもしかして気持ち良くて寝てしまったんではと思って声をかけたのだが、どうやらそうではないらしい。
いくら肩とはいえ、今まではみんなくぐもった声を出していたり、体を震わせたり気持ち良さそうな素振りをしていた。
しかし天野はそんな様子をおくびにも見せない。
別に俺が手を抜いているわけでもない。
もしかしたら・・・
俺「肩は終わりだ」
天野「はい」
俺「次は・・・」
次に俺が目をつけたのは腰。
腰の技いかんでマッサージ師の優劣は決まる。
と、俺は思う。
肩を除けばもっともスタンダードなものだが、だからこそそこに業という物が求められているように思えるからだ。
俺は天野の上着を少したくし上げる。
すると天野のほっそりとして白い肌が少し姿を現した。
俺「・・・天野」
天野「はい」
俺「・・・恥ずかしくないのか?」
これをやっても無言な人材は初めてだ。
天野「・・・恥ずかしいに決まってるでしょう」
あ、やっぱり。
天野「・・・マッサージですから」
俺「・・・」
本当に恥ずかしそうに言う天野が非常にかわいらしく感じたが、それ以上に気になることがあった。
俺「なぁ、天野。マッサージ馴れしてない?」
それだ。さっきから気になるのは。
天野「普通の人よりは、しています」
俺「・・・」
・・・やはりそうだった。
どういう経路からは知らないが天野邸では一族みんなが一流マッサージを受けているように思える。
なぜだか理由はわからないが、それはきっと天野家だからだ。きっとそうに違いない。
現に、今の天野の言葉にもそこはかとなく余裕というものが感じられる。
舌が肥えたというか、体が肥えたプロフェッショナルなのだ。
俺(・・・これは気合を入れないとな)
俺は両手にかつてない緊張感を覚えた。
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アレなシリーズ外伝、後編に続くっ!!
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