いたづら秋子さん くしゃみが出ます


お茶目な性格の秋子さんシリーズ、今回はちょっとしたネタです。

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 むずむず…
 むずむず…

 うぅ〜…

 なんでしょうか、最近、妙に鼻がむずむずするのです。

 花粉症は、杉の木ばかりでなく檜の例もあると言いますし、ひょっとしたらそれなのかも知れません。


 昼下がりのひととき、私は居間に居ながらなにも出来ずに、ティッシュの所へ行ったり来たりしています。


 う〜っ、なんだかいらいらしますぅ

 むずむず…
 むずむず…


 あ。

 あ。

 あああ。


 私の鼻の奥に、突然刺激が走ります。


 く、くしゃみが…出ま…



 …


 あら?



 …あら? あら?


 お、収まっちゃいました。


 いや
 気持ち悪いです

 くしゃみが出そうで出ない状態ほど、気持ち悪い物はありません。


 困ったわ、何とか出来ないかしら――――
 と、そう思っていると


 あ、また


 ふわ


 ふわ


 ふわ…



 …



 はうん
 また

 またです


 どうして思い通りに出てくれないんですか


 うーっ
 うーっ

 気持ち悪いです


 こうなったら

 ティッシュをこうやって、細く丸めて、こよりにして…


 んしょ んしょ


 出来ました!


 さぁ、これを鼻の中につっこめば大丈夫です

 つっこめば
 つっこめば。
 つっこめば?
 つっこめば…


 いやん
 違います




 えっと。


 よし、やりましょう


 鼻の前にこよりを近づけて…


 えい

 入ってません


 えい

 まだ、入ってません


 …ああん、決心が付きません

 やっぱり、鼻の中に異物を入れると思うと、何だか怖いです


 それに、こんな情けない姿を祐一さんに見られたらと思うと…

 恥ずかしい、です


 あ、そんなことを言ってる間に――――




 ふわ


 ふわ


 ふわっ……く




 …



 …あら?


 また? またなの?


 ああんっ、もう! 「く」まで行ったのに!

 泣きそうです


 むぅ

 いいですっ

 こうなったら、もう知りませんっ


 ふんだ


 私は半ば自棄になって、こよりを、すっと差し入れて…




 ふわ


 ふわ


 こ、今度は大きいです


 ふわ


 ふわ…


 ふわっ…!




















「ぶわっくしょいてやんでぃちきしょうめぇ!!」
























 …なんて下品なくしゃみはしませんよ


 私のするくしゃみはですね、その…あ、だめ、もう、出ちゃいま――――――――































 くちゅん。









 うーーーー…


 ようやく出ました。



 気分スッキリです。


 うん。さっぱり。
 にこにこです♪



 こうなったら、もっと完全に出し切ってしまいましょう♪
 うん、それがいいですね。


 そう思って、私がもう一度こよりを作って鼻に差し入れると――――――



 バタン。

「ただいま、秋子さ――――――」


































「―――――――すいません、俺なにも見てません」


 学校から帰ってきた祐一さんは、居間のドアを開けると、
 鼻にこよりを差し入れている私をたっぷり10秒間は見つめた後、そそくさと二階へ上がっていきました。



 って、ゆ、祐一さん!?


 ちょ、ちょっと待って下さい


 私は慌てて祐一さんの後を追います。


 しょうがなかったんです

 くしゃみが悪いんです

 くしゃみが悪いんです


 ああん 言い訳くらい聞いて下さい


 もう、祐一さ―――――――――――













 くちゅん。






(終わり)

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 今回は小ネタですね(^^;
 それでは〜


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