愛の浪漫劇場『つやつや秋子さん わたしがママよ編』

 ※名雪エンド後のお話しです。でも名雪女史の出番は皆無です(笑)
 ※えっちです。いつものことです(←開き直り)。

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 晩冬に交通事故に遭った秋子さんは、春が終わる前に無事退院し、水瀬家に戻ってきた。

 その日、秋子さんの快気祝いにささやかなパーティを開き、その場で俺は秋子さんに名雪との交際を認めてもらいたいと頼んだ。

「了承」

 毎度のやり取りで、許しを得られた。…信頼してもらえているということなんだろうけど、そんなに簡単でいいのだろーか。

 ・
 ・ 

 その夜、俺は秋子さんに呼び出され、居間のソファに座っていた。ちなみに名雪は一番風呂に入ってそのまま速攻で寝ている。

「お待たせしました、祐一さん」

 お風呂上がりで寝間着に着替えた秋子さんが、いつもの柔らかな微笑を浮かべながら、飄然と姿を現した。

「秋子さん、話しって何ですか」

 秋子さんがソファに腰掛けるのを待って、こちらから切り出す。

「あらあら、うふふ。せっかちですね」

「腹の探り合いは面倒ですから」

 ほほに手を添えて微笑んでいた秋子さんは、ふっと表情を引き締めて俺を見据えた。

「では、単刀直入に申し上げます。…祐一さん」

「はい」

 怖じ気づかないように気を張りながら、秋子さんの瞳を見返す。

「昼間、私は祐一さんと名雪とのお付き合いを認めましたけれど、敢えて訊かなかったことがあります」

「はい」

「お訊ねします。祐一さんは、名雪との交際を、真剣に考えていらっしゃいますか」

「…はい、考えています」

「それはつまり、いずれは名雪と結婚するおつもりであると解釈して宜しいですか」

「将来的には、そのつもりです」

「そうですか」

 秋子さんはほっとしたように表情を緩めてから、また真っ直ぐに俺を見据えた。

「それでは、本題に入ります」

「はい」

 手の平に滲んできた汗を握り込みながら、こっくりうなずく。

「名雪と結婚するということは、私は祐一さんの義母になるということですよね」

「…? はあ、そうですね」

 なんでいきなり、そんな方向に話しが飛ぶんだろう。

「…分かりました。こういうことは、早いほうが何かと宜しいでしょう」

 秋子さんは小さく呟くと、決然と俺を見据え、































「今日から私が、あなたのママになります」































「お休みなさい、秋子さん」

 立ち上がって大急ぎで部屋に戻ろうとしたが、間に合わずに秋子さんにすがり付かれた。

「ああん、どうして?」

「どうしてじゃありませんっ!」

 こんなやり取りのために居住まいを正して、緊張までしていた自分が腹立たしい。

「俺と名雪が結婚して、秋子さんが義母になることまでは分かりますけど、どうしてそれがママ云々になるんですかっ」

「でも祐一さんも、『秋子お義母さん』なんて呼びにくいでしょう? ですから、親しみの込めやすい『秋子ママ』と呼んで下さい」

「今まで通り秋子さんのままで、何の問題もありません」

 秋子さんは俺の腕にすがり付いたまま、ふにふにと身悶えて、

「でも、せっかく新しい関係になるんですし、趣向を凝らした面白いことの一つぐらいあってもいいじゃありませんか」

「面白くありません」

「…はぅ」

 秋子さんは瞳を見開いて、小さくのどを鳴らすと、ゆるゆると腕を離した。それから、しょんぼりと絨毯の上にうずくまって、

「ぐしゅ、ぐしゅ…せっかく、一生懸命考えたのに…」

「……」

「…祐一さんの意地悪…不人情…冷血漢…えぐえぐ、えぐえぐ、えぐえぐ」

 絨毯に指で『乃(何故か漢字)』を描きながら、恨みがましい独り言を繰り返す秋子さん。

「ああ、もう。泣かないでくださいよ、秋子さん」

 秋子さんは顔を伏せて、絨毯をガリガリと引っ掻きながら、

「…ママ」

「え?」

「ママって呼んでくれないと、嫌です」

「……。俺、もう寝ますから。お休みなさい」

 呆れて居間から退散しようとしたが、

「くすんくすん…そうですか、不人情な祐一さんは、老い先短い叔母の頼みも聞いて下さらないんですね…」

 当て付けがましい怨嗟の呟きが、背後から聞こえた。

「ふう…なんだか私、このままもう一度病院に入ってしまって、そのまま死んでしまいそうな気分です、ゲホゲホ」

「……」

 こうまで言われては、さすがに放っておくわけにもいかず、回れ右して秋子さんの側に歩み寄る。

「泣かないでください、秋子さん」

 秋子さんは泣き濡れた顔を上げて、おねだりするように上目遣いで俺を見つめた。

「ママって呼んで下さい」

「それは勘弁して下さい」

「う゛〜…ママ」

「うなったって駄目です」

「ママ」

「だから…」

「ママ」

「あの…」

「ママ」

「……」

「マ〜マ〜」

「だああっ、分かりましたよっ、言います、言えばいいんでしょう」

「まあ、ありがとうございます、祐一さん♪」

 ぱあっと顔をほころばせて微笑む秋子さん。ありがとうございますっていうのも、なんか変な気がするけど。

 ・
 ・

「では祐一さん、張り切ってどうぞ♪」

「はいはい」

 秋子さんと向き合って、軽く深呼吸をする。

「ふう」

「…じー」

 秋子さんは床の上にちょこんと可愛らしく正座をして、きらきらと輝く瞳で俺を見つめている。

「……、…」

 いざ言うとなると、ものすごく恥ずかしい。

「あの、やっぱり、言わないと駄目ですか」

「だめです」

 秋子さんは間髪入れずに『めっ』という感じでそう言うと、俺の肩に手を掛けて、

「えいっ」

「うわっ」

 いきなり押し倒されて、馬乗りにまたがられた。心地よい重みが、下腹部に掛けられる。

「ちょ、ちょっと、秋子さんっ?」

「ママです。きちんと言って下さらないと、降りてあげません」

 それは脅迫です。

「ほら、祐一さん。恥ずかしがらないで」

 前屈みになって俺の顔を覗き込みながら、わくわくとした表情で急かす秋子さん。いい具合に俺の下腹部に乗っかっていた秋子さんの大きなお尻が、むぎゅっと形を変えた。

「うっ」

「ゆ・う・い・ち・さん」

 秋子さんはさらに躰を倒し、ほとんど覆い被さるような体勢になって、さらに急かしてきた。

 衣服越しに、秋子さんの乳房のずっしりとした重みと柔らかさが、これ以上ないほどはっきりと伝わってきて…って言うか秋子さん、ひょっとして下着を付けていない?

「うふふ」

 秋子さんが、朗らかな笑顔をぐっと近付けてきた。

「さあ、こうやって、口を開けて」

 秋子さんはにこっと微笑みながら、口を『あーん』と開けた。

「マ・マ…ほら、簡単でしょう? だから、恥ずかしがらないで、言ってみて…ね?」

 ほとんど鼻が触れ合うような至近距離で、柔らかく微笑む秋子さん。

「あ、あう」

 い、いつの間にか、攻守が逆転しているッ!?

「ママと一緒に、口を開けて…はい、あーん♪」

 秋子さんは無邪気に微笑みながら、また大きく口を開けて催促した。

「い、いやです」

 小声で拒絶してみたが、

「あーん♪」

「いえ、だから…」

「あ――ん♪」

「あの…」

「あ――――ん♪」

「…………あ、あーん」

 秋子さんの猛攻撃に抗いきれるわけもなく、怖ず怖ずと口を開けてしまった。

「いい子ね…じゃあ、『ま』って言ってみて」

「ううっ……ま」

 秋子さんは瞳を細めてにっこりと微笑み、

「はい、もう一回…ま」

「…ま」

「よく出来ました…それじゃあ、続けて、二回…マ・マ」

「…マ………はぅあっ」

 穏やかだが、有無を言わさぬ秋子さんの誘導に、破滅の言葉(←?)を口走ってしまいそうになっていた。

「や、やっぱり駄目ですっ、これだけは」

 ぶんぶん首を左右に振り、必死で固辞する。

「あん…どうして、そんなに頑固なの?」

 俺のほっぺたを優しく撫でながら、寂しげに美貌を曇らせる秋子さん。

「ねえ…ママのお願い、聞いてくれないの? …ママ、寂しいな…」

 ぐはあっ。

「ううっ」

 秋子さんの可憐な仕草に、決意が揺らぐ。

「ねえ、ママのことが嫌いなの? …だから、ママのこと、いつまでたってもママって呼んでくれないの?」

「いえ、そんなことは…て言うか、そもそも『いつまでたっても』ってほど時間は経ってません」

「…すんすん」

 俺の突っ込みを何事もなかったかのように聞き流し、鼻を鳴らす秋子さん。

「くすん…ママのことをきちんと呼んでくれたら、ママ、なんでもしてあげちゃうのに」

「へ?」

「おっぱいだってあげちゃうし、ママのことが欲しかったら、幾らでも自由にしてくれていいのに…」

 秋子さんは変な口調で、『ちょっとちょっとおいおい』と突っ込まずにはいられないことを呟いている。

「…ねえ、ママの言うこと、信じられない?」

 上目遣いに俺を見つめながら、弱々しく呟く秋子さん。

「秋子さんの言ってることもですけど、むしろ現状が現実だと信じられません」

 悪い夢でも見てるのかな、俺。

「そう…やっぱり、ママのこと、信じてもらえないのね…」

 秋子さんの瞳が、寂しげに伏せられた。

「…分かったわ。信じてもらえないのは、ママの責任だもの…」

 秋子さんはそう呟くと、何かを決意したような表情で躰を起こした。

 ようやくこの拷問さながらの状況から解放されるのか、と安堵したのも束の間、































「信じてもらえるまで、ママは頑張りますっっっ」

 する、と肩を滑らせ、寝間着を脱ぎ捨てる秋子さん。































「ちょ、ちょっと、なんで脱ぐんですかっ!?」

 剥き出しにされたはずみで、ゆさゆさと波打っている乳房に眼を奪われながら、必死で声を振り絞る。

 上半身裸になった秋子さんは、三つ編みを解きながら、澄んだ綺麗な瞳で俺を見据えた。

「怖がらなくても大丈夫よ。ママ、分かったの」

「なにがですか」

「ママの我が侭を押し付けて、形だけ『ママ』って呼んでもらっても、なんにもならないのよね。そうじゃなくて、祐一ちゃんがママのことを心から『ママ』って呼んでくれるように、ママが頑張らないといけなかったのよ」

 微妙に間違った方向に開き直っているというか、俺はいつから祐一ちゃんになったんですかとか、秋子さん口調が変ですとか、ママママ連呼しないでくださいとか、そもそも俺の質問に答えてませんとか、突っ込みたいことが色々ありすぎて、どうすればいいのか分からん。

 そうこうしている間に秋子さんは三つ編みを解き終え、軽く頭を振って髪の毛を背中に散らした。

「だから…ね、祐一ちゃん」

「はい?」

 秋子さんは熱っぽく潤んだ瞳を俺に向け、うっとりと媚笑した。

「ママ、頑張っちゃいますからねっ♪」

 飛び込むような勢いで、俺にのし掛かる秋子さん。生の乳房が、むぎゅっと押し付けられる。

「が、頑張るって、何をっ!?」

「もう、分かってるくせに……うふん♪」

 秋子さんの白魚のような指が、俺の下腹部を撫でた。

「あうっ」

「ねえ、祐一ちゃんぐらいの年齢だと、やっぱり色々と溜まるモノ…毎日、発散させないと、欲求不満になっちゃうようなモノがあるわよね?」

「え? それは、その…」

 俺が言葉を濁らせていると、秋子さんは唇が触れ合いそうになるほど顔を近付けてきた。

「あるわよねっ? ねっ!?」

 質問口調だが、異論を認めない強引さがあるよーな気がする。

「は、はあ」

 俺が思わずうなずいてしまうと、秋子さんもこっくりと満足げにうなずき、

「そうよね♪ 分かったわ、ママに任せておきなさい。祐一ちゃんが若気の至りに及ばないように、ママが全部吸い尽くし…じゃなくて、受け止めちゃいますっ♪」

「ちょっと、秋子さんっ! いま、何か縁起でもないことを…」

「ママです」

 むんにゅっ。

「ふぐっ」

 突っ込みを黙らせるために、俺の顔を乳房で挟み込む秋子さん。

「うふふ、それじゃあ、後はママに任せておいてね♪ 祐一ちゃんが枯れ果てるまで、根こそぎ搾り尽くし…じゃなくて、ええっと…とにかく、ママは頑張りますから♪」

「頑張らないで下さいっ…あ、あーっ」

 秋子さんの指が閃いたかと思うと、俺の寝間着と下着が信じられないほど素速い手捌きで剥かれ、宙を舞っていた。

「ちょっ、ちょっと、秋子さんっ! 待った、待って下さいっ」

 秋子さんは無邪気とも言えるような朗らかな表情で、にっこり微笑んで、

「マ・マ♪」

 チュッと音を立てて、俺のほほにキスをする秋子さん。

「うふふっ。大丈夫、ママに任せておいてねっ♪」

「あー、うー」

 秋子さんは俺を抑え込みながら、残っていた寝間着を下着ごと脱ぎ去った。

「ほら、祐一ちゃんも、遠慮なんてしないでもいいのよ? ママにうんと甘えてもいいの…むしろ、ドンと来なさい」

 目映いばかりの裸体を惜しげもなく晒しながら、母性的な微笑を浮かべる秋子さん。

「祐一ちゃんは若いんだもの、いざとなればそれこそドン、ドン! ぐらいの勢いで…うふふっ♪」

「なんですか、それは」

 秋子さんはぽっとほほを赤らめ、少女のようにはにかんだ。

「だから、ママの腰が壊れちゃって再起不能になるぐらいに、すっごい激しい勢いで、何度も何度も…きゃあっ、何を言わせるの、祐一ちゃんったら♪」

 照れ隠しに俺の頭を抱え込み、思いっ切りかき抱く秋子さん。

「もがっ」

 厚みのある乳脂に鼻先が埋まり、匂い立つような濃い女香が肺に流れ込んできた。

「むぐ、むぐぐっ」

「あ、あっ、あふんっ♪ く、くすぐったいっ…はぁん♪」

 秋子さんはうっとりと顔をほころばせ、こそばゆそうに躰をよじって身悶えている。

「うー、うー」

 秋子さんと絡み合ったまま、絨毯の上でもがもがと足掻く。

「うふふっ、ゆ・う・い・ち・ちゃん♪」

 繊手と太ももを俺の手足に絡めて、うずうず躰を揺すりながら、甘く囁く秋子さん。さらさらすべすべの柔肌が、くすぐるように俺の躰を撫でていく。

「ああ、うう」

 理性と衝動の葛藤で既にへろへろだが、それでもまだ歯を食いしばって耐える。

「…あっ、ひょっとして」

 見事な関節技で俺を抑え込んでいた秋子さんが、ふと呟いた。

「ねえ、ママ、裸エプロンとか着た方がいい?」

「は?」

「それとも、裸Yシャツ? 裸Tシャツとか…ママ、祐一ちゃんのためなら、どんな格好でもするけれど」

「裸エプロンも裸Yシャツも裸Tシャツも、着るものじゃないと思います…いや、そうじゃなくて」

「あら、違うの? それじゃあ…あっ」

 秋子さんは赤らんだほほに手を添えて、気恥ずかしそうに瞳を伏せた。

「……お尻が、いいの?」

「へ?」

 秋子さんはふにふにと躰をくねらせて、上目遣いに俺を見つめた。

「祐一ちゃんがどうしてもって言うなら…ママの初めてを、祐一ちゃんにあげても…いいわ」

 そうか、秋子さんは後ろは経験ないのか。…いや、そうじゃないっ。

「ええっと」

 いりません、と断るのは失礼だろうし、そもそも貰えるんだったら、俺から頭を下げて頼んででも貰いたいぐらいだし…ああっ、錯乱しているぞ、俺!

「うー、うー」

 いかん、このままでは秋子さんの色香に籠絡されてしまう。…もう手遅れのよーな気もするけど。

「ねえ、祐一ちゃん」

「はい?」

 覗き込むように顔を近付け、低い声で囁く秋子さん。

「…ママ、いま祐一ちゃんに、お尻をあげちゃうことを想像してみたんだけど」

「しないで下さい…それで?」

「…すごく、どきどきしてきちゃったの」

「ゑ゛」

 確かに、密着している秋子さんの素肌は濃い桜色に火照り、体温も明らかに高くなっている。

「だから、もう…ママ、我慢できないのっ」

 潤みきった瞳をきらきらと輝かせながら、悲鳴のような声で叫ぶ秋子さん。

「我慢してください! 俺だってしているんですから…じゃなくて、ええと」

「無理よ…もうママ、我慢できないっ」

 秋子さんはふるふるとかぶりを振って、薔薇色に紅潮した美貌を向けた。

「祐一ちゃんがいけないのよっ、祐一ちゃんがいけない子だから! ママをこんな気持ちにさせて…ママが女であることを、思い出させて!」

「なんで俺のせいになるんですかっ」

 俺の真っ当な突っ込みをあっさり回避し、さらに身を乗り出す秋子さん。

「ごめんね、祐一ちゃん…こんなママを許して…」

「ちょ、ちょっと、秋子さんっ! どこまで本気なんですかっ?」

「全部(一秒)」

「即答しないでください! …あ、ああー!」

 ・
 ・

「はぁっ、はぁっ、あっ、ぁはぁっ、はぁんっ、あんっ、あんっ、ああっ、あぁんっ♪」

 かん高く上擦った嬌声が、居間に響き渡る。

「ふぅっ、ぅふぅっ、ぅんっ、んん…っ、…ゆ、祐一ちゃんっ、気持ちいいっ? ママの中、気持ちいいっ?」

 ほほを鮮やかな林檎色に紅潮させ、弾んだ声音で訊ねる秋子さん。

「ママ! ママ! 僕、最高だよ! もう出ちゃうよママっ!」

「秋子さん、勝手に返事をしないで下さい! しかも選りに選って変なセリフで!」

「あらあら、うふふ」

 俺の名誉に掛けて誓うが、どんなに血迷ってもあんなセリフは吐かない。

「祐一さんは、焦らして言わせるほうがお得意ですものね♪」

 秋子さんが悪戯っぽく微笑んで、可笑しそうに呟いた。

「……」

「あら、黙秘? だけど、ママはなんでも知っているのよ。ほら、こんなことも…」

「あぅっ」

「きゃっ、すごい……あっ、あっ、ああんっ♪」

 ・
 ・

 俺と秋子さんの意地と信念のぶつかり合いは、最後まで意地を張り通した俺と、目的を見失った秋子さんの泥仕合になった挙げ句に20ラウンド(←?)までもつれ込み、壮絶な両者相打ちで幕を閉じた。

 ・
 ・

 絨毯の上で、秋子さんと一緒にぐったりと寝そべる。窓の外はもう明るい。

「はぁ、ふぅ、はぁ…うふん」

 うつ伏せになっていた秋子さんが、大きなお尻を重そうに転がし、ふらふらと躰を起こした。ほっぺたはやつれているものの、生気に満ちてつやつやしている。

「うふふ、お疲れ様でした♪」

 まだ恍惚と愉悦が色濃く残っているような、微妙な笑顔で微笑む秋子さん。

「はあ」

 重い躰を起こしながら、一応うなずき返す。

「うふふ。楽しい一夜でしたね、祐一さん♪」

 ようやく『祐一ちゃん』は終わったらしい。

「んん…ぁふぅ」

 気怠げな溜め息を漏らし、ほほに掛かった髪の毛をかき上げる秋子さん。動作の一つ一つが、やけに色っぽい。
 
「はあっ…こんなに燃えられるのなら、もっと早くこうしておくべきでした…」

 なんだか物騒なことを呟きながら、昨夜の記憶を反芻しているのか、秋子さんの腰がゆらゆらと振られる。

「ねえ、祐一さん」

「はい」

「私、まだ諦めたわけじゃありませんから」

「へ?」

 秋子さんは四つん這いになって、身を乗り出しながら、俺の顔を見つめた。紡錘形になった乳房が、たゆたゆと震える。

「私のことをきちんとママって呼んで下さるまで、何度でもお願いしますからね♪」

「ええ!?」

「うふふ、昨晩は私が攻めでしたから、今晩は『双方合意の上で、際限のない情痴と淫奔の大渦に呑み込まれる義母と息子』という設定にしましょうか」

 そのシチュエーションには、それなりに心惹かれるものがあるけど…いや、そーじゃない。

「待った! 秋子さん、思い直してください」

 秋子さんはほほに手を添え、可愛らしく小首をかしげた。

「あら、ご不満ですか? それでしたら、祐一さんが攻めで『義母を押さえ付けて、力尽くで手込めにする義理の息子』でも構いませんけど」

「そうでもありませんっ」

 でも、それもいいなあ。…違うっ。

「……」

 俺を見つめていた秋子さんの瞳が、いつの間にかうっとりと潤んでいる。

「秋子さん?」

「はあ…いま、祐一さんに乱暴に手込めにされてしまうことを想像してみたんですけれど」

「だから、しないで下さい。…それで、まさか」

 秋子さんはほほを赤らめて、こっくりとうなずいた。

「はい…また、火が点いてしまいました♪」

 ぶるるっ、と疼くように躰をわななかせ、色っぽく囁く秋子さん。

「明るい口調で言わないで下さいっ…どおおっ」

 逃げる暇もなく、覆い被さられた。

「うふん…祐一ちゃん♪」

 ああっ、また祐一ちゃんに戻っているっ。

「はあ…また、ママをこんなふうにおかしくさせて…祐一ちゃん、ホントに悪い子なんだからぁ♪」

 甘く囁きながら、愛おしげに俺の胸板に唇を這わせる秋子さん。

「だからなんで、俺のせいにするんですかっ…あああ」

「ん、ん、うふん♪」

「あうっ…ちょ、ちょっと、秋子さんっ」

「ママですっ♪」

「あー」


                   愛の浪漫劇場『つやつや秋子さん わたしがママよ編』 おしまい

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 星牙でございます。
マキ「マネージャーの小原マキです」

 今回の作品は、某幸福☆調教…もとい、幸福☆授業の流れを汲んでいます。
マキ「何処がじゃ!」
 ママが重要語句という点。
マキ「しれっと言うなああっ!」

 あっちの本編のほうも、本作品中のよーな展開があればなあ。コンチクショー。
マキ「それは、18禁じゃろーが。つーか、本気で悔しがるな」
 だって、明らかに勿体ないよ。養護教諭の某ママ先生こと某お姉ちゃん様が、あの声で、

「ほら、遠慮なんてしないで…ね? ママにうんと甘えてもいいの…むしろ、ドンと来なさい」

 とか、

「あなたがいけないのよっ、あなたがいけない子だから! ママをこんな気持ちにさせて…ママが女であることを、思い出させて!」
 (略)
「ごめんね…こんなママを許して…」

 とか、

「どうしてもって言うなら…ママの初めてを、あげても…いいわ」

 なんて囁いてくれた日には、もう!!!!
マキ「もう!!!! じゃないっっっっ!」
 うぃぃ。似た雰囲気のセリフはないでもないけど、それでも、それでもっ…ぐぬぬぬ(歯噛み)。
 情欲シリーズで『情欲女教師』古文、化学(だっけ?)、養護教諭、美術、体育、それぞれ描いてみようかな。
マキ「やめれ―――」

 お読みいただきありがとうございました。
マキ「それでは、ご機嫌よう」


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