愛のコント劇場『お茶目な秋子さん 呼称編』
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静かな夜 居間でくつろぐ私
祐一さんがすぐ側で新聞を読んでいます
名雪はもう寝ています
うふふ 大人タイムです そうじゃありません
会話がない室内に チクタクと時計の音が響いています
と 祐一さんが顔を上げて
「じゃあ俺もそろそろ寝ます お休みなさい秋子さん」
ああ やっぱり
しょんぼりしてしまいそうな顔を 無理矢理笑顔にして
「はい お休みなさい祐一さん」
居間を出て 二階に上がっていく祐一さん
はぁ 今日もお喋りできませんでした
祐一さんとのお付き合いも ずいぶん長くなってきていますけれど あんまり親しくお話しすることはありません
名雪がいるときは普通に言葉を交わせるんですけれど 差し向かいになると話すことが少ないんです
はぅ しょんぼり
いえ 別に 祐一さんともっと仲良くしたいなあ なんて考えていませんよ
ましてや 親しくなって あわよくば祐一さんとごにょごにょとか そんなことは一切
はふん
ええと 祐一さん悩みとかを聞いて 精神的な健康を気遣うためです
あくまでも保護者としての義務感なんです
まるでたった今思い付いたような理屈ですが そうったらそうなんです
ええと とにかく
どうして祐一さんと私は会話が少ないんでしょうか 考えるべきはそれです
歳が離れすぎているから共通の話題が少ないとか
ズキン はぅっ 下腹部に痛みが
ううっ た 確かに親と子ほど年齢は離れていますけれど ぁうっ い 痛い 痛いですぅ
はぁ はぁ この件については考えないことにしましょう
「はぁ」
あ ひょっとして
私 祐一さんに 嫌われていたり
そ そんなことないですよね祐一さん
どうして うなずいて下さらないんですか
好きって言って ねぇ ねぇ ねぇったら
「そうじゃありませんっ!」
暴走してしまいました
いえ まあ 好きだとおっしゃってくれたら それは もう嬉しくて嬉しくて
そ そうじゃありませんよね ええ 分かっています
はあ もう 祐一さんがはっきりして下さらないからいけないんですよ
あ そうです 『祐一さん』『秋子さん』と他人行儀な呼び合いをしているからではないでしょうか
なんとなく そこに原因の一端があるような
でもどうすればいいんでしょうか
今までずっと『秋子さん』『祐一さん』だったわけですし
やっぱり ここは素直に呼び捨てで
「祐一」
はっ
今 胸が ドキンと高鳴りました
「祐一」
ああっ また
「祐一 祐一ッ」
ドキドキドキ
はぁ はぁ 落ち着くのよ秋子 ああ でも胸がッ
はぅ はぅ 深呼吸 深呼吸
「すーは すーは」
ふぅ
あ でも 私が呼び捨てにするようになったら
やっぱり祐一さんも
『秋子』
はふぅっ ぞくぞくっ 背筋に電撃のような戦慄が
ドキン ドキン ドキン
ああ なぜか胸の奥が うずうずと
「はぁぁっ」
がしっ 両腕で自分を抱き締めて 得体の知れない衝動に耐える私
も もし 祐一 秋子 と呼び合う仲になったら
〈以下シミュレーション〉(←何の?)
「秋子…」
「ああ…祐一」
しゅる しゅる ぱさ (←?)
「秋子ッ」
どさっ
「ああ… 乱暴にしないで」
「優しくするよ秋子…」
もそ もそ ごそ ごそ
「あっ はぅっ ゆ 祐一」
「秋子―――」
「あっ はっ 祐一っ はぁぁ〜」
〈シミュレーション終了〉
「はぁぁ じゃあありませんッ」
ガツンッ テーブルに頭を打ち付けました
はぁ はぁ はぁ
ダメです 呼び捨ては却下ですっ
本当は思い切り了承なのですが 何でもありません
「はぁ はぁ はぁ はぁ」
ふう
呼び捨てはダメですから ええと 他には
祐一君 祐一ちゃん
はっ
「祐一ちゃん」
ああっ なんだか甘美な響きです
やっぱりそうなると
〈以下シミュレーション〉
「さあ いらっしゃい 祐一ちゃん」
「あ 秋子さん」
「大丈夫 怖がらないで」
「は はい」
ごそ ごそ
「ぅんっ んっ あっ ああっ」
「はぁっ はぁっ あっ 秋子さんっ」
「そ そう そうよ 祐一ちゃん 上手 う あああっ」
「秋子さんッ」
「ゆ 祐一ちゃん 祐一ちゃんッ あっ あっ あああ〜」
〈シミュレーション終了〉
「あああ〜 じゃありませんっ」
ガツン ガツンッ テーブルに頭突きをして頭を冷やします
展開が早いですよ そうじゃありません
「はぁ はぁ」
祐一ちゃんも却下です
了承したいのは山々なんですけれど げふんげふん 何でもありません
「はふん」
どうすればいんでしょうか
「ううん」
他には何か
あ そうです 一つ残っていました
「祐一様」
ビクーン あぁぁぁん
ああ 今 すごい電撃が
「祐一様」
ビククン あふぃっ
「ゆ 祐一様 祐一様ッ」
ああっ ううっ うずうずうずうず
身体の奥が切ないというか 物足りないというか
「ああ ああ ああっ」
ドキドキドキドキ
そ そうなるとやっぱり
〈以下シミュレーション〉
暗くじめじめした部屋の中
生まれたままの姿で壁に鎖で縛り付けられている私と 鞭を持って蔑むような眼で私を見つめる祐一さん
祐一さんが鞭を振り上げて
バシィッ
「いぁぁっ」
破裂音と共に 焼け付くような痛みが
バシィッ ビシッ
「あっ ああっ」
祐一さんの腕が動くたびに 私の身体に赤い筋が刻まれていきます
「はぁっ あぁっ も もうお許し下さい 祐一様」
祐一さんは酷薄な笑みを浮かべて
「なんだ秋子 俺に指図するのか」
私は顔を恐怖に引きつらせて
「いっ いいえ さ 指図だなんて そんな」
また祐一さんの持つ鞭が振り下ろされて
ビシィッ
「ひぃあぁぁ〜」
「俺に指図するような立場なのか お前はっ」
バシィッ ビシィッ
「ひっ ひぃっ いぁっ」
身悶えする私の動きに合わせて 手首に繋がれた手枷の鎖ががちゃがちゃと鳴って
「はぁ はぁ」
荒い息を吐く私に祐一さんがゆっくり近付いてきて
「どうやら まだ自分の立場を理解していないようだな」
鞭の柄を私の脚の間に押し付けて
ぐりぐりぐり
「いやぁぁぁっ あ ああっ も もうやめて下さいっ」
「なんだ また指図か つくづく反抗的だな」
ぎりぎりぎり
「ひぃやぁぁぁ〜〜」
パァンッ 祐一さんの平手が私の乳房に
「ぃあっ」
パァンパァンパァン
「ああっ いたっ いぁぁっ」
何度も何度も平手が打ち下ろされて 私のおっぱいは赤く腫れ上がって
「フン まあいい だったら身体の方に分からせるまでだ」
祐一さんが壁の機械を操作すると 鎖が動いて私の身体は天井からぶら下げられた状態になりました
「い いやっ やめて下さい」
無防備な姿を晒され 羞恥に耐えながら祐一さんに懇願する私
祐一さんは何も言わずに鞭を振るって
バシィィッ
「ぁうぁぁっ」
ビシィィッ バシィィッ
「ぃあっ あっ ああああーっ」
背中 胸 お尻 太もも ところ構わず鞭が振り下ろされて
「ぅあっ いっ いぁっ ああっ」
バシィィッ バシィィッ
天井からぶら下げられた私の身体は くるくると回って
「あっ ぅあっ あ あ ああっ」
何度も何度も 叩かれているうちに
じょじょに私の中に 得体の知れない快感が生まれ始めるんです
ビシィッ バシィッ
「はあっ ああ あんっ はっ はぁっ」
私の身体を 痺れるような快感が満たしていって
だんだん物足りなくなっていって
「ふあっ はあっ ゆ 祐一様」
「なんだ」
バシィィッ
「ぅあっ あ あの あの」
私の中の尊厳が崩れようとしている
ビシィィッ
でも 止められない
バシィィッ
「ぃうっ う も もっと もっとお願いしますっ」
ああ 私の中の何かが 壊れて
「はぁ はぁ お お願い お願いしますぅぅ」
祐一さんは呆れたような視線を私に投げ掛けて
「ふう まったく いやらしい女だな 秋子は」
バシィィッ ビシィィッ
「ほれっ これでどうだっ」
「ひぅっ あいぃっ う うぁぁっ う う 嬉しい 祐一様ぁぁっ」
鞭が叩き付けられるたびに 私の中が快感に満たされて
でもまだ全然足らなくて
「も もっと もっと 祐一様 祐一様ぁっ」
「この いやらしい牝猫がっ」
バシィィッ ビシィィッ
「ぁうっ うっ はっ はぃぃっ 祐一様っ わ 私は い いやらしい牝猫ですぅっ あああっ」
〈シミュレーション終了〉
ぼけー
「はっ」
気が付けば涎が
ち 違いますよ 何がですか いえ とにかく違うんです
はぁ はぁ
「……」
はぁ
ビシッ ぞくぞくぞく
「……ほぅ」
はぅあっ 気が付けば 思い出して呆けてしまいます
だ だめです そんなっ
わ 私はノーマルが好き そうじゃありません いえ アブノーマルが好きって意味じゃなくて
「あああああああっ」
はぅ はぅ
「……」
で でも祐一さんが どうしてもっておっしゃるのでしたら ちょっとぐらいは
そうして 最初は軽い気持ちで始めて
じょじょに 堕ちていって
気が付けば 祐一様なしでは生きられないカラダに
「…ほけー ってまた呆けてどうするんですかっ」
ガンッ ガンッ バゴォッ あっ 頭突きでテーブルが割れました
「はぁ はぁ」
ああ もう私ったらっ
もう寝ちゃいましょう
・
・
チュンチュン チチチ
朝です
「……ふひぃ おふぁよぉございまふぁぁ〜」
よろめきながら居間に出ました
寝不足で ふらふらです
だってだって 夢の中に祐一さんが出てきて
私を縛ったり 目隠しをしたり そのまま外に連れて行かれたり
「……あー」
よろよろ ぽてり ソファに身を投げ出しました
「ほふぅ」
なんだかすごかったです
もう何がなにやら分からなくなって
頭の中が 何度も何度も 真っ白に
「……ぽー」
目が覚めたら ショーツとパジャマとシーツが大変なことになっていました
あれが目眩(めくるめ)く快感というものでしょうか
でも やっぱり夢は夢ですから 物足りなかったというのが本音で
「……ほへー」
私がソファに腰掛けて 指をくわえて ぼーっとしていると
トントントントン
階段を降りてくる音がして 名雪と祐一さんが顔を出しました
「おはよう お母さん」
「おはよう 名雪」
「おはようございます 秋子さん」
「おはようございます 祐一様」
刻が停まりました
「はい?」
「祐一様?」
名雪と祐一さんがぽかんとした顔で私を見ています
はっ
え え も もしかして 私 今
ゆ 祐一さんのことを 祐一様って
「あ あ あっ」
「お母さん 今 祐一のことを」
ああああああっ
「いやーん」
バンッ 私は大慌てで居間を飛び出して 部屋に逃げ帰りました
「な なんだったんだ 今のは」
「祐一」
「うお なんだ名雪 恐い顔をして」
「しらばっくれないでよ」
「何のことだ」
「ふっ ぬすっとたけだけしいとはこの事だよ」
「は?」
「祐一がお母さんに様付けで呼ばせている この事から導き出される真実は一つ」
キラリ――ン 名雪の瞳が光った
「祐一が お母さんのご主人様ってことだよ」
「それは論理の飛躍じゃないのか」
「ふっ わたしの眼は誤魔化せないよ」
「お前 今 完璧に糸目じゃないか」
「(無視)祐一 お母さんをテゴメにして 従順な肉奴隷に調教したんだね」
「ちょっと待て名雪 お前 どこでそんないかがわしい言葉を覚えた」
「陸上部にそういうことに詳しい子がいるんだよ」
「………」
「そんなことはどうでもいいよ」
ギュビ――ン 名雪の瞳の輝きが増した
「女性の尊厳を踏みにじり それを恥じることもしないその態度 許せないよ」
「待て 違う 俺は無実だ」
「名雪スペシャル!」
「待っ」
シュガッ ジャキ―――ン!!
「ぎぇああああぁぁぁぁぁ―――――っ!!」
・
・
はぅ はぅ
ああ 私ったら恥ずかしい
祐一様だなんて
わ 私は別に祐一さんの ど 奴隷とか 牝猫とか そんなのじゃありませんよ
「………」
でも 祐一さんの顔を見て 祐一様って呼んだとき
何とも言えない 充足感とゆーか 満ち足りた気持ちが 胸に広がって
ひょっとして これが 隷属的快楽なのでしょうか
「ああああ――っ」
そ そういう愛情の形もあるかもしれませんけれど
でも私はいたってノーマルのはずです たぶん
あ でも ひょっとしたら素質みたいなのがあったり
「………」
わ 私は どうしたら
はぅ はぅ
ドキドキ
ああん また 胸が
「も もう寝ちゃいますっ」
ばふっ 布団にもぐり込みました
愛のコント劇場『お茶目な秋子さん呼称編』 おしまい
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星牙でございます。
マキ「マネージャーの小原マキです」
どんどんえっちくなってきましたな。もう停められません。
マキ「他人事のように言うな」
ういッス。
取り敢えず言い訳しておきますが、小生は奴隷調教はキッパリ嫌いです。お願い信じて。
マキ「三番目のシミュレーションに異様に力が入っておるのは何故じゃ」
あれがこのお話の肝だし、描く以上は手は抜けないから。でも下手でしょ? …信じて下せぇ、お代官様ァ!
マキ「信用できん」
キュー。
お読みいただきありがとうございました。
マキ「それでは、ご機嫌よう」
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