夏の成本家 美景編
「た〜だ〜い〜ま〜」
今にも倒れそうな声で帰宅の挨拶をしつつ、成本美景は玄関の上がり口にスポーツバッグを置いた。
しかしそのまま両腕をだらりと下に垂らし、短めの髪の毛が顔に被さっていても気にせず、彼女はそのまま前屈みで立ちすくむ。
別に彼女の体調が悪いわけではない、美景はいつも通りに健康優良、元気溌剌であった――この夏の日差しに、すっかり体力を奪われてしまうまでは。
「あ゛〜」
彼女は呻きながら家に上がると、一直線にキッチンに向かい、冷蔵庫からスポーツドリンクを取り出し、ペットボトルに直に口を付けて豪快に飲む。そう言う真似はするなといつも姉から怒られているのだが、今は家に自分しか居ないので彼女は気にすることはなかった。鬼の居ぬ間に何とやら、だ。
「ぷぁ」
一気に500mlほども水分を補給し、ようやく彼女は一息吐くことが出来た。
休み中に学校へ行ってテニス部の練習をするのは、快活な彼女にとって苦痛ではなくむしろ楽しみであったが、帰り道のけだるさはどうにもならない。
練習中は夢中になっていて暑さも汗も気にならないが、帰り道にはそれらがどっとのし掛かってきて、美景の気力と体力をじわじわ削り取っていくのだ。そこに練習疲れも加われば、これはさすがの美景でも一溜まりもない。
学校でシャワーは浴びてきたのだが、猛暑日の太陽は容赦なく、ただ家に帰るだけで美景は汗だくになってしまっていた。
「ああもう、もう一回シャワー浴びようかなー」
そう呟いたものの、そんなに連続で浴びるのもなんだか勿体ない気がして、彼女はひとまずタオルで自分の身体を拭くことにした。
さしあたりソックスだけを脱ぎ、家族共用のタオルを掴んで脱衣所の鏡の前に立つ。
「うっわ、びしょびしょじゃん」
ショートパンツと運動着から伸びた手足は健康的に小麦色で、しっとりと汗ばんでいる。しかし外に出ている部分はまだ良い方で、運動着などすっかり濡れてスポーツブラが透けて見えてしまっている。
「やーばいなー……男子共に見られたかな……まー別にいいけど、さ」
自分が割と恥ずかしい格好をしていたことに気づき、美景はぶつくさと口をとがらせつつ、タオルで手足を拭き始めた。
そしてそのまま、首回りと、ぐっしょりと濡れている脇の下を拭き、運動着を捲って腹と背中も余すところ無く汗を拭く。
上半身がさっぱりしたところで――美景は、ちら、とショートパンツを見た。
「で、ここが……ひどい、よねえー」
美景は嫌悪に顔をしかめつつ――しかしどこか、期待に満ちた目で腰に手を掛けると、ショーツごとショートパンツを床にずり落とした。
汗を飛ばしながら、途端に勢いよくいきり立つ肉の剛棒。特注の分厚いショーツに包まれて勃起を抑制されていた男根は、ようやくの解放に張り切って、むせ返るような淫臭を漂わせ始めた。
「むほっ
」
匂い立つ饐えた臭気と解放の快感に、美景は思わず鼻の穴を広げてだらしない声を出してしまう。
「びしょびしょだぁ……汗まみれの臭いチンポ……ぉ
」
まだ若々しく黒ずみも少ないが、もわりとした蒸気を噴き上げ、血管を張り詰めさせて屹立するその姿は堂々として立派なものであった。
「女の子なのに、こんな下品なごんぶとチンポ……
ひどいなあ、あたし……へへ
」
自嘲しつつも満更でもない顔で、美景はまず尻の汗を拭う。きゅっと小さめな美景の尻はさすがにスポーツ少女だけあってよく引き締まっており、汗にふやけた白い皮膚は日に焼けた部分とのコントラストで絶妙な色気を放っている。
「んー……こうしてお尻拭くってのもなんか変な感じしちゃうよねー。あぁ〜、風がひやりってして、気持ちいいよぅ
」
くいと尻を突き出した格好で、自分の手でそこを撫でる。なんだか痴漢でもされているような気分になり、美景は身を震わせた。
「さあ、て」
女陰、肛門を拭くのは少し抵抗があるので、残るは――
「アツアツムレムレのあたしのチンポ
ようやく気持ちよくできる〜
」
今美景が言っている気持ちよさとは、あくまで汗のべたべた感からの解放のことである。今のところは。
「ふううぅっ……こんなに暑いとキンタマが茹だっちゃうよ
タダでさえいつでも汗でムンムンしちゃってるのに……ふんぉおぉぉぉおおぉ……
キンタマの臭い脂汗、よく拭かなくっちゃ……
皺の、隙間まで、ごし、ごし……
タマ持ち上げて、裏側も、ね……
」
性器に触れた途端、美景の声音が変化してゆく。
「キンタマをタオルで包んでぇ……んお゛ッ
んお゛ッ
んお゛ッ
んお゛ッ
暑くてとろけたキンタマあぁ
揉み揉み、揉み揉みぃ
あへえぇ
やだ、気持ちよくなるうぅ
」
テニスボール大の睾丸は美景の手の中で形を変え、痺れるような刺激を男根に伝える。たっぷりと垂れ下がった淫らな肉のボールは美景本人であっても何かしら誘われるような魅力を秘めていて、彼女は中々手を離せなかった。
「あふぉ……
キンタマこんなに揉んだら、ザーメン出したくて出したくてしょうがなくなるじゃん……
じゃあもう、チンポ、も……
」
そして彼女は当初の目的から脱線し、タオルで濡れた男根を包み込むと、穏やかに上下にシゴキ始めた。
「おおっ
おおおっ……おおっ、チンポぉ……タオルでチンポセンズリぃ
気持ちいいよぉおぉ
汗まみれのぬちょぬちょエロチンポが、悦んでるぅうぅ
」
それは最早明らかに自慰行為であった。タオルの白い布地の隙間から、彼女の仮性包茎気味の先端が見え隠れして、快感に震えている。
家族共用のタオルでそんな真似をするなんて、と、姉に怒られそうな行為であるが、彼女の衝動は止まらない。
「おほっ、おおおぉーっ……
汗くさいチンポぉ
タオルが、気もぢいいぃっ……
あたし変態だよぉ、タオルでチンポをコキコキして……へあぁあぁ……
凄い気持ちいいぃ、溜まったザーメンが出る、出るううぅうぅ
」
しかし彼女はそのまますぐに絶頂するような真似はせず、なるべくそれまで長く楽しもうと欲張りなことを考える。
「皮も……剥いちゃおうっ、と……あ゛、ひっ
」
彼女にとってもっとも敏感な部分、カリ首を露出させる。ヒヤリとした空気に触れて、彼女は目を閉じて身を震わせた。
「へはあぁあぁ
包茎チンポ、剥いちゃっ、たあ
ああスゴい、チンポのチーズが溜まってるよぉ、汚いなぁ……」
そこにこびり付いている恥垢の塊を見て美景は眉をひそめるも、しかし迷うことなくタオルの端の部分でカリ首をこそぎ始めた。
「え゛へっ、あ゛ッ
あ゛ッあ゛……
あ゛ッ
カリ首の、掃除……
お゛お゛お゛ぉっ
ダメえぇチンポにビリビリ来ちゃうよぉおぉ
エロ勃起ぃ
エロボッキちんぽがますますガチガチになっちゃうっ
くっ、へっ、え゛ぁあぁっ
」
タオルの端ですうっとなぞるたびに美景は腰を派手に震わせ、耐えきれないのか段々と尻の位置を落としてゆく。
「ああもうこんなぁ……またがに股だぁ……
あたしのオナニーポーズ、キンタマが揺れて、エロいよぉ
」
足を開くと尻から伸びたみずみずしい太股が引き締まり、美景の下半身は淫らな運動用に最適化される。
恥垢の処理をあらかた終えた美景は、改めて男根をタオルで包み込むと、腰の動きまでも加えて先ほどよりさらに激しく扱きだした。
「あぁあぁっ
あ゛ッ、あ゛へえぇっ
おおおぉっ、おおぉっ、いおおおおぉっ、お
タオルオナニーっ! タオルオナニー気持ちいいよぉっ! タオルでチンポごしごしするの、いいいぃ
変態だよぉ、変態っ、こんなの変態いぃいぃ
あああ腰振っちゃう腰振っちゃうッ
腰振ってチンポの快感むさぼっちゃうううぅ
スケベだぁ
チンポっ、チンポおぉっ
チンポが気持ちいいぃいぃっ
」
ごしごしと、まるで音まで聞こえそうなほどの勢いで美景は自分の男根を擦る。
目の前に鏡が有るものだから、その姿は如実に映し出されて美景の網膜に張り付き、彼女の興奮を倍加させる。
「あ゛あ゛へ、あ゛へっ
あたしこんなスケベな顔してセンズリしてたんだ……
あ゛あ゛あ゛
馬鹿丸出しな顔……んあ゛ッ
もうチンポのことしか考えられないって顔してるうぅ
ドスケベ、あたし、ドスケベえぇっ
ひいいぃっ、いっ、んひいいぃっ
」
快感が増して行くたびに、彼女の腰は下がって行く。家の中を通り抜けて行く風が彼女の尻を優しく包み込むと、彼女はぴんと背筋を伸ばした。
「あ゛、あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛
あ゛あ゛あ゛
開いたケツの穴……
そぉんな撫でないで、よぉ
チンポにぞわぞわ来ちゃうからさぁ……キンタマも、お股の間でぶっるぶっる揺れてるよぉ
」
もしこの場に男が居たならば、矢も楯もたまらず美景の尻に覆い被さっていただろう――そんな扇情的なポーズを取りつつ、美景はいよいよ達しそうになっていた。
「あ゛あ゛ぁもうダメ
ダメえぇ、チンポがイグうぅうぅ
タオルセンズリでチンポっ、チンポっ、チンぽおぉおぉっ
ああ゛あ゛あ゛チンボっ、チンポいいいぃいぃ、ボッキチンポがいいいぃぃっ
下半身丸出しオナニーで、風にケツアナ撫でられてッ……
キンタマ揺らしながら、練習中溜め込んでたチンポ汁っ、出す、出すよおおぉっ、濃くて臭い、夏のザーメぇン
どろどろ出すうどぼどぼ出すう
お゛ほおっ
タオルに、出し、ちゃ、うっ
くはあぁあぁぁあ〜っ
イっクううぅううううぅううぅ〜っ
」
どぼびゅぶっ! びゅぶどびゅううぅっ! びゅるびゅっ! ぐびゅっ! びゅびびゅうぅ!
くぐもった音を立てて、美景はぎゅっと掴んだタオルの中に欲望を発射する。
美景の手にねっとりしたぬくもりが伝わり、そのうちにぼたぼたと吸収しきれなかった分が床に落ち始めた。
「ん、は、あへ……
タオルに出しちゃった、あ〜あ……
隆子姉さん怒るだろうなぁ……
んふぉ……
気持ち良かったあぁ
」
しかし、快感の余韻に酔いしれている美景にとって、そんなことは対した問題ではなかった。
「んああぁああぁ……
たっぷり出たよう……
ザーメンでタオルが重いなあ
スケベなチンポ、汗で茹だってるのに、すんごい元気なんだもん……
チンカスも綺麗になったり、すっきりぃ……
」
満足げな表情の美景はタオルを丸めると、側にある洗濯機の中に投げ入れた。そしてもう一枚タオルを持ってくると、それで改めて男根を拭き――
「へああぁあぁ
出したばっかりの敏感チンポに、また、タオルぅ……
いや、もうしないよ、しないよぉ……
んふぅっ
はふぅ〜、キンタマが風に当たって気持ちいいぃ
」
二回戦に及びたい誘惑を何とかはね除け、床を拭いてまた洗濯機に入れる。
後は、部活のスコートブルマを入れてスイッチを入れれば証拠は隠滅できるが――
「その前に、一休み、っと……
」
結局帰ってきてからろくに休まず、そのまま自慰行為を始めてしまった美景である。
射精後のけだるさも手伝って、彼女は随分と疲労していた。
スポーツドリンクをコップに汲み、リビングのソファに身体を預けて、エアコンのスイッチを入れる。
「……すや」
そんな彼女がついうたた寝をしてしまうのも、ごく自然の成り行きであった。
*
「ただいま――ちょっと美景。美景ー? 玄関にバッグが置きっぱなしよ、片付けなさい」
「ふや?」
長姉隆子の帰宅によって美景はようやく目を覚まし、自分が眠ってしまったことに気がついた。夏休み中だと言うのに教師は色々と忙しいらしく、隆子の帰宅時間はいつも通りの夜である。
「おはよう美景」
「あれ、千春姉さん。起こしてくれててもいいじゃんー」
「寝かせてあげるのが姉の愛情ってやつなのよ」
おそらく単に起こすのが面倒だっただけだろう、既に帰っていた次姉千春は美景の対面のソファに座ってテレビを見ていた。
さて美景は二三度瞬きを繰り返して、今隆子に言われたことを思い出す。
そうだスポーツバッグを片付けなくっちゃ、あれでも何か忘れてる気がする――と、寝ぼけ頭に指先を当てて悩む美景。
その時、早速シャワーでも浴びに行ったのか、脱衣所の方から隆子の悲鳴が聞こえた。
「ひいいっ!? 何この匂い……洗濯機……? 美景ッ!?」
一瞬で自分の為すべきであったことを思い出し、美景はピンと背筋を伸ばした。
「あっ、あた、あたしちょっとコンビニ行ってくるね!」
「ん」
何とかやり過ごすべく逃げだそうとした美景であったが、いつの間にか近づいていた千春によって襟首を掴まれてしまった。
「ちょっと姉さん何するのさっ!?」
「いや。何となくね」
さすがに千春は状況を大体察したようで、猫のように笑いながら美景を捕まえている。
これでは逃げられない。じたばたとする美景の前に、目の据わった隆子が現れる。
「美景。アレはどういうことか、説明して貰える?」
「あ、いや、その、そのー」
このままでは説教一時間コースか、はたまたしつけのなってない美景の男根へのオシオキか――
せっかく汗を拭いたというのに、美景の全身からはどっと冷や汗が噴き出ていた。
(終わり)