LOAD ABORTION




 仕事から距離を置いた時間には大抵訪れる、こぢんまりとした控え室。
 そこに備えられた簡素なソファに腰を落ち着けて、仁保は大きく息をついた。
「ん、んん、んーっ……はぁ」
 仁保の格好は、白と薄い黒のメイド服というものだった。
 双月堂の屋敷に来てから一週間ばかりが経ち、この衣装にもとりあえずは馴染んできた気がする。
 もっとも、屋敷そのものにはあまり溶け込めたようにも思えなかった。
 それというのも、直接の主人である筈のイバラという娘が、次期当主の座を得るための大変な儀式の最中だとかで不在であり、
 仁保には未だ顔すら見せていないからなのだが。
 且てて加えて、名のある人間の側近くで動くメイド達は普通の配属とは別扱いらしく、それらしい規則的な雑事がないまま仕事が終わったりする。
 今日も今日とて、仁保は中途半端に無為な一日を過ごし、翳った陽が墜ちきる前にメイドの部屋に戻っているのだった。
「何ていうか……お金もったいなくないのかな。これ」
 他人に言わせるとかなりマネーに厳しい仁保は、ついそんなことを口にした。
 貰えるものは貰う主義だが、ここまで楽だと相手の懐具合が気がかりになるのも確かだった。
「ぼぉんそわーる、仁ぃ保ちゃぁん♪」
「そういう時はぐぅてんもぅるげんだよ、則恵ちゃん♪」
「……出た」
 唐突に、控え室の奥の扉から、二人のメイドが転がるようにして飛び出してきた。
 仁保の茶色がかった癖毛が跳ねるが、本人は至って平静な様子で言葉を返す。
「清子先輩、お疲れさまです。でも、それを言うならぐーてんたーく、じゃないかと思うんですけど」
「きゃぁんっ♪ 仁保ちゃんってば、今日もつれないよぅ……♪」
「いやぁんっ。 仁保ちゃんったら、今日も冷たいよぉ……」
 控え室に転がり込んだ所で、清子が両手で顎を挟んで独楽のように回った。
 返事を貰えなかった則恵はと言えば、浮かんだスカートの戻りきらない清子の肩を掴んでがくがくと揺する。
「ひどいひどい清子ちゃぁん! いいもぉん、どうせ私は仁保ちゃんに遊んで貰えないんだもん……ぷんっだ!」
 豊満な体つきの少女はしかし、幼女のような仕草で頬を脹らませた。 しかし、相方であるところの黒髪のメイドは気にした風もなくその顔をつつく。
「ほらほらぁ、拗ねないで♪ 則恵ちゃんは今日のお客さまなんだからー♪」
「うー」
 余計な程の勢い満点で転がり込んで来たメイド二人は、仁保を放ったらかしにして戯れている。
 いい加減にいつものことだと納得はできてきたが、だからと言って自分を探して来たのだろう先輩に無視を決め込むこともできない。
 仁保はとりあえず会話に割り込んでみる。
「……あの、それで、あたしに何か用ですか?」
「いいもんいいもん。 どうせどうせ、私は用がなくて仁保ちゃんにお話してもダメなんだもぉん……」
「いや、いきなりいじけられても困るんですけど。 あたし」
 取り付く島もない。 ニュアンスが大分違う気がするが、とにかく則恵にこちらの話を聞くつもりは無いようだった。
「えーっと、清子先輩?」
「うん♪ なになに仁保ちゃん?」
 清子は下を向いてしまった則恵の様子に構う様子もなく、頬に突き立てた指先をぐりぐりと捻って遊んでいた。 そのまま顔だけで仁保に振り向く。
「あたしに、何か追加のお仕事ですか?」
「いやぁん♪ 『追加』だなんてぇ、仁保ちゃんってば積極的♪」
「……は?」
 要領を得ない返答に、仁保は口を開けて固まった。
 これで「熟練」の先輩だというのだから、双月堂家のメイドの教育は存外楽なのかもしれない。
「それにそれにぃ♪ まだ一応お昼だよぅ? 仁保ちゃんのえっちっ♪」
「あー、いや、そのー……はぁ」
 仁保が見る限り接待で来る客は、相手の都合など問わないような傍若無人な人間ばかりだったような記憶がある。
 その意味でメイドにとっては夜昼の区別など無いのだが、今はそういう話をしていただろうか?
 仁保の開いた口は文字通りふさがらない。
「……ってことは。 あたしの用事って、えっちなお仕事なんですか?」
「ご名答ー♪」
「私は入れないけどねー……」
 思いつきを口にすると、二人の先輩は対照的な表情で肯定してくれた。

   
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 屋敷に来た初日に則恵に精液をかけたベッド。
 そういう印象しか湧かないのもどうか、とは思うのだが。 とにかく仁保は清子に連れられ、そのベッドの傍らに居た。
「ね、ね♪ どう? どうかなぁ?」
 別にベッドそのものに奇妙なところは無い。 いつも通り巨大なだけで、奇麗にメイキングされている。
 問題はその上にずらりと並べられたモノモノだった。
 清潔なシーツ。 柔らかそうで事実柔らかい枕。 そして、それらの上に横たえられた、何着もの衣装。
 立ち尽くす仁保に、ソファに座った則恵が声を掛ける。
「仁保ちゃん、仁保ちゃぁん♪ 好きなの選んでいいからねぇー?」
 促された仁保は、改めて、そこにある服らしきものを眺めわたしてみた。
 ひとつ。 どぎついオレンジイエローのメイド服。 スカートは極限まで短く、前についたエプロンよりも、明らかに裾が上にある。
 ふたつ。 黄緑色をした水着。 ただしトップに二ヵ所、アンダーに一ヵ所、つまるところビキニのあらゆる中心には金属の枠のついた穴が開いている。
 みっつ。 黒いナース服。 前の合わせ目と背中の縫い目とシーツの模様が重なって見える。 どうやら透ける布地で出来ているらしい。
 よっつ。 真っ赤な色の、ゴムだかレザーだかの帯で出来た、服と呼ぶには抵抗のある代物。
 体を覆う面積は少ないが、とりあえず隠す部分は隠している。 股間で全開になっているチャックの存在を無視して語るなら、だが。
「……これを、どうしろと? あたしに」
「決まってるでしょー♪」
「分かってるくせにー♪」
「判りたくなかったです……」
 すっきりと返ってきた答えに、仁保はがっくりとうなだれた。
 自分がこれを着た姿というのはどうにも間が抜けている気がする。
 どの衣装を選んだにしろ、結局は淫らな目的のために体のどこかを強調するものであるわけで、
 つまりは二人にそういう趣旨の『新人教育』をされる、ということである。
 そこまで考えた時、仁保の頭の中に、もわりと或るイメージが浮かんだ。
「……これって、残業になります?」
「なるなる、なるよー♪」
「んふぅ、仁保ちゃんのがんばり次第かなー♪」
 『新人教育』イコール『お仕事』イコール『給金』。
 すなわち余計に貰える札束。
「それならこれで」
 仁保の反応は早かった。
 シチュエーションはともかく、気持ちよくてキャッシュになるのなら文句は無い。 ビシッと伸ばした指で、適当な衣装を指差した。
「わー♪ それなんだー♪」
「わーい♪ 仁保ちゃんのが丸見えだー♪」
「……え?」
 適当な衣装。 イコール、仁保の右手の前にあった服。
 確認もせずに突き出した腕の先にある物は、つまるところそれだけの物だ。
 先輩メイド達の喜び様に、仁保は恐る恐る自分が選んだ(ことになっている)服を見てみた。
「あー」
 服ではなかった。極薄い金色をした輪のついた、黄緑の布地。
「ビキニもどきですか。 このえっちぃ」
「すごいねすごいね♪ 仁保ちゃんってああいうの好きなんだー♪」
「うんうん♪ 仁保ちゃんって見せるの好きなんだー♪」
 仁保は諦め半分に、水着の変種をベッドから取り上げた。 そうしながら、とりあえず二人に声を掛けてみる。
「今さらナシっていうのはナシですよね、あたし」
「見せるっていうより見せつけるって感じ? ねぇねぇ則恵ちゃん♪」
「見せつけるっていうより見せびらかすっていう感じだよ? だよねだよね清子ちゃん♪」
 案の定、則恵も清子も、仁保の言葉など耳に入っていなかった。
 仁保は一応覚悟を決めると、着ているメイド服に手を掛け、いちどきに脱ぎ放った。 こんなことも考えて、下着はお揃いのものを身に着けてある。
 目の前の水着に似た色のそれもスルスルと床に落とし、仁保はてきぱきと衣装を纏った。
「わ。 早いね」
「ぅぁ。 大胆だね」
「……ほっといてください」
 仁保は頭の中からゲンナマのイメージを追い出し、脇に立つ清子に向いた。
「それで、あたしは何すればいいんですか?」
「あ、うん」
「私には訊いてくれないんだー……」
 ソファの上で、則恵が膝を抱えていた。 気がついてみると、何故かソファはベッドの方を向いている。
「それはですねー♪」
 立ち直るのに数秒の間を要した清子が、いつものテンションに戻って顔を綻ばせた。
「今日は則恵ちゃんがお客様なんだよ♪」
「は?」
 要領を得ない清子の言葉に、仁保は気の抜けた声を漏らした。 それを気にした風も無く、清子は説明を続ける。
「だからね。 仁保ちゃんがお客様を接待するの♪」
「はぁ」
 定番の『ご奉仕します』というのだろうか。 だとしたら、則恵がソファに座っているのは応接のつもりか?
 仁保は少しばかり悩んでみた。 がしかし、その答えは間も無く清子から伝えられる。
「それでそれで、今日の接待は、メイドの交尾ショーなんだよぅ♪」
「あぁ……はぁ!?」
 清子の唐突な言葉に、仁保は目を見張った。
「あのソレって、あたしたちがエッチするところを、則恵先輩にお見せする、と?」
 解釈をするまでもなく、清子が言ったことはそういう意味に取れる。 というより、そう取る以外の聞き方が仁保には分からなかった。
「うぅん♪ 則恵ちゃんじゃなくて、お客様ぁ。 それから、卑しいメイドはエッチじゃなくて交尾しちゃうんだよぅ♪」
「それで、この服ですか」
 納得した。 得心もした。 他人に見せるというのなら、自分の好きな衣装でした方がやり易いだろう。
 厭らしいものばかりなのも頷ける。 考えた仁保は、自分の股間に痺れるような感覚が集まるのを意識した。
「んっ、それで、あたしは清子先輩と……?」
「わぁ♪ 仁保ちゃん、もうボッキしてる……」
 隠す物の無い仁保の淫根に、清子がいかにも嬉しそうな声をあげた。 両手を小さく握り、体をくねらせてメイド服のスカートを揺する。
「ずるいずるいっ。 私にも見せてよぉ、清子ちゃあぁん」
「そうだねっ。 それじゃ仁保ちゃん、ショーの始まりだよぅ♪」
 促す、いや強請る則恵の声を合図に、清子の目の色はくるりと変わったのだった。

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 仁保は腕組みをして、横目で清子を睨み付けていた。 即席の観客席にされたソファの上には、肘掛に上半身を預けた則恵が寝そべっている。
「早く脱いでください。 お客様がお待ちですよ?」
「はい、ただいまー」
 清子は口では了解する。 しかし実のところはもじもじと体を蠢かせ、一向にメイド服を脱ごうとしない。
 仁保は顔を清子に向けて、強い口調で言った。
「やる気がないんだったら出てきちゃ失礼なんですよ、それ分かってます?」
「はいぃー……」
 怯えたような上目遣いで仁保を見つめ、両の腕で自分を締め付けて小さく震える清子。
 そんな姿を見て、横柄に振舞っている則恵が茶々を入れる。
「ふふふ、随分控えめなメイドなんだね。まだまだ慣れてないのかなぁ?」
 その言葉に、仁保は清子をなじることで応えた。
「申し訳ありません、だらしないメイドで。
 これでも先輩なんですけどね……あぁもう、どうしてそう役に立たないんですか? いいですよ、あたしがやったげます」
「ひゃっ!?」
 勝手に話をまとめると、仁保はベッドに横坐りになった清子の肩に手を掛けた。
 黒白のメイド服をムズと掴み、シーツをはたくような勢いで引き剥がす。
 二度三度と衣服を引き摺られた清子は、布地の塊と泣き別れつつベッドの上に放り出された。
「きゃぁん……」
「その厭らしい体にふさわしいと思う服に着替えてください。 ちゃんと着ないと、後でお仕置しますからね」
 ベッドに上りながら、仁保はまるで自分が先輩になったかのように清子を責め立てる。
 そして、ぶるぶると動く清子の唇に、指先ごと錠剤をねじ込んだ。
「そうですね、先輩にはそのメイド服なんてお似合いじゃないですか?」
「そ、そんなの……あ、ぁ……あああああっ!」
 そ知らぬ顔で仁保は清子に衣装を被せる仁保。 顔が襟から出たのと同時、清子は抑え切れない悲鳴に喉を絞る。
 腕をオレンジイエローの布に絡め取られて身動きの出来ないまま、清子はバタバタと暴れてベッドを揺らした。
「どうしたんですか? ああ、本性が生えてきたみたいですね」
 仁保が目を細めて則恵に笑い掛ける。
 不自由な両手で股間を隠そうとする清子を尻目に、その股間からはズクズクと音を立てながら肉棒が伸びていた。
「あぁ、あああ……! サカっちゃうぅ、ボッキしちゃうよぅ……」
「どうですかお客様、変態メイドのイチモツのご感想は?」
 則恵は則恵で、仁保と絡めない意趣返しも込めつつ清子を苛める。
「へぇえ、グロいチンボぉ! こんなの生やして恥ずかしくないのかなぁ?」
「いやぁ、お客様ぁ、そんなことおっしゃらないでくださいぃ……!」
 どうにか服を着終わった清子が、エプロンの下にある胸を隠しながら股間の物は露出させた姿で仰け反る。
 後ろの仁保は、ビキニのアンダーから剥き出した淫根を数度にわたって扱き、清子の首に手を回して引き上げた。
「それではお客様、メイド同士でよかり合う浅ましい交尾をご披露いたしますので……存分にご照覧くださいねっ。 ほら、腰を上げるの?」
「うぅっ。分かったからそんな服引っ張らないでぇ……オチンボ見えちゃうぅ……」
 乾いた音と共に、仁保の平手が軽く清子の頬を打った。
「何を言ってるんですか? 股おっぴろげて恥らったって全然説得力なんか無いんですよ」
「んんっ♪ こっちのメイドはいい子なんだぁ……もって帰っちゃおうかな、えへへへ」
 則恵は目を輝かせて二人の接点を見つめる。今日は男根を生やしていないからか、自分の体を忘れた風情で口の端から涎の雫を覗かせている。
 視線の先では、膝を使って清子の内股をM字に割った仁保が、色づいた淫根を清子の局部に押し付けたところだった。
「さ、年増な腐れマンコを眺めていただけるんですよ。 変態は変態らしく喜んでください」
「ん、仁保ちゃん、やぁ……」
「嫌じゃないでしょう? つくづく嘘吐きですね、先輩? ここをこんなにしておいて」
「ぎゃんっ!?」
 仁保の男根の切っ先は清子の女陰に突き付けられただけで、今度は清子の股間に平手が飛んだ。
 胸の辺りまで伸びた清子の男根は生白く分厚い包皮に覆われ、先はご丁寧にこよりよろしく捩れている。
 それをいいことに、仁保は手加減無しに何度も清子の淫根を打ち据えた。
「ひぎゃっ! あぎゃっ! うぢゃぁぁっ!?」
「ほらほら、こんなのが気持ちいいんですよね? 叩かれて喜ぶコレは何なんですか? 先輩」
 一、二、三。四、五、六、七、八。 脂汗を流す清子の男根は、湿った袋が弾けるような音を立てて大きく振れる。
「うんうん♪ もっとやっちゃえ♪ もしかして、このままイッたりしてぇ!?」
「あ、やめっ、仁保っちゃぁっ! やめっ……やめぇぇぇっ!」
 瞼に皴を寄せて叫ぶ清子を下半身で捕まえ、仁保は手を止めた。
 清子の睾丸の間から覗いた男根を揺すり、振り上げた手の平を真っ直ぐに立てて、冷たく宣言する。
「そういえば、先輩はここを叩かれないと興奮できないんでしたね。 さ、いきますよ」
「あっ、ひぃぃ……!」
 一瞬の沈黙、そして次の瞬間。
 目にも留まらぬ速さの平手打ちと、気張りの入った衝きいれが、清子の股間で交錯した。

   
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「えびゃぁぁぁあっぁぁあっ!!」
「ん、んんくふぅぅ……っ!」
 メイド達の控え室に清子の声が木魂する。 その影で仁保もまた、はしたない吐息を溢れさせた。
 清子の下腹部を前後から挟むように叩きつけられた、手の平と男根。
 一方は清子の巨根の根元にぶら下がった肉袋をしたたかに打ち、他方は下半身を曝け出してしとどに濡れた女陰に遠慮会釈なく突き刺さる。
 強過ぎる刺激に竦み上がった清子の『なか』に締めあげられた仁保は、生来備えた淫根から大量の精液を注ぎ込んだ。
 そんな中、仁保に激しく射精された清子は、違和感に気づいて趣の異なる声で泣き始めた。
「あ、ああぁぁ……オチンボ、アクメるぅ……あれ、あれあれぇっ!?」
「あららー♪ そこのメイドさんはどうしたのかなー?」
 事情は飲み込めずとも観客に徹している則恵は、ことさら煽るように清子に尋ねた。
「出ない……! オチンボ汁出ないよぅ……!! なんで、なんでぇっ」
 取り乱し始める清子。 仁保の腰に尻餅をついた姿勢で見えない縄に縛られているように体をよじる。
 それに合わせて清子の肉棒が動き、華奢な体に似合わない卑猥なダンスを見せる。
「んふふぅ……そんなの、決まってるじゃないですか」
「……えっ!?」
 うなじを嘗める仁保の声に、清子は大きく引き攣って振り返った。
「あのお薬はですね。 先輩みたいな下品さんが飲むと、その分だけチンボコの汁を濃くしちゃうんですよ?」
「なっ……!」
「分かりますよね? 先輩のドデカいキンタマの中に溜まってるモノが、チンボの中なんて通らないくらいに、ドロッドロになっちゃってるの」
 にやりと笑って、仁保は続けた。
「頑張ってセンズリこけば、もしかしたら出せるかもしれませんよ? そのドキンタマのヘドロみたいなの、いーっぱい」
「あ、あ……」
「そーなんだー? すごいねー♪」
 則恵は泣き笑いの顔で唇を動かす清子にちょっかいを出すのを忘れていない。
 仁保は清子の人差し指を伸ばして、清子の鼻を強く押し潰した。
「こうやってブタになって、お客様の前でドチンボ扱きます? ほら、ブウブウ」
「ぶ、ブー、ブー……」
 力無く鳴き真似をしながら、清子は恥部から屹立した淫根に手を伸ばす。
 仁保は清子の鼻から手を離し、過剰に控えめな清子の胸の前にある、先細りに縮こまった余り包皮を抓んだ。
「ふふ、扱いちゃうんですね? チンボブタったら、お客様にあたし達の交尾をお見せしなきゃいけないのに、自分勝手にお自慰しちゃうんですね?」
「きゃぁん♪ こらえ性の無いブタさんだねー♪ どれだけドスケベなのかなぁ♪」
「ぶひっ……ぶふぅ……」
 則恵の言葉にビクビクと震えながら、清子の両手が男性自身を握った。 指を揃えて括れを挟み、緩慢な動きで擦る。
「それじゃお客様、本番もたっぷりご覧くださいねー」
「うん♪」
 呆けた顔で巨大な淫根を絞り始めた清子に苦笑し、仁保は開いた脚の間から突き出した性器を振り立てた。
 途端に結合部から濡れた音が響き、ソファから二人を眺める則恵の耳にまで届く。
「このエロメイド、自分のチンボ扱いて感じてるんだねー♪」
「はぁい。 どうしようもないメイドですみませんー。 んっ、んっ……あぁん、オチンボいいなぁ」
「ふはぁっ、ぶふっ、ぶひぃ……! あぁ、まだ出ない、まだ出ないよ、出ないよぅ……」
 快楽のままに腰を振る仁保にも、体毛の薄い女陰が褐色の淫根を飲み込む光景を注視する則恵にも構わず、清子は一心に男根を苛む。
「にゃんで、なんでぇっ! こんなにシゴいてあげてるのにぃ……」
 揉みしだき、引き延ばし、擦りたて。
 潰れる包皮や先から垂れ流す粘液までを駆使して、局部に生えた劣情の塊を弄ぶ。
 それでも出ない精液の感触に、半ば狂乱状態に陥る清子。
「こんなにぃ……みぎゅみぎゅしてあげてるのにぃぃっ! オチンボのバカ、バカぁっ!! うぁぁぁぁっ!」
「……あぁもう、うるさいなぁ……。しょうがない、イカせてあげるかなっ」
 自分とまぐわりつつも無茶に暴れようとする清子に痺れを切らし、仁保は清子の腰をがっちりと掴んだ。
 則恵に流し目を送り、清子を絶頂させる許しを乞う。
「うんうん♪ そのデッカイのから出したらどーなるか、私見たいなー♪」
「わっかりましたー」
 おざなりに答えて仁保は両足をがっぱりと開く。 押されて清子も股を割り、四つの睾丸が露わになる。
「わぁー♪ ブルブルしててヤラシいよー? うふうふふー♪」
そして仁保は清子の中から男根を抜きつつ、尻を後ろに引いて力を込めた。
「ああああっ! チンボ出ないー! キンタマ出ないよぅ……うえ、うぇぇぇ……!」
「はいはい、さっさとしてあげますって……ほらっ!」
 擦り切れそうな勢いで淫根を扱く清子の、丸裸に剥かれた尻。
 仁保は閉じられたままの肛門に男根を当て、亀頭を潜り込ませると一気に根元まで貫いた。
「はぅっ!……うぁあっ!?」
「まだまだっ……くうぅぅっ!」
 清子の粘液にまみれた仁保の男根が、休みなく清子の不浄の穴を掘り返す。
 引き出し、突き入れる度には、弾みで二組の睾丸が揺らされる。
 そこで仁保が尻を揺すると、ビチリと品性に欠けきった音が鳴り、仁保と清子、二人分の睾丸同士が激しくぶつかり合った。
「おっ、お客様っ、チンボメイドのアヌス交尾とぉ……エロキンタマクラッカーでございますぅっ……!」
「はひっ!? みぎゅあっ、ひぎゃっ、はぎゃぁっ、ぎひゅうぁっ!! ギンタマがぁっ! ケツの穴がぁぁっ……! ぎゅっ、ぎゅふぅっ、出りゅうううううううぅ!」
 ずるずると『何か』が体内を這う感触に、清子が再び絶叫する。
 粘液と呼ぶには固すぎる『それ』は、清子の下半身を引き裂くようにして男根の付け根に集まってきた。
「うっわー……すっごおぉい♪ あんなにばちばちおケツ犯して……仁保ちゃん♪」
「はあぁっ、あ、清子先輩のアナルって、こんな気持ちいいんだ……くふぅっ、かはぁあっ」
「あ、あ、あ……」
 白目をむきながら、清子はがくりと動きを止めた。 その間に仁保は清子の二つ目の穴に精を注ぐ。
「あぁっ、くふっ、またイクっ……! あぁはっ、出てるぅ……」
「あー、あーっ、あああああああああ」
清子は断続して声と涎を溢しつつ、則恵の方へ巨根を構えるように突き出した。
 尚も挿入を続ける仁保が肛門のうちそとを往復するうちに、長大なそれががくがくと震動を始める。
「来るかな? 来るのかな♪」
「……イックぅぅぅうううううううううっ!!」
 清子の声が堰を切った瞬間、よじれた包皮を押し分けて、清子の尿道から液が迸った。
 腐りかけた海産物もかくやという臭いを渦巻かせながら、則恵へ向かって一直線に精が飛ぶ。
「ぅあああああああああああああああああああああああああああああっ!?」
「うひゃあぁっ!?」
 文字通りホースから噴き出した精液は棒の如き纏りをもってソファにぶつかった。
 咄嗟に避けた則恵の場所にぶち当たり、それはビシャビシャと異様な音を響かせて革の面に張り付く。
 挙句そのものの重さに耐えかね、人が坐る筈の場所にトグロを巻いて溜まり出す。
 一向に勢いの衰えない射精の主を則恵が伺うと、清子は股間の袋を抱え、癇に中ったように叫び続けていた。

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 清子の射精は、更に仁保が二回精を放ってもまだ収まっていなかった。
「あの、則恵先輩……どうしましょうか、これ」
 既にソファの下には大きな精液溜まりができ、精液の綱がベッドの上まで?がっている。
 その端は清子の男根の穴に消え、そこから繰出されてくる新しい粘液のせいで尚も長くなり続けていた。
「やだぁぁあっ! もぅやだよぅっ……!! もうチンボ出したくないぃっ、イキたくないよぅっ……」
「うーん、お姉さまを呼んだ方がいいのかなぁ……うぅーん」
「そういう問題なんですね……」
 さすがに気が咎めた仁保の男根は、清子の肛門から抜いて間も無く萎んでいた。
 一方の則恵はと言えば、それなりに憂いた顔をしてはいるものの、真剣味があるようには見えない。
 仁保が見守っていると、則恵はベッドに四つ這いになって喚き散らす清子に近寄り、かわいらしい声で気合を掛けた。
「ほんとに仕方ないなぁ……えいっ♪」
「誰かぁ、お汁、私のチンボの汁止めてぇ……、ひぐぅっ!」
 二人の声が重なった直後、仁保は驚きに固まってしまった。
「ほぉら、ぐーり、ぐーり♪」
「んぎゃふっ! ひふぅっ! の……則恵ちゃんっ!?」
「こーすれば、清子ちゃんのスケベなチンボボンドでも出なくなってくれるでしょー?」
 流れを止める。 則恵がしていることは、まさにそれだった。
 ベッドに乗り、シーツを擦りながら精液を吐き出し続ける清子の男根。 その上に、ストッキングを穿いた則恵の踵がしっかりと食い込んでいる。
「いびゃっ! いひゃいよぅ……! チンボ潰れるぅっ、則恵ちゃぁあんっ」
「それがイイんでしょー♪ 清子ちゃんは私がオナニー見せられてるのでもオカズにできちゃう変態さんだもんねー?」
「うゎー……」
 則恵は清子の前に立ち、しっかりと曲げた脚で清子の巨根を踏み付ける。
「な、何のこと、あひっ! ひぃっ! いぎぃぃぃっ!!」
 リズミカルに膝を伸ばして力をかけ、前後左右に捻り、滑らせ、包皮の中に隠れた亀頭を転がす要領で体重をかける則恵。
 悪魔の笑みで清子を見下ろして仁保を呼ぶ。
「ほらほらぁ、これでイケばきっと全部出るよぉ♪ ねぇねぇ仁保ちゃん♪」
「……な、何ですか?」
 穴あき水着のままベッドに寄った仁保を、則恵は清子の前で膝立ちにさせた。
「清子ちゃんにオナニー見せてあげて♪」
「え?」
 仁保は思わず聞き返す。
「ね♪ お願い♪ これしたら、きっと清子ちゃんも元気になるからー♪」
「……は、はいっ」
 にっこりとした則恵の笑顔。何やら黒いものが燃えている眼に射竦められて、仁保は大人しく言う事を聞くことにした。
「ふえ……仁保ちゃん……?」
「じゃ、じゃぁ、清子先輩……あたしのチンボコキ、見ててくださいね」
「よぉく見せてもらうんだよ、チンボメイドの清子ちゃん♪」
 本来の目的をまったく果たしていないビキニの水着。 その中心から再び勃起した男根とこぼれた睾丸に、仁保はいつものように手を添えた。
 体を支える両の膝をぐいっと開き、局部の根元に嵌ったリングまでが清子の目の入るように腰を突き出す。
 それから仁保は、清子が淫根を踏まれるタイミングに合わせて自分の男根を扱き始めた。
「はぁっ、はぁっ……やだぁ、あたしったら、オナニー見られて喜んでるぅ……」
「ほぉらほら♪ 清子ちゃぁあん? 年下メイドさんのチンボはどうかなぁ♪」
「やはっ! 仁保ちゃんだけ、ずるいぃ! ……私はドプドプできないのにぃ……ひぃっう!」
 仁保は両手を勃起に巻き付け、幹も亀頭も布で磨くように擦りあげる。
 男根には清子の出した体液がヌラヌラと絡み、夕日を反射して淫らに光っている。
 見開いた眼を仁保の股間に釘付けにされた清子は、則恵の足の裏に巨根を踏み潰され包皮の合わせ目から脈打つように精液を溢し悶え回る。
「やだぁ……ニチャぁニチャぁっていってるよぉ……くひっ! チンボ、私のチンボ、チンボぉっ……!」
「どうですか先輩? これで……このチンボで、先輩を犯してたんですよ、あたしっ」
 突き入れる腰の動きを激しくしながら、仁保は過激に気分を盛り上げる。
 リングから垂れ下がった睾丸は揺れるままに跳ね回らせ、自分の両手が至上の女陰であるかのように尻を振る。
「あぁっ、くあっ……清子先輩にあんなに中出ししたのに、全然満足してないんですよっ。
 スケベな生チンボはあんなのじゃっ、足りないんですぅっ! くひぃっ」
「そ、そんな……ひどふぃいっ!?」
「清子ちゃーん♪ がんばれー、ラストスパートー♪」
 淫根を揉みしだかれる感覚に悶えながら仁保に言い返そうとした清子の声は片足のみならず両の足裏で巨大な物を蹴りつけた則恵に遮られた。
 一擦り。 仁保の手は局部に下り、尿道の筋を十指で絞る。
「そぉれっ♪」
「はぐうぅっ!」
 二擦り。 則恵の脚が組まれ、清子の睾丸にズンと膝を入れる。
「んにゅふっ♪」
「ゃぎゅっ!」
 三擦り。 清子の亀頭が包皮を裂くように捻られ潰れる。
 仁保の両手が奔り、ねとつき色の変わった清子の粘液を飛ばして、淫根をカリ首まで一気に扱き抜いた。
「おーっと♪」
「ぁ……、ばにゃぁぁぁああああああああっ!!」
 清子が人には思えない声で唇を割った。  追われた羽虫もかくやと飛退いた則恵の目の前で、包皮に包まれた野太い男根の先が開く。
 間髪入れず、則恵に圧し止められていた精液が飛び出した。
「あっふ、はふっ……」
 仁保は仁保で、小刻みに下半身を揺らし、通算五回目の射精の最中だった。
 清子の変形メイド服に向かって白濁した粘液を噴き、びくびくと体を震わせる。
「ああああ……出て、出てりゅっ……うぅぅぅぅうぅぅっ!!!」
 清子の男根からは下水のホースよろしく大量の汚泥が溢れ出し、控え室のベッドを暗い黄の色に染める。
 時には、溶け残りのような塊が尿道口を広げ、緩んだ卵を産むようにボタリと落ちてきた。
「あ、あ……あぎ……ぐぅっ……」
 涙と涎と鼻水で顔を覆いつくし、もはや声も出せなくなった清子がびくびくとのたうつ。
 光を失った目を見開いたまま、清子は巨根を絞りきって気を失っていた。
「あーあー! ドロドロだねー♪ すごいねー♪」
 清子の腹から湧き出した、部屋の床を埋め立ててしまいそうな池に足を付け、則恵はビチャビチャと精液を弄ぶ。
 踏み付けて絶頂させたきり看護する気配も無い様子に、快感を味わって落ち着いた仁保が声を掛けた。
「あの、則恵先輩。 これ、放っといていいんですか?」
「これだなんてヒドイなぁ、仁保ちゃん♪ いいんだもん、私をハブにするよーな清子ちゃんにはこれっくらいしてあげなきゃいけないんだもぉん♪」
 則恵は口を尖らせ、ご機嫌斜めの目で清子をじっと見る。
 その言葉から隠れるように、仁保は握った両手を前で合わせ、丸めた背中をベッドに向けた。
「はぁ……えっと、それじゃ、服取ってきますね、あたしは」
 結局。
 自分で招いた事態を見なかったことにして、仁保はそそくさと、夕闇の控え室から逃げ出したのだった。





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