根暗の蜜柑
ふふふふふ。とうとう手に入れたぞ、遙か昔に狂える中東人が著したとされる伝説の魔道書を!
これで遥けき星辰の彼方より邪神を呼び出して、この世界なんか滅茶苦茶にしてやるもんね。
さあ出でよ、古代の支配者よ! この世の全てを地獄と変えるのだー!
ぽん。
あれ。
目の前に現れたのはなんだかおかっぱのちいちゃい子。
おかしいな。僕、どこかで何か間違えたかなー。
ちいちゃい子は突然呼び出されてきょろきょろしている。手にはおせんべい。
あのう。失礼ですけれど、あなた、邪神ですか。
顔を横にぶんぶんと振られた。まあそれはそうだね。肯定された方が、困る。
えっ。何で呼び出したかって。それはそのう。世界の、破滅を、ですね。はい。
は? 任せろって? ひょっとしてこの子凄い能力を持っていたりするのかな?
するとちいちゃい子はふんと鼻息をすると、恐るべし破壊活動を始めた。
具体的には、床をばんばん叩く。叩く。ばんばん。ぺんぺんの方が正しいかもしれない。
床に僅かな傷が付いた。満足げなちいちゃい子。
僕は魔法陣を消してその子にお帰り願った。
四月愚者林檎
林檎さん、蜜柑さんに朗らかに宣言。
今日は嘘を付いても良い日なのでこれから嘘を言うそうだ。
わざわざ言わなくても良いのにと呆れつつ、一応付き合ってあげる蜜柑さん。
しかし林檎さん、いざとなると上手い嘘が思いつかない。
うんうん唸る。頭を捻る。無言で見ている蜜柑さんのプレッシャー。ますます思いつかない。
さて蜜柑さん、じいっと待っていたが、林檎さんは全く嘘を言い始める気配がない。
そこではっと気づく。これは嘘をつくと言う嘘なのではあるまいか。蜜柑さん静かに戦慄。
絵と原案 桜塚さん
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