いたづら秋子さん 今日は悲しい日です
今日という日を記念したSSです。
……ちなみに、このSSは9月23日に仮掲示板にて公開いたしましたものの改訂版です。
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しくしく しくしく
ああん 困りました
今日は秋分の日 お休みです
外は涼しい秋晴れ うっすらと秋の気配が感じられます
でも でも…
今日は 今日は うう
なんと 私の…
…言いたくありませんっ
また 私は この日を迎えることで
着実に 一歩一歩 老いを重ねてゆくのです
ああ もう どうしたらいいの
でも 時の流れには抗えず
こうして 戦々恐々としたまま 今日を迎えてしまいました
朝から なんとも 憂鬱な気分です…
*
トースト コーヒー 朝ご飯の用意 完了です
とてとて あら タイミング良く 二階から足音
「おはよう お母さん 今日もいい天気だねっ」
あら珍しい 名雪がこんなに早く起きるなんて
「おはようございます…」
逆に 一緒に降りてきた祐一さんは なんともまだ おねむな雰囲気です
目元をしょぼしょぼとこすりながら ううん と大きなあくび あらあら
「わ おっきなあくび」
「うるせぇ…」
二人は朝からとっても楽しそうです
きっとこの二人は 私と同じ日を迎えることになっても こうして楽しく笑ってられるのでしょうね
ふんだ それはあなた達はまだ若いですから 私の気持ちなんて わかりっこありませんよ だ
ぷぅ
「…あれ? お母さん どうしたの ほっぺた膨らませて」
あ あらあら
いけませんいけません
自分が不機嫌だからと言って 子供たちにまでそれを当たるような真似 だめです
にっこり
うん 大丈夫
「…な なんでもないのよ 名雪」
「生理?」
ギクリ
違います
あら 祐一さんが 飲みかけたコーヒーを勢いよく吹いちゃいました
まったくもう この子は 朝からなんて事を言うんですか
ひょっとして まだ寝ぼけて
「うにゅ…」
やっぱり
「さ 名雪 朝ご飯食べて 目を覚ましなさい」
「はーい…」
もぐ ぱく 二人とも気持ちの良い食べっぷりです
「あれ お母さん あんまり食べないね」
「ええ ちょっと食欲が無くて」
はぁ やっぱりでも 今日は憂鬱気味です
アンニュイです
有閑マダム
違います
食事を運ぶ手を止め 祐一さんは そんな私の顔を じっと見つめています
あら なんでしょう
じーっ
もう 祐一さんったら
じーっ
そんなに見つめちゃ やん
「あの 秋子さん」
「はい なんでしょう」
祐一さん なんですか そんな 言いづらそうに
まさか でーとのお誘い
そんなわけありませんね
「ほら 祐一」
脇にいた名雪が祐一さんを促して 何か言わせようとしています
なんでしょうか
「えーと 秋子さん 今日はお暇ですか」
「はい 暇ですが なにか」
「あの よかったら 俺と買い物に出掛けませんか」
え
ぷしゅー
「わ お母さんが 湯気出した」
え あ うんと えと その それって 本当に
で で で でーと
いやぁ 祐一さんったら そんな そんな 困ります
ほらほら 名雪だって怒っちゃいます
と思ったら 名雪はにこにこ顔
…?
一体 何なんでしょうか
当の祐一さんは 私と同じように 耳まで真っ赤に染めて うつむいています
よく 分かりませんが せっかくのお誘いです
少しでも 憂鬱を紛らわせるために それも良いかもしれません
「…あの 秋子さん 構いませんか」
あ あら お返事 まだでしたね
たっぷり一分間ほど 間が空いてしまったかもしれませんが
「了承」
ですっ♪
*
「ねぇ… 北川君」
「な なんだよ美坂 休みの朝早くから 電話で」
「あら 迷惑だったかしら」
「い いや そんなことは」
「くすっ… ねぇ お願いがあるのよ」
「…なんだ? 俺も そうそう 暇じゃないんだが」
「聞いてくれないの?」
「いや だから そのお願いによる」
「今日一日 北川君の体を 貸して欲しいの」
「え そ それって」
「ね …オ・ネ・ガ・イ」
「ああ 何でも俺に任せてくれ」
*
るんるん るんるん
祐一さんとお買い物 るんるん
「秋子さん 嬉しそうですね」
「それはもう」
うきうきです
「…よかった」
どき
なんですか祐一さん その意味深な一言
不覚にもちょっとどきっとしちゃいました
「それで 祐一さん こんなにたくさん食べ物を買って どうするんですか」
「今に分かりますよ」
もう なんでしょう とっても気になります
「もう一件 寄りたいところがあるんですが」
「ええ いいですよ」
「…あ ここです」
そう言って 祐一さんが 私を連れていったのは
街の宝石店
え
まさか
婚約指輪
え やん まさか そんな 困ります ああーっ
…はぁはぁ
ひとり 興奮してしまいました 恥ずかしい
「…秋子さん さぁ どうぞ」
もう 祐一さんったら なんだかエスコート役が板に付いてしまって
…婚約指輪は さすがに無いでしょうけど
ホントに もう もう 嬉しくて なんだか 不思議な気分です
店内に入ると きらびやかな宝石の数々
例え乙女と呼ばれる年齢を過ぎても この光景には胸が躍るものがあります
「秋子さん なんでも好きなものを一つだけ選んで下さい」
…え 祐一さん
なんですか ひょっとして 私に プレゼント
でも 祐一さん そんなにお金を持っているんでしょうか
心配げに私が祐一さんの顔を覗き見ると 祐一さんは照れたように
「―――勿論 俺が買える範囲で ですが」
そう言って頭を掻く祐一さんは 何故かいつもより格好良く見えました
*
「はぁ はぁ はぁ」
「北川君 もっとよ もっと もっと激しく掻き回して」
「だめだ 美坂 俺はもう限界だ」
「もうっ? …まぁ いいわ さぁ ここにかけて」
「え いいのか」
「そうよ ああ いいわ 真っ白になるまで 塗りたくって」
「うわ 凄いな」
「くすくす あとは こうして」
「し 搾るのか」
「そうよ ぎゅ ぎゅってね」
*
結局 祐一さんに お手頃な値段の素敵なネックレスを買ってもらって
―――それでも結構値が張りましたが…
私が半分出しましょうかって言っても 祐一さんったら全額自分で出しちゃうんですもの
うふふ でも とっても 嬉しかった―――
でも どうして 突然に プレゼントなんて
いえ 実は うすうす感づいてはいるのです
だって 今日は 悲しい日… あの日 なんですから
でも 少しずつ 私の中で だんだん だんだんと 悲しみも薄れてきました
それも 祐一さんのおかげかしら
なんて 思いつつ
てくてくと 道を歩き 家につく頃には 結構な時間になってしまっていました
私が祐一さんに先にはいるように促すと
「いえ 秋子さんが先にどうぞ」
きょとん
…?
なんでしょうか 祐一さんはにこにこと笑って 手で私に先に行くよう示します
何かしら
不思議に思いながらも 私が玄関のドアを開けると――――
パン! パンパン!
「きゃ」
なんですか 何事ですか
クラッカーの歓迎
驚いて目を見張ると そこには
満面の笑みをたたえた 名雪 それに ―――香里ちゃんと 北川さん?
どうして みんな…
私が呆気にとられていると 三人 それに 後ろの祐一さんも声を揃えて
「秋子さん 誕生日 おめでとう!」
*
ええ そうです
今日は 私の 誕生日でした
でも それは 子供の頃のように とても素敵で 嬉しい日ではなくて
この年齢になると ああ また自分は 老いて行くのですね と
ひとしきり 虚しさを噛みしめるだけの 日 なのです
ですから なるべく 二人にはそのことを気取られないように してきたはずなんですが
多分 名雪ですね だって 毎年 ささやかながらにお祝いしてくれて 私の悲しみを中和してくれるから
でも さらに 今年は
今年は…
*
「…みんな 本当に ありがとうございます」
私は 四人に向けて そう 微笑みました
*
「…それにしても こういう演出は 秋子さんに対して ちょっと子供じみてるんじゃないかしら?」
と ケーキを食べながら 香里ちゃん
「え〜 そうかな 香里も ノリノリだったくせに」
反論する 名雪
私は 助け船を出します
「ええ とっても嬉しかったわ」
「ほら〜」
「ううん… まぁ そうね 秋子さんがそう言うなら」
きゃいきゃいと 楽しそうに盛り上がる二人
私はその光景を見つめます
本当に 本当に 嬉しかった
多分きっと どんなやり方でも 私は嬉しいと思います
何より嬉しいのは その 気持ちですから
なんて
私 ちょっと格好付け過ぎかしら
うふふ
でも やっぱり せっかくの お誕生日
無為に悲しく過ごすよりは 記念を祝った方が 良いものですね
ぱくぱく
それにしてもこのデコレーションケーキ 美味しいです
「お母さん そのケーキ 美味しい?」
「ええ とっても美味しいわ」
「わ よかったよ〜 それ 私と香里と北川君で作ったんだよ」
「まぁ」
名雪も
なるほど どうりで たっぷりとイチゴが乗っているわけですね
「お料理 上手になったのね 香里ちゃん 名雪」
「えへへ」
「まだまだ 秋子さんに比べたら あたしなんて」
それにしても
「皆さん 有り難うございます」
北川さんは 照れながら
「いえ そんな 俺は」
「北川君はクリーム作っただけでしょ」
「そりゃそうだが あれでも結構重労働」
「北川さん」
「え あ はい」
にっこりと微笑んで
「…有り難うございます」
「え あ その えと」
うふふ 北川さんったら たじろいじゃって
「ありゃ 飲み物が切れたな」
キッチンから 本日のホスト役を担当している祐一さんの声
「あ 俺 買ってきます」
あら 北川さんが突然立ち上がって行ってしまいました
「全くもう 北川君ったら 照れ隠しね」
と ちょっと怒ったような香里ちゃん
「香里ちゃんも 私なんかのために 本当にありがとう」
香里ちゃんははにかむと
「いえ いいんですよ だって秋子さんには 髪型とか いろいろお世話になってますから」
「北川さんは?」
「秋子さんの名前を出したら 二つ返事で…」
ぷっ と吹き出す香里ちゃん
「あらあら」
私も 薄く微笑みました
「それにしてもお母さん そのネックレス 似合ってるね」
あ そうです 先程祐一さんに買って貰ったネックレス 早速付けているのですが
落ち着いた色合いで 私の雰囲気にも似合いそうです
「それ 私も半分お金出したんだよっ」
「こらっ 名雪 雰囲気を壊すようなこと言うな」
「だって 祐一ばっかりずるいよ」
「…はいはい そこまで 秋子さんが呆れてるわよ」
二人は 私の方を見ると どちらともなく 気恥ずかしそうに笑いました
もちろん 私と香里ちゃんも つられて笑顔になったことは 言うまでもありません
「買ってきましたよー!」
どたどた 北川さんが戻ってきました
早いですね
…早い
ぽっ
いやん 違います
でもまぁ 遅すぎても困
違いますっ
「えーと これと これと」
北川さんが がさがさと袋の中から飲み物を取り出します
みんな 少し のどが渇いていました
思い思いに 缶を取って
…? 見慣れないパッケージですね まあ いいです
「かんぱーい!」
ぷしゅ ごくごく
みんなで一緒に缶ジュースを飲みます
缶ジュース
缶ジュース… にしては… この味は…
不審に思い パッケージをよく見てみます まじまじ
…えと なになに 「アルコール分 3%」
…………………お酒じゃないですかっ
「ちょっと北川君っ!? これ お酒じゃないのっ」
「え あ まずかったか?」
隣で香里ちゃんが 北川さん相手に憤慨しています
私はその光景をぽーっとして見ていました
うふふ
なんだか 顔が熱くなって いいきもち
うふふ
だめですよ 私 お酒に弱いのに
うふふ ああ もう もう なんだか 意識が もうろうと
*
大変だ。
秋子さんに酒が入ってしまった。
俺はその事実に恐れおののき、先程体内に摂取された微量のアルコールは、綺麗に消し飛んでいってしまった。
実は以前、何かの拍子に俺は秋子さんと酒を飲んだことがあるのだが、その時の淫れよう
違う。
乱れようと言ったら大変なものだった。
「くー」
隣では、これまた酒に弱い名雪が早々に寝入ってしまった。
北川…は、案外強いようだが、香里は…
あちゃあ。
なんだかむやみに真っ赤だ。
香里も案外、酒に弱いのかもしれない。
なんて考えていると―――
「ゆういひさぁん」
ハぁ、と耳元に熱い吐息。
俺は思わず背筋を震わせてしまう。
「あら 可愛い」
振り向くと、ああやはり、そこには―――
すっかりへべれけな秋子さんが。
朱に染まった顔に浮かぶ、その淫蕩な笑みは、
いつもの太陽の下で見る秋子さんとは違い、また一層魅力的だった。
――――昼は淑女、夜は娼婦
ふと心に浮かんだそんなフレーズを、慌てて追い出す。
しかし秋子さんは、そんな俺の葛藤に気づくはずもなく、
「もうっ… なにを辛気くさい顔してるんですかぁっ…」
腕を腰に回し、きゅ。
ぐああっ!
秋子さん 胸が 胸がっ
「はぁ… 祐一さん あったかぁい」
そんな シミジミとそう言われても
助けてくれ、北川! 香里!
と、俺が後ろを向くと、
「だ、だから俺は…」
「いいのよ、北川君…あなたも、こんな我が儘な女、嫌いよね…いいの。私は、ずっと一人で居るから。ふふ」
…酔った香里には自嘲癖があるらしい。
覚えておこう… と、いや、そんな場合じゃ
「もう 祐一さぁん こっち向いて下さい」
手のひらで頭部を挟まれて、ぐき。
「ぐあっ!」
「あら〜 面白い顔〜」
…秋子さん、あなたって人は…
「と、とにかく、離れて下さい」
胸の中にすっぽり包まれていた秋子さんを、なんとか引き離す。
「え〜」
秋子さんが、物欲しげにこちらを見やる。
…上目遣いは、反則だと思った。
く、口元に人差し指を当てるのも、反則だっ!
「あ そうです」
秋子さんがぽんと手を叩く。
どうやら、他の興味の対象を見つけたらしい。
ふう、やれやれ…と思っていると、
「祐一さん このネックレス 有り難うございました」
と、胸元を広げる。
ぶほっ!
俺の視線は、ネックレスではなく、その奥のもっと柔らかいものに集中した。
落ち着け… 落ち着け…俺。
俺は平静を装い、視線を逸らすことに努める。
「あ〜 祐一さん ちゃんと見て下さい」
頭を掴んで、引き寄せて、ぽふ。
ぽふ?
ぽふ。
ぽふ〜 …って まさか
ふのん ぷにゅふにゃ
だ、だわわわわわっ!
「あらあら 祐一さんのえっち」
だ、誰のせいですかっ!
「もうっ 若いっていいわねぇ」
誤解されるような事は言わないで下さいっ!
俺は慌てて身を離そうとする、が、そのまま、バランスを崩して…
「うぐっ…えうっ、ひっ… いいのよ、あたしなんて、どうせ… 秋子さんの方が、よっぽど魅力的でしょうよっ…すんっ」
「いや、だからそのー、美坂、落ち着いて、俺の話を…のわっ!?」
どんがらがっしゃーん。
…バランスを崩して、いよいよ痴話喧嘩も佳境に入った美坂夫妻のテリトリーに突入した。
その拍子に、泣き崩れてる香里にぶつかる。
「あいたた…、香里、すまん」
しかし、その衝撃がトリガーになったらしく、
「う…う…」
美坂は二言三言うめくと、
「う…うぇぇぇぇぇ〜ん」
盛大に泣き出した。
「いいのっ! もうっ! みんな嫌いっ!」
その手足をばたばたさせて泣きわめく様は、まるで癇癪を起こした子供のようだ。
普段の美坂のイメージからは欠片も想像できない。
ちょっとだけ、可愛く思ってしまったのは…不謹慎なことなのだろう、うん。
さて、俺と北川がどうしたらいいものか気後れしていると、
何者かがさっと現れ、泣きじゃくる美坂を抱きしめた。
…秋子さんだ。
「もうっ だめよぉ香里ちゃん、そんなに泣いちゃ…」
「えぐっ…うくっ… 秋子さぁん… でも、みんながあたしの事、嫌いって…」
「そんなこと無いわよ…ほぉら、香里ちゃん、大好き」
ちゅ。
…一瞬、俺は信じられないものを見てしまったような気がした。
秋子さんが、香里に…その、まぁ、唇が…そう言うことだ。
「ふやっ…はふぅ…すぅ」
それによって全身の力が抜けたのが、香里はずるずると崩れ落ちて、そのまま眠ってしまった。
「…あ、秋子さんと美坂のキスシーン…」
傍らでは、北川が鼻息を荒くしていた。
すると、それに気づいた秋子さんが、
「あらぁ 北川クン、興奮しちゃったのかしら?」
…いつの間にか北川「クン」になってる…
北川はますます鼻息を荒くして、
「え、ええ、それはもうっ!」
…と、言い終えるかどうかのうちに、
「北川クンも大好きっ」
んちゅ。
多分、北川の時間が止まった。
そして、そのままゆっくり、崩れ落ちた。
…わかりやすい奴…と、俺は苦笑する…
…なんて落ち着いてる場合じゃなかった!
香里、北川と来たら、次は…
ああ 次は…
な、なんてことだっ!
いや、むしろ嬉し
違
わない。
いや、嬉しいだろう。
あちゃちゃちゃちゃ。何を考えてるんだ俺。
落ち着け、落ち着け、俺。
落ち着いてよ〜く考えるんだ。
秋子さんに
キスを
してもらって…
嬉しいのか?
嬉しいさ。
悩んだ時間、一秒。
多少酒の力もあったかもしれないが、俺の心は即座に決定した。
かもん、秋子さん!
「え〜と、次はぁ」
来た来た来たっ!
「…あ、み〜っけ」
と、秋子さんは、獲物を見つけたように艶然と微笑み、そして…
「だ〜い好き♪」
んちゅう。
キスをした。
――――――――名雪に。
ちゅぱ。
「んふ〜」
満足げに唇を離す。
名雪はすーすーと穏やかに眠っている。
…あの 俺は ボクは
しかし、その期待も虚しく…
秋子さんはそのまま…
「疲れましたぁ…」
ぱたり。
まぁ その なんだ
結局 俺だけ 損な役回りなわけで、
名雪をベッドに運び、
香里にはソファで我慢して貰い、
北川は床に寝っころがしたままだ。
そして、秋子さんをベッドに運び終えると、何故か乾いた笑いがこみ上げてきた。
あ…………はははは……
まぁ、俺にはこんな役が……似合いかな。
ちくしょうっ!
く…くやしくなんて、ないからなっ!
ベッドでは秋子さんが穏やかな顔ですぅすぅと可愛い寝息を立てている。
*
翌朝 目が覚めると
「あら」
私はいつの間にか 自分の部屋のベッドで寝ていました
ううん 記憶が曖昧です
確か お誕生日パーティを開いて貰って
その後の記憶が…
?
きょとん
何があったんでしょうか
優しくて 暖かい腕が 私をベッドまで運んでくれたことくらいしか 覚えてません
不思議です
でも
一つだけ
覚えていることがあります
それは
香里ちゃん 北川さん 名雪 …それに祐一さん
みんな みんな
大好きです ということですっ
(終)
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復帰一作目としてはこんなものでしょう。
読んで下さって有り難う御座いました。
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