愛の官能劇場 『昇天 前編』

 ※作中に性描写がございますので、嫌悪感を持つ方、及び未成年の方はご遠慮下さい。

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 深夜。家の中は闇に覆われ、静寂に沈んでいた。煌々と明かりの付いた私の部屋を除いて…。

 私の身体は祐一さんの上で踊っていた。
「はぁっ、あぁっ…ゆ、祐一…さん」
 部屋には肉のぶつかり合う湿った音と、私の嬌声が響き渡っていました。
「ああっ、ああぁっ…あっ、あっ!」
 何もかも忘れ、私は快楽に包まれていました。

 はしたなく脚を開き、祐一さんを限界まで迎え入れて、私はかん高い声を上げてしまう。
「あぁぁーっ、はっ、あぁっ!!」
 より深い快楽を求め、私は身体を激しくくねらせ続ける。
「ん、んんっ…ふぅっ、はぁっ…! …あぁん、んっ…!」
 やがて、祐一さんが口を開きました。
「…秋子さん、俺、もう…」
 祐一さんは何時でも私を気遣ってくれる…
「はあぁ、はあっ、…はい、い、いいです、来て、来て下さぁ、いぃっ…」
 私も、もう…

 祐一さんのピッチが上がります。
「あっ…、ああっ…、はぁぁっ!!」
 祐一さんの先端が私の子宮口に何度も打ち付けられ、身体が弾けてしまいそうな快絶が湧き起こりました。
「んぁぁっ…! …ああっ、あぁーん!」
 自分の意志とはほとんど関係なく、自然と腰の動きが祐一さんに合わせるように激しく大きくなっていきます。
「…はあっ、はあっ、あっ…! ん…うっ、ふぅっ、ふぅっ、ぅふぅっ、ぅう…うあぁっ!」
 私の体内から溢れ出ていく蜜が祐一さんのお腹の上を伝い、蛍光灯の灯を受けて艶めかしくきらめくのが見えました。

 荒波のような悦楽に飲み込まれ、為す術もなく翻弄され続けているうちに、意識が白く輝いていって…。
「ああ、あああっ! あっ、あっ、ああ――っ!」
 何もかもが分からなくなるほど、眩しい白色に視界がおおわれ、私は絶頂を迎えました。
「…あっ、ああ…!」
 自然と身体が仰け反り、私の下にいた祐一さんが小さく呻きました。
「うっ、ぐっ!」 
「あ! …あ、あぁ――…」
 体内の深奥で生じた熱さを感じながら、私の意識は溶けていく…

「ふぅぅ…」
 汗ばんだ祐一さんの胸に頬を寄せ、逢瀬の余韻に浸ります。こうしてゆっくり余韻に浸るのも良いですけれど、
「はぁ…。祐一さん…シャワー、浴びましょうか…」
 私は祐一さんと一緒にシャワーを浴びるのが好きなんです。
「はい。じゃあ、行きましょうか」
 言って、祐一さんはまだ立ち上がれない私を抱き上げてくれます。
「ああ…」
 こうして祐一さんの腕に抱えてもらえますし…それに、何より…。

 ・
 ・

 ざああぁ。シャワーを浴びながら、祐一さんに背中を流してもらいます。
「あっ、あっ、ゆ、祐一さん、だめですよぅ」
 いたずら好きな祐一さんは、いつも私を困らせるんです。
「駄目じゃありません。身体はきちんと洗わなくちゃ」
 そう言って、祐一さんは私の身体中に手を這わせる。
「あ、あっ! …もう、祐一さ…あんっ」
 背後から乳房を揉みしだかれ、股の奥にまで指を差し込まれて…
「はぁっ、あぁんっ…だ、だめですぅ…そんな、あぁ〜…」
 ふらふらと祐一さんに体重を預ける私。こんなふうに祐一さんに甘えることが出来ますから、この時間が好きなんです。

 やがて、私の内に火が灯り…
「はぁ、はぁ…、…ゆ、祐一、さん…私、私、もう…」
 祐一さんは懇願する私を楽しそうに見やり、
「もう、何ですか」
 意地悪なことをおっしゃいます…
「ああ、そんな…いや、私…」
 お願い、焦らさないで…

 わずか数分、それでも私にとっては耐え難い時間が過ぎたころ、
「じゃあ、こっちに来て下さい」
 祐一さんは離れたところに胡座をかいて、手招きをする。
「ああ…」
 私はまた身体を祐一さんに預け、何もかも委ねてしまう。

 いったん持ち上げられて、向かい合う。
「行きますよ」
「はいぃ…」
 虚ろな声で返事をする私…

 祐一さんはうなずいて、ゆっくりと私の身体を落として…
 ぶちゅ
「ああーんっ」
 身体が仰け反り、繋がった部分が抜けそうになる。
「おっと」
 祐一さんは私の乳房を掴み、引き寄せる。
「ああっ」
 そうして乳房を掴まれたまま、腰が動き始める。

「あっ、あっ、ああっ!」
 乳房を揉みながら乳首の周りに舌を這わせ、腰を動かす祐一さん。
「はぁっ、はぁっ、あぁっ…」
 私は祐一さんの身体を抱き締め、ただひたすら快楽を享受していた…
「あぁ、あぁあぁ―――…」
 祐一さん…愛しています…

 ・
 ・

 お昼過ぎ…リビングでぼんやりとしていると、ドアが開く音がして祐一さんの声が聞こえました。
「ただ今帰りました」
 ああ…やっと帰ってきてくれました…

 とても居間で待っていられない私は、ふらふらと玄関まで出迎えに出ます。三和土で靴を脱いでいる祐一さんを見て、もう身体が熱を帯び始めました。
「…お帰りなさい…祐一さん…」
 ふらふらと揺れながら祐一さんの前に立ちます。祐一さんも私の気持ちを察したのか、意地悪な顔をして、
「どうしたんですか秋子さん、俺に何か用ですか」
 ああ…ひどい人…。

「あ、あの…はぁ、ふぅ…。ああ…祐一さん…」
 頭の奥が熱くなって、上手く言葉がでてきません。震える声で、
「…あ…愛して下さい…」
 囁くように呟き、祐一さんにもたれ掛かります。
「分かりました」
 そう言うと、祐一さんは私を担ぐように抱き上げ階段を上っていきます。

 ドアが開かれ、乱暴に(勿論私が痛くない程度に)ベッドの上に投げ出されました。
「あんっ」
 そのまま私に覆い被さってくる祐一さん。もう祐一さんの手は私の服の下に入っています。
「あぁ、あぁ〜」
 と、祐一さんの指先が乳脂に触れました。
「あん」
「うっ」
 小さく呻いて、祐一さんの動きが止まりました。…うふふ…祐一さん、気が付いたみたい…
「ふふっ…。どうしたんです、祐一さん…」
 祐一さんはうろたえたような表情を浮かべ、
「あ、秋子さん…し、下着は?」
 くすくすくす…
「さあ…どうしたかしら…」
 いやらしくスカートをめくり、下半身を露わにする。
「う…っ!」
 祐一さんの表情が強張り、眼が見開かれました。

 だんだん祐一さんの息が荒くなったかと思うと、今度は本当に襲い掛かられました。
「秋子さんっ!」
「あぁん」
 ブラウスをめくり上げて、剥き出しになった乳房にむしゃぶりつくように吸いつく祐一さん。
「ああ、あぁ〜」
 膝を掴まれ、脚が思い切り開かれました。そのまま祐一さんはもどかしげにズボンを降ろし、
 ぶぢゅっ
「ひぃっ、あぁ―――っ」
 一気に貫かれ、かん高い嬌声が私の口から溢れました。
「…あ…はぁぁ」
 …ああ…祐一さんが私の中に…
「うぅ、はぁあ…、はぁっ、はぁっ」
 猛然と腰を動かし始めた祐一さんに合わせて、私も身体を揺すり始めました。

 ああっ、すごい…こんな…!
「んっ、あん、あん、あぁっ! …はぁ、あぁ――!」
 祐一さんの部屋で、服を着たままの祐一さんに抱かれている。
「はぁ、はぁ、アッ! …あはぁ、あぁぁ――! あっ、あっ、あぁ―――っ!」
 まるで無理矢理に抱かれているような錯覚に陥り、私は気が狂いそうなほどの悦楽に悶えました。

「…う、ぁはぁ…私、…あっ、…はぁっ」
 錯覚も手伝い、私の身体はどんどんと熱くなっていく。
「ああ、ああ! …ゆっ、祐一さ、んっ! …あっ、あっ、ああ―――!」
 私は早々に絶頂に達してしまいました。
「…うっ! …く…」
 祐一さんが小さく呻くと同時に、私の体内に熱が生じる…
「はぁ…あ――…」
 陶然と声を上げる私…

「はぁぁ……」
 とろけそうな余韻に浸る…
「ふぅ…う」
 息を吐きながら、身体を離す祐一さん。
「ん…」
 私はぐったりとしたままベッドに寝転がり、祐一さんを見つめる。
「…あ、あの…秋子さん。すいませんでした。…」
 …? 何を謝っているのですか…
「……」
 ……別に、何でも構いません…
「…祐一さん…私、まだ足りません…」
 祐一さんのシャツに手を伸ばし、ボタンを一つ一つ外していく。
「え」
 一瞬だけ驚き、すぐに祐一さんも私の服に手を掛けました。

 生まれたままの姿になった私と祐一さんは、唇を重ねながらベッドに倒れ込みます。
「あんっ…ん、んん」
 下になった私の身体に祐一さんの体重が掛かりました。
「んっ…ん、んむ…」
 舌を絡ませ、唾液をすするように深く、深く…
「は…ぁ、んん…」
 祐一さんは乳房とお尻に手を回し、指を埋めたり揉んだりしている。
「はぁ…祐一さん…」
 狂おしいほどの声で祐一さんを呼ぶ。
「……」
 祐一さんも黙って頷きました。

「んん…」
 四つん這いになった私のお尻を撫で回している祐一さん。
「あ…、はぁ、あ――…」
 焦らすように手と指を動かしている祐一さんに視姦され、身体の中がどんどん熱くなってきて…
「ふぅ、うぅ――…、ふぅぅ…」
 はしたなくお尻を振り、盛りの牝猫のような唸り声が口から漏れて…
「…ぁ…ぁ―――…早く…うぅ」
 理性が壊れ、獣に還っていく……

「行きます」
「…んっ、うん、んん…」
 待ちかねていた祐一さんの言葉に、がくがくと首を揺らして応える。そっと腰に手が添えられ、
 ぢゅぶっ
「っ! …あぁぁ…、……はぁぁ」
 入れられた途端に何かが弾けたように頭の中が白く輝いて、
「うぅ〜」
 絶頂に達してしまった私は脱力してベッドにうつ伏せになりました。
「く…」
 祐一さんも小さく呻きましたが、そのまま動き始めました。
「あぁ、あぁ――…、はぁ、はぁ〜」
 すぐに私の身体にも火が灯り、腰を揺すって応え始める。

「ふぅぅ、あぁ、はぁぁ」
 ねじり込むように回したり、角度を変えて中を擦り付けるようにしたり、色々してくれる祐一さん。
「うふぅぅ、ふぅ、はぁぁ〜」
 私はただ、悦楽に悶えるだけ…

 祐一さんが私の背中に覆い被さりました。
「あぁ」
 振り向いた私とそのまま唇を重ね、乳房に手を這わす祐一さん。
「ん、んん…ふぅ…はぁぁ」
 擦り上げるように祐一さんの身体が動き、私の奥がぐいぐいと掻き混ぜられる。
「ひぁっ、ああ、あーっ!」

 ベッドから祐一さんの匂いがして、うつ伏せになった私の鼻腔に入る…
「ふっ、んん、ふぅ、はぁ」
 唇は祐一さんと重なっていて、乳房は祐一さんの手の中にあって…
「あっ、…は、あぁ、そんな…」
 私の中に祐一さんがいて…
「ん、ふぅっ…んんん――」
 私と祐一さんが溶けて、一つになったみたい……
「はぁ〜、はぁぁ―――」

 だんだん祐一さんの動きが激しくなってきました。
「…ふぅっ、うふぅっ、あはぅっ!」
 気が狂いそうなほどの快感に身を委ね、それに応える。
「ふっ、うぅ! あはっ、ぁあぁ!」
 意識がぼやけて…
「ひぅっ、…はぁぁっ! あぁあぁ! …あぁ! あぁっ! あ、あ、あぁあぁ―――っ!」
 白く…光って…
「ぐっ…!」
 あぁ…お腹の中が…熱い… 
「あ―――…」

「ふぅ…」
 仰向けになっている祐一さんの横に添い寝する。 
「うふふ……」
 はぁ…祐一さんの匂い…
 ふとあることを思い付き、祐一さんをからかうことにしました。
「祐一さん…。名雪とは、最近どうなんですか?」
 祐一さんは首をこちらに向け、
「どうって?」
「ふふふ…、じゃあ質問を変えます。私と名雪、どちらの方がいいですか?」
 私のストレートな問い掛けに、祐一さんの顔が青ざめました。

「え、え…い、いつから気付いて…」
「私に知らないことなんかありません」
 祐一さんはまだ顔を青くしています。
「早く答えて下さい…」
 言いながら、身体を押し付ける私。乳房が祐一さんの腕の上で潰れました。
「う…。え、えっと…」
 しどろもどろになって困っている祐一さん。はぁ…可愛い…

 私は身体全体を祐一さんの上に乗せて、
「ふふふ…祐一さん、こういうときは目の前にいる相手の名を言う物ですよ」
「あ…す、すいません…」
 ほんとうにすまなそうに謝る祐一さん。
「じゃあ、お仕置きです…ん」
 言って、唇を押し付ける。
「う…んっ」
 深く、激しく舌を絡ませ…離す。
「うふふ…名雪は今日も部活でしたよね…。じゃあ…まだ…」
 身体を揺すり始める…
「秋子さん…」
 乳房に手を回し、揉み上げ始める祐一さん。
「はんん…秋子って呼んで…」
 悶え、かすれた声で囁く…
「…秋子…」
「はぁ…祐一…」
 互いの身体を貪るように、快感に溺れていく……

 ・
 ・

 気のせいかしら…
 最近、祐一さんが何か悩んでいるように見えます。
 それとなく訊ねても、
「たいしたことじゃないんです」
 と、はぐらかされてしまいます。そしてそう言った後、祐一さんは溜め息をついています。

 ある夜、行為の後で祐一さんは、私に見えないように顔を背けながら、辛そうな表情をしていました。

 …どうしたのですか、祐一さん…
 私との交わりが苦痛なのですか?
 私に、飽きてしまったのですか?
 もっと若くて綺麗な女が良いのですか?
 …私のことを…
 訊いた瞬間に何かが壊れそうで怖かった。

                                                           《後編に続く》


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