「ううん、清子ちゃぁ〜ん」
「わわ、どうしたの則恵ちゃん。そんな微妙な顔して」
「むぅ、だってぇ」
「ちょっと! 則恵ちゃん! そんな顔したまま何で私のブラのホック外そうとするの!? ついてけないよ!?」
「だって戦国無双3で福島正則がNPCなんだもん」
「ああー……そうだねえー……えっへへへ」
「何その勝ち誇った顔! いいよね主役級に抜擢されて! いいよね加藤清正は!」
「やめて則恵ちゃん! 存在抹消されるよりは良いでしょ! 則恵ちゃんお願いスカート引っ張るのやめて!」
「でもぉー、清正公、主役って言っても如何にも目立ってないしぃ。まるで利家みたいな微妙な人気だしぃ。無個性にされるよりはリーゼントキメキメの豊臣特攻隊長福島正則ヨロシク! な存在感があった方がいいよねー」
「そうそう、そうだよお。だから落ち着こうね? ね? 猛将伝できっと使えるようになるからね?」
「これだけ言われてなんで余裕なの清子ちゃん! やっぱり妬ましい! 妬ましい!」
「スカートの中だめぇ! 中はだめぇ!」
「けたたましいですわね二人とも」
「あっイバラ様だ」
「イバラ様だー」
「あなた方は贅沢を言いすぎですわ。秀頼公なんて今回も顔無しですわよ。まあ、せめて、次回作くらいには」
「……」
「……」
「どうしてお黙りになるのっ!? 分かってますわよ! わたくしだって分かってますわよ! 大坂の陣ですら城に籠もりっぱなしの秀頼公がフィーチャーされるなんて、永遠に無いだろうってことくらい! 何ですのあのヘタレっぷり!? ああもう、この扱いはまるで劉禅ですわ!」
「似たようなものだよね」
「ねー」
「あなた方いま何かおっしゃって!?」
「いいえまさか」
「そんなばかな」
「よよよよ。もういいのですわ分かっておりますわ。秀頼公は永遠の日陰の花! 戦国乱世の最後を飾る徒花にしかならないのですわっ!」
「それって幸村の役目じゃないのかなあ」
「又兵衛の方が好きだよお」
「じゃあ私は敢えて毛利勝永を推すね!」
「盛親も重成も治房も全登も好きだもん。七将はみんな格好良いよね」
「七本槍とは大違い」
「えっ!? それ則恵ちゃんが言うの!?」
「言ってから私もしまったと思ったよ!? ああでも、大坂で一番はやっぱりあの人でしょ」
「ああ、あの人。そうだよねえ」
「泳いで参った!」
「泳いで参った!」
「あなた方黙れですわ!」
「何を騒いでいらっしゃいますか」
「水女まで来てしまいましたわ」
「竹串さまだー」
「だー」
「こほん。好きな武将は好きな武将。無双に出る出ないで価値が変わるわけではありません。騒ぐのも楽しいものですが、行きすぎないようになさいませ」
「ううっ! 正論です」
「はうっ! 言い返せません」
「でも、水女」
「何でしょう」
「あなたわたくしの目を直視なさって?」
「はい、畏まりました」
「……」
「……」
「泳いでますわ! 水女の目が泳いでますわ! 竹中半兵衛と黒田官兵衛、贔屓が二人も出るから浮かれてますわね!」
「いいえ決してそのようなフフフっ」
「竹串様が笑った!?」
「レアい!?」
「この女間違いなく浮かれてますわー!?」


(終われ)