いたづら一夜さん  朝寝坊編  むにゃ くう  あら 起きてしまいました  目覚まし時計に勝っちゃうなんて 珍しいですね  どれくらい勝ったのでしょう  ちら  え  大変 目覚まし時計が 止まっています  何と言うことでしょう お寝坊さんです  ああ どうしましょう  これから十夜を起こして 朝ご飯作って お弁当作って  ええと ええと  困りました  とにかく  行動しましょう ええ  と言うわけで 急ぎ足で お台所へ 「おはよう 母さん」  あら 十夜  え え どうして 「母さん 遅いから 勝手に弁当作って 飯喰って 今出るところ」  あら そうなのですか 「行ってきます」  行ってらっしゃい  ……ええと  出来の良い息子を持つと なんだか寂しいです くすん  部屋の掃除編  今日は 十夜のお部屋を掃除しましょう  十夜もそろそろお年頃  ベッドの下に いかがわしい本なんて 有ったり  きゃ もう いけない子ですね  うふふ お母さんが 全部見つけてしまいますよ  さあ お掃除 お掃除  ……  むぅ 困りました  えっちな本が有りません  余程巧妙に隠してるのか それとも興味がないのか  一度 えっちな本を前に ぷりぷり怒って お説教というものをしてみたかったのに  残念です  あ そうです  それなら 私が買ってきて 置いておけば  なんて素敵な作戦でしょう  早速 お買い物です  るんるん  ……と 本屋の前まで来て ようやく 過ちに気が付く私です  息子の恋人編 「ただいま」  おかえりなさい十夜  あら 後ろの子は 「は はじめましてっ! そ その 秋野琴美と言います 十夜先輩の 後輩で ええと」  まあ 十夜がガールフレンドをおうちに連れてくるなんて  うふふ どうぞどうぞ あがってください  十夜の後を ちょこちょこ付いてゆく秋野さん  可愛らしいですね とても好感が持てます  お母さんは二人の仲を応援しますよ  さてはて とりあえず  二階の十夜の部屋に おやつを持っていきましょう  二人は 談笑中のようです  こんこん 「はい」  おやつですよ 「あ すみませんっ わざわざ あのっ ありがとうございます」  気にしなくて良いのですよ  さて お母さんは 若い二人のお邪魔をしないように  出ていきます 出ていきますからね  さ 二人とも 若さに任せて  きゃあ 私ったら 何を考えているのでしょう  とててててて  小走りに部屋を後にしました  はあ はあ  二人とも ファイトですよ  さて私は 下でのんびり 待っているとしましょう  待ちましょう  そわそわ  うずうず  ああん ダメです  やっぱり 気になりますね  ちょ ちょっと 覗くくらいなら ええ  息子が心配なんです これくらい 母として 当然  そろりそろり  ドアを ちょっとだけ きい  ……  二人はただ喋っているだけです  仲むつまじいですが もっと こう  いらいら  早くお母さんを安心させてください  さあ そこです 十夜 ファイトっ 秋野さんの肩に 手を回すくらい さあっ 「何してるんだ母さん」 「きゃあ」  突然ドアが開けられて 私はバランスを崩してばたんきゅう  その後 秋野さんが帰った後 十夜にこみっちりお説教されちゃいました  くすん  恋の手ほどき編  どうも 十夜は 奥手でいけません  でも 私も 男の子の気持ちは分かりませんから  ここは一つ 色々知ってそうな 先生をお呼びしましょう  せんせーい 「……なんですか一夜さん」  鏡夜くん 今日は 先生になってください 「先生って 言われても」  恋の手ほどきです 「でも 具体的に どーすりゃいいのか」  ううん そうですね  私も 色々知らないと いけませんし  シミュレートしてみましょう  まず 「はい」  私に抱きついてください 「ええっ」  何ですかその過剰な驚きようは  私たちは伯母と甥 別に 抱擁くらい 「いえ でも」  あっ まさか  分かりました こんなオバサンに 抱きつきたくない  よよよ 酷いです 「え その 違いますってば」  違うならば 態度で示してください  だなんて 乗り気な私 「わ 分かりました」  おっかなびっくり 鏡夜くんが私に身体を預けてきます  ううん これから どうしましょうか  ええと 「ね〜むれ〜 ね〜むれ〜」  ついつい 背中をぽんぽんして 子守歌なんて歌っちゃいます  これが若い男女の行為  なわけありません  ええとどうしましょう鏡夜くん  鏡夜くん?  あら 「すう すう」  寝ちゃいました  まあ 寝顔の可愛らしい  でも どうしましょう 「ただいま」  あら 十夜が帰ってきてしまいました 「……あれ 鏡夜 なにしてんの 」  ええと 恋の手ほどきをしてもらおうと した結果 こうなって  つまり 「寝に来たのです」 「あ そう」  なんだかあきれ顔で 十夜は部屋に行っちゃいました  うーん 何か 違う気がします  けれど まあ いいでしょう 「すう すう」  うふふ可愛い