祐一、舞にマッサージする。
ども、F.coolです。
最後のマッサージシリーズ、お届けします。
前回のあらすじ…
佐祐理さんとのキスシーン(未遂)を舞に目撃されてしまった祐一。
弁解を試みるが、さてはて。
では、どうぞ
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「なぁ、舞。機嫌を直してくれよ」
舞はまだぷぅと頬を膨らませたままだ。
「佐祐理さん、何とか言ってやってくれよ」
俺が佐祐理さんに頼ろうとすると、
「あ、ごめんなさい。佐祐理、教室に忘れ物してましたー」
そう言って佐祐理さんはとてとてと屋上から姿を消した。
…逃げたな。
「だからさぁ、舞」
「祐一…」
ぽつりと、舞が言葉を漏らす。
ん? なんだ?
「…肩がこった」
そう言って、ぽふんとその場に腰を下ろした。
「は?」
俺は聞き返す。
「…肩がこった」
としか、返事は帰ってこない。
肩がこった…って…
…ははぁ。
俺はようやく納得する。
要するに、舞もマッサージをして貰いたいんだろう。
さっき、佐祐理さんにしたばっかりなので、俺の手にはちょっと疲れが残っているが…
ま、仕方ない。
これ以上、舞に拗ねられても困る。
拗ねている舞も、それはそれで、可愛いのだが。
そもそもは、このマッサージも舞に教えて貰った物だし、これでそのお返しにもなるか。
マッサージとはいえ、単なる肩もみと言ってしまったらそれきりだが、
これはこれでなかなか奥が深い物。
手始めに、肩全体をふにふにとほぐす。
これは、むしろほぐすという行為よりも、対象者をリラックスさせて、
さらに、こっている部分を大体掴んでおく事に比重が置かれる。
「……」
舞はまだ無言である。
でも、ほっぺたの膨らみは無くなっている。
さて、本格的に始めるか。
ふわ
と、その前に…
ふわふわ
…
ふわふわふわ
「ええいこの!」
「…どうしたの、祐一」
「髪の毛っ! 髪の毛、邪魔だっ!」
さっきから、肩を揉もうとする度に、髪の毛がふわふわと風に揺れて、邪魔で仕方ない。
「…わかった」
舞は自分の後ろ髪を掴んで持ち上げるが、今度はその腕が邪魔だ。
どうしたものか。
「…ん〜、じゃ、こうしよう」
俺は舞の手から束ねられた後ろ髪を受け取ると、少し舞に密着して、ふぁさっと自分の肩に乗せた。
「うし、これで邪魔じゃないな」
早速、始めることにする。
まずは、首周りを軽く揉みながら、親指を肩胛骨の中心に持っていき…
ぐっ
「んぅっ」
舞がうめくような声をあげる。
「大丈夫か?」
「大丈夫…続けて」
それなら遠慮なく。
肩胛骨の外側に沿って、
ぐ、ぐ、ぐぐぐ。
「ん…ん!」
肩の付け根。
ぐぅっ
「んぁっ…」
…舞、いい声出すな…
しかも、舞が身を震わせるたびに、俺の肩に乗っている舞の髪が、さらさらと揺れて…
汗ばんできた俺の首にまとわりつく。
さわさわ…
うぬぅ…
くすぐったいが…我慢しなければ。
んで、次…首周りなんだが。
「舞」
「なに?」
「ちょっと、スカーフを取って、第一ボタンを外してくれ」
「?」
言葉の意味は理解していないようだが、舞は黙って言うとおりにシュルシュルとスカーフを外し、第一ボタンを外す。
「よし」
俺は、制服の襟を掴み、ぐいと後ろに引く。
柔らかな後れ毛とともに、舞の綺麗なうなじが露わになる。
「あ…」
ちょっと恥ずかしげに顔を伏せる舞。
これで、首周りのマッサージもしやすくなる。
…でも、舞のうなじ…
白くて
細くて
綺麗…だな
ふぅっ
思わず、息を吹きかけてみる。
「……!!」
ビクン!
ぞわぞわ〜
舞の背中が震える。
おお、どうやら舞は首が弱いらしい。
ううむ、可愛いなぁ。
バシン!
「…ふざけない」
「はい」
…どうやら舞は後ろにもチョップを放てるらしい。
ううむ、器用な奴だ。
舞の首周りにするすると手を忍ばせる。
俺の手か、舞の首か、それとも両方か、汗ばんだ感触がしっとりと伝わる。
ビク、ビク
ぞわぞわぞわ
再び舞の体が揺れる。
ったく、敏感な体だ。
とりあえず、ポイントを探る。
さわさわさわ
さわさわさわ
その都度、律儀な反応。
びくん! ぞわ〜
びくん! ぞわ〜
「…祐一…」
なんとも、情けない声をあげる舞。
「真面目にやってるぞ」
「分かってる…けど」
間髪入れず、鳥肌が立ち始めている付け根を、押す。
「…ぅん!」
びくりとすくむ首。
せり上がった肩を、ゆっくりと押さえつけ、元に戻す。
さらに、首筋、生え際と連続で責めていく。
「…ぁ!」
ぴくん!
聞いたことのない、高い声が耳に届く。
舞、声可愛い…
さらさらと、首筋に絡みつく髪の毛のこそばゆさも、快感に感じられる。
いたずら心が止まらなくなる。
悪いとは思っていても、
つい、
もう一度、
ふぅっ!
「んンっ!」
ビクビク!
ぞぞわ〜
おおお。
こういうときに、俺はえもいわれぬ快感を覚える。
と、俺が快感に浸っていると、がばっと舞が立ち上がった。
あ、眉間にしわが寄ってる。
「〜〜っ!」
ぽかぽかぽかぽか!
ちょっと泣きそうな情けない顔で、俺にチョップの雨を降らせる。
「はは、すまんすまん」
俺はガードしながら軽く謝りつつ、舞を落ち着かせた。
*
「…祐一、反省してるの」
「ああ、してるしてる。信じてくれって」
さて、舞を元通りに座らせて。
いよいよとどめ。
これは舞も知らない、俺が見つけたポイントだ。
するすると、前方に四本の指を滑り込ませていく。
「…?」
舞は不思議そうにその指を見ている。
しかし、俺の指が段々と下に行くに連れ、舞の顔はくすぐったそうにむずむずしてきた。
俺の指が制服の中にまで侵入したときには、どうしようかと困惑したように身じろぎしたが、
マッサージに関しては俺を信じているのか、舞は何もしなかった。いい子だ。
そして、鎖骨の下まで来たところで、
くに、くに
柔らかくその部分を押す。
「ん、ふぅ…」
舞が吐息を漏らす。
と、意外なポイントだが、鎖骨の下はなかなかに効く。
ちなみに、鎖骨の下辺りだと、その…
ちょうど、舞の膨らみの始まり部分に当たり…
くにくに
非常に、いい感触である。
「……はぅ…」
舞の顔も心なしか上気しているようだ。
漏れ出る吐息が悩ましい。
ま、あんまりやりすぎるとまた怒られるからな。
舞の手が再び振りあがる前に、この辺で終わり。
俺は舞の上着を前に戻すと、たんたんと軽く肩全体を叩き、うぃうぃと仕上げに揉みほぐした。
仕上げ、完了!
これで、終わり。
「うし! 舞、終わったぞ」
ぱん!
軽く背中を叩いて、合図する。
「……」
舞は無言だ。
あれ? どうしたんだ?
すると、間もなく…
すぅぅぅっ…
舞の体が後ろに倒れてきた。
って、おい!?
ばたん。
将棋倒しの原理で、俺も後ろに倒れる。
ちょうど、俺の腹当たりに舞の頭がのっかっている。
「舞! どうした!?」
な、何か突いてはいけないツボを押してしまったとか!?
俺は心配げに舞の顔を覗き見る。
舞の答えは…
「…眠い」
…眠い!?
「だからって、こんな、お前…」
「…おやすみ」
聞いちゃあいない。
舞はゆっくりと目を閉じると、そのまま、ものの十秒と経たないうちに、
すー、すー、と安らかな寝息を立て始めた。
おーい。
舞ー。
とりあえず、ゆっさゆっさと揺さぶって見ても、起きる気配はない。
それどころか、さも気持ちよさそうにどさりと寝返りなんかうたれた。
ぐあ…
舞は、俺の体にのっかっている訳だから、もろに衝撃が来る。
さすがに抗議しようかと思ったが、眠っている舞の静かな表情を見ていると、
俺の言葉は自然と飲み込まれていった。
ま、いっか…
俺もごろんと寝ころび、眠ることにした。
腹の辺りがちょっと重いが、それは決して苦痛ではなく、むしろ微妙な暖かさが心地いい。
風に、舞の髪の毛が揺れている。
俺の労働をねぎらうような、気持ちいい風だ。
少しずつ、汗が引いていく。
ふぅ。
俺も、少しずつ、少しずつ…眠りの世界に…いざな…われ……
ぐぅ。
*
ふと…人の気配を感じ、おぼろげな意識で目を覚ました俺は、舞が起きないように注意して身を起こし、横を見やる。
そして、お約束の展開に呆れる。
…今度はあんたか。
そこに立っていたのは、恥ずかしいものを見てしまったように、両手を目の部分にかぶせている少女。
「あ、あははーっ…さ、佐祐理は何も見てませんよーっ」
…ならその指の隙間は何だ。
舞の頭に、ぽんと手を置く。
ほら舞、佐祐理さんに誤解されるじゃないか。
あ〜あ、胸元のボタンも開いたままだぞ…
舞は何事もなかったかのように無邪気な寝顔を見せている。
その口元が、ふいに開く。
「…祐一…マッサージ…」
おいおい。
そんなに気持ちよかったのか? 舞。
やれやれ、もういいよ、マッサージは。
どうしたらいいものか、たじろいでいる佐祐理さんを後目に、俺は再び寝ころぶ。
空を見上げる。
雲が、悠然と流れていた。
(終わり)
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ども、F.coolです。
あまり終わりっぽくはありませんが、これにてマッサージシリーズは終了です。
皆様、今まで有り難うございました。
「アシスタントの水瀬秋子です。いよいよ、終わりましたね」
そうですね…今まで、いろいろありましたね
「これで、50…」
はい? 何のことでしょう?
「あらあら。とぼけないで下さいな」
ま、通過点ですけどね。
それでは皆様、またお会いしましょう。
失礼します。
「それでは、失礼しますね」
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