愛の浪漫劇場『つやつや秋子さん中編』
※秋子さんのつやつや度数が上がってます(←?)。
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「うーん」
自然に意識が覚醒し、目が覚める。
「あ、お目覚めですか?」
ベッド脇から秋子さんの声がした。頭を動かして見てみると、秋子さんは床に正座して、文庫本のようなものを読んでいた。
ナース姿で。
「……」
取り敢えず気にしないことにして時計を見ると、針はあまり進んでいない。
「…暑」
やけに暑苦しさを感じる。どうやら、寝汗をかいていたらしい。
秋子さんは俺の顔を覗き込み、
「祐一さん、汗をかいているんですか?」
「ええ」
秋子さんはほほに手を当てて、
「そのままだと体温が下がってしまって身体によくありませんから、汗を拭いて着替えた方がいいですよ」
「そうですね」
「ちょっと待っていて下さいね」
立ち上がり、部屋から出ていく秋子さん。
すぐに戻ってきた秋子さんの手には、お湯の張られた洗面器とタオルがあった。
「じゃあ祐一さん、汗を拭きましょう」
洗面器を床に置き、にっこり微笑みながら言う秋子さん。
「失礼します」
秋子さんの瞳がギラリと光ったよーに見えた。
「え」
と、いきなり布団が捲られたかと思うと、秋子さんの腕が伸びてきて、寝間着のボタンに手を掛けられる。
「ちょっ、ちょっと秋子さんっ!?」
止める間もなくボタンが外されていき、前が開かれる。
「ああっ」
「うふふ」
秋子さんはやけに楽しげな微笑みを浮かべて、俺を剥いていく。瞳が爛々と輝き、表情も活き活きしているよーな気がするのは、俺の思い過ごしだろーか。
「あ、ああーっ」
俺が情けない声を上げている間に上半身が起こされ、寝間着の上着が取り去られた。見事な脱がしのテクニックだが、感心している場合じゃない。
「ちょ、ちょっと待って下さい! 身体を拭くぐらい、自分でしますから!」
慌てて声を張り上げ、秋子さんを押しとどめる。既に上半身が裸で、手遅れだけど。
「駄目です」
案の定、あっさりと却下された。
「祐一さんは風邪を引いているんですから、私に任せて下さい。大丈夫、痛くしませんから」
「……」
秋子さんに身体を拭いてもらう自分を想像してみる。……いいかも。
「よくないっ!」
いかん、ここで流されてはいけない。
「やっぱりいいですよ。ええと、その…恥ずかしいんです!」
よし、言った。偉いぞ、俺。
「祐一さん、医療行為を受けているときは、あまり恥ずかしいとか考えない方がいいと思いますけれど」
「そりゃそうでしょうけど」
医療行為とかいうのは関係なく、秋子さんみたいに綺麗な女性に無防備な姿を見せるのは、何か恥ずかしいんです…とまでは言えない。
「……」
秋子さんはしばらく考え込み、
「分かりました」
毅然とした表情で言った。よかった、分かってくれたらしい。
「確かに、祐一さんにだけ恥ずかしい想いをさせるわけにはいきませんね」
「へ?」
秋子さんはすっくと立ち上がると、ナース服の上着のボタンを外し始めた。
「え? え?」
上着のボタンが全て外され、ゆっくりと前が開かれる。
「あ、秋子さ……っ」
紫紺色のブラジャーに包まれた、ずっしりと重そうな乳房を目の当たりにして、言葉に詰まる。
秋子さんはほほを微かに朱に染めながら、腰の脇の金具を外して、スカートのファスナーを下げる。
「あ、あの、ちょっと」
秋子さんは俺の声を無視してそのまま背を向けると、スカートを緩めて太ももまで降ろした。
「うっ!」
大きなお尻に貼り付いたショーツと、下着と揃いの色のガーターベルトとストッキングのコントラストに、本気で気絶しかけるほどの衝撃を受ける。
脚を持ち上げてスカートを脱いだ秋子さんは、背中を向けたまましゃがみこみ、上着とスカートを畳んで床に置いた。
ナースキャップはそのままで、下着だけの姿になった秋子さんが、俺の方を振り返り、
「祐一さん、これで宜しいですか?」
邪気のない笑顔で訊ねる。露わにされた撫で肩の真っ白い肌が目に眩しい。上等な絹織物みたいで、すべすべ柔らかそうで…って、違う!
「え、ええっと、ええっと」
「祐一さん?」
ぐいっと身を乗り出してくる秋子さん。
「あっ、あぅ、あぅー」
レースで飾られたブラジャーと、深い胸の谷間がぁぁ。
「祐一さんっ」
「はっ」
三度目の呼び掛けで、ようやく我に返った。
「…う」
我に返った途端に秋子さんの艶姿を目の当たりにし、また意識を失いかける。
「ぬおおーっ」
頭を振って意識を取り戻した。
「ど、どうして秋子さんが脱ぐんですかっ」
掠れた声で俺が訊ねると、秋子さんはほほに手を当て、いつもの微笑みを浮かべて、
「祐一さんが裸を見せるのが恥ずかしいとおっしゃいましたから、私も脱いだんです。これでおあいこですね」
屈託のない笑顔で言いきる秋子さん。
「どーいう理屈ですか」
とゆーか、あいこじゃないと思います。
組まれた腕で秋子さんの豊かな乳房が持ち上げられ、柔らかそうに形を変えて盛り上がっている。…秋子さんって、着痩せする体質だったんだなあ…って、違う!
「……」
俺がにやけそうになる顔を必死で引き締めていると、
「あっ、分かりました」
秋子さんがぱっと顔を輝かせた。
「何がですか」
「祐一さんは上半身全部脱いでいるのに、私がこれではおかしいですよね」
「へ?」
秋子さんはやけに楽しげな表情で、
「すみません、気が利かなくて。今すぐ外しますね」
と、背中に腕を回し、ブラジャーを外し掛ける。
「ちっ、違います! 別にそんな理由で拗ねてるわけじゃないんですっ!」
慌てて押しとどめる俺。秋子さんは不思議そうな表情で、
「え? 祐一さん、私が脱ぎ足りないから、不機嫌な顔をしていたんじゃないんですか?」
「違いますよ!」
「じゃあ、外さないでいいんですか」
「え。……………………いいんです!」
ぜひ外して下さい。と言いかけた自分が情けなく、つい声を張り上げる。
「そうですか……はぁ」
何故か秋子さんが残念そうに溜め息を吐いた。
祐一さんは俺を上目遣いに見つめて、
「でも祐一さん、そのままでは身体によくないですよ」
「はあ」
確かに秋子さんの言う通り、汗をかいた身体は気持ちが悪いけど。
「身体を拭くのは医療行為の一環ですよ」
「…拭いてもらうだけならそうでしょうけど」
下着姿の看護婦さんにしてもらうのは絶対違うと思います。
「祐一さんがどうしても嫌だとおっしゃるんでしたら、無理強いは出来ませんけれど」
秋子さんの表情が曇る。
「うう」
秋子さんは俺のことを心配してくれているんだろうし、ここは厚意に甘えておこうか。…でもなあ。
「……」
秋子さんの方を伺う。
精緻なレース細工のガーターベルトとパンツが目に眩しい。真っ白い肌と相まって、デコレーションケーキみたいに見える。
「…ゴク」
うまそうだ…って、違う!
秋子さんをこのままの格好にさせておくわけにはいかないよな、うん。…と、強引に自分を納得させる。
「じゃ、じゃあ上半身だけお願いできますか?」
俺がそう言うと、秋子さんの顔がぱっと華やいだ。
「ええ、もちろんいいですよ。任せて下さい」
いそいそとタオルを洗面器に浸し、絞ってお湯を切る秋子さん。
「では、失礼しますね」
秋子さんは俺に覆い被さるように身を乗り出した。豊かに張った乳房が、波打つように揺れる。
「うわ!」
圧倒され、思わず身を引きかける俺。
「祐一さん?」
「い、いえ、何でもないです」
本当は何でもなくないが。
「……」
秋子さんの艶姿を直視しないために、目を閉じることにする。
秋子さんの細指が肩に掛けられ、柔らかいタオルが腕に押し当てられた。
「では、拭きますね」
「はい」
強すぎず弱すぎず、丁寧に俺の身体を拭いていく秋子さん。目を閉じていても、タオルの感触と共に秋子さんの気遣いが伝わってきて、気持ちがいい。
「ふう」
思わず溜め息が漏れ出る。
「気持ちいいですか、祐一さん」
「はい」
秋子さんは甲斐甲斐しく腕、肩、背中とタオルを動かしていく。
俺の背中を拭きながら、秋子さんがふと感心したように呟いた。
「祐一さんの背中、大きくなりましたね」
「そうですか?」
「ええ」
秋子さんは手を止めて、昔を懐かしむように話し出した。
「祐一さんが子どものころ、姉さんの代わりに私がお風呂に入れてあげたことが何度かあったんですけれど、その時には私が祐一さんの背中を流してあげていたんですよ」
「……」
秋子さんが若いころ(今も若いけど)、俺は秋子さんと一緒に風呂に入っていたのか。…なぜかガキのころの自分に嫉妬する。とゆーか、全然その情景を覚えてないのがすごく悔しい。
「…こうしていると、昔のことを色々思い出してきますね」
うっとりとした口調で呟きながら、秋子さんが指で直接俺の背中を撫でた。
「う」
秋子さんの細い指が俺の背中の上を這い伝い、ゾクゾクと震えるようなくすぐったさが背筋を駆け上がってくる。
「あ、あの、秋子さん」
身じろぎをして抗議してみたが、秋子さんは楽しげな口調で言葉を続ける。
「湯舟に浸かるときは、私が祐一さんを抱っこして上げていたんですよ」
「ブッ!」
そんな過去の恥ずかしい想い出を楽しげに語られても困るんですけど。それにしても、秋子さんに抱っこされていたなんて…なんて羨ましいんだ、過去の俺。
「…あの頃は、祐一さんがこんなに大きくなるなんて、思いもしませんでしたけれど」
秋子さんの言葉の中に、得体の知れない色っぽさのよーな物が含まれている気がする。
秋子さんの指が背中から離れた。
「祐一さん、反対側の腕も拭きますね」
壁側の腕のことを言っているのだろう。俺は秋子さんの方に向き直ろうと、眼を閉じたまま身体を回し掛けた。
「ちょっと失礼します」
秋子さんの声が、やけに近くから聞こえた。
「へ?」
ズン、と下腹部に重みが掛かる。
「うっ」
思わず眼を開くと、紫紺色のブラジャーに包まれた丸い乳房が眼前にあった。
「うわ!」
身体を引きかけたが、下腹部に重みが掛けられていて動けない。
「あらあら、暴れないで下さい」
布団の上から俺にまたがり、馬乗りになった秋子さんがふんわりと微笑みながら言った。
「あっ、あきっ、秋子さんっ!?」
上半身を精一杯仰け反らせ、秋子さんから出来るだけ身体を離しながら呼び掛ける。
「はい、なんでしょう」
ほほに手を当て、屈託のない微笑みを浮かべる秋子さん。
「え、えっと、あの…」
言葉を探し、目の前の秋子さんの肢体を見つめる。
流れるような綺麗な曲線を描く撫で肩。その細い肩で支えきれるのかと思えるほど大きく豊かな乳房。すっきりと引き締まった柳腰。馬乗りになっているせいで、大きく開かれている太ももの間の小さなショーツ…。
「うっ、ううー」
俺が言葉を失いうろたえていると、秋子さんは少し表情を曇らせ、
「あっ。…祐一さん、重いですか?」
不安そうに訊ねた。
「…いえ、そーじゃないんです」
むしろ、秋子さんの体重は心地よいぐらいなんですけど。
「そうですか」
秋子さんはほっとしたように表情を柔らかくして、
「本当は、患者さんに馬乗りになったりしてはいけないんですけれど…祐一さんを抱っこしていたころのことを思い出して、つい乗ってしまいました」
うふふ、と少女のように恥じらいながら言う秋子さん。って言うか、ついじゃないと思います。
「では、このままで拭きますね」
秋子さんは微笑むと、壁側の腕を取った。
「えっ、ええっ!? ふ、普通にやって下さいよ!」
「いいじゃありませんか。医療行為です」
押しの強い笑顔で言い切り、秋子さんは俺の腕を丁寧に拭き始めた。
「あぅー」
下着姿で馬乗りになって身体を拭くのは、絶っっ対に医療行為じゃないです、と心の中だけで抗議する。
「うふふ」
瞳を細めて、うっとりと楽しげな表情で腕を拭いていく秋子さん。秋子さんが身体を動かすたびに、ブラジャーに包まれた乳房がたゆたゆと左右に揺れる。
「……ゴク」
いかん、変な気分になってきた。頭の奥が熱くなり、痺れたようになって、考えがまとまらなくなってくる。
「ううー」
俺が唸っていると、腕を拭き終わった秋子さんが、俺の顔を見つめて、
「祐一さん、顔が赤いですよ。熱が出てきたんじゃありませんか?」
「はあ」
こんな状態なら、誰だって熱ぐらい出るでしょうよ。
「風邪は治りかけた時が大事なんです。汗をもう一度かいて、ぐっすり眠れば大丈夫ですよ」
秋子さんは身体を浮かして、俺から離れた。ほっとするのと同時に、温もりが失われたことによる寂寥感が込み上げる。
「じゃあ祐一さん、汗をかきましょうか」
あっさりと、何でもないことのように秋子さんが言った。
「へ?」
秋子さんはベッドから一旦降りて、三つ編みを解き始める。髪の毛を解いた秋子さんがナースキャップを押さえて頭を振ると、綺麗な藍色の髪の毛が波打ちながら広がった。
「うふふ」
髪の毛を下ろした秋子さんは、やけに楽しそうな表情で掛け布団の中に潜り込んできた。ゆったりしたソバージュの髪型になった秋子さんは、すごく色っぽい。
「あ、あの、秋子さん?」
壁際に後ずさりしながら、呼び掛ける。
「大丈夫です。私に任せておいて下さい」
鼻に掛かったような、妙に上擦った声で囁く秋子さん。
「な、何をですか」
恐怖と、微かな期待混じりに訊ねる。秋子さんは妖艶な微笑みを出浮かべただけで、答えない。
「も、もしもーし、秋子さーん」
背中が壁にぶつかる。同時に秋子さんの指が伸び、腕が掴まれた。
「うふふ…怖がらなくてもいいんですよ」
今の秋子さんの、やけに潤んだ瑠璃色の瞳だけで充分怖いです。
秋子さんは息が吹き掛かるぐらい顔を近付け、感極まったように甘い溜め息を吐いた。
「はああ……」
秋子さんはうずうずと肩を揺らし、上目遣いに俺を見つめて、
「うふふ。…祐一さんは、気持ちよくなることだけを考えていればいいんです…じゃなくて、これは医療行為です」
「い、今、取って付けたよーに言いませんでしたか?」
秋子さんは俺の発言を誤魔化すように、顔を寄せて唇を押し当てた。
「むぐ」
躰全体を預けるように押し付け、激しく舌を絡めてくる秋子さん。俺と秋子さんの間に挟まれた乳房が、ぐにぐにと形を歪めながら胸板を圧迫する。
「うう、う」
鎮まり掛けていた情動が再燃し、また頭が痺れてきた。
「…祐一さん」
唇を浮かすように離し、秋子さんが小さく囁いた。それが起爆剤になり、バシッ、と頭の中で何かが弾ける。
「…あっ、秋子さんっ!」
名前を呼ばわりながら秋子さんの背中に腕を回し、引き倒すようにして秋子さんに覆い被さった。
「きゃっ」
小さく悲鳴を上げ、秋子さんの肢体が跳ねる。薄紫色のストッキングに包まれた美脚が、宙を掻いた。
《後編に続きます》
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星牙でございます。
マキ「マネージャーの小原マキです」
いよいよ浪漫劇場っぽくなってきました。前編はコント劇場寄りでしたけど。
マキ「…どーしてそなたはそのままでいられないのじゃ」
仕方ないよ。小生が誰よりもそういうのが好きなんだから。
マキ「あああああああ」
お読みいただきありがとうございました。
マキ「それでは、ご機嫌よう」
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