祐一、マッサージをされる。(前編)

F.coolです。
この話は、「屋敷の秘め事」の続きとなっております。

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佐祐理さんのベッドに座らせられた俺は、きょとんとして二人の動向を待った。すると程なく舞が、

「どこがいい・・・?」

と聞いてきた。マッサージする部分・・・のことか。

「どこと言っても・・・特にはないなぁ・・・」

「じゃあ、全身でいいですかーっ?」

と、佐祐理さん。

「いいのか?」

そこまでして貰って・・・

「あははーっ、遠慮しないで下さいね。ね、舞。」

コクン。

舞がうなずく。

「そこにうつ伏せになって」

「じゃあ、お言葉に甘えて・・・」

俺は靴下を脱いで、ベッドの上に寝そべる。佐祐理さんのベッドは、ふかふかととても柔らかく、また、なんだか甘いようないい匂いがした。

「まずは、足から・・・」

舞が俺の足首を掴んで丁度いい位置に固定する。

「舞。佐祐理は、どうすればいいかな?」

どうもメインのマッサージ役が舞で、佐祐理さんはその補助役に回るらしい。

どちらかというと佐祐理さんにして貰った方が気持ちいいような気もするが・・・

舞の方が手慣れてそうだし、俺は二人に任せることにした。

「・・・佐祐理は、祐一の背中に座って」

「うん」

背中に・・・って、

とすん。

程なく俺の背中には心地よいぐらいの重みがかかった。

「重くないですか?」

「いや、全然・・・」

と言うか、むしろ・・・

ふに

佐祐理さんのお尻から、柔らかさと暖かな体温が伝わってきて・・・。

・・・これは、いい・・・・

ぐっ・・・ぐっ・・・

舞がマッサージを始めたようだ。まずは、足の裏か・・・

「まずは、土踏まずの部分からなんだ?」

「・・・そう。親指で・・・」

ぐっ・・・ぐっ・・・

足の裏、指圧されている土踏まずの部分を始点として、ふくらはぎの辺りまで、心地よい痛みが走る。

ぐっ・・・ぐっ・・・

舞は物言わずマッサージに集中し、佐祐理さんはその様子を眺めているようだ。

ぬう・・気持ちいい。美人で知られる女の子二人にマッサージして貰って・・・これを極楽と言わずしてなんといおうか。

佐祐理さんが背中に乗っている感触も、苦しくもなく、暖かくて、柔らかくて、実にいい気分だ・・・

「次は・・・」

マッサージの対象が、アキレス腱に移る。腱をほぐすように、優しくつまむようなマッサージを繰り返す。

俺はますます快感に酔いしれた。

ふに・・・

この、佐祐理さんのお尻の感覚も・・・・・・ふへぁ。俺は、佐祐理さんに悪いと思ったが、さらさらのシーツに顔を伏せ、心地よい脱力感に包まれた。

・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・

あれ?

俺はここでふと疑問が頭に浮かんだ。

・・・なんで、佐祐理さんが俺の背中に乗る必要があるんだ?

「次は・・・」

「おい、舞・・・」

俺がその事を尋ねようとしたとき

ぐっ!

ビビビビビビビビビビビ!!

俺の右足のふくらはぎに電流が走った!

痛いという以上に、物凄くくすぐったい。

「うわっははっは、はひっ、ははっ、や、やめ、は、はは!」

たまらず俺は身をよじる。

「わ、わ、わ、」

上にのっている佐祐理さんがバランスを崩しそうになっている。

「佐祐理、しっかり押さえて」

「う、うん。」

佐祐理さんはさらに俺の背中に体重をかけ、なおかつ俺の腕を押さえ込んで、俺が逃げられないようにする。

足をばたつかせようにも、両足とも舞の膝によって押さえつけられているので、身動きがとれない。

なるほど・・・佐祐理さんが俺の背中に乗ったのは・・・こ、このためだったのか・・・

俺は納得しつつ、右足を襲う痛くすぐったさに耐えた。

「は、はひゃははは、はふっ、はふっ、はっ」

このくすぐったさは・・・何と形容したらいいか・・・

まるで俺の足の筋肉繊維の中を大きなムカデがはいずり回っているような感覚だ。

舞は一体どういうマッサージをしているんだ!

「ま、舞、佐祐理さん」

俺は二人に助けを求めた。

「はぇ?どうしました?」

「も、もうちょっと優しく・・・」

「だめ」

ぐっ!

俺の哀願は舞によって虚しくさえぎられた。

「このくらいでないと、効かない」

ぐっ!ぐっ!

充分効いてるって!

「な、はははっ、はは、あひゃっははは」

俺の馬鹿のような笑い声が室内にこだまする。

舞の指はふくらはぎから太股へと、だんだんと上部へ移動していき、足の付け根付近までその責め苦は続いた。

「・・・これで終わり」

ふぅ・・・やれやれ・・・俺は安堵のため息をついた。

「・・・・次は左足」

俺のため息は一瞬にして凍り付いた。

「ちょ、ちょっと待ってくれ、舞」

「・・・・どうしたの、祐一」

舞がこちらを見る。俺は、ベッドに顔を伏せたまま、ぜはー、ぜはー、と最早息も絶え絶えになりながら、舞に聞いた。

「い、今のは、一体何なんだ・・・・」

「マッサージ」

「いや、そうじゃなくて・・・」

佐祐理さんが助け船を入れる。

「えっとですね。確か、こうやって・・・両親指の腹で、左の親指で押したら次はその一センチ上を右の親指で、と言うふうに、だんだんと上に昇っていくように指圧していってましたーっ」

なるほど・・・そうやっていたのか。しかし

「そのくらいのことで、あんなに・・・」

「だから、効く」

むぅ・・確かに。説得力がある。

「次は、左足」

け、結局まだやるのか!

「両足やら無いと、意味がない」

そりゃそうだが・・・

「あははーっ、祐一さん、覚悟して下さいねーっ」

佐祐理さんは完全にこの状況を楽しんでいる。だああ。こうなりゃヤケだ・・・

「ええい、煮るなり焼くなり好きにしろ!」

「じゃあ・・・」

二人の美しい悪魔にがっちりと押さえられた俺の左足に、舞の親指が近づく。

次の瞬間、俺は窒息寸前、笑いの地獄をかいま見た。





「へー、ぜー、はー、ふー」

両足のマッサージを終えた俺は、呼吸も荒く、最早発狂寸前だった。

「ふぇ・・・祐一さん、大丈夫ですか?」

すでに俺の背中から降りていた佐祐理さんが、さすがに俺を心配する。

すると、代わりに舞が、

「大丈夫」

舞・・・おまえなぁ・・・

一言文句を付けてやろうと、俺はすっくと立ち上がる。

すると・・・・おや?

「あ、足が」

足が、軽いのだ。両足が、脳からの命令をダイレクトに受け付け、過剰なまでに良く動く。

「お?お?お?」

俺はベッドの上でしばらく膝をひょこひょこやっていた。

これは・・・すごい

「どう、祐一・・・」

俺はすでに文句を付ける気分はどこかに去っていた。

「す、すごいな、舞。足がむちゃくちゃ軽いぞ!」

「舞、すごいねー」

佐祐理さんも、俺の様子を見て、感心する。

「それほどでも・・・・ない」

舞が顔を赤らめ、そっぽを向く。

照れている。

「それより、続き・・・」

「おう!頼むぜ」

俺は瞬時に了解し、自分からベッドの上に寝そべった。


(続く)


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あ〜・・・長くなってしまった。

ちなみに、このマッサージの効果に関しては、私の知る限りにおいて、なんら誇張をしていないことをここに約束します。
興味を持たれた方は、どうかお試しになってみて下さい。(自分自身でやっては、効果がありませんので御注意を)

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