愛の劇場『お茶目な秋子さんR誕生日編 当日その八』
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「んんっ………はぁぁぁ」
たぷたぷと柔らかい肢体を揺さぶって、柔肌をすり付けていた秋子さんが、大きく息を吐いて肩を落とした。
「ふう…、お終いです」
秋子さんはとろんとした瞳を向け、にっこりと微笑んだ。
「……………………………………………………はぃ」
魂魄が抜け掛けたまま、こくんとうなずく俺。
「…ふう」
俺に覆い被さったままの秋子さんは、ほほに手を当て、物憂げな吐息を漏らした。
「…んん」
物足りないように、うずうずと肩を揺すっていた秋子さんの瞳に、揺らめく炎のようなものが見えた。
「…じゃあ祐一さん、次はこっちの方を」
秋子さんが上擦った声で呟き、俺の下腹部に眼を移した。
「待った! それだけは絶対に駄目ですっ」
抜け掛けていた魂魄を引き戻し、慌てて秋子さんを押しとどめる。
「うぅん、いいじゃありませんか………ね?」
艶っぽい媚笑を浮かべ、おねだりする秋子さん。
「う…、…いえ、駄目ですっ」
一瞬、秋子さんの色香に惑わされ掛けたが、なんとか堪える。
「…ぶぅ」
秋子さんは一転して可愛い仕草でほっぺたを膨らませて、拗ねてみせた。
「ほっぺたを膨らませたって駄目です」
秋子さんは諦めきれないのか、まだうずうずと躰を揺すっている。
「駄目ったら駄目です。秋子さ…秋子こそ、自分の躰を洗っていないでしょう」
「むー…分かりました」
正論を突き付けられた秋子さんは、可愛く唇を尖らせて、躰を浮かせた。
「……」
成熟した肢体の温もりが去り、落ち着きを取り戻せてほっとするのと同時に、言い様のない寂寥感が込み上げてくる。
「…ぬおおーっ」
取り敢えず吼えて誤魔化す俺。
「?」
秋子さんは可愛らしく小首を傾げ、不思議そうに俺を見つめた。
「…ほう」
タイル床の上に座り込んだ秋子さんが、指先を唇に当てて、呆けるような表情で何か考え込んでいる。
「……」
こすり付けられていたせいか、艶めかしい桃色になっている秋子さんの肢体に見惚れる。ついさっきまで、あの胸が俺の躰の上で跳ねていたんだなあ。…って、感慨にふけってどうする。
「…あ」
ふと、秋子さんは何か思い付いたのか、小さく声を上げた。
「うふふ」
秋子さんの瞳がきらきらと輝きだし、真っ直ぐに俺を見据える。…って、またかい。
「……」
悪い予感がした俺は、そそくさと秋子さんから間合いを取ろうと後ずさる。
「うふふ」
秋子さんがにっこり微笑んだかと思うと、一瞬で間合いが詰められた。
「えい♪」
秋子さんはそのまま抱き付くようにしなだれ掛かってきた。
「うわーっ」
悲鳴じみた声を上げながらも、嬉しさを感じてしまうのが情けない。
俺にすがり付いた秋子さんは、上目遣いで俺を見据えて、
「ねえ、あ・な・た? お願いがあるんですけれど…」
柔らかな肢体を押し付けながら、甘くとろけるような口調で囁く秋子さん。
「はぅぅ…な、なんです」
掠れた声で問い返す俺。秋子さんはうっとりとした媚笑を浮かべて、
「……愛して下さい」
「ぶはぁっ!」
直球な物言いに、思わず吹き出した。
「うふふ、冗談です。……………………………それは後でお願いしますから♪」
のほほんと微笑む秋子さん。…『それは後で』とゆー部分に、何か引っ掛かりを感じないでもなかった。
秋子さんはいつもの朗らかな微笑みを浮かべて、
「祐一さん、背中を流して下さいませんか?」
「え? ええと」
俺が一瞬躊躇して黙り込むと、秋子さんはすっと瞳を細めて、
「いいじゃありませんか。…ね?」
俺の胸板に指先を押し当て、ぐりぐりと『の』の字を描きながらおねだりし始めた。
「あぐっ。…わ、分かりました」
取り敢えず、さっきのお礼も兼ねて秋子さんのお願いを聞くことにした。
「ありがとうございます」
秋子さんはにっこりと嬉しそうに微笑み、可愛らしくお辞儀した。
「ええと、どれで洗えばいいんですか?」
壁のタオル掛けに引っ掛かっている、何種類かの垢擦りを見ながら訊ねる。秋子さんはほほに手を当てて、
「もちろん、直接祐一さんの手の平でお願いします♪」
ゴスッ。突っ伏した拍子に、タイル床に額を打ち付けた。
「あらあら。大丈夫ですか、祐一さん。脚を滑らせたんですか?」
手を貸して俺を助け起こしてくれてから、可愛らしく小首を傾げて訊ねる秋子さん。
「違います」
よろよろと躰を起こして、それだけ答える。
「これでいいですね」
腕を伸ばして、適当に白いシルク製のタオルを手に取る。
「祐一さんの手の平がいいです♪」
指先を唇に当て、上目遣いに俺を見ながら囁く秋子さん。
「絶対に駄目です」
俺がきっぱり断ると、
「そうですか? 残念です」
ほほに手を当て、秋子さんは心底残念そうに呟いた。
液体石鹸をタオルの上に出して、泡立てる。
「じゃあ、流しますよ」
「はい♪」
にっこり微笑んで、俺の真っ正面に陣取る秋子さん。
「……。あの、どうして背中を流すのに、向かい合って座るんですか」
目の前でゆらゆら揺れる乳房を注視しながら言う。
「いいじゃありませんか」
秋子さんはにっこり微笑んで、腕を伸ばして俺の首の後ろに絡めてきた。
「うわ! ちょ、ちょっとっ!?」
秋子さんは躰を近付けると、俺の耳元に唇を寄せて、
「うふふ…、このままでおねがいします」
ぐいぐいと肢体を押し付けながら、甘く囁いた。
「あうっ…、ど、どうやってですっ」
裏返った声で訊ねる。
「背中に腕を回せば、洗えますよ?」
「……」
それって、ただ抱き合ってるだけじゃあ…と、霞み掛けた思考で考える俺。
俺は理性をかき集めて、
「と、とにかく駄目ですっ。離れて下さい」
「…うぅん、いいじゃありませんか…」
ぴったりと躰を押し付けたまま、さらに甘ったるい口調で囁く秋子さん。
「ううっ…駄目なものは駄目です」
絹肌と柔肉のすべすべふにふにした感触に耐えながら、声を振り絞る。
「…うふふ」
秋子さんはうっとりと微笑むと、脚を伸ばして俺の腰に絡めてきた。
「だああっ! 駄目ですってばっ」
秋子さんの細い肩に手を添え、押し返した。
「あんっ。…はあ、分かりました」
秋子さんは小さく溜め息を吐き、躰を浮かせて離れた。
秋子さんはゆったりとした仕草で体勢を変えて、
「どうぞ、祐一さん」
首を振り向かせて、ふんわり微笑みながら囁いた。
「………。秋子さ…秋子、背中を流すんですよね」
「はい」
「…だったら、どーして四つん這いでお尻を向けるんですか?」
目の前の、四つん這いになっている秋子さんのお尻を凝視しながら訊く。
「いいじゃありませんか」
秋子さんは凄まじく扇情的な体勢のまま、のほほんと答えた。
「……」
呆気が三割、見惚れているのが七割の心情で、俺が黙っていると、
「どうなさったんですか、祐一さん? さ、どうぞ♪」
首を振り向かせた秋子さんが、媚笑を浮かべながら、ゆらゆらとお尻を左右に振った。柔らかそうな尻肉が、たゆたゆと波打つ。
「うぐっ! …ふっ、普通に背中を向けて下さいっ」
秋子さんの媚態から目を背けながら、叫ぶよーに声を振り絞る。
「うふふ、いいじゃありませんか」
「よくないですっ」
秋子さんは四つん這いのまま、いつもの柔和な微笑みを浮かべて俺を見つめている。
「うふふ」
秋子さんの豊満な乳房が、円錐形になってゆらりゆらりと揺れているのが眼に入った。
「うぐぅ」
泡立てたタオルを手に持って、小さく呻く俺。
「どうしたんですか、祐一さん? さ、どうぞ遠慮なさらずに」
可笑しそうに笑いながら、ふらふらと躰を左右に揺する秋子さん。
「あううあー」
これ以上は耐えきれん。
「ぐっ…、だああっ!」
裂帛の気合いと共に、秋子さんの柳腰をひっ掴む。
「きゃっ」
可愛らしく悲鳴を上げながら、何かを期待するように瞳を輝かせる秋子さん。そのまま秋子さんの躰を一旦持ち上げて、タイル床に座らせた。
「きゃん」
べたんと尻もちを付かされて、秋子さんがまた悲鳴を上げた。
「ふう、はあっ…このまま座っていて下さいっ。でないと、背中を流しません」
俺がそう言うと、秋子さんは振り向いて、ほほに手を当てて微笑んだ。
「そうまでおっしゃるのでしたら、仕方がありませんね。分かりました」
あっさりと答えて、前に向き直った秋子さんは、もそもそとお尻を動かして座り直した。
「ふう」
安堵の溜め息か、落胆の吐息か分からない息を吐く俺。
タオルを握り直し、秋子さんの小さな背中に向かう。
「……」
…細い。肩口から背中までが、か細く弱々しいと言うか、男の俺とは比べ物にならないほど儚く可憐な印象を受ける。きめ細やかな肌も柔らかそうで、触れただけで傷付けてしまいそうだ。
こんな綺麗な人に触っていいのだろーか、と俺が緊張していると、
「祐一さん? どうかなさいましたか?」
いつもの柔らかな微笑みを浮かべた秋子さんが、可愛らしく小首を傾げながら振り向いた。
「い、いえ。なんでもないです」
「そうですか」
にっこり微笑み、前に向き直る秋子さん。俺も覚悟を決める。
「じゃあ、流しますよ」
「はい」
秋子さんが前を向いたままこっくりうなずくのを確認してから、タオルを肩に押し当てる。
「…んっ」
秋子さんののどが小さく鳴った。俺は秋子さんの珠の肌に傷がつかないように気を付けながら、ゆっくり流し始めた。
こしこしと撫でるようにこすっていると、秋子さんがゆらゆらと躰を揺らし始めた。
「…んっ、んっ、んふ、ぅふんっ」
俺の手の動きに合わせて、喘ぐように鼻を鳴らし、うずうずと身悶える秋子さん。
「ちょ、ちょっと、秋子さ…秋子?」
「んっ、んふぅ、んんっ…、…はぁい、なんですか、あ・な・た?」
ゆらりと振り向いた秋子さんが、とろんと潤んだ瞳で俺を見据えた。
「その…変な声を出さないで欲しいんですけど」
「あら私、変な声なんて出していませ…あぁん」
躰をわななかせ、言葉を途切れさせた秋子さんは、恍惚とした表情を浮かべた。
「出しているでしょうっ」
「あらあら、そうですね…あはん」
ほほに手を当てて、誤魔化すように微笑んだ秋子さんの肩が大きく震える。
秋子さんはくらくらと頭を左右に振り、
「はぁ、はぁ、…うふふ。まあ、気にしないで下さ…うぁっ、あっ、ああんっ」
悩ましげな嬌声を上げ、躰を仰け反らせた秋子さんの乳房が、大きく弾むのが肩越しに見えた。
「気になりますよっ」
「いいじゃありませんか……あん、んっ、んはぁっ」
わなわなと肩を震わせ、喘ぎ声をほとばしらせる秋子さん。
「…んっ、んぁっ、はっ、はぁ、はぁっ!」
秋子さんの澄んだ嬌声が、浴室の壁に反響して、俺の全身に染み込んでくるような錯覚に捕らわれる。
「んっ、ぅんっ、んぁっ! …はっ、はぁっ、はぁっ、んはぁっ!」
「ううー」
・
・
無心になって腕を動かして、秋子さんの背中を流し終えた。
「はあ…終わりましたよ」
ゆらゆらと肩を揺すっていた秋子さんが、ふらりと振り向いて、にっこり微笑んだ。
「ふう…ありがとうございます、祐一さん。お疲れ様でした」
「どういたしまして」
秋子さんは正面に向き直って、
「うふふ、お礼です。………ぅん」
体重を掛けながら、唇を押し付けてきた。
「んぐっ」
不意を突かれて押し倒された俺は、秋子さんを抱えるようにしながら仰向けに転がった。
「んんっ…ふ」
秋子さんは瞳を細めて微笑み、そのまま舌を差し入れてきた。
「ぅむっ」
「…ん、んっ、んふっ…んぅ…ん」
ほほを薔薇色に紅潮させ、情熱的に舌を絡めてくる秋子さん。
「んっ、んふっ、んぅ、ん…ちゅ…んぅぅ」
秋子さんは俺に覆い被さったまま、躰を密着させて、うずうずと甘えるように揺すり続けている。
「…うぅ、う」
秋子さんの艶めき立つ色香をもろに受けて、頭がくらくらしてきた。
「んはっ、……ふはぁ」
秋子さんが大きく息を吐いて、顔を離した。綺麗な唇の端に、唾液の糸が垂れる。
「…はっ」
理性を霞ませていた俺は、まだくらくらする頭を軽く振って、
「あ、秋子さ…秋子? あの、今のは」
秋子さんは紅潮したほほに手を当てて、うっとりと微笑み、
「うふふ、言ったじゃありませんか。ささやかなお礼です」
微かに上擦った声で答え、密着させた肢体をうずうずと揺すった。
「うっ。…ちょ、ちょっと、躰を揺すらないで下さいっ」
「いいじゃありませんか」
秋子さんはのほほんと微笑み、俺のほっぺたに手の平を添え、優しく撫で始めた。
「…はぁ…」
愛おしげに俺のほほを撫でながら、うっとりと溜め息をつく秋子さん。
「…祐一さん」
熱く潤んだ瞳で俺を見つめていた秋子さんが、吐息混じりに呟いた。
「はい?」
背筋を走るむず痒いものを極力無視しながら返事をする。
「…うふふ…呼んでみただけです」
とろんとした瞳をうっとりと細め、秋子さんは儚げに微笑んだ。
気のせいか、秋子さんの笑顔に、妙な迫力があるよーな。
「……」
なんとなく怖くなり、さり気なく秋子さんの躰の下から抜け出そうと、身じろぎをしてみる。
「…うふふ、逃がしません」
にっこり微笑みながら、きっちり下腹部に体重を掛けて、俺を押さえ付ける秋子さん。
「うぐ」
「…ふう」
秋子さんは内ももをもじもじと動かして、俺の脚に絡めてきた。
「うおっ」
「うふふ…祐一さん」
とろけるような媚笑を浮かべた秋子さんは、ゆったりとした仕草で躰を前後に揺すり始めた。密着した豊潤な肢体が、心地よい重みと共に全身を撫でる。
「ああっ。…ちょ、ちょっと、秋子さんっ?」
秋子さんは唇を尖らせて、
「…あ・き・こ」
「うっ…あ、秋子っ、なにを……」
掠れた声で問うと、秋子さんは恥じ入るように瞳を伏せて、
「…愛して下さい」
「え!? …うあっ!」
秋子さんの白魚のような細指が、俺の下腹部を撫でた。どうやら、今度は冗談ではないらしい。
「う、ううー」
今まで抑え込んできていた情動が、強烈な目眩と共に襲い掛かってきた。
「ちょっと待って下さい、秋子さ…秋子っ」
「うふふ、いいじゃありませんか」
目元を潤ませ、甘い吐息を吹きかけるように囁く秋子さん。
「ぐっ、…ええっと、…あっ、そうです。名雪が見てますからっ」
起死回生の言い訳を考え付くと、
「名雪なら、さっきから寝ています」
「へ?」
言われて、湯舟の方に顔を向けてみる。
「……くー」
湯舟の隅に寄り掛かって、糸目になっているいとこ(現在は娘)の寝姿があった。
「ぐあ」
道理で、さっきからずっと静かだと思ったよ。
「うふふ」
ほほに添えられていた手の平に力が込められ、顔を真っ正面に振り向かされる。
「ぐっ」
「…そういうことですから、気にせず愉しめますね。……あ・な・た♪」
瞳を爛々と輝かせた秋子さんが、とろけるような媚笑を浮かべて囁いた。
「え!? ちょ、ちょっと……ああー」
・
・
「……」
秋子さんを上に乗せたまま、ぼけーっとお風呂場の天井を見上げる。
「…はあ」
柔らかな微笑みを浮かべた秋子さんが、物憂げに溜め息を吐いた。火照って薔薇色に染まったほほに、髪の毛が一房掛かっている。
「うふふ。お疲れ様でした、祐一さん」
指で髪の毛をかき上げ、にっこり微笑む秋子さん。
「…ふぁい」
軽い目眩を感じながら、ぼんやりと返事を返した。
《当日 その九に続きます》
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星牙でござます。
マキ「マネージャーの小原マキです」
秋子さんの性格が、お茶目という言葉で片付けられなくなってますな。
マキ「他人事のように言うな」
うぃ。
お読みいただきありがとうございました。
マキ「それでは、ご機嫌よう」
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