愛の浪漫劇場『つやつやかのんえっくす 前編』
注:本作品『つやつやかのんえっくす』はかなりハードです。未成年の方は読んじゃダメです。
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「ふぅ…やっと着いたか」
電車に揺られること三時間強、駅を出た俺は七年ぶりの街の空気を吸い込んだ。
「………」
冷たく澄んだ大気が肺に送り込まれていく。
一心地着いてから、俺は駅前の街頭時計に目をやった。時計の針は十一時五十分を指している。
「予定より少し早かったな」
取り敢えず迎えが来るまで待つことにして、俺はベンチに腰掛けると、手荷物の入った鞄を脇に置いた。
「……雪か」
薄暗い空から、白い固まりが止めどなく舞い落ちている。俺はぼぉっとその光景を見つめていた。
・
・
「………寒い」
俺は五分もしないうちに震えだしていた。躰の芯から直接熱を奪われるような感覚。
「うぅ…早く来い、名雪〜」
寒さを意識しないように、七年間顔を見ていない従姉妹のことを必死で思い出す。
明るくて、ほわっと柔らかい笑顔の似合う女の子…。
「……」
名雪のほぇーっとした性格のことを思い出して、俺はふと不安になった。
「…あいつ、時間通りに来るのか?」
正午前の電車で駅に着く予定だから、十二時ちょうどに迎えに来てくれるという話だったが…。
それもお袋からそう聞いただけで、名雪本人が言っていたことなのか確かめていない。もし本人がそう言っていたのだとしても、あのほぇほぇ娘なら平気で一時間や二時間は遅刻しかねない。
「…まずいな」
さて、どうするか。交番を探して道順を訊いてみるか。
「うーむ」
俺が真剣に考え込んでいると、
「うふふっ。…だ〜れだ?」
背後ではずんだ声がしたかと思うと、いい匂いのする指が伸びてきて、俺の視界をおおった。
それと同時に『ぼょん』と重くて柔らかい固まりが俺の後頭部に押し付けられた。
「うわ!」
不意を突かれた俺は、反射的に立ち上がる。
「あん」
振り向くと、ベンチの後ろに綺麗な女の人が立っていた。
「…もう。祐一さん、ちゃんと答えてくれなくちゃだめですよ」
頬に手を当てて、柔らかな微笑みを浮かべて俺を見つめている。
綺麗に伸ばされた、深い空色の髪の毛。ほわっと心があったかくなる微笑み…。七年前の少女と、今目の前にいる美女の姿が重なった。
名雪だ。
「………」
なんか違うよーな気もしたが、俺の名前も知っているし、たぶん名雪だろう。
俺は七年ぶりに出逢った従姉妹の少女…もはや女性と言うべき外見だが…を言葉もなく見つめた。
昔は両サイドでお下げにされていた髪の毛が、綺麗な三つ編みになって肩から前に垂らされているものの、全身のふんわりした空気は変わっていない。って言うか、さらにふんわり感が増したよーな気がする。
顔は…年齢のわりには老け込んで見えるけど、柔らかい微笑みの似合う美人顔だ。
「………」
そして…体付きの方なのだが、何と言うかその、丸くなったっつーか、ボリュームが付いたっつーか。
カーディガンを持ち上げている胸、詰め物でもしているのか? いや、さっきの後頭部への感触からすると、本物のような気がするんだが。とにかく、でかすぎるぞ。
「祐一さん?」
「え?」
我に返る俺。…いかん、逢った早々にいきなりジロジロ観察するなんて、俺は最低の男だ。
名雪は俺を咎めるように見つめて、
「祐一さん、せっかく七年ぶりにお逢いしたのに、『うわ』はひどいじゃありませんか」
「あ、ああ。すまない。ちょっと考え事をしてたんだ」
「そうだったんですか。…あっ、すみません、十二時に待ち合わせの予定でしたのに、遅れてしまって」
本当にすまなそうに言う名雪。
「いや、いいよ。そんなに待ってないから」
それにしても名雪、なんか丁寧な喋り方だな。お淑やかになったってことかな。
名雪は俺の顔をじっと見つめている。心なしか、瞳が潤んでいるよーな…?
「あの…祐一さん、お疲れですか?」
「え? いや、そんなことはないぞ」
実際、電車の中ではほとんど寝てたし、起きていたときは無駄に飯を食っていたし。
名雪は俺の答えを聞くと、
「そうですか。実は今日、帰る前に少し寄りたいところがあるんですけれど、よろしいですか?」
買い物か何かかな。
「ああ、いいぞ」
「すみません。ありがとうございます」
深々と頭を下げる名雪。
「じゃあ、せめて荷物は私が持ちますね」
と、名雪は鞄を持ち上げようとした。
「あ、いいって。俺が持つよ」
俺も手を伸ばした。その時、偶然に俺の手が名雪の指に重なった。
「あ」
「あ…」
名雪のほっそりとして柔らかな指が、俺の手の平の中にある。
「………」
黙って見つめ合う俺と名雪。
「…とっ、とにかく、荷物は俺が持つから」
俺は名雪の手から鞄を取った。
「あっ…」
名雪は一瞬俺の手を追うように指を伸ばしたが、すぐに残念そうに引っ込めた。
「……」
名雪はうつむいて、さっきまで重ねられていた指を、名残惜しそうにさすっている。
「……」
俺はその名雪の仕草に見惚れていた。
「……っ」
俺はぶんぶんと頭を振り、
「よ、寄るところがあるんだろ。早く行くぞっ」
言って、スタスタ歩きだす俺。
「あっ…はい」
名雪もすぐに俺の隣に立って歩き始めた。
・
・
先に歩き出したものの、この界隈に不案内な俺は、名雪の後ろを付いて行くしかなかった。
昼過ぎの駅周辺は閑散としていて、時たま昼休みらしい背広姿の人とすれ違うぐらいだった。
「……」
で、名雪に付いて行くしかない俺は、前を歩いている名雪のふっくらとしたお尻に眼を奪われていた。
名雪が左右の脚を前に出すたびに、スカートに包まれたハート型のお尻が上品に揺れる。
「……」
大きくて、丸くて、柔らかそうで…本当に高校生の尻か? と俺の頭を疑念がよぎったとき、
「祐一さん、こちらです」
突然名雪が振り返り、小径を指しながらにっこり微笑んで言った。
「お、おう」
微笑みにつられ、深く考えずに付いて行ってしまう俺。
「………」
小径の奥は、あからさまにいかがわしい系の店が並ぶ道だった。ホテル街とゆーヤツだ。
「こっちでいいのか?」
前を歩く名雪に訊ねる。
「ええ」
振り向かずに答える名雪。そのまま黙って歩いていくと、
「ここにしましょう」
と、俺の手を取り、明らかにラブホテルな外装の建物に入っていった。
「え!? お、おい」
「四○二号室」
手慣れた様子で部屋を決め、俺の手を引いたままズンズン奥へ進んでいく名雪。
「……」
俺は何がなにやら分からず、ふらふらと付いて行くだけだった。
エレベータを降り、選んだ部屋に入る(俺は引率の名雪に手を引かれて歩いていただけだったが)。
「…………………」
ようやく名雪に手を離してもらい、呆然としている俺。
「荷物は適当に置いておいて下さい」
名雪が三つ編みをほどきながら言った。
「お、おう」
取り敢えず俺は言われた通りに板敷きの間に鞄を置く。
名雪は俺に背中を向けて、服を脱いでいる。カーディガン、セーター、スカートが床に畳まれていく。
「……………っ」
小さな背中の下に、紫色の下着に包まれた、ハート型に引き締まった大きなお尻が見えた。細いつま先から、肉付きのいい太ももまでを覆う薄紫のストッキングのコントラストの艶めかしさに、俺は目眩がした。
「…うふふ」
視線を感じたのか、愉しそうに微笑みながら振り向く名雪。
「……う」
大きく前に張り出した乳房が眼に飛び込んできた。下着に包まれているが、丸く形が整っている。
お腹はふっくらと適度に肉が付いていて、きれいな曲線を描いていた。
「あ…うー」
やばい、ドキドキしてきた。
名雪はバスローブを用意しながら、
「じゃあ私はシャワーを浴びてきますけれど、先に帰ったりしないで下さいね」
釘を刺して、シャワールームに消えた。やがて水音が聞こえ始める。
「……………」
俺はぼんやりと突っ立ったまま、現状を理解しようと頭を使っていた。
これからどうなるのか、名雪が何を考えているのか、俺はどうすればいいのかとか色々考えているうちに、シャワールームのドアが開く音がした。
「……う」
バスローブに身を包み、髪の毛をタオルでくるんだ風呂上がり(シャワーだけど)の名雪は凄まじい色気を放っていた。
「…座らないんですか?」
ベッドに腰掛け、当たり前のような顔で訊ねる名雪。
「…おっ、おう」
俺はふらふらと名雪の脇に腰掛けた。
「……。あ…うー。ええと」
何を言えばいいのか分からない。俺が混乱していると、
「…私のこと、はしたない女だと思わないで下さいね…」
と、小さく囁くと、名雪は俺に覆い被さった。
「おっ…」
為す術もなく仰向けになる俺。
「……祐一さん…」
掠れた声で名前を呼ぶと、名雪は唇を俺の口に押し付けてきた。
「う!」
反射的に逃げようとした俺の肩を掴み、引き戻す名雪。
「…だめ…。…んぅ」
また唇が塞がれた。
名雪の体重が掛けられ、また名雪の唇の感触に心を奪われてしまった俺は、身動きも出来ずに名雪のなすがままにされる。
「………んぅ〜うぅ…」
「う、ぅっ」
呻く俺の頭を押さえ付け、名雪は俺の唇を吸い上げるようにしている。
「…ふっ」
息苦しさに俺が口を開けた途端、名雪の舌が差し込まれてきた。俺が何も出来ないままでいる間に、名雪の熱く柔らかい舌は俺の口の中を縦横無尽に蠢いていく。
「ぅ…ふぁ、…うぅん……んぅ〜」
うっとりとのどを鳴らしてキスを愉しむ名雪は、本当に綺麗に見える。
「…んん、…ぅうん」
名雪の瞳が薄く開かれ、俺と眼が合う。名雪は瞳を細めて眼だけで微笑み、キスをし続けた。
「………、………ぷぁ」
ようやく満足したのか、名雪はゆっくりと口を離して息を吐いた。俺と名雪の唇が、何本もの銀色の糸で繋がっている。
「…はぅ…。…あぁ…、幸せ……」
眼を潤ませ、囁くように言う名雪。
名雪は俺から躰を離すと、俺の服を脱がせ始めた。
「おっ、おい」
「…だめ。私がするんです…」
止めようと伸ばした手は、あっさりと名雪に払われた。
「いや、そうじゃなくて」
「…はぁ、はぁ…あぁ」
興奮しているのか、名雪は荒い息を吐きながら俺の服を脱がせていく。
トレーナーとシャツが剥がれ、上半身が裸にされた。
「………はぅ…」
と、突然名雪は俺の胸にぐっと鼻先を押し付け、頬を擦り寄せ始めた。
「…う」
ふわふわと柔らかい肌の感触に、俺は鳥肌が立った。
「…はぅ、ぅふぅ…。…あぁ…祐一さんの匂い…」
頬擦りをしていた名雪の動きが止まったと思った瞬間、
「………ん」
胸板にペタッと濡れた感触が来て、唇を押し付けられた。
「ぅおっ」
思わず声を上げる俺。
「…んっ、んっ」
チュッチュッと音を立てながら俺の胸板に唇付ける名雪。
「…はぁ、はぁ…ぅふぅ……」
やがて舌を這わせ、俺の躰を舐め始めた。
「うっ、おあっ。おっ、おい」
「……んぅ…、ぅふ」
声を掛けてみたが、名雪は熱っぽく見つめ返してくるだけで、やめる様子はなかった。それどころか、より激しい舌遣いを始めた。
「うっ…く、うおっ!」
くすぐったさの入り交じった快感に、全身が強張る。
「…ふふぅ…んぅ…」
名雪は目線だけで俺の顔を見て、艶めいた微笑みを浮かべた。
俺の上でもどかしげに躰を揺すっている名雪の、柔らかみが伝わってくる。ふわふわと柔らかく、温かくて…。
「……っ」
その瞬間、俺の中で何かが弾けた。
「うおおおっ」
「あっ」
名雪を躰の下に引きずり込むように抱き締め、バスローブのベルトを解く。
「ああん」
俺は名雪のバスローブの襟を掴み、一気に引き剥いた。大きな胸が、俺を誘うように揺れながら現れる。
「……」
言葉もなく、名雪の乳房を見据える。
仰向けになっていても丸型に形が整っていて、綺麗だ。乳房全体はほんのりと桜色に火照り、その頂点に薄杏色の乳首が乗っかっている。
名雪の呼吸に合わせて、微かに波打つように震えている。
「……はぁ、はぁ」
もう何も考えられなくなった俺は、喰い付くようにその豊満な乳房に顔を埋め、薄杏色の乳首に吸い付いた。
「アッ! …祐一さんっ」
かん高い嬌声を上げ、両腕で俺の頭を掻き抱く名雪。
俺は名雪の乳首に吸い付きながら、空いている右手の平で名雪の胸を揉みしだいた。
柔らかい名雪の乳房は、俺の手の中で自由に形を変えながら、弾むように俺の手の平を押し返してくる。
「はんっ、あっ、あぁっ……ゆ、祐一さ…ぁんっ! はっ……ああ!」
名雪はビクンビクンと躰を震わせ、嬉しそうに啼き声を上げている。
「はぁ、はぁ、はぁ」
俺はもう、無我夢中で名雪の躰に溺れた。
7年振りに再会した従姉妹と逢った早々に、こんなことをしていいのかという理性の声を無視し、俺は着ていた服を全て脱ぎ捨てた。
「まあ…。うふふ」
潤んだ瞳で俺を見つめ、愉しそうに蠱惑的な笑みを浮かべる名雪。
「うおおっ」
名雪に覆い被さり、仰向けに寝かせる。
「あんっ。…祐一さんは、初めてじゃないんですか?」
動じた様子のない名雪が、何気なく訊ねてきた。ギクリと躰が強張った。
「………」
勢いで名雪に覆い被さってはみたが、上手く出来るかどうか急に不安になる。
俺の反応で全てを察したらしく、名雪は上目遣いに俺を見つめながら、ふんわり微笑んだ。名雪は優しく微笑み、
「誰でも、最初は初めてなんですから。ゆっくり、落ち着いてすれば大丈夫です」
ぎゅっと俺の首に腕を回し、ほほに唇を当てる名雪。
「…私に、任せておいて下さい」
「…あ、ああ」
不思議な安心感に包まれ、俺はうなずいた。
・
・
「はぁ、はぁ……う、…っ!」
力尽きる寸前に、渾身の力で名雪の躰を突き刺す。脊髄を駆け上がる快感に震えながら、同時に名雪の中に放った。
「っ、はぅっ、うぁっ! …あ…あぁ――…」
名雪は大きくのどを反らせ、絶頂に達した。
「…う…」
名雪の躰に体重を掛けないように気を付けながら、ゆっくりと覆い被さる。
「…は〜、はぁ〜」
「…ふ……ゥ…」
互いに荒い息を吐きながら、熱く火照った躰を擦り寄せ合った。
もう何度名雪の中に放ったか分からない。
最初の方は、初めてだった俺が名雪にリードされていたが(名雪が初めてではなかった事には少なからずショックを受けたが)、二回三回と俺が慣れてくる頃には名雪も…、
「……はぅ…」
と、また俺の上に乗り、躰を揺する名雪。潰れるほど押し付けられた乳房が俺の腕を圧迫している。
「…まだするのか…」
「…うん…だってぇ…」
甘えたように胸板に頬を擦り寄せる。俺にも異論はない。
躰を起こし、名雪をうつ伏せに寝かせた。
「あん…。後ろからですか?」
首を曲げ、肩越しに振り向いて言う名雪。
「いいだろ?」
「うふふ…もちろん」
名雪は満面に笑みを浮かべると、お尻を突き出すように四つん這いになった。太ももの間を蜜が伝っている。
「………」
「ふふふ…」
俺が見とれていると、名雪はくすくす笑いながら、ハート型のお尻を誘うように振った。
「……っ」
あまりに刺激的な光景に、俺は頭がくらくらした。
誘われるまま、名雪の脇腹をつかみ、場所を合わせる。
「行くぞっ」
「ええ………ぅあッ!」
俺が突き入れた途端、ガクンと躰を震わせる名雪。俺はそのまま注送を開始した。
「あっ、はぁっ…ぅあっ、アッ! …ふっ、ぅふぅっ!」
重力に引かれて逆さまの釣り鐘のような形になった名雪の胸が、動きに合わせて前後に大きく揺れた。
「はぁっ、あっ、あんっ! アッ…はぅっ!」
名雪の嬌声、肉と肉のぶつかり合う音、咀嚼音に似た湿った音などが一体になり、部屋の中を響いている。
「あぅんっ、あんっ、あぁっ! あ、あっ…も、もうだめっ!」
突然四つん這いになっていた名雪の躰が崩れ落ち、名雪はベッドに突っ伏した。
「ひぅっ、うっ、ふぅっ…! あぁ、あああっ!」
ベッドに突っ伏して荒い息を吐き続ける名雪に、さらに深く叩き付けるように腰を動かす。
「うぅあっ、はんっ! あうっ、ああぅうっ! ぅああああぁっ!」
肺の奥から空気を絞り出すように、低い声で喘ぎ声をあげる名雪。
「ふぅ、ふぅっ…」
堪えきれなくなった俺は、名雪の躰に覆い被さった。
「あんっ! ん…あっ!?」
名雪の躰の下に手を回して、空いていた乳房をわし掴みにすると、そのまま無茶苦茶に揉みしだく。
「あぁんっ! あっ、あんっ! …そんな…アッ!」
同時にいじられた経験がないのか、名雪はうろたえたように躰を縮こませた。
「…んっ」
名雪の火照った首筋に、歯を立てる。
「アッ!」
ビクンと躰を震わせる名雪を押さえ付け、緩慢になっていた腰の動きを再開させた。
「あ、あっ、ああっ! ぁはっ、はっ、ああっ! …そんなっ…アッ!」
形が変わるぐらい乳房を揉み上げながら、名雪の深奥にまで突き込む。やがて、名雪も緊張も解け、大袈裟に悶え始めた。
「あぁっ、ああっ! …はん、あぁん!」
・
・
「あー、あーっ! ぅあぁ――っ!」
名雪は髪を振り乱し、ベッドの上でのたうつように躰を跳ねさせながら、嬌声を上げている。
「…っ!」
俺が最後の一突きを入れると、
「…あっ、あ…、あぁ――…」
ぐっとのどを仰け反らせて、名雪が絶頂に達した。同時に、強烈な締め付けを受けた俺も力尽きて、
「…う…くっ」
名雪の中に、情熱を解き放った。
「…あー……熱、い……」
うっとりとうわ言のように言う名雪。
一番最初、何も考えずに腰を動かしていた俺は、名雪の中から抜くのに間に合わなかった。
真っ青になる俺を見て、名雪は頬に手を当てて微笑むと『今日は大丈夫な日ですから』と言って、ころころと笑った。よほど情けない顔をしていたらしい。
「…はぁ〜〜」
名雪は満足げな溜め息を吐いて、躰を丸めている。
「………」
俺も名雪の脇で寝転がりながら、名雪の体温を感じていた。
「…うぅん」
ゆったりとした動作で躰を起こす名雪。胸がぶるんと大きく弾んだ。
「ふぅ…。もうこんな時間ですね……」
時計を見ながら、ぼんやりと言う名雪。とっくに延長時間に入っているが、俺も名雪も全く気にしていなかった。
「…うふふ」
名雪の手がぺたっと俺の胸に触れた。またしたくなったらしい。
「またか?」
「…はい」
わずかに頬を染めながら答える名雪。
「…………」
正面から、後ろから、上から下から横から、座ったまま、立ったままと色々なことをしたが、名雪は俺の我が侭を全て聞いてくれた。
「なあ」
横になったまま訊ねる。
「はい、なんでしょうか」
上気した頬に手を当て、ほぇっと聞き返す名雪。
「さっきから俺のしたいことさせてくれてたから、今度はそっちのしたいようにしていいぞ」
「………」
と、名雪は少し考え込んでから、にっこり微笑んだ。
「…私は、こうして祐一さんが抱いて下さっただけで、十分です」
「……」
男冥利に尽きるセリフではある。
さて、どうするか…と、考えたとき、ふと脱ぎ捨てられたバスローブのベルトが眼に入った。
「………」
悪戯心が湧く。俺はべルトを拾い上げて、
「よし、じゃあむこう向け」
「何をするんですか?」
訊き直しながらも、素直に壁の方を向く名雪。
「目隠しする」
「え……」
俺が答えると、名雪がちょっと不安げな声を上げた。
「…怖いこと、ありませんよね?」
「ああ。たぶんな」
言いながら、名雪の顔にベルトを巻き付ける。
「痛かったら言えよ」
「大丈夫です」
名雪に目隠しをし終わった。
「見えないか?」
「はい……」
か細い声で答える名雪。かなり不安なようだ。
「よし…行くぞ」
壁を向いたままの名雪の背後から、胸に触れる。ずっしりと重い質感が手の平に乗った。
「きゃぅっ!」
ビクリと躰を震わせる名雪。
「どうした?」
「はぁ、はぁ…。…あ、あの…祐一さんですよね?」
「ああ。俺だよ」
「………」
名雪はふぅ、ふぅと肩で息をしている。そんなに怖いのか?
「…やめるか?」
「…いいえ。もう少し続けて下さい」
気丈に答える名雪。
「分かった。嫌なら言ってくれよ」
「はい」
もう一度、名雪の胸に触れた。たぷたぷとした乳房の柔らかさを愉しむように、優しく揉み上げる。
「…はぁ、はぁ、はぁ…っ、あぁ…」
名雪も先程よりはずっと落ち着いたようだ。
「………うぅ…ん、…祐一さん、祐一さんですよね……」
胸に当てられた俺の手に指を重ねながら、不安げに訊ねる名雪。
「ああ。…どうしてだ?」
「ふっ、ふぅ…み、見えないと、…ふっ、ふぁっ…不安、です……」
弱々しく囁く名雪の唇を、優しく塞ぐ。
「ぅ、う……ん」
名雪はうっとりとのどを鳴らし、安心したように微笑んだ。
離れると名雪が不安がりそうなので、しばらく背後から抱き締めたまま胸を愛撫する。そうしていると、徐々に名雪の声が上擦ってきた。
「…はぁっ、うぅーっ…、あ、あぁー…」
唇を半開きにして、呻くように喘いでいる。ただ胸を触っているだけにしてはこの反応は異常だ。
「あぅ、あぅ…ふぅっ、はっ…。へぅっ、変です…うぅ」
途切れ途切れに喘ぎながら言う名雪。
「なんだ」
「…はぁ…。か、躰全体がぁ…し、痺れて…っ、…ぅ、ぉかしく、なっ…あぁん!」
ぎゅっと乳首をつねった途端、名雪の躰から力が抜けた。
「…あ――…」
うっとりと俺の躰に体重を掛ける名雪。まさか、胸だけで…?
「はぅ…」
俺が名雪から離れようとすると、
「いや…」
と、名雪は指に力を込めて引き留めた。
「…このまま、して下さい………」
熱に浮かされたように、とろんとした声で懇願する名雪。
「……」
俺は名雪の躰を背後から抱え込むように抱き寄せた。
「あぁ……」
目隠しをされて(したのは俺だが)異様に高ぶった名雪は、俺に貫かれて何度も弾けた。涙とよだれで顔をキラキラと輝かせ、かん高い嬌声を上げ続ける名雪の躰に、俺は深く溺れた。
「ああっ、ああああっ! はっ、あああーっ!」
後ろから抱き締めたまま、跳ねる名雪の中を荒らし回るように腰を突き動かす。
「ぅくっ、くっ…! また、またぁっ…あ、はぅっ…! …あ…あぁー…」
名雪がまたイッた。だが、俺は休まずに名雪の躰を突き続ける。
「はっ、あはっ…、ああ、ああああっ…!」
ぐったりと弛緩していた名雪の躰がまた弾み始め、唸るような喘ぎ声が漏れ始めた。
右腕で名雪の乳房をもみくちゃにしながら、左手で名雪の雛先を弄る。
「うぁぁっ! …い、いやっ! …しっ、死んじゃいますぅっ!」
悲鳴のような嬌声を上げる名雪を押さえ付け、さらに激しく手と腰を動かす。
「きゃあぁーっ! あーっ、ああーっ! ああっ、あーっ!」
後はもう、何も考えずに無茶苦茶に名雪を苛め続けた。
「ひぃっ、ぃいっ! …すぅっ、好きぃっ! 好きです、祐一さんっ、んんーっ!」
柔らかく熱い名雪の躰をいつまでも堪能していたかったが、やがて限界が近付いてきた。
「はっ、はあっ、ああ、あっ! …んぁっ、あぁ、あぁん、ああぁん!」
名雪が鳴き声のような声を上げ、口数が少なくなってきた。
「ふぅっ、ふぅっ、ぅふぅっ、ふっうぅ! ああ、ああ…っ! 〜〜〜〜…………っ!!」
名雪が息の詰まったような声なき悲鳴を上げ、同時に俺を包んでいた柔肉が引き締まった。
「…う、うっ!」
「……っ、…あ、ああ……、…ふぅ〜」
うっとりと息を吐き、躰を震わせる名雪を抱き締めながら、俺の頭は空っぽになっていた。
・
・
「はぁ……」
ぐったりとなった俺の胸に、名雪は上気した頬を擦り寄せている。
「…そろそろ帰るか」
いい加減、眼も霞始めたし。腹も減ったし。
「え〜〜〜」
顔を上げ、本当に残念そうに言う名雪。
「仕方ないだろ」
もう時計を見るのが怖いような時間のはずだ。
「ぶぅ」
ほっぺたを膨らませて拗ねる名雪を置いて、俺は躰を起こした。
「じゃあ、シャワーを浴びてくるから」
「……。私も浴びます」
ユラリとベッドから立ち上がり、躰を寄せてくる名雪。胸がぎゅっと押し付けられる。
「お、おい…」
頬が緩むのを抑えるのに必死な俺。
「うふふ。ご一緒しましょう」
名雪は見透かしたように微笑み、俺の腕を引いてシャワールームに入った。
〈後編に続く〉
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