愛のコント劇場『お茶目な秋子さん 教えてあ・げ・る編』

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 放課後の学校

 人気のない教室で 一人窓から外を眺める少年

 ガラッ ドアが開き うら若い女教師が脚を踏み入れた

『祐一君』

『あっ 秋子先生 お呼びしてすいません』

 秋子は信用しきった様子で祐一に近付いていく

『それで 私にどんな用かしら』

『俺 悩みがあるんです』

『まあ どんな』

『実は俺 秋子先生のこと思うと 夜も寝られないんです』

『え』

『先生 俺の想いを受け取って下さい』

 祐一が鬼気迫る表情で 一歩前へ踏み出した

『あ 駄目よ 祐一君 そんな』

 怯えて後ずさる秋子に さらに近付く祐一

『だ 駄目よ 祐一君 お願い待って』

『待てません』

 と 秋子のかかとが机の脚に引っ掛かかり 秋子はバランスを崩した

『あっ』

 とさっ 軽い音を立てて 秋子の身体が教室の床に仰向けに倒れ込む

『せ 先生っ』

 祐一の身体が秋子に覆い被さった

『ああっ』

 祐一にのし掛かられ 震える声を上げる秋子

『だ 駄目 駄目だったら 祐一君 あ あっ』

 祐一の手により 秋子のブラウスのボタンが外されていき 薄紫色の下着が露わにされた

『あ あ 駄目 駄目ぇ』

 身じろぎをする秋子の抵抗をかいくぐり 祐一の指が蠢き 秋子を生まれたままの姿に近付けていく

『ああ こ こんな駄目よ 駄目なのに』

 軽い音と共に秋子のブラジャーのホックが外された

『あ ああっ』

 下着の中に押し込められていた豊満な肢体が 祐一の目の前で露わにされる

『せ 先生 好きですっ』

『あっ あっ 祐一君っ ああぁ〜』

 祐一の唇が 秋子の桜色に火照った

「あああ―――っっっ」

 ブチンッ

 はぁ はぁ はぁ

 な なんて番組なんでしょう 昼間から

 現実でこんな風になるわけがないじゃありませんか

 大体どうして 私と祐一さんの名前なんです

 著作権の侵害です (←?)

 はぁ もう たまに平日にお休みをいただいたのに 

 お洗濯もお掃除も終わってしまって 何もすることがありません

 ……

 仕方ありません 他の番組を見ましょう

 ブチン

『失礼します』

 ガラッ 保健室のドアが開き 男子生徒が入ってきた

『はい あら祐一君 どうしたの』

『気分が悪いんで休ませて下さい 秋子先生』

 ガンッ 私はテーブルに突っ伏しました ぶつけた頭が痛いです

 またなのですか

 秋子と祐一って最近の流行なのかしら

『ええ いいわよ こっちの奥のベッドでお休みなさい』

 うっとりと舌舐めずりせんばかりの凄艶な微笑みを浮かべる秋子 しかし祐一はそのことに気付かなかった

『はい』

『さあ 横になって』

『はい』

 言われるまま ベッドに横になる祐一

『襟が苦しいでしょう 緩めてあげる』

 秋子の細い指が伸び 祐一のYシャツのボタンが外される

『あ どうも』

『うふふ』

 と 秋子の指が祐一の身体の線をなぞるように移動し 下腹部に触れた

『あ 先生 何をするんです』

 慌てた声を上げる祐一に 秋子は艶めいた微笑を返し

『力を抜いて』

 秋子の指がゆっくりと焦らすように動き始める

『せ 先生 う ああ』

『大丈夫 怖くないわ』

『いけません 先生』

『最初は誰だって不安なの さあ お姉さんに任せておいて』

『あ 先生 あ あああ』

『先生じゃないわ 秋子って呼んで』

『ああああ 秋子 秋子ぉ』

『うふふ さあ秘密の個人授業の時間よ』

「あああああああ――――っっっっ」

 ブチンッ

 はぁ はぁ はぁ

 どうして どうして こんな番組ばっかり

 もう 信じられません

 ガチャ 玄関のドアの開く音

 あら

「ただいま 帰りました」

「あ お帰りなさい 祐一さん」

「秋子さん ちょうど良かった ちょっと用があるんですけどいいですか」

「はい なんでしょうか」

「俺 秋子さんに 教えてもらいたいことがあるんです」 

 え

「え ええと」
 
 ま まさか 

「な なんでしょう わ わ 私に 教えて差し上げられることでしょうか」

「秋子さんじゃないと駄目なんです」

 あああ そんな まさか まさか

 こ こ こ こ 個人授業

「えっと えっと」

「俺 気になって 夜も寝られないんです」

 夜も寝られない やっぱり こ 個人授業なんですね

「お願いします 秋子さん」

 ええ そんな急に言われても

「ええと その ゆ 祐一さんにはまだ 早いんじゃないでしょうか」

「いえ 俺の友達はみんな済ませたって言っていました」

「え ええっ!?」

 み みんな済ませたって そんな 

「あ あの祐一さん つかぬ事をお伺いしますけれど それは女の子もですか」

「ええ 勿論」

 ガ――ン

 わ 私が高校生の頃は まだ同じ学年に一人いるかいないかぐらいでしたのに

 ああ 今時の子はみんな進んでいるって本当だったんですね

「だから 俺も早く済ませたいんです」

 あ ああ ど どうしましょう

「あ あの 祐一さん こういうのは その 好きな人と一緒にしなければいけないことだと思うんです」

「ええ ですから 名雪も一緒にやる予定です」

「ゑ゛」

 名雪も一緒にやるって まさか さ 三人プレイ

「ゆ 祐一さん 本当に」

「ええ 秋子さんもその方が良いでしょう」

 よくありませんよう

「えっと えっと」

「時間が勿体ないですから すぐ始めても良いですか」

 よくありませんってば 

「じゃあそこで」

 そう言ってテーブルを指差す祐一さん

「え ええ そんな所でするんですか」

 と 祐一さんは乗り気でなさそうな顔で

「面倒臭いですからそこで良いです」

 カチン

「面倒臭いとは何ですか 祐一さん」

「え」

「するからには真剣にならなければいけません」

「あ はい」

「そんな態度では 誰でも怒ると思いますよ」

「は はい その通りです 秋子さん すいませんでした」

「分かって下されば良いんです」

「じゃあ 改めてお願いします 秋子さん」

「はい」

 はっ そうじゃありませんでした

「え えっと えっと」

 ううっ もう仕方がありません 覚悟を決めるのよ 秋子

 大人の女として 落ち着いた態度で

「じゃ じゃあ」

 無意味にソファから立ち上がって 動けなくなりました

 …何をすればいいんでしょうか

「あの すぐに 始めるんですか」

「ええ お願いします」

 ああ 祐一さん せっかちです

 仕方がありません ええと それじゃあ

 まず服を脱ぐのかしら それともキスかしら

 ああん こんな事ならさっきの続きを見ておけば良かった

 今日の下着は ええと 白のおそろいだったはず あ 待って ピンク いえ 紫だったかも

「ここなんですけど」

 そう言って テーブルの上にノートを広げる祐一さん

 え ノート?

「ここの職業のところに 何て書けば良いんでしょうか」

 職業? え? え?

「あの それ何ですか」

「『家族』っていう作文ですけど」

 作文

「最初 名雪の事書こうとしたら 名雪が照れて嫌がったんです」

「俺 親父とお袋の仕事とか知らないんで」

「それで 秋子さんのことを書かせてもらおうと」

「でも俺 秋子さんのことも全然知らないんで」

「そう言うわけで お願いします」

 え え それって つまり

 もしかして もしかしなくても 私の勘違いなんですか

「あの 祐一さん 夜も寝られないって 仰っていましたよね」

「ええ これ提出期限が明日なんです 気になって気になって あれ どうしたんです秋子さん」

 よろめく身体を 必死で支える私

「ただいま〜」

 あら 名雪

「おう お帰り名雪」

「うん ただいまだよ」

 ふと名雪はテーブルの上のノートを見付けて

「あ 祐一ずるい もう作文始めてる」

「いや まだこれからだ」

「そうなんだ」

 祐一さんは名雪に向き直り

「名雪 秋子さんはすごいぞ」

「どうしたの 祐一」

「さっき俺がこれをいい加減にやろうとしたら 真剣にやらなければいけませんって怒られたんだ」

「へえ」

「俺は感動しましたよ 秋子さん その通りです」

「さすが お母さん」

 違う 違うのよ ああ二人とも そんな尊敬の眼差しで私を見ないで下さい

「あれ どうしたのお母さん 顔が真っ赤だよ」

「本当だ 大丈夫ですか秋子さん」

 大丈夫じゃありません

「あ わかった 祐一 お母さんに変なこと訊いたんでしょう」

「変なことって何だよ」

「エッチなこと」

 ギク

「訊いてねーよ」

「怪しいよ」

 ギク ギク

「スリーサイズとか体重とか」

「訊いてねーってば」 

「大丈夫よ 名雪」

 必死に笑顔を作ります

 気を抜いたら 卒倒してしまいそうですし

「作文を書くんでしょう 何でも訊いて下さい」

「はい」

「うん」

 ・
 ・

 その夜

 はぁ 昼間は疲れました

 でも二人には気付かれていないみたいですし 一安心

 ああ 気が抜けたら何だか眠くなってきました

 すぅ すぅ

 ガチャ

「お母さん あれ 寝ちゃってるの」

 何か聞こえます

「ううん」

「お母さん こんなところで寝ると身体によくないよ」

 ゆさゆさ 身体が揺さぶられています

「ううん いけませんよ 祐一さん」

 ゆさゆさ さわさわ

「そんな 駄目です」

「はあっ あっ」

「………」

 ドス ドス ドス

 ガチャ

「わっ 何だよ名雪 急に入ってくるなよ」

「祐一」

「な 何だよ おい名雪 眼が光ってるぞ」

「天誅だよ」

「ちょっと待て 何のこと ぐわっ」

 ドカ バキ ガス うぎゃ グシャ ゴキ ブチブチ ぐわっ メリメリ 助け ドス

 うーん 何の音かしら まあ いいでしょう

 お休みなさい

                             愛のコント劇場『お茶目な秋子さん 教えてあ・げ・る編』 おしまい

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 星牙でございます。
マキ「マネージャーの小原マキです」

マキ「取り敢えず、このタイトルはどーにか出来なかったのか?」
 うーん、数字だと味気ないと思って副題を付けていたんだけど、良いのを思い付けなくてね。
マキ「だからと言って、これはないじゃろ」

 ここら辺から、秋子さんがえっちぃになり始めてしまったんだよね。
マキ「名雪女史も暴力を振るうようになっておるしな」
 うい。まるで子どもの成長記録を見ているような気になってくるから不思議だ。

 お読みいただきありがとうございました。
マキ「それでは、ご機嫌よう」


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