いたづら一夜さん その5  ニガウリ編  今日は 八百屋さんで 珍しく ニガウリなんて売っていたので  ついつい 買ってしまいました  鏡夜くんも 紫苑ちゃんも 遊びに来ると言うし 丁度良いですね  早速 お料理 とんとんとん  出来ました  さて 次は  関西弁の練習です  テレビを見て 覚えます  なんでやねん なんでやねん  完璧です 「何 してるんだ 母さん」  あら十夜 良いところに  さあ 「このゴーヤー、どーやー?」  ……  あっ 十夜 どこに行くの  そんな冷たい目で母さんを見るなんて  ああん しくしく  死屍累々編  なんとか 十夜を 連れ戻しました  ふう 年頃の男の子は 扱いが難しくて 大変です 「じゃ いただきます」  はい どうぞ  ぱくり 「……」  どうですか 「うーん」  どさっ  あら 大変です 十夜が倒れてしまいました  変ですね  「なんですか今の音」 「あれっ 十夜」  あら紫苑ちゃんに鏡夜くん  これ 召し上がれ 「え あ はい」 「いただきます」  どうでしょう 「うーん」 「うーん」  どさっ どさっ  ああっ 二人まで  どうしてでしょうか  ニガウリと言うので 苦いだろうと  お砂糖をたくさん入れて 胡椒や唐辛子でふんだんに味付けしたのがいけなかったのでしょうか  どれ では 私も  ぱくり 「うーん」  どさっ  毒を食らわば皿まで編  うう  私としたことが  お料理に失敗するなんて 悲しいです  ニガウリはまだお皿にたくさん残っています  でも とても もう 食べる気はしません  ですが 食べ物を粗末にするのは いけないことです  だけど こんな 毒のようなものを  あっ そうです  毒を食らわば 皿まで と 聞いたことがあります  お皿も一緒に食べれば きっと 大丈夫なのでしょう  昔の人は 物知りですね  どれ それでは  あむ がり  ……  とても硬くて 食べられません  しゅん  昔の人は いじわるです  浮遊編  今日はいい天気で とっても ひなたぼっこ日和です  主婦業が一区切り付いたので 縁側で ぺたんとお座り  あたたかいです  うつら うつら  くう  ふわ〜  あら  夢見心地の私は 自分が宙に浮かんでいるのに 気が付きました  まあ なんて素敵なんでしょう  ふわふわ ふわふわ  しゅう ぺた  ううん残念 もう 降りてしまいました  さて その日の 夕食の席  十夜に報告です 「お母さん 浮きましたよ」  十夜 口を ぽかんと開けて 「ああ 確かに 母さんは 浮いてる」  今日の十夜は 素直ですね