お昼ごはんはたいへんです




 どうも、ろんどべると言います。
『もしも祐一の従妹が、秋子さんだったら』というSSを書いてみました。
シナリオに深く関わったネタバレは無いはずですので、お気軽にどうぞ。


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       あさ〜、あさだよ〜〜。 朝ごはん食べて学校行く・・・





「う・・・う〜〜ん・・・・」





       あさ〜、あさだよ〜〜。 朝ごは・・・・・・





カチっ。




「あ・・・ふ・・・・・」



うう、この目覚まし、余計に眠たくなるのは気のせいでしょうか。

でも、二度寝はいけません。 停めておきます。



「・・・ふぁ・・・・・・っっ」



う〜ん、と大きく伸びをします。

今日も気持ちのいい朝ですね。

さぁ、ねぼすけさんを起こしましょう。





トンタントントントン・・・・・・・・・・





「・・・・ふぇ・・・?」




えと、まだ眠いです。

もう一眠り・・・いけません。

朝ごはんの用意を済ませます。

そして、階段を上って2階へ。



コンコンコン・・・



ノックします。 マナーです。



「起きて〜。 朝ですよ〜っ」



返事がありません。



コ・・・



止めます。

――うふふっ♪



カチャ・・・



なるべく静かに、ゆっくりと近づきます。

そーっと、そーっと。

―――えいっ。



ぽすっ。



「――っ!? はぐ・・・・」


えへへ・・・布団の上に乗ってしまいました。



「・・・・・・・お〜きてくださぁ〜〜〜い」



あら。 起きてくれません。

もう・・・本当にねぼすけさんですね。



「あ〜さ〜で〜す〜よ〜〜〜っ」

「・・・にゅぅ・・・」

「ち〜こ〜く〜しちゃいますよ〜〜っ」

「ふにゅお・・・」

「きゃっ?」



――あっ、ダメですよっ。

そんな・・・朝ごはん、冷めちゃいますよぉ・・・

それに、下にはお母さんだって居るの・・・違いますよぉ!




「にゅ・・・にゅにゅ・・・」

「わ、ホンとにだめですよぉ」



わ、抱き寄せられちゃいました。

どうしましょう。朝ごはんの仕度もまだなのに。

・・・・しょうがありません。

楽しんじゃいま・・・だから、違いますって!



「お〜きてくださ〜〜いっ」



名残惜しい気もしながら、なんとか祐一さんから離れます。

ゆさゆさと揺すると、やっと起きてくれたようです。



「・・・ん・・・あれ、秋・・・子・・・?」



いつもの事なのに、なんだかくすぐったいです。

おかしいですね。



「祐一さん、朝ですよ。 朝ごはん食べて学校行きましょ・・・・あ・・・」



あうあう・・・その、どうしても目が行っちゃうんです・・・。



「・・・・?」



つられて祐一さんも。



「っ! あの、これは・・・!」

「いえ、その・・・ごめんなさいっ」



はぁ・・・祐一さん、今日も元気です。









「はぁ・・・はぁ・・・待ってくださいよ〜〜っ」

「ほらっ。 遅刻るぞっ!」

「そ・・・んな・・・・こと言っても・・・・っ」



はぁ・・・そんな、もうだめです・・・



「ほらほらっ!」

「きゃっ」



祐一さんに手を引いてもらえるのは嬉しいんですが・・・私、これでも運動は苦手なんです。

ごめんなさい。 いつも迷惑かけちゃいますね。



「ったく、名雪さん・・・もっ! 自分で起きてくれたらいーんだけど・・・なっ」



そこがお母さんの可愛いところでもあるんですけどね。



「あ、相沢君に秋子。 おはよう。 あなた達も走り?」

「よっ、お二人さん。 また名雪さんか?」



香里と北川君です。

・・・お母さんのねぼすけさんは有名なんです。

あう、ちょっとお恥ずかしいです。



「香里、今日はどうしたの? いつもはもっと・・・」

「ええ、早いわね。 でも栞が・・・・・」

「う・・・」



・・・栞ちゃん、ですか・・・・・



「・・・・・・ま、まってよぉ、お姉ちゃ〜んっ」

「ったく・・・置いてくわよっ」

「はぁ・・・はぁ・・・・・・・・・・・あぁ〜っ、秋子さんっ!」

「お、おはよう、栞ちゃん。 今日もお弁当ですか? ご・じ・ぶ・ん・のっ!」



あぁもうっ、私ったらまた、どうしてこんな言い方・・・・・!



「ふ、二人分ですよ! 祐一さんと! 私のっ」

「・・・変ですね。 祐一さんのお弁当は、ほら。ここにあるんですけど」

「う〜・・・そんなこと言う人、きらいです〜っ!」



あの・・・実は私、栞ちゃんとは・・・・・

えと・・・



「まぁまぁ、秋子・・・ほら・・・栞も、な?」

「「祐一さんはだまっててくださいっ」」

「はひ・・・・」



あの・・・祐一さんを巡った・・・三角関係、みたいなんです・・・・・

で、でも! 一応祐一さんは私の、その・・・こ、恋人さんなんですよ!

栞ちゃんが勝手に・・・しかも、祐一さんもかわいらしい栞ちゃんの積極性に、まんざらじゃなくて・・・・・

うう・・・祐一さん、ひどいですぅ!



「うぅ〜〜〜!」

「えぅ〜〜〜!」



あぁ・・・栞ちゃんは香里の妹さんで、私だって仲良くしたいのに・・・・・・



「き・・・嫌いですぅっ!」

「了承(1秒)っ!」



どうしてこんなにこじれてしまうんでしょうか・・・・・



「・・・・・二人とも?」

「「はいっ!?」」

「予鈴、鳴ってるんだけど・・・・・」



あぅあぅ、祐一さんが呆れた目で私達を・・・・・

って、予鈴ですか!?

わ・・・忘れてましたぁっ!!



「たいへんっ、急ぎましょうっ!」

「は、はいっ!」

「「・・・・・・・・・・」」



顔を見合わせて、私と栞ちゃんは走り出します。

うう、みんなの視線が痛いです・・・・・









がらっ。



「はぁ・・・はぁ・・・・っ!」

「せ・・・セーフかっ!?」

「おお。ギリギリだな」

「やっ・・た、わね・・・・っ」



うう、もうだめ・・・

1時間目・・・寝てしまおうかしら・・・。

・・・垂れてくる三つ編みがちょっと、うっとおしいです・・・・





・・・・・くー・・・・・・












ガクガクガクっ!

「きゃぁっ!」



わぁ! な・・・なんですかぁっ!?



「・・・っと! ちょっと秋子!? 1時間目は・・・・・」



な〜んだ、香里じゃないですかぁ。

ほっとしまし・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・

・・・っ!

そういえば・・・・・あああああっ!!




「体育よ体育! 外でマラソン!」




はぁうぅぅぅぅぅぅぅ・・・・・・・・・祐一さぁ〜〜んぅ・・・・・・














            きぃ〜んこ〜んか〜んこ〜ん・・・・・



「はぅぅぅ・・・・・・」



や・・・やっとお昼休みです・・・・・・

そう、お昼休みなんですっ!

祐一さんとその・・・一緒にごはん食べるんですっ!!



「秋子ーっ、ちょい、ちょいっ」



隣の席から祐一さん、小声で呼びかけてくれます。

ちょっと嬉しいですっ♪



「秋子、急ぐぞっ」

「はいっ♪」



そうです。 早く移動しないと。

でないと・・・・・・



がらっ

「祐一さんっ!!」



あう・・・手遅れでした・・・・・・



「あっ、ゆういっちさ〜んっ♪」

「ぐぁ・・・・・・」



入ってきたのは5段重ねの重箱・・・じゃなくて栞ちゃんです。

小柄な栞ちゃんがよいしょ、よいしょ、と一生懸命重箱を運んでくる姿は・・・それはもう見ていて可愛いものなんですが・・・・・・

実際にそれを食べる祐一さんは・・・さすがにげんなりしています。

・・・というか、朝見た時はあんなに大きくなかった筈でしたが・・・・・・



「えへへーっ、今日は調理実習だったんですよ〜っ♪」



・・・・・祐一さん、無事を祈ってま



「・・・・・・秋子・・・?」

「は、はいっ?」



あぅ・・・祐一さん、口元が歪んでますよぉ・・・・・・

えぅぅ、分かりましたってばぁっ!



がしぃっ!

「な・・・なによ秋子?」

「わ、水瀬さん!?」



「香里、北川君・・・・・・」



びくぅ、と二人の顔が引きつります。

・・・これも友情だと思って・・・・・・諦めてくださいねっ♪
















「あうぅ・・・・・・」



・・・祐一さん・・・私、やっぱり後悔です・・・・・・



「さ、祐一さんもお姉ちゃん達も。 たっくさん食べてくださいねっ♪」



たしかに、美味しそうなんです。

いえ、実際に美味しいんでしょう。



「い・・・頂くわ、栞・・・」

「・・・うん。 ありがとう、栞ちゃん・・・・・・」



でも! これはぜったいムリですよぉぉっ!!!










―――結局もう一段増えた多段重箱を、私達は涙を流しながら食べきったのでした・・・・



あうぅ、ふとっちゃいますよぉ・・・・・・









(おしまいです)







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