りんごとみかん
広い広い座敷。
高い高い箪笥の上に。
小さい小さい少女が二人。
足をぶらぶら、ぶうらぶら。
辺りの空気はとても静かで。
ただ部屋の隅で一握の埃が舞い上がり。
それとはまったくの異なる高い世界で。
少女が二人。座っている。
何が楽しいものか。
片方の少女は口を緩ませ。
楽しそうに。嬉しそうに。
足をぶらぶら、ぶうらぶら。
何が悲しいものか。
片方の少女は目をついと伏せ。
悲しそうに。苦しそうに。
足をぶらぶら、ぶうらぶら。
赤いおべべに身をくるみ。
彼女たちはその瞳に。
何を映すか。
何を思うか。
いま一陣の風が吹き。
髪を結った楽しげな少女は。
楽しそうに。嬉しそうに。
ひゅうと下に落ちた。
おかっぱの悲しげな少女は。
その方向を、見ようともしない。
足をぶらぶら、ぶうらぶら。
抽斗の取っ手がからからと、鳴った。
原案 桜塚さん
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