祐一、今度こそ真琴にマッサージする。
うぃ、チーム『ラブひだ』の面汚しです。
今回も広い心で読んで頂ければ幸いに存じます。
あまり見直しとかしてませんが、あまり遅くなるのもアレなので・・・。
後で修正とか入るかも。(汗)
(前回のあらすじ)
にくきゅうミャーミャー♪
うさぎにも有るよ
ピンクのミャーミャー♪
ぷにぷに してみる?
―――――――――――――――――――――――――――
「さて・・・次はお前の番だな」
ぴろを俺のマッサージテクでイわせた俺は、真琴に向き直ってそう声を掛けた。
「でも真琴、肩凝りとかしてないよ」
「・・・お前からマッサージの話を持ち出してきたんだろうが」
「あぅ〜・・・それは美汐が教えてくれたから・・・」
「まぁ、真琴は子供だし、苦労もしてないし、肩凝りになるようなこともないか」
「真琴は子供じゃない! それに、いつも祐一の相手をして苦労してるわよぅ!!」
さり気無く失礼なことを言われる。
しかし、大人な俺は、そんな言葉はさらっと流すぞ。
「だったら、肩凝ってるんじゃないか?」
「あぅ〜・・・」
肩が凝ってないと言った手前、反論もできないらしい。
こういうところが子供だっての。
「いいから早く横になれ。凝ってなくても、マッサージってのはそこそこ気持ちいいもんだからな」
「うー・・・うん、そうかもねっ」
やや文句がありそうな言い方をしながらも、結局乗り気でベッドにうつ伏せる。
「森本レオでよろしく♪」
・・・それは、どうすればいいんだ??
『祐一、真琴にマッサージする』
「よし、それじゃ始めるぞ。準備はいいか?」
「いいから、さっさと始めてよ」
減らず口だけは相変わらずなヤツだった。
まぁ、そんなことは今更だし、どうでもいいか。
じゃ、まずは肩から・・・。
ぐっ
・・・ん・・・?
ぐぐっ
・・・これは・・・。
真琴の肩を少し揉んでみた俺は、あることに気が付いた。
「おい、真琴」
「あぅ、何?」
「お前、肩凝ってるぞ。それもかなり」
「えぇ〜!? 真琴、ホントに凝ってないよ?」
「それは肩凝りが慢性化しているからだ。自覚症状が無いんだよ」
「はぁぁ・・・真琴はそれだけ、祐一に苦労を掛けられてるってことなのね・・・。可哀想な真琴・・・」
「違う! お前のはただの運動不足だ!! 毎日毎日ゴロゴロゴロゴロ寝転んで、漫画ばっかり読んでるからそうなるんだよ! たまには運動くらいしろ!!」
「あぅぅ〜・・・祐一だって、運動してないじゃないのよぅ。真琴、見たことないもん!」
「俺は名雪に付き合わされて、毎朝学校までマラソンだ。これ以上の運動は無いっ」
「あぅぅー・・・」
我ながら非常に説得力のある答えに、真琴は言葉を失った。
言い負かされて悔しいのだろう。
『カチンコチン』な肩が、微妙に震えている。
しかし・・・この様子だと、身体も相当固いのではないだろうか?
と言うより、きっと固い。
いや、絶対固い。
ちょっと、調べてみる必要がありそうだ。
マッサージをする相手の身体状態は見ておいた方が、何かとやりやすいからな。
「なぁ」
「あぅ〜・・・何よぅ」
「お前、立位体前屈やってみろよ」
「あぅ〜・・・りついたい・・・何?」
言い方が悪かった。
「膝を伸ばした状態で、足の爪先まで手が届くかやってみろってことだよ」
まぁ、あまのじゃくな真琴が、ただでそんなことをするとは思えないので、俺はもう一言追加しておく。
「それができたら、肉まんを買ってきてやろう」
「何だ、そんなの楽勝じゃない♪」
自信たっぷりにそう言って、ベッドから降りる。
まったく、簡単に物(と言うか、肉まん)に釣られるヤツだ。
「財布の準備でもしときなさいよ」
仁王立ちしながら、そう言ってみせた。
そして両手を爪先に向かって・・・。
ブンブンブンッ
両手が空しく宙を掻いた。
しかも、指先と床の距離は20cmはある。
「お前は80歳のおばあちゃんか!」
「あ、あぅ〜・・・こんなはずじゃ・・・」
真琴にとっても、ここまで固いのは予想外だったのだろう。
俺だって、ここまで酷いとは思わなかった。
涙目になりながらも必死に腕を伸ばしている真琴の姿が、憐れに思えてくる。
ふぅ・・・仕方無い。
少し荒療治といくか。
まだ誰にも試したことは無いが・・・一応本で予習はしてある。
ま、新しいマッサージの実験台には、真琴は最適な相手かもしれない。
そう考えれば、丁度良かったような気もする。
「よし、真琴。マッサージはマッサージでも、身体を柔らかくするマッサージをしてやる。今度は、ここに腰掛けてくれ」
「あ・・・うん、分かった・・・」
『身体を柔らかくする』が魅力的だったのか、真琴は実に素直に俺の言葉に従った。
手を伸ばせば肩を抱ける位置に真琴は腰を降ろす。
「それじゃいくぞ、真琴・・・」
「う、うん・・・」
妙な緊張感が、場を支配していた。
俺は息を飲み、後ろから真琴の顎を側頭部の部分に手を添える。
そして、一気に!!
「うおりゃ!!」
ゴキィッ!!!
「あうぅぅ〜〜〜っ!!??」
「はぁ!!」
グキグキィ!!!
「あ、あうぅぎゃああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
そして間髪入れずに腕を掴み、片手は上に、もう片方は下に一気に捻る!!
「せぃっ!!!」
ボキボキボキッ!!
「いぎいいいいいいぃぃぃ!!!」
次は真琴を寝かせて、足を抱えて思いきり反る!!
プロレス技で言うところの『エビ固め』だ!!
いやっほぅ!!
萌・・・燃えてきたぜ!!
ベキベキベキィッッッ!!!!
「あ、あうっあう!! 祐一!! 痛い!! 死ぬ!! 死んじゃうううぅぅぅっーーーーーっ!!!!」
「はぁ・・・はぁ・・・」
「あぅぅ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
それから、10分ばかりそんな格闘が続いき、俺と真琴は荒い息を付いていた。
真琴は必死に俺の腕から逃れ様と、俺は真琴を押さえ付けようと、体力を使い過ぎたためだ。
すでに体力を使い果たしたらしく、ベッドでぐったりとしている真琴。
無理に暴れたためか、着ている服が乱れてしまっていた。
「あぅ・・・これ・・・ホントに・・・マッサージ・・・なの・・・?」
そう訴えかけてくる真琴の目には、うっすらと涙が浮かんでいた。
その表情には、明らかな怯えの色が窺える。
それが、俺の心のサディスティックな部分に火を付けた。
「はぁ・・・はぁ・・・真琴・・・」
俺は質問には答えずに、荒い息を吐きながら、ベッドの上で横たわる真琴ににじり寄っていく。
「ちょっ・・・あぅぅ〜・・・お願い・・・来ないでぇ・・・」
もう止まらない。
許しを乞うには、全てが遅過ぎた。
ガバッ!!!
「あうううぅぅぅぅぅ〜〜〜〜〜〜!!!!」
その瞬間――――
ガチャッ
「祐一っ、晩御飯の準備ができ・・・」
「な、名雪っ・・・」
交錯する視線。
まずは俺に。
そして、その視線が下に移り・・・真琴の涙、乱れた衣服、そして恐怖に歪んだ表情に注がれる。
「祐一いいぃぃぃぃーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」
俺の名前を叫びながら、鬼の如き形相で迫って来る名雪。
秋子さん、あなたは自分の娘がこんな顔をすることを知っていましたか?
「名雪! 待て、誤解だ!!」
「わたしだけに飽き足らずに、真琴にまで手を出して!! まだ懲りてなかったんだね!!」
ドカッ! バキッ!!
「ぐはっ! うぎゃあぁ!!!」
「今度という今度は許さないよっ」
ベキッ!! ボコッ!!!
「うげぇ・・・勘弁してぇ・・・」
「まだまだこんなもんじゃ済まさないよ・・・。お母さんにもお仕置きしてもらうからねっ。覚悟しててよ、祐一!!」
「ひいいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃーーーーーーーー!!!!」
・・・と、いつもならこうなるところだ。
しかし、俺だって学習している。
そう何度も同じ轍を踏んではいられない。
いつ名雪が現れてもいいように、誤解されるような行動は慎むことにしよう。
「冗談だ」
「・・・え?」
「だから冗談だ」
「メチャクチャ痛かったわよぅ!!」
激昂する真琴。
・・・ちょっと調子に乗り過ぎたか?
「う〜ん・・・悪かった、真琴」
「え?」
「いやぁ、お前の身体を柔らかくしようと夢中になり過ぎた。これは『整体マッサージ』って言って・・・まぁ、そういうものなんだよ。力技で間接を矯正するから結構な痛みを伴うけど、身体を柔らかくするっていうのは嘘じゃないぞ」
ちなみに、整体の方は丸っきり初めてだということは伏せておく。
さっきのエビ固めも、見よう見真似だったし。
「あぅ・・・こんなマッサージ誰が考えたのよ!!」
どうやら怒りの矛先が整体マッサージを開発した、何処の誰かも分からない昔の人に移行したようだ。
これで俺の身の安全は保障された。
「けど、こんな中途半端にやめたら、そんな効果も無いだろうけどな。それとも一通り受けてみるか?」
「痛いのはいやなのっ」
「気持ちいい方が好きか?」
「当たり前よ!!」
「ふぅ、仕方の無いやつだ」
「って言うか、最初からそのつもりで来たんじゃない!! ちゃんとマッサージしてよ!!」
「あーっ、分かった分かった。ホラ、もう1度横になれ」
「あぅ・・・もう痛くしない?」
「お前が、ちゃんとマッサージしてくれって言ったんじゃないか。美汐を唸らせた俺の本当のテクニックを味あわせてやるから」
「・・・絶対に気持ち良いんでしょうね」
未だに俺の言うことを信じようとしない。
・・・もっとも、俺に痛い目に遭わされたのだから、それも当然なのだろうが。
「何だよ。美汐の言ったことが信じられないのか?」
「あ、そうだよね。美汐が言ったんだもん。信じないわけないじゃない」
「そうそう、真琴は友達思いだからな」
「そんな褒めたって何も出ないから」
「バカ、お前に何か貰おうなんて思うか。そんなこと西から太陽が昇ってもありえない」
「あぅ〜・・・真琴だってお金があれば・・・」
「秋子さんに貰った小遣いを速攻で使うヤツの台詞じゃないな」
「う〜・・・」
「能書きはいいから、さっさと横になれっての。マッサージできないだろうが」
「あ、うん」
軽く返事をして、再びベッドにうつ伏せる。
チラチラと俺を確認しているのは、未だに警戒している証拠なのだろう。
まぁ、それも俺がマッサージを始めるまでだ。
なぜなら、本気でちゃんとマッサージをするつもりなのだから。
俺のテクニックを前に、いつまでもそんな表情をしていられるものか。
まずは、さっき途中で止めてしまった肩から揉み始める。
ぐいぐい
「・・・わっ・・・」
真琴がちょっと驚いたような声をあげる。
慢性的に凝っているだけあって、その効果は抜群なようだ。
ぐりぐり
「んぅ・・・ホントに気持ちいい・・・」
「だから、言っただろ。普通にマッサージするって」
ホント、最初からこうしておけば、余計な体力を使わずに済んだのに。
くにくに
「あぅ・・・美汐にもこんな風にマッサージしたの?」
「あぁ。まぁ美汐はもっとマッサージ慣れしてたから、ちょっときつめのコースもやったけどな」
「ふ〜ん・・・そっか・・・」
そう言ったきり、真琴は黙ってしまった。
完全に全身の力を抜き、俺にさせるがままになっている。
そのお陰で、実にスムーズにマッサージができた。
にぎにぎ
「・・・くうぅ・・・」
たまに部屋に響く真琴の啼喘が、耳に心地良い。
しかし、普通にマッサージしてやると決めたとは言え、それだけだと結構退屈なもんだった。
あまりに退屈過ぎて、俺の意識は別の所へ飛んでいく。
きゅぅぅ
「んっ・・・」
そう言えば・・・ぴろの肉球・・・気持ち良かったなぁ・・・。
俺は真琴の身体に触れながらも、未だにぴろの肉球が忘れられないでいた。
にゅくにゅく
「・・・ぅう・・・」
・・・そう言えば・・・真琴、妖狐だったんだよな。
ということは、かつては真琴にも肉球があったってことか・・・。
ぐぐぐ・・・
「んっ・・・ふぅぅ」
でも、今は真琴は人間だ。
人間の格好をして、人間として生活している。
名雪も秋子さんも、それを認めているからこそ、こうして家族でいてくれてるんだ。
そういうこと分かってんのか、真琴?
ぎゅぎゅ
「は・・・あぁ・・・」
本当、お前はこんな幸せな日々にいるのに・・・いつも皆に迷惑ばかり掛けて・・・。
ぐぃぐぃ
「・・・んん〜」
けど・・・それでお前が満足してるなら、それでいいのかもしれないな。
くりんくりん
「・・・ぅく・・・」
ま・・・何はともあれ、還ってこれて良かったじゃないか。
口には出さないけど、俺だって・・・嬉しかったんだぞ。
こりこり
「・・・んきゅぅぅ・・・」
でも、一回くらいはお前の肉球でも遊んでみたかったな・・・。
・・・だからって、また狐に戻られても嫌だけど。
こきゅっ
「・・・くぁっ」
ん?
あぁ、そう言えば・・・。
こきこき
「は・・・あぁぁ・・・」
今の真琴にもちゃんとあるじゃないか。
立派な肉球が。
ぷにぷに
「・・・いっ・・・!?」
おぉ、この感触。
まさに肉球。
ぷにょぷにょぽにょぽにょ
ぷにぷにぷに〜萌え〜
にくきぅ〜萌え〜
「ぎゃあああああああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」
「・・・ん? えぁ!?」
真琴の叫び声で、俺は我に返った俺の両手が掴んでいたものは―――
真琴の胸にある、2つの“肉球”だった。
ぼぐぅっ!!!!
「ぐはぁっ!!」
「何てことすんのよ! 祐一のバカ!!」
「いや、これは無意識にやってしまったんだ! 不可効りょ・・・」
ゲシゲシッ!!!!
「うぐっ!! ぎゃぁ!!!」
「問答無用よ!! H!! スケベ!! 変態!! 美汐に言いつけてやるんだから!!!」
「う・・・ぐふっ・・・ま・・・真琴ぉ・・・」
「何よ!!」
「き・・・気持ち良かったぞ・・・」
ビシッ! バシッ!! どばきいいいぃぃぃぃぃぃっ!!!!!!!
「ぎにゃあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「ふんだ!! 美汐が『気を付けろ』って言ったのは、こういうことだったのね!! 祐一なんて・・・大っっっっ嫌い!!!!!!!」
ガチャッ
バタン!!!!
ドタドタドタドダダダダダダドンガラガッシャーーーーーーン!!!!!
「あぅぅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」
薄れてゆく意識の中、真琴が階段から転げ落ちて行く音を子守り歌に、俺は新たな決意を燃やしていた。
・・・い、いつの日か・・・舞の・・・肉球を・・・。
「うなぁ〜(了承)」
(いや、もう終わっとこうや)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(跡が木)
作者 「読んでくれてありがとうございました。じゃ!」
真琴 「あ、コラ! 待ちなさいよっ」
作者 「何だ? 私には、もう言うことなど無いぞ」
真琴 「真琴にはあるの! 何よ、コレは!」
作者 「それは前回と同じ質問の気が・・・」
真琴 「いいから答えなさいよ!」
作者 「展開が読め過ぎたか?」
真琴 「そういうことじゃない!」
作者 「マッサージはちゃんとしてるじゃないか」
真琴 「そういう問題でもない!! はぁぁ・・・やっぱりアンタなんかに書かせるんじゃなかったわよぅ・・・」
作者 「それは師匠に言ってくれ」
真琴 「書いたのは、アンタ!!」
作者 「結構面白くなかったか? 実は肉球は伏線だった辺りとか・・・」
真琴 「面白くない! この変態!!」
作者 「な、何てことを! ネタを提供してくれたsainsainさんにそんなことを言うなんて!!」
真琴 「だから、書いたのはアンタ!!」
作者 「それでは、またどこかでお会いしましょう」
真琴 「あぅ〜、強引にまとめないでよぉ!!」
MyKeさんに感想のメールを
管理人からの感想
マッサージシリーズトップへ