祐一、潤にマッサージする。


どうも、女台めまして、ARISOと申します。


あらすじ
佐祐理さんの家で、舞にマッサージを知った祐一。
秋子さん、名雪、香里と味を占めた祐一は?

それでは、お楽しみ下さい。

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 〜序章〜





 陽光も西へと傾き、薄暗くなった夕方。
 商店街にも、街灯が灯り一日も終わろうとする中で、一つの袋を片手に商店街を後にする影があった。

 彼、相沢祐一はあれ以来、マッサージという新たな趣味を手に入れた。
 その技法を上げるためにあるモノを手に入れた。
 「マッサージ入門」なる一冊の本。
 今までに祐一のマッサージを受けたものは数知れず。
 しかし、彼は満足していなかった。
 新たなスキルを手に入れようと、その研究のために今回、この「マッサージ入門」を手にしたのである。

 その夜。
 祐一は自分の部屋に戻って、商店街で買って来た本を読んでいた。



「…本当に効くのかよ。これ…なんか難しい漢字ばっかりじゃねぇか」

 本を左手に持ちながら、右手はわきわきと動かしながらブツブツ言っている姿は不気味ではある。

 その時、ニヤソと笑みを浮かべる。
 当社比25%増しの不気味な笑いだったが、次に彼の口から出て来た言葉は…。

「…秋子さんに『マッサージさせて下さい』って頼んでみるか」

 だった。
 相変わらずな奴である。



 トントンと秋子の部屋のドアをノックする。

「あ、祐一です。秋子さん、ちょっと良いですか?」
「祐一さんですか?どうぞ」
「お邪魔します」
 
 本で手に入れた知識を実践してみたいと、選んだ相手は秋子だった。
 前回、なかなか好評だったようなので、行けるだろうと踏んだのである。

「どうしたんですか?」
「え、その…マッサージさせて貰いと思ったんですが…」

 祐一の言葉を聞いて、ピクっと繭を動かしたのは秋子だった。
 それを見て祐一は再びニヤソと小さく笑う。
 無論、秋子さんに気持ち良くなって貰いたいと言う気持ちはあるが、どうしても新しい技を使って見たいと思うのも押さえられなかった。

「…マッサージですか」

 秋子の顔は、先日マッサージをして貰った時のことを思い出していたのか、少しだけ揺るんでいた。
 が、秋子の言葉は祐一の予想していたモノは違っていた。

「気持ちはありがたいんですが、この前して貰ったばかりですから、まだ大丈夫ですよ」
「…そうですか」

 断られると思っていなかったので、その落胆は秋子にも目に見えていたが、秋子自身はさすがに不味いと思っていた。
 あの日の祐一のマッサージは、思った程気持ち良かったのである。
 今日は耐えられるかどうか不安だったらだ(いたづら秋子さん参照)

「…祐一さん。ごめんなさいね」
「いえ、良いんですよ。またマッサージが必要だったら言って下さい。いつでもやらせて貰いますから」
「はい。御願いしますね」



 秋子の部屋から出ると祐一は考える。
 名雪は駄目だろう。
 この前のことで絶対に警戒されてるだろう。
 そうなると、香里も対象から外れる。
 その前に何をされるか判ったモノでもないと、そんな考えに震える。
 なら、その相手は誰がいいのかと、考えてある人物が浮かんだ。
 ニヤソと、今まで以上に極悪な笑みを浮かべる祐一。
 その哀れな犠牲者とは…











 きーんこーんかーんこーんと間延びしたチャイムが遠く聞える。
 今日の授業も全て終わり、滞りなく午後の緩やかな時間が流れる。
 ホームルームも終わって、周りにはこれから部活に赴くもの、家に帰る帰宅部の連中が思い思いにしている。
 しかし、今日の俺ははそれだけで終わることはない。

「北川、今日空いてるか?」

 俺の後ろの席に座っているやつに声をかける。

 北川潤。
 俺がこっちに転校して来てから、何かと便利に使っている。
 今日も御多分に盛れず、便利に使ってやろうと、昨日の夜から決めていた。
 悪く思うな。

「…なんだよ?」

 先日の香里の一件だろうか?
 少し不機嫌な声を出しているが、ここで気にすると相手に主導権を握られてしまう。
 ここはなんとかこちらに有利に持って行きたい。

「いやな、別にそれほどの用事ってことはないんだが…」
「だったらなんだよ。早く言ってくれ」

 むぅ、少しヤバイかもしれない。
 このまま用件を言った所で、どうとなるわけでもない。
 ここは…

「香里、ちょっと良いか?」

 こう言う使い方もある。
 卑怯と思うなら卑怯と言ってくれてもかまわない。
 これは崇高な目的の為に必要な犠牲、人柱が必要なのだ!

「なに?どうしたの?」
「いやな、北川にも俺のマッサージを味わって貰おうと思うんだが…」

 北川には見えない様に、香里だけにニヤソと笑みを見せる。
 きっと香里はわかってくれると、俺は信じている。
 無論、北川は俺がマッサージと言う言葉を使った瞬間に、目を白黒させているだろうが。

「あら。良いじゃないやってもらえば?」

 ふっ、と俺は笑う。
 香里はやはりわかっているのだ。
 先日の一件は、あれは喧嘩両成敗(?)。
 香里もそれくらいの良心(?)は持っていたのか、俺の言葉の意味を一瞬にして理解したのか、同じようにニヤソと笑う。

「美坂、お前何言ってるんだよ!この前の…」
「ほら、疲れてるってって言ってたじゃない。結構気持ち良いわよ。なんだかんだいっても以外とすっきりしたしね」

 北川が何か言う前に、香里の言葉でもって遮られる。
 天は俺に味方してくれたようだ。

「香里もそう言ってることだし、どうだ?」
「いや…そうは言ってもな…」

 不安そうに香里の方を見る北川の瞳は明らかに不安に揺れている。
 取って食う訳でもなし、別にそこまで怯えることもないとは思うのだが、もうひと押しだ。
 悪いが、実験台になって貰う。
 俺はそう思って一気にたたみ掛けることにする。

「香里も部室を貸してくれるって言ってることだし、良いじゃないか」
「良いわよ。別に…それに相沢君が男に手を出すようなキャラクターじゃないって北川君だって知ってるでしょ?」

 流石にそれは言い過ぎじゃないかとは思ったが、敢えて口にはしない。
 ここで香里を敵にした所で、それは得策とは思えなかった。

「なんなら私が見てても良いし…」

 香里、ナイスフォーローだぞ。

「香里にここまで言わせといて今更断ることもないだろう」
「…う」

 北川が、美坂を盾にした瞬間にたじろいだ。
 最早勝利は俺に手にあった。

「安心しろ、俺は純粋にマッサージをしてやろうと思っているだけだぞ」
「…仕方ない。美坂もいるっていうなら安心だろうしな…」

 やれやれと言った感じだが、納得したようだ。
 これで合法性(?)は俺に有利に働いたことだし、今なら裁判にしても勝てる自信があるぞ。
 とにかく、決まった以上は香里に案内されて、前回も使った香里の所属する謎な部室に三人で向かった。











 怪しげな雰囲気。
 秘密主義。
 暗い室内。
 魔法陣。
 ドクロ。



 相変わらずな、悪趣味な装飾に飾られている。

「なに?」
「いや、なんでもない…」

 俺の心を読んだかのような香里の言葉に一瞬ドキリとするが、これ以上変なことを考えるのは止めよう。

「さて、始めるか…」

 仮眠用とは言ってるが、その真の仕様用途は未だにもって謎なベッドに北川がうつ伏せている。
 哀れな獲物…じゃなくて、今日の北川は一応は客だ、それなりの対応は見せる。

「取り合えずどこかこってる所があったら言ってくれ。そこから始める」
「…えっと、最近は肩がこってるんだが…」

 余りにオーソドックス過ぎて詰まらないとは思うが、まぁ良い。
 なるたけ痛そうなツボを押さえればそれで事足りるのだから…。

「じゃあ肩だな」

 俺はそう言うと、北川の背中に上に乗ると、肩を掴む。



 もみもみ。
 もみもみ。



 最初は軽く揉みしだくようにして、血流を良くする。
 これを始めにやって置かないと、後の部分でちゃんと効果が現れないからだ。

「…んっ…んっ…」

 気持ち良いのか、少し北川がくぐもった声を上げるが、敢えて無視する。
 肩を終えて、首の付け根を揉む。



 もみもみ。
 もみもみ。



 くすぐったいのか、それとも気持ち良いのか、少し肩を振るわせる北川の様子は、お世辞にも可愛いとは言えない。
 だが、ここでツッコミをいれたら話は進まないし、俺も大変気分が悪い…。
 まぁ、こんなモノで良いだろうか、血行は良くなっただろう。
 ここから本題だ。
 マッサージから今日はワンランク上げてツボを重点的に攻めようと思う。

「少し痛いが、我慢しろよ」
「…んっ、ああ」

 俺の良心が、北川に言わせるが、了承は貰ったのだから、良いだろう。。
 う〜ん、それにしても俺はなんて優しい奴なのだろうか。



 実際に、ツボは10円玉ぐらいの 大きさで、触ってみて痛いところ又は気持ちのいいところであり、個人差がある。
 自分を実験台にしてやった時の指圧はリラックスした気持ちで、押して気持ちがいいくらいが良いのが普通だが、それでは詰まらない。
 北川の表情からして大体の肩のツボはわかったが、今、指を置いている所は「肩井(ケンセイ)」と呼ばれるツボで、首の後ろの根元と肩先の中間の所にある。
 押し方は、中指の腹をツボにあて、他の4本指は肩に添えて押すのだが、首の付け根に敢えて親指を立ててツボを人差し指と中指で深く押せるような形を作る。

「……」

 何も言わずに、俺はそこに力を入れた…瞬間。

「…ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「……」

 敢えて無視を決め込む。

「痛い!痛い!!!相沢!!痛過ぎるぅぅ!!!!!」

 悲痛な声が部室に響く。
 すまない、これも未来の為の礎なんだ、我慢してくれ!
 だが、北川の叫びは一向に止まることはなく、流石に男だけあって、力もある。
 名雪の時のように、押さえることは出来そうもなかった。



「…香里」

 と俺は香里を呼ぶと、香里は何も言わずに頷いて、妖しい瓶を握り締めて北川の前に立つ。
 無論、俺はツボを押しつづけている。
 苦しそうに北川は香里を睨みつけるが、それだけで何も出来ない。

「…まさか、美坂…。お前までグルなのか?…痛たたた。痛ぇぞ!!」

 ニヤソと笑った香里。
 次に出て来た言葉は、慈悲の欠片もなく、俺でも少しぞっとする。

「ごめんね。北川君。せっかくだから私も薬の実験をしたくて…てへっ」
「てへっ、じゃねぇぇぇぇぇ!!!」

 北川が叫んだ瞬間に、ポイと黒い粒状の何かを口に放る。
 この前の要領で、どんと北川の背中をたたくと、ゴクリという音と共に、北川は飲み込んだようだ。

「なんだ、何を飲ませたんだ?美坂!答えろ!!」

 …俺がメインなんだけど。
 そう思って、忘れた頃に新しいツボを、俺はよりいっそう強く押す。
 ちなみに、肩の部分を終えて、今、俺が押しているツボは「天宗(テンソウ)」。
 肩胛骨の外側の、腕の付け根、脇の下近くにあるこのツボは、相当痛いはずだった。
 舞にやられた時もここの痛みは激痛だったからな〜。

「ぎゃぁぁ……!!………!!!」

 案の上、北川が声を上げるが、驚いたことにピタリと止む。
 何をやったのかと、香里の方をみると、

「あぁ、声を出せなくしただけよ」

 と、しれっと言う。
 やはり危険だと思ったが、敢えて無視をして続ける。

「…!!…!!…!!」

 悶絶するほどに気持ち良いのか、北川が苦しそうにしている。
 俺のマッサージもなかなか捨てたモノではないようだ。
 けれど少し暴れ過ぎなので、仕方がない。
 アレを使うことにする。
 勿論、アレとは香里の時にも使った拘束具のことだ。

「!!!!」

 流石にそれは嫌だったのがわかるが、それとは対象に拘束具をつける香里は嬉々としている。
 香里、やはり危険だ。
 北川も無駄に動けなくなったことだし、取り合えずいろいろなツボを俺は試してみることにする。
 この日の為に、昨夜はあれだけ本を読んで研究したのだから。





「…!」



「…!!」



「…!!!」



「…!!!!」



 
 
 どれくらい試しただろうか。
 大体15〜6のツボは試せたと思う。
 効果はどう出るかはわからないが、取り合えず感触は掴めた。
 これであゆに真琴、栞にと、色々と出来ると思うと今日の収穫は上々と言えよう。
 さて、北川はどうなったかと言うと…。





 白目を向いて泡を吹いていた。





 許せ、北川。
 お前の犠牲は無駄にはしないぞ!! 





 ちなみに、俺と香里は倒れている北川をそのままに、部屋を出たのは当然のことだった。





 次のターゲットは?




 


 







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っと、北川に見付かったら不味いな…っと…。
逃げ支度逃げ支度♪

ゆらぁ〜

はっ!

北川「…逃げるつもりか?ありそ?」

え?北川君…いや、ちょっと…その…。

北川「問答無用!!お前を殺す!」

ま、まて!話せばわか……

ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!





最後に…

北川虐めSSになってしまいましたが、ま、良いでしょう。
だって、北川だし…。
本当はもっと蒼色を強くしたかったんですが、香里を出した瞬間に駄目になりました。
恐るべきはダークカオリン!
ちょっと一風変わってしまったマッサージシリーズ、如何でしたでしょうか?
なんだか祐一がダーク一直線(笑)
次なる獲物はだれでしょうか?
御感想、御待ちしております。

この作品の素となったKANONと、F.coolさんのマッサージシリーズに感謝!
ちょっと壊れてますが、御礼(?)の気持ちです♪
ARISOは…ありそは幸せです\(T▽T)/

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