夢のコント劇場『お茶目な美凪さん なぞなぞ編』

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 じーわ じーわ じーわ

 蝉時雨の降り注ぐ中 毎度お馴染みの顔ぶれが揃っています

 駅舎の壁を背もたれにして ぼんやりしている国崎さんとみちる

 そして ベンチに腰掛けてお勉強中の私

 国崎さんとみちるは 上半身 裸です

 男の裸 うへへへ 違います

 先程 みちるがつまずいて転んで 国崎さんがそれを笑いました

 案の定 怒り心頭になったみちるは 国崎さんに飛び掛かりました

 逆に国崎さんが 転んだみちるに飛び掛かっていたら 洒落になっていなかったように思います

 それはいいとして 二人はいつものようにじゃれ合って 砂まみれになって

 当たり前のよーに 二人で駅舎のシャワー室に入っていきました

 私を置いて(重要)

 にゃんにゃん にゃんにゃん と啼き声が聞こえ 二人はさっぱりした顔で出てきました

 何だか最近は それが定例になりつつあるような

 むー

 私だけ のけ者です ナマケモノは関係ありません

 はあ 私も国崎さんとじゃれ合って 一緒にシャワーを浴びたいです

 勿論 両方ともに 大人的な行為を内包しつつ

 むしろ そちらをメインに そうじゃありません

「…はふん」

 ごめんなさい お母さん 美凪ははしたない女の子に育ってしまいました

 思春期特有の性的好奇心だということにしておいて下さい

「にゅふふ 国崎往人〜」

 みちるがぐりぐり頬ずりをしながら呼び掛けました

「なんだよ」

「なぞなぞを出すから答えろ」

「偉そうだな まあいいや よし来い」

「んにっ じゃあ 最初の問題」

「おう」

「乗る時に降りて 降りる時に登る乗り物なーに?」

「は?」

 国崎さんのお顔が固まりました

「何だよそれ」

「それを考えるのがなぞなぞだ」

 にゅふふふと含み笑いをするみちる

「難しくないか」

「それは人それぞれ 簡単だって言う人もいる」

「むう」

 ぐおー とか ぬあー とか唸る国崎さん

「うーんうーん 大学入試試験クラスの難度だな」

「そんなわけない」

「うぐぐぐ」

 ふふふ 何だか可愛い

 勿論 私は分かっています

「なあ ライフラインはないのか」

「んに フィフティフィフティが残ってる」

「答えが提示されてないぞ」

「じゃあ 自分で考えろ」

 それでは詐欺ではないでしょーか

「むおおお」

 みちるはフフンと鼻を鳴らして

「にゅふふ 降参か」

「くっ」

「降参なら 『参りましたみちる姫』と言え」

「嫌だ」

「にゅふふん それならそうして一生悩み続けるがいいー」

 みちるが まるで悪の女王のよーです

「くっ くそおお」

 国崎さんは 悔しそうに歯噛みをして

「ま まいりました みちる                            姫」

「スンゴイ間があったけど まあいいや」

 みちるは満足そうに微笑みました

「にゅふふ 美凪は分かった?」

 乗るときに降りて 降りるときに登る乗り物

「地下鉄でしょう」

「正解ー」

 ぱちぱちと手を叩くみちる

「正解の美凪さんには 3000000点が与えられます」

 多すぎませんか それ

「…三百万点 げっちゅ」

「地下鉄 地下鉄 おお なるほどっ」

 ようやく理解してから 羨望の眼差しで私を見つめる国崎さん

 ああ そんなに見つめられたら

「…ぽ」

「美凪をいやらしい眼で見るな みちるヘッドアタック!」

 ボゴン

 矢と化したみちるが 国崎さんに頭突きをしました

「げふっ」

 ・
 ・

「じゃあ 次の問題をくれ」

「んに」

 既になぞなぞは30問ぐらい続いています

 国崎さんは一つも答えられていません

 少し難しく考えすぎているのではないでしょうか

 軽い気持ちでいて 頭に閃いたことが正解なんですけど

「んーと」

 みちるも持ちネタが少なくなってきたのか 少し考え込んでいます

「ようし じゃあ行くよー」

「来い 今度こそ」

「裸になってすることで 気持ちのよくなることってなーんだ?」

 簡単です セック

 ほにゃああああっ!?

 え あ ちょ ちょっと えええええ?

 み みちる いつの間に そんなことを覚えたの

 私がそんな単語(ぽっ)を覚えたのは 中学生になってからでしたのに

 ああ 最近の子どもは進んでいるって本当だったんですね

 って みちるは普通の女の子じゃありません

 でも いったい誰にそんなことを教わったの

 やっぱり国崎さんに 無理矢理 教え込まされたんでしょうか

 それとも みちるが自分から 『先生 教えて下さい』 なんて言って

 手取り 足取り 腰取り

 予習 実習 復習まで 全てを

 ああ うう あああ

 なんて羨ましい そうじゃありません

 はふん 私 錯乱しています

 落ち着くのよ美凪

 みちるがそんなことを知っているはずありません

 きっと私の勘違い

「うーん ヒントをくれ」

「えっと それは普通は家の中ですることだけど たまに屋外に出てすることもある」

 野外プレ

 うわきゃああああああああああ

 ひゃわわわわわ やっぱりぃぃ

 い いいえ いいえ 落ち着いて美凪

 まだそうと決まったわけじゃ

「むうう 第二ヒントをくれ」

「んーと 服を脱ぐのが基本だけど ごくまれに着たまますることもある」

 服を着たまま

 はにゃあああああああああああ

 ふみゅうう やっぱり やっぱり セック ううう

 くううっ 落ち着いて 落ち着くのよ 遠野美凪ッ

 まだ まだ 一縷の望みが

「第三ヒント」

「んにー それはみちるも大好きなこと」

 みちるも大好きぃぃぃぃぃっ!?

 あひゃあああああああああああああ

 す 好き

 ススキ 違います

 スキヤキ 違います

 ふあー はわー ひあー

 み みちるが 性の快楽の虜になっていたなんて (←?)

 ああっ ひょっとしたら もう既に私が及びもつかないよーな領域まで踏破しているのかも

 屋外や服を着たままは無論のこと

 あんなことや そんなことを

 あまつさえ $※¥なことや 更には%×*@+?#っっっ (←不適切な発言)

 ああ あああ ああああ ああああああああああ

「第四ヒントっ」

「うにゅ これが最後だよ」

「おう」

「えっと 美凪も好きなこと」

 えええええ!?

 みちる どうして そんなことまで知っているの そうじゃありませんっ

 どひゃああああああああああああっっっっっっ

 そ そんなっ えっ あっ

 みちる 勝手にそんなことを言わないで下さい

 た 確かに 嫌いというわけではありませんけど

 でもでも 大切なのはお互いの心であって 肉体的なことは

 あああ すみません 私 自分に嘘を吐いています

 ううううー ああああー

「駄目だ 分からん」

「にゅふふ 美凪は分かった?」

 びくぅっ

「え え ええと」

 そ そんな花も恥じらう乙女の私に そんな単語を口にしろと

 あう あう あう

 みちると国崎さんは じっと私を見つめています

 分かりませんと言うのも わざとらしいですし

 い 言うしかないんですか

 いやぁぁぁぁ―――――っっっ

「美凪も分かんないみたいだね」

 えっ

「答えはね」

「待ってみちるっ」

 だめっ みちるの汚れない唇に そんな単語を発音させるわけにはいきません

 それなら せめて私が肩代わりを

「はあ はあ はあ はあ」

 ああああ うううう

 くすんくすん ごめんなさいお母さん 美凪はこれから汚れます

「あっ 分かった!」

 国崎さんが大きな声を出しました

「間違いない 分かったぞ」

「なあに 言ってみて」

「よしっ」

 え あ そ そんな

 国崎さんは男性ですから 平気かもしれませんけど

 でもでも ここには花も恥じらう乙女が二人いるんですよっ!?

「国崎さん 待っ」

「答えは 風呂だ!」

 ほえ

「にょわっ 正解〜」

 みちるがびっくりした表情で ぱちぱち手を叩きました

「やったあー いやっほー ひゃっはー」

 子どものように飛び跳ねて 全身で喜びを表現する国崎さん

「………………………」

 呆然とする私

 裸になってすることで 気持ちのよくなること

 確かにお風呂は裸になりますし 気持ちがよくなります

 普通は家の中ですることだけど たまに屋外に出てすることもある

 大概のお風呂は家の中ですが 露天風呂というものもあります

 服を脱ぐのが基本だけど ごくまれに着たまますることもある

 無粋ですが 温泉などでは水着を着て入浴する方もいます

 みちるも私も大好き

 ええ お風呂は大好きです 日本人ですから

 つまり全て 私の勘違い

「…はふん」

 どさっ

「と 遠野?」

「にゃわっ 美凪が倒れた」

「顔が真っ赤だぞ 日射病か」

 違います

「大変だ おいみちる 聖を連れてきてくれ」

「がってんだいっ」

 え!?

「ま 待って 平気 平気です」

 慌てて二人を止める私

「ちょっと立ち眩みを起こしただけですから」

 ああ 我ながら なんてさもしい言い訳

「んに 美凪 いつの間に『読書好きの病弱美少女』のスキルを手に入れていたの」

 何ですか それは

 ・
 ・

 気を取り直して また三人でくつろぎます

「なあ みちる」

「んに」

「さっきの問題の得点はどれぐらいだ」

「んーとね 6点」

「ちょっと待て 少なすぎないか」

「最終問題だし ヒントもいっぱい出したから」

「ぐぬぬ」

 うふふ 二人とも可愛い

 こんな無邪気な二人が えっちなことを考えているわけがありません

 って それはつまり 私がえっちだということにっ?

 こ この件に関しては 後日に再考することにしましょう (←問題の先送り)

「にゅふふ 国崎往人は6点獲得したから 今晩は6回だー」





 ………は?





「ちっ たった6回か」

「んに」

「じゃあ その6回に全てを注ぎ込んでやるから 覚悟しろよ」

 みちるのあご先を 指でくすぐる国崎さん

「にゃあん♪」

 うっとりと『女』の表情をしながら もじもじお尻を揺するみちる

 えっ えっ

 何ですか この意味深な会話はっ

「そうだ どうせだから 山の上の神社に行ってするか」

「にゅふふ 国崎往人の背徳好きー」

「何を お前だって」

「にゃううん♪」

 ちょ ちょっと二人ともっ 私の存在を無視していませんかっ?

 二人は 何やら熱っぽい視線で見つめ合っています

「汗をかいたし シャワーでも浴びるか」

「うん♪」

 手に手を取って 駅舎の中に入っていくみちると国崎さん

 あ あの もしもーし

 やがて水音に混じって みちるの歓声が

「にゃん にゃん にゃんっ♪」

 ばしゃばしゃばしゃっ

「みちるっ」

「にゃああああああ♪」

 にゃあああああああ じゃありませーんっ


                     夢のコント劇場『お茶目な美凪さん なぞなぞ編』 おしまい

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 星牙でございます。
マキ「マネージャーの小原マキです」

 ふくらみかけ万歳。
マキ「おーい」
 往人とみちる嬢の関係については、読者諸兄の皆々様のご想像の通りです。
マキ「フォローになっとらーん!」
 大丈夫、愛の前にも後ろにも横にも斜めにも壁はないヨ。
マキ「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」 
 このネタは『お茶目な秋子さん』では使いにくかったから、こちらにお鉢が回ってきました。やっぱり美凪女史には、秋子さんとは違う味があっていいなあ。
マキ「美凪女史には、エライ迷惑じゃ」
 最後にもう一度、ふくらみかけ、ハラショー。
マキ「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」

 お読みいただきありがとうございました。
マキ「それでは、ご機嫌よう」





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