いたづら秋子さん 運動会です(後編)



後編です。
桜塚さんから挿し絵を頂戴いたしました。

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「お 障害物競走が始まってるみたいだな」

「そうね」

「……ぬあっ!?」

「……どうしたのよ 北川くん」

「あ あれ」

「相沢くん!? そ それに ……秋子さん!?」

「……ぶ ぶるまぁ……」

 ばたっ

「わ 北川さんが倒れました」

「……放っておけばいいのよ」






「お母さん はい 着替え預かるよ」

 名雪がにこにこしながら私の脱いだものを取りに来ました

 ……名雪 あなたのその笑顔 今のお母さんにはちょっと恨めしいわ

「じゃ がんばってね〜」

 名雪も去って はぁ いよいよ 私の番です

 この競技は男女混合で行われるので 幸か不幸か 祐一さんが隣で一緒に走る事になっていました

 でも 何故か私と一緒に走る方々は みんな屈強な男性ばかりで

 ううん 勝ちは諦めた方が良さそうね

 ぶるまぁばかりでなく 上着の体操服も

 ぴちぴちの ぱっつんぱっつんで

 小さくて ちょっと苦しいです

 胸なんか あまりにも強調されてしまって いやぁ 恥ずかしすぎます 

 でも 不幸中の幸いと言えるのは 地が厚いから 透けて見えない事でしょうか

 なにが? それは勿論 クリムゾンレッ
 違いますっ

「位置について…… よーい」

 あ いよいよ ですね

 どきどき

 ……バンッ!

 だっ

 私は走ります

 初めは ハードルをくぐるようです

 結構な低さです

 でも どうやってくぐろうかしら

 うーん

 迷ってる暇はありません

 それじゃあ アレですね

 うん 決めました

 れっつ りんぼーだんす







「……っ!? あ 秋子さんっ そんな そんな角度で うわぁっ ブルマの食い込みがぁっ」

「きゃっ 秋子さん 大胆ですぅ」

「……はぁ」







 うーん

 出遅れてしまいました

 普通にくぐれば良かったのですね

 んッ 先ほどのりんぼーのせいで

 一段と食い込みがッ……

 ふぁいと ふぁいとよ秋子

 でも 何故か 一緒に走ってる人たちが

 ちら ちらと 私の方を見ているような

 ま まさか あの やっぱり

 ぶ ぶるまぁがいけなかったのでしょうか

 あ ほら 先頭を走る肉屋のご主人が

 何故か私の方を振り向きました

 いやぁ 恥ずかしいです

 私は 走ること以外の理由で 心臓の動悸が早まるのを感じました

 あら 次は何でしょう

 跳び箱

 うふふ 跳び箱にはちょっと自信があるんですよ

 タイミングを計って そーれ

 ぽーん







「北川くん 何をわざわざ秋子さんの正面まで移動してるのよ」

「気にするな あ 跳んだ! ぬはぁっ!? お 大股開き パンティラインがぁぁっ!」

「わ また北川さんが倒れました」







 はくふ

 だんだんと 食い込みがきつくなってきました

 ひん ひん

 きついです

 んきゅぅ

 次は なんですかぁっ

 あ ネットです

 網くぐりですね

 これならば 小柄な私の方が有利です

 まず端っこを持ち上げて よいしょ

 ごそごそ

 うふふ 軽快です

 ずぼ

 あきゃっ

 腕が網の目に

 んっ んっ

 ああん 絡まってしまって 抜けません

 急がないと 急がないとだめなのにぃ

 よいしょ……っと!

 ばふっ

 やぁっ 抜けた拍子に倒れちゃいました

 あんっ 立ち上がれませんっ

 ひゃ む 胸が 網の目に引っかかって

 まるで強調されるように

 むにゅぅん

 飛び出しました

 いやぁ 恥ずかしいです

 あんっ んくぅ 網が 網が 私の身体に からみつきます

 あ んぅッ きついぃッ

 胸がッ 腕がッ お尻がッ ぶるまぁがッ

 ひん こんなの いやです

 はぁ はぁ やめて やめてぇ

 まるで拘束されているようです

 SMちっく
 違います

「……何やってるんですか 秋子さん」

 ……あら 祐一さん

 ばさ

 後から来た祐一さんが 網を押し上げて 私を解放してくれました

 ふぅ やっとでられました

 でも これで だいぶ遅れてしまいましたね

 ……って あら

 何故かしら 皆さん 網の前で固まってます

 きょとん

 何か皆さんの注目を集めるような事でもあったのでしょうか

 私も見てみたかったですね

 でも これはチャンスです

 何故か皆さん 前屈みになって走りづらそうですし

 一気に駆け抜け……

 あっ 次は

 飴です

 小麦粉の中に埋もれた飴を口にくわえるのですね

 口に……くわえる……

 と 言えば
 ちっちっちっち違います

 と とにかく

 急いで探しましょう

 でも さすがに私も女 顔をばふっと密着させるわけにも行きませんから

 とりあえず 口をすぼませてそれで探り

 見つけたら 舌でくるみとりましょう







「はぁ はぁ はぁ」

「あら北川くん まだ生きてたの」

「……ああっ 秋子さん そんな 赤いルージュの口をすぼめて 懸命にぃぃっ」

「きゃ なんだか 舌をちろちろさせて えっちですぅ」

「……我が人生に一片の悔い無し!」

 ばたん

「わ 北川さんが三度目」

「栞 そのままとどめを刺すのよ」







 はぁ はぁ はぁ

 口に飴を含んで

 もう少し もう少しで

 ……ぱんっ!

 ごー……る ですっ

 はぁ はぁ はぁ

 やりました 一位ですっ

 係員さんから 旗を渡されます

 じーん なんだか 感動です

「秋子さん やりましたね」

 三位の旗を持った祐一さんがやってきました

「祐一さんこそ ……私なんて 運が良かっただけですよ」

「いえ ある意味実力かと」

 ……?

 何のことでしょうか

 運も実力のうちと言うことでしょうか

 でも やりました

「お母さん やったね〜」

 名雪

「うふふ 名雪のおかげよ」

 あら 私がそう言った途端 何故か祐一さんが納得顔で頷きました

 何でしょう どうしてか視線が 名雪の持ってきたぶるまぁに向いていますが

「秋子さん おめでとうございます」

「凄かったですねー」

「あら 香里ちゃん 栞ちゃん ありがとう 二人とも来てたのね」

 と 言うことは 北川さんも

 きょろきょろ

 あら 珍しく 居ないのね

「あ 北川さんなら あっちでもごっ」

 何かを言いかけた栞ちゃんの口を 横から香里ちゃんがふせぎます

「? どうしたの 二人とも」

「い いえ なんでもありませんよ」

「もごぉ むぐむぐぅ」

 うふふ いつも仲の良い姉妹ですね







 そうして時間は過ぎて―――

 いよいよ 閉会式です

 順に 好成績を修めた方々が 壇上へあがってゆきます

 ぱちぱち

 私はそんな方々に 惜しみない拍手を送ります

『えー…… 次は 健闘賞の発表です』

 健闘賞 頑張った人に与えられる賞ですね

 誰かしら

『健闘賞は 障害物競走に出場した 水瀬 秋子さん』

 水瀬秋子さんですか おめでとうございます

 ぱちぱちぱち

 随分と 私と似た名前ですね

 つんつん あら 背中をつつかれました

「おかあさん なにやってるの」

「早く 行きましょう」

 え 二人とも 何を

 だって 今呼ばれたのは 水瀬秋子さん

 ――――!?

 わ わ わ 私じゃないですか

 うそ 私が そんな

「さあ みんなが待ってますよ」

 名雪と祐一さんに押されるように 私は前へ進みます

 えと その 私 

 ああぁ よく考えたら ぶるまぁのままでした

 ひぅ 忘れていた 食い込みが

 係員さんが 声を掛けます

「それでは 壇上へあがってください」

 こ この姿を 皆様の前にさらせと

 え 栄誉ある 事 なんでしょうけど あのっ あ あのっあのっ

 私は混乱のうちに 階段を上り始めます

 階段を上るたび きっと 後ろの人たちに 私のお尻のラインがむっちりと見えて

 いやぁっ……

 すん 恥ずかしいです

 大会委員長である本屋のご隠居さんが 賞状の内容を読み上げています

 ですが 大変失礼かとは思うんですけど

 今の私には その言葉は耳に入りません

 だって だってぇ

 ぶるまぁが…… は 恥ずかしぃ……

 すっ

 あら いつの間にか読み上げも終わったようで 私に賞状が授与される時ですね

 目の前に立派な賞状が差し出されています

 こほん とりあえず 恥のことは忘れて 礼儀正しく 承りましょう

 ゆっくりと受け取って 深々とお辞儀を―――

 ところが

 そのとき


 ずにゅっ


 ……私のお尻の方で イヤな感触がしました

 ま ま ま まさか

 いえ 分かります 多分 きつきつのぶるまぁが 今 お辞儀をしたことによって 更に深く食い込んで

 お お お尻が

 私のお尻が ……むにゅっと はみ出してしまいましたっ

 はくぁ だめぇ いけません

 後ろの人たちが きっと じっと見てます

 いやぁ 見ないで 見ないで下さいぃ

 私の自慢の小ぶりで綺麗なお尻が 卑猥に強調され みみ見られてますぅっ

 し しかも

 慌ててお尻に手を当てて確かめると

 ぶるまぁとはまた違った なんだか レースの感触

 まさか

 ……クリムゾンレッド……


ひぃン、はぁ、妙な気分です…

 ひやァ

 くらっ 

 私は恥ずかしさの余り失神しそうになるのを必死でこらえました

 こうなったら いたしかたありません

 急いで 指で 直しましょう

 ぶるまぁの隙間に 指を突っ込んで ふにゅ

 はくん 妙な気分です

 そして ここで


 くいっ


 するとどうでしょう

 ワァァッ

 会場を 割れんばかりの大歓声と拍手が包みました

 きょとん

 何事でしょうか

 と とりあえず

 私はそそくさと元居たところに戻りました

「おかあさん おめでと〜」

「名雪 有り難う」

「お おめでとうございます」

「有り難う御座います 祐一さん でも どうして前屈みなんですか」

「いえ ちょっと」

 ばたばたばた

 あら なんでしょうか 救護室に一人の少年が運ばれてゆきました

 まぁ 凄い鼻血 大丈夫かしら

「あ あれ 北川くんじゃないの」

「まさか 他人のそら似だろ」







 ぱたぱたと後かたづけをして 夕暮れの中帰り道です

 私たち三人はお互いの健闘を褒め称えながら 楽しく歩いています

 それにしても うーん

 色々有りましたが とっても充実した一日でした

 でも 一つだけ 気になることが

 私がぶるまぁを直したとき 皆さんが一斉に拍手をしたのは何故なんでしょうか

 それに あの歓声も どうも男性の声だけだったような

 ……ま まさか

 ぶるまぁ お尻 クリムゾンレッド

 み 皆さんそんな いやらしい

 ぶんぶんっ

 私は慌てて頭を横に振り 考えないことにします

「あれ お母さん どうしたの 顔が赤いよ」

 いやぁ 名雪 意識させないでください

「どうしたんですか 秋子さん」

 祐一さんが心配げに私の顔を覗き込みます

 祐一さんは優しいですね

 祐一さん

 あっ あの もしかして その 祐一さんが あの時前屈みだったのは あっ あっあっ

 きょとんとしている祐一さんの顔

 その顔を見るとあの時のことが脳裏に浮かんできてしまって

 むっちりとはみ出るお肉

 それを見つめている祐一さん

 かぁぁぁ 顔が 顔が熱いです

 も もうっ 皆さん えっちなんですからっ










(終)





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こんなところで。それではまた〜




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