祐一、香里にマッサージする。(後編)
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俺はギシギシときしむベッドの上に乗ると、
そのまま香里の柔らかな太ももの上に馬乗りになった。
「きゃっ、重いわよ」
と文句を言う香里を無視して、俺は腰の辺りに手を這わせる。
「ううむ・・・この辺か?」
「ひゃっ・・・やだ、変なとこさわらないでよ」
んん〜・・・・
あれ?
何か手触りが妙だな・・・・
「香里」
「なによ」
「おまえ、制服の下に何か着てるだろ」
「そりゃあ、寒いんだし・・・セーターくらいは着るわよ」
「脱げ」
ドゲシッ!
再び香里の裏拳が俺の顔面にヒットする。
「ま、仕方ないわね・・・」
そう言って香里は制服のボタンを外していき、セーターを着た上半身を露わにした。
「どうせ脱ぐんなら殴るなよ・・・」
「成り行き上、ね」
・・・どんな成り行きだ。
まぁいい・・・・
これからお前は、俺によってその柔肌を蹂躙されるのだからな。
「ま、じゃあセオリー通り腰からだな」
「お願いするわ・・・」
香里。後悔しても遅いぞ。
俺はおもむろに半分脱ぎかけた制服に手を掛け、下の方にズルリと引っ張った。
「きゃぁぁっ! 何をするのよ!」
「ん? 腰からだろ? 制服が邪魔だからな」
目の前には腰骨の辺りのすべやかな肌が露出している。
ま、半ケツにしなかっただけでも感謝して欲しい。
「だからって・・・」
なおも文句を言おうとする香里を後目に、俺はその露出部分にするりと手を伸ばす。
ぐっ
ぐっ
「あっ、ああっ・・・」
途端に、香里の表情が苦悶に歪む。
今、親指が押しているのはちょうど腰骨の辺りだが、
両手の余った八本の指は、さりげなく周辺に配置し、指先に伝わる微妙に柔らかな感触を楽しむ。
「やっ・・ちょっ」
そのまま俺は手を上方に移動させていく。
いわゆるウエスト部分にたどり着き、背骨の辺りを中心に力を込める。
「ああっ・・・ん!」
香里が鳴く。
その間、余った指は先ほどと同じように自由に周辺を徘徊させる。
香里の腰の上で蜘蛛がダンスを踊る。
蜘蛛の足はとどまるところを知らず、脇腹にまでその節くれ立った足を伸ばす。
その刹那、
「ひゃぁっ!」
香里がひときわ高く、鳴いた。
「相沢君! 脇腹は関係ないでしょ!」
「おお、おお、そうだった」
俺は怒りの目でこちらを睨む香里に鷹揚に返答すると、蜘蛛の足を縮める。
「ふぅ・・・」
と、香里が安堵の息を吐く。
まだまだ、これからだ。
今は一時の休息を噛みしめるがいいだろう。
俺の性格がだいぶ歪んできているような気もするが、これもすべてクスリのせい。
うん。クスリのせい。
たとえクスリがビタミン剤だろうが人格矯正剤だろうが、とりあえず関係ないとしておく。
さて。
俺は、とりあえず、セーターの上から香里の背骨の位置を探る。
背骨の周辺を責める・・・・刺激するのがマッサージの基本だからな。
さわさわ。
さわさわ。
ん〜・・・なかなか見つからないな・・・・
「ちょっと相沢君!? 何やってるのよ」
香里がしびれを切らす。
その言葉に、俺はちょっと腹が立った。
せっかく人がマッサージしてやってるのに、なんて言いぐさだ。
・・・・
こうなったら、遠慮せずにキメまくることにした。
そう決意した俺は、とりあえず両腕をセーターの中に侵入させる。
「ひゃぁん!」
俺の両手の平に香里の生肌の心地いい感触が伝わる。
「あ、相沢君! なにするのよ・・・」
ほほう。
可愛い声も出せるじゃないか。
「も、もういいわ、充分よ」
何を言ってるんだ・・・
まだ、これからじゃないか。
「あ、相沢君・・・?」
何とも答えない俺に恐怖を感じたのか、香里は上体をねじらせ、俺の方を向く。
「・・・・・・ヒッ」
香里が息をのむ。
見てしまったのだ、香里は。
冷徹に薄笑いを浮かべる、俺の顔を。
「ちょ・・・や・・・クスリが、効きすぎたのかしら・・・?」
その通り。
だと言うことにしておこう。
「ご、ごめんね、相沢君。続きはまた今度と言うことで・・・」
事態の異常さを察知した香里が、俺から逃れようと身をくねらす。
俺の尻の下で動く香里の太もも・・・・
もう少しこの感触を楽しんでいても良かったが、本当に逃げられそうになったので、
俺は香里の背中を手のひらでベッドにグイッと押しつけた。
「ひゃん!」
「イケマセンよ・・・アバれてはマッサージがデキなくなります」
なるべく抑揚を押さえた声で、俺がささやきかける。
無論、クスリのせいだと言うことを演出するためだ。
予想通り、その声は香里にとって効果的だったようで、声自体の不気味さも相まってか、
香里はおとなしくなる。
途端、香里の目がうるみ始める。
「いやぁ・・・許してぇ」
泣きやがった。
いつもの俺ならここら辺で反省して止めるところだが、なにせ相手は海千山千の香里だ。
ハッと手を離した瞬間、何をされるか分かった物ではない。
俺がいつまで経っても力を緩める気配がないと悟ると、香里は急に顔つきを険しくし、
俺を恫喝するような低い声を出した。
「・・・・大声を出すわよ」
ふん。
やはりさっきのはウソ泣きか。
ま、出せる物なら出すがいいさ。
恥をかくのは俺だけじゃない。
しかも、俺には「人格矯正剤を飲まされた」という言い訳もできる。
万に一つも俺に危うい点はない。
「くっ・・・!」
香里は俺が動じないのを見ると、力任せで抜け出そうと試みる。
俺は負けじと香里の背中を目一杯にベッドに押しつける。
「はっ・・・放しな・・・さい、よっ!」
どすんばたん。
いくら必死になろうと、香里の力では俺をはねのけることは出来ない。
暴れる香里を力でねじ伏せる・・・・そのシチュエーションはとても魅惑的だったが、
しかし、このままではマッサージが再開できない・・・・
困ったな、と思っていると、打ってつけの物が俺の視界に入った。
俺はそれを手に取ると、
カチャン。
香里の手首に付けた。
そう、それは・・・・
「えっ・・・え!? こ、これって、もしかして・・・・」
香里はいきなり右手の自由を奪われ、何が起きたのか分からない様子だったが、
すぐに事態を察知した。
「・・・・拘束具ね!」
ご名答。惜しみない拍手を送ろう。
そう、それは、ベッドの四隅に付いていた拘束具。
いやぁこの部室にはいいものがあるなぁ。
俺は間髪を入れず、左手にも拘束具を付ける。
香里はせめてもの幾ばくかの抵抗をしたが、右手が拘束されている状態ではそれはてんで弱々しい物だった。
さて・・・いよいよ、これからが本番だな。
今、俺の目の前には、両手を拘束され、バンザイの状態で仰向けに寝そべっている、
何とも見た目が情けない香里が居る。
いつも沈着で、クールな印象を受ける香里を、こうして支配できる立場にあることに、
俺は喜びを感じる。
ベッドに拘束された美女。それは生け贄。
俺は闇の儀式の司祭だ。
「あ、相沢君! 覚えてなさいよ!」
そうやって強がっていられるのも今のうちだ・・・・
さあ、煩悩の神にその瑞々しい肢体を捧げよ!
スルリ。
俺は改めてセーターの中に腕を差し入れる。
「ひぃぃっ!」
ガチャンガチャン。
鎖が鳴る。
無駄だと分かっていても両手で抗おうとしてしまうのは、悲しい習性だな。
「ん〜、どの辺だ?」
さわさわさわ
さわさわさわ
「いやっ、やっ、・・・ぁぁっ!」
とりあえず、下の方からやっていこうか。
時間は・・・あと10分少々。
いいや、午後の授業はフケちまおう。
その分、ゆっくり楽しむとするか・・・・
では、とばかりに俺はウェストの辺りから親指で刺激してゆく。
なんだかんだ言ってマッサージはきちんとやるところが、ギリギリの俺の理性か。
ぎゅっ
ぎゅっ
「はん!」
ふむ・・・結構凝ってるな。
これはやりがいがある・・・・・
ぎゅむっ
ぎゅむっ
「やっ、ああっ、あん」
鼻に掛かった甘い声を出す香里。
いい加減抵抗する気がなくなってきたのか、それとも俺のマッサージが効いているのか、
ぐったりとして俺の成すがままに任せている。
これはこれで楽なのだが、どうも趣が・・・な。
そう思った俺は、ちょっといたずら心を起こし、
唐突に香里の脇腹を掴んでやった。
むんず。
「いやっ、ひゃっ!あっ、はははははは!」
途端、狂ったように暴れ出す香里。
ガチャンガチャンガチャンガチャンガチャンガチャン!!!!
鎖もそれに応じて騒々しい不協和音を奏でる。
しかし、暴れれば暴れるほど俺の指は香里の脇腹の柔肌に食い込んでゆく。
ぐにゅう
「ひゃぁぁぁっ!」
ぐみゅう
「あっ、にゃ、にゃっはははは!」
ぐにゅみゅみゅう
「ひゃぁんっひゃははっ、はっ、はっ・・・・・・」
香里が呼吸困難に陥ったところで手を離す。
少女の脇腹には痛々しく赤く染まった跡が残っている。
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
少し香里の呼吸が整うのを待つ。
そして、わずかな間を置いた後、マッサージの続きに取りかかる。
奥へ奥へと這いずり回る俺の腕・・・・
そのたびに微妙なツボを刺激して回ってるのだから香里もたまった物ではないだろう。
「あん、あん、はん、はぁぁっ・・・・!」
ガチャンガチャンガチャンガチャンガチャンガチャンガチャンガチャンガチャンガチャン
せっかくの嬌声だがすべて鎖の音に掻き消される。
それも一興。
しかし、なおも暴れ回る俺の手のひらに、妙な異物感が伝わることがある。
どうも何か細長い物が横に伸びていて、侵入を拒むほどでもないが、
動く度所々に引っかかり、どうにも居心地が悪い。
とりあえず、その紐のような物を捕まえ、引っ張ってみる。
ぐい
すると、
「はぁん!」
香里が、今までよりもずっと奇妙な声を出した。
「だめよ、それだけは・・・」
そして、ここに来て今更それにさわることを拒否された。
ははぁ。
・・・・・・俺はすべてを理解した。
どうしようかと迷ったが・・・・
ま、邪魔だしな。
俺はその紐の中心に手を掛け、手探りで上下にピンと弾いた。
瞬間、何かが解放される。
「あっ、・・・ああ・・・」
俺はまたもニヤリと微笑むと、今度はその紐のあった辺りを中心に責めることにした。
とりあえず横に、つつーーー・・・・・
「んはぁぁぁん・・・」
今までブラ紐に締め付けられていた分、その場所には微妙な刺激が走るのか、
香里は悦には入った声をあげる。
んでもって縦に、つつーーー・・・・・
「んんんんんんっ!」
これもまた違った反応。
愉快愉快。
さらに、とどめに・・・・・
俺はブラ紐を外したときに思いついたことを実行することにした。
ゆっくり、そろそろと、両手を脇に移動させていく。
そわそわ
そわそわ
まだまだ・・・
「え・・・? なに? 何をする気?」
そわそわ
そわそわ
そろそろか・・・・・
まだか・・・・
その時。
ふよ
「ひっ!」
俺の指に、柔らかな感触が。
ふよふよ
「ひ、あ、ぁぁ・・・」
おお!これこそ・・・・
体重に押しつぶされて、横にはみ出ている、香里の・・・・
ふよふよふよ
「や、いやぁぁぁ・・・・」
俺はその感触を存分に楽しむ。
ふみょんみょんふよふよにゅにゅにゅ
「・・・・・・・」
俺は香里の様子をうかがう。
何も言わなくなったところからして、ついに意識が途切れてしまったのだろうか。
「ふふ、どうした・・・香里」
俺はいい匂いのする香里の豊かな髪の毛をかき分け、
じっとりと汗に湿った顔をのぞき込む。
違った。
香里の目にはまだ生気が宿っている。
そればかりか、香里はさも気持ちよさそうに薄笑いを浮かべている。
ほお?
これは一体・・・・・
いや。
きっと・・・・
香里め、ついに。
俺はこの時、香里が「堕ちた」と確信した。
これで香里も俺の物だな
俺は心の中で高笑いをせずにいられなかった。
しかし、その時!
「美坂ぁ! 相沢ぁ! お前らいつまでも何やってるんだぁ!!」
ガラララッ!!!
音を立ててドアが開き、一人の男子生徒が現れる!
北川 潤!
北川の目の前に広がっていたのは・・・・
両手を拘束された香里と、
その上に馬乗りになって香里の胸をいぢくり回す俺の姿。
その時、俺と北川との間で、時間が止まった。
「ま、待て、北川! これは違う!」
何が違うのか自分でもよく分からなかったが、とりあえず原因である香里に助けを求める。
「な、香里! これは全部、お前が俺にクスリを飲ませたせいで・・・・・」
「北川くぅん! 助けてぇ!」
・・・・・この女。
先ほどの微笑みは、俺はマッサージに夢中で気づかなかったが、
北川の気配を察知した余裕の笑みだったのか。
くそ!なんて事だ!
しかし、時すでに遅し。
俺はおそるおそる北川の表情を覗き見る。
おやおやまあまあ。
般若と不動明王と鬼瓦を足したらこんな顔が出来るのだろうか。
にじり寄ってくる北川。
その目は虚ろだ。
「ま、待て北川! これはすべてクスリが」
「問答無用」
理屈の通じるような奴じゃなかった。
あ、こら、北川。
床に置いてあるドクロを拾って、どうするつもりだ。
こっちに、来るな
そのドクロ、なんか凄く堅そうだぞ
振り上げるな
や、やめ
俺の目の前でビッグバンが起こり、何千何万という無数の星たちがキラキラとまばゆく輝いていた。
香里の嘲笑が聞こえる。
「ワシは転んでもただじゃおきんけんのぅ」
何故広島弁・・・・と疑問を持つ前に、
俺の意識は深い闇の底へと沈んでいった。
(終わり)
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どこへいく〜のか
どこへいく〜のか。
ども、F.coolです。
読んで下さって有り難うございました。
・・・・・・
すぐに帰ります!では!
たたたたたたたた・・・・・
香里「はぁ、はぁ・・・ちっ、F.coolめ、どこへ行ったの!」
きょろきょろ
香里「あっちね! 許さないわよ・・・・」
たたたたたたたた・・・・・
香里「見つけたわよ・・・・」
ひぃぃ
ドカン バキ グシャ メキョ ・・・プチッ
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