愛の劇場『お茶目な秋子さんR誕生日編 当日その六』
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「ふいー」
湯舟に浸かり、風呂場の天井を見上げながら大きく息を吐く。手でお湯をすくい、ばしゃばしゃと顔を洗った。
「はあ」
適度な温度のお湯に包まれていると、気持ちが落ち着いてくる。
お風呂でリラックスできるのは、胎児が母親の胎内で羊水に包まれている状況と酷似しているからである、という諸説を聞いたことがある。原初の記憶が、人を安心させるらしい。
「まあ、理屈なんてどうでもいいよな」
大きく伸びをしながら、一人ごちた。
風呂場の天井を見上げているうちに、ふと現実に立ち返る。
「……」
秋子さんと名雪は一体なにを考えているのだろうか。
家族ごっこみたいなことをしたいのかと思っていたけど、何か二人とも違うことを考えているような気がする。秋子さんも名雪も、どう考えても誘っているようにしか思えない迫り方をしてくるし。
…実際、秋子さんとはもう既にややこしいことをしてしまって…げふげふ。
「むう」
お湯の中で腕組みをして、考え込む。
まさか二人して、俺をからかっているわけじゃないよな。秋子さんと名雪に、ただふざけているだけとか言われたら、たぶん俺は泣く。
「うーん」
風呂から出たら、そこらへんのことを訊いてみるか。
考え事がまとまったら、急に気が楽になった。
「よし」
もう一回、手でお湯をすくって顔を洗ってから、熱めのお湯に肩まで浸かり込んだ。
「はあー」
カラ、と引き戸が開く音がした。
「お邪魔しまーす」
「失礼しますね」
明るく弾んだ声で謝辞を口にしながら、生まれたままの姿の名雪と秋子さんが浴室に入ってきた。
「………………………………………………………………………………………………………」
思考が停まる。
俺に微笑み掛けてから、秋子さんと名雪はタイル床にお尻をついて、掛け湯を始めた。ざぶー、ばしゃーというお湯の音がやけに耳に付く。
「ふっふふ〜ん ふ〜ん♪」
鼻歌を唄いながら、手桶で汲んだお湯を肩口から掛ける名雪。
普段は背中に広げている空色の髪の毛を、頭の高い位置で束ねて結ってある。細いうなじが、流れるような曲線を描いて撫で肩と繋がっている。
真珠色の肌は赤ん坊みたいに瑞々しく、つるつるとなめらかそうだ。小さな背中をお湯が伝っていくと、その部分が鮮やかな桃色に染め上げられていく。お湯をはじく肌なんて、初めて見た。
床に押し付けられたお尻が、ぷよんと柔らかく形を変えている。お尻の谷間の真上にある笑窪が、妙に艶めかしい。
「るんららら るるらら〜♪」
名雪の右隣に座り、唄を口ずさみながら湯浴みをしている秋子さん。
三つ編みをほどいて、引っ詰めに結い上げているのが新鮮だ。普段よりも、成熟した大人の女性としての魅力が溢れている。
夕方にも見たけど、秋子さんの肌は染み一つなくて綺麗だ。大理石のように真っ白くて、くすんだりしている部分は一切ない。
秋子さんの若々しい肢体の中で、唯一年齢を感じさせるのが、細い柳腰の下の大きなお尻だ。真ん丸とハート型の中間の形状をしたお尻の誘惑に負けて、何度も後ろから…って、それはいい。
「わっ、うわあああっ!」
ようやく我に返った(遅い)俺は、大声を上げた。
「わっ」
「あら」
ちょうど掛け湯を終えた名雪と秋子さんが、びっくりしたように振り向いて、
「どうかなさったんですか、祐一さん」
「お父さん、足が攣っちゃったの? それとも、お腹が痛くなったの?」
心配げな顔をして、身を乗り出してくる秋子さんと名雪。
「うわーっ」
支えのない四つの豊満な乳房が、たゆたゆと波打つように揺れながら押し出される。
秋子さんの乳房は流線型に近く、乳首は薄杏色だ。名雪のは全体的にまん丸い感じで、てっぺんの乳首は透き通るような桜色で、小さく可愛らしい。
取り敢えず二人とも、大きくて揉み応えがありそうだ…って、観賞してどうするんだ、俺!
「ぬおおーっ」
裂帛の気合いと共に、眼を閉じる。取り敢えずこれで二人の艶姿を直視しないですむ。
呼吸を整えて、気持ちを落ち着ける。
「ふう、はあ」
冷静に、状況を整理してみよう。
湯舟に浸かっていると、素っ裸の名雪と秋子さんが風呂場に入ってきて、掛け湯を始めて、二人とも肌がすごく綺麗で、お尻は丸くて大きくて、胸も揉み応えがありそうで…って、思考が暴走してるぞ。
俺は眼を閉じたまま、
「ええと…名雪、秋子さ…秋子」
「はい」
「なあに、お父さん」
間近で返事が返ってきた。どうやら、二人ともまだ身を乗り出しているらしい。
「二人とも、なんで風呂に入って来るんだ」
「わたしもお母さんも、お風呂にぐらい入るよ?」
名雪がほえっとした口調で答えた。
「そうじゃなくて、どうして俺が入っているときにわざわざ来るんだ」
「うふふ、たまには家族同士で、肌を触れ合わせるのもいいかと思いまして」
今度は秋子さんがのほほんと答える。
「親子のすきんしっぷだよ」
相づちを打つ名雪。どーでもいいけど、なんで名雪の発音は平仮名に聞こえるのだろうか。
「家族同士の肌の触れ合いと言われても…その、ええと」
秋子さんと名雪の言っていることは正しいと思うけど、だからって裸の美女二人を目の前に据えられる俺の心情は、そんな簡単なものではない。
「お父さん、すきんしっぷを取って互いの体温を感じ合うことで、精神的安息を得られるんだよ」
そう言われても、『ハイそうですか』とうなずけるわけがないだろ。
「うう」
と、俺が渋っていると、
「……祐一さんは、私と一緒にお風呂に入るのが、嫌なんですか?」
秋子さんが、抑揚のない声で訊ねた。
「へ?」
「…私みたいなお婆さんと、肌を触れ合わせたくないと…そうおっしゃりたいんですか?」
妙に湿った声で、秋子さんが言葉を続ける。
「え!? いえ、そんなことないですよ」
秋子さんをつかまえて、お婆さんだなんて言えるほど、俺は呆けてない。
「…でも、現に今だって祐一さんは眼を閉じていらっしゃるじゃありませんか。祐一さんは、私のしわくちゃな躰なんて見たくないんでしょう?」
秋子さんが震える声で、呟くように言った。
「ち、違いますよ! これは秋子さんを見たくないから眼を閉じているわけじゃないです」
むしろもの凄く見たい気持ちを押し殺しているぐらいなんだけど。第一、秋子さんの躰には小じわの一本だってないでしょうが。
「……」
秋子さんは黙ったまま答えない。信じてもらえていないらしい。
「…グスン…もういいです。分かりました、私は出ていきます」
小さく鼻をすすり上げ、秋子さんが囁くように言った。
「え!?」
「私は後で入りますから、祐一さんは名雪とゆっくりなさっていて下さい」
いくらなんでも、秋子さんを追い出すわけにはいかない。
「待って下さい! 出ていかなくてもいいですよ」
「気になさらないで下さい。祐一さんに嫌がられてまで、一緒に入りたくはありませんから」
感情を押し殺した、抑揚のない声で答える秋子さん。
「嫌がってるわけじゃないです」
「…でも、祐一さんは私の躰を見たくないんでしょう?」
「うっ」
それは違うんです…といっても、言い訳にしかならないんだろうな。
「…わ、分かりました。眼を開けます」
なんだか、罠にはめられたような気もするけど。
「でも、本当にいいんですか。秋子さ…秋子も、名雪も」
眼を開けたら、当たり前だけど名雪と秋子さんの無防備な肢体が眼に入ってしまう。
「どうして?」
「何がですか」
全く危機感のない口調で答える名雪と秋子さん。
「……」
いいのだろうか、と思いつつ、二人の裸を見たいという気持ちも確実にあるので、眼を開けることにする。
期待が九割五分、恐怖が残り五分の心境で眼を開ける。我ながら期待の比率が高すぎるよーな気がするが。
「…うっ」
予想していたとは言え、やっぱり刺激が強い。
秋子さんはいつも通りの柔和な微笑みを浮かべ、名雪は朗らかに微笑んでいる。流麗な曲線を描く撫で肩、ほっそりとした腕。…と、ここまではいい。
「……」
掛け湯で淡い桃色に染まった肌。たっぷりと肉を内包しているのが見て取れる、大きく張りだした丸い乳房。可愛らしくちょんと突き出した乳首。触れれば折れてしまいそうな、か細い柳腰。上品を失わない程度の艶めかしさを放つ、太ももの間の薄い陰り…。
「…ゴク」
思わず生唾を飲み込む。
生まれたままの姿の美女が二人、目の前にいるという現実に頭がくらくらしてきた。
「ようやく、きちんと見てくれましたね。…あ・な・た」
ほほに手を当て、ふんわり微笑む秋子さん。
「うふふ。…もう私に飽きてしまったのかと思って、すごく心細かったんですよ?」
秋子さんは眉を寄せて拗ねた表情を浮かべ、咎めるように俺を見据えた。
「は、はあ…すいませんでした」
凄艶な色香に圧倒されつつ、刺激の強すぎる肢体から眼を逸らせない俺。
「うー、寒いよー」
名雪が細い肩をぶるっと震わせ、小さく呟いた。
「あら、そうね。じゃあ祐一さん、名雪と私もご一緒してよろしいですか?」
「え。……は、はい」
今さら追い出すわけにもいかないし、何より既に二人に圧倒されている俺に、断れるわけがなかった。
「ありがとうございます」
「わーい」
にっこり微笑み、立ち上がる二人。
「うぐぅ」
名雪と秋子さんの太ももの間の陰りを直視した俺は、呻き声を上げた。
「お邪魔しまーす」
「失礼しますね」
軽く会釈して、湯舟の中に滑り込んでくる二人。とぷん、と軽い音と共に、名雪と秋子さんの肢体がお湯に浸かる。
「あは…ぁ」
「んんっ…ふ」
もの凄く色っぽい吐息を同時に漏らす名雪と秋子さん。
「はぅぅ」
湯舟が広いので、三人で入っていても狭くなったような感じはしない。
「うー、ちょっと熱いよ」
「そうね」
女性陣二人には、お湯の温度が高いらしい。秋子さんは名雪に相づちを打って、細い腕でゆったりとお湯をかき混ぜ始めた。
「……」
湯舟に張られたお湯が波打つのに合わせて、名雪と秋子さんの乳房がたゆたゆと揺れる。でかい胸はお湯に浮く、というのは聞いたことがあったけれど、まさか本当だったとは…って、感心している場合か。
「……」
ゆらゆらと揺れる、肌色の球体につい眼が行ってしまう。
「ぐおおーっ」
駄目だ、このままでは自分が何をしてしまうか分からん。俺は湯舟の中で躰を回し、名雪と秋子さんに背を向けた。
「あれ、どうしてそっち向くの?」
ほえっとした口調で訊ねる名雪。
「気にするな」
「…祐一さん、やっぱり私の躰を見たくないんですか?」
「え」
秋子さんの切なげな呟きが、俺の背中に掛けられる。
「…そうなんですね? 私の醜く型くずれした躰なんて、見苦しくて直視できないと…」
「ええっ」
「うっ、うう……グスン」
秋子さんの小さなすすり泣きが聞こえ、居たたまれなくなる。
「ああっ…わ、分かりましたっ」
尻尾を掴まれたというか、為す術もなく振り向く俺。
「……うぐぅ」
胸も秘部も隠そうともせずに、ゆったりとくつろいでいる二人を直視して、また呻く。
「うう」
取り敢えず体育座りをして、急場を凌ぐことにする。
「ふー」
「はあ」
名雪と秋子さんは、並んで胸元までお湯に浸かって、ゆったりとくつろいでいる。
「……」
秋子さんの成熟した肢体もいいけれど、名雪の瑞々しい躰も負けず劣らず綺麗だ。
名雪は普段のほえほえとした雰囲気のせいか、ぽっちゃりした印象を持っていたけど、陸上で鍛えられた肢体は想像していたほど太っていない。お腹も引き締まっているし、脚も細く長い。
…と言うか、胸とお尻に都合よく肉が回っているらしい。そこだけふっくらと膨らんでいる。
「…ゴク」
名雪の乳房も、大きくて柔らかそうで、揉み心地が良さそうだなあ。秋子さんの乳房はもう何度も揉んで、肉が詰まって張りがあって、弾む手応えがあると知っているけれど、名雪のはどうなんだろう…とぼんやり考え込んでいると、
「…えっち」
「え」
気が付くと、名雪がもじもじと身じろぎをしながら、上目遣いに俺を見据えていた。
「…うー。お父さんはわたしのこと、太ってると思ってたんだね」
顔を赤らめながら、拗ねた口調で名雪が呟く。
「え!? …まさか俺、口に出してたのか」
うん、と名雪が赤い顔でうなずいた。
「ぐあ…どこら辺から?」
「ええとね」
名雪は口元に指を当てて考え込み、
「…『秋子さんの成熟した肢体もいいけれど』っていうところからかな」
「ぐああっ」
「…それから、お母さんのおっぱいは何度も揉んだとか、わたしのおっぱいの揉み心地はどうなんだろうってとこまで話してたよ」
「ぐああああっっ」
全部じゃないか。
「うふふ…祐一さんたら」
いつもの微笑みを浮かべている秋子さんも、少しはにかむように身じろぎをしている。
「お父さん、えっちだよ」
呆れた表情を浮かべた名雪の小さな呟きが、ザクリと胸に突き刺さる。
「うぐぅ」
思わず呻いた俺に、やれやれという表情の名雪が近付いてきた。
「な、なんだよ」
名雪の裸体から眼を逸らすように、目の前の名雪の顔を見つめる。
「……お父さん」
火照って赤くなっているほっぺたが、妙に艶めかしい。結い上げている髪型も新鮮だし、やっぱり名雪も美人顔なんだなあ…と考えていると、
「いいよ、揉んで」
「へ?」
一瞬、意味が分からず間抜けた声を出す俺。
「よいしょ」
名雪が背を向けて、俺に体重を掛けてきた。
「うっ」
名雪の背中が体育座りをしていた俺の脚を左右に割り、そのまま腕の中に収まる。
「な、名雪?」
ちょうど眼の下当たりに来た名雪の頭に向かって声を掛ける。
「わたしのおっぱい、揉んでいいよ」
名雪が首を振り向かせて、のほほんと答えた。
「………ちょっと待て」
思考が停まりかけたが、何とか堪えて声を振り絞る。
「なあに?」
ほえっと小首を傾げて、名雪が俺の顔を見上げた。
「なあにじゃないっ。何を考えてるんだ、お前は」
「え? 触りたいんでしょ」
名雪があっさり答えた。
「え…いや、ええと、その」
揉みたいか揉みたくないかと問われれば、揉みたいと即答するけど。
「大丈夫だよ。親子のすきんしっぷだから」
にっこり微笑みを浮かべる名雪。
「普通、スキンシップで胸は揉まないだろ」
言いながら、名雪の胸元を見下ろしてみる。ふっくらと柔らかそうな丸い膨らみが、お湯に浮かびながらゆらゆら波打っている。
「……」
柔らかくて、揉み心地が良さそうだ。…揉んでいいって言うんだったら、触らせてもらおうかな。
「だああっ!」
頭を振って、不埒な思考を追い出す。
「いいから離れろ。ほら」
名雪の肩に手を置き、軽く押す。
「えー、どうして」
何故かぷくっとほっぺたを膨らませて、拗ねた表情をする名雪。
「お母さんのおっぱいはいっぱいいっぱい揉んだんでしょ。わたしのも揉んでよー」
なるほど、そういう対抗意識だったのか。
「うー、揉んでくれるまで、離れないよ」
名雪は湯舟の縁に手を掛け、駄々を捏ねるように身じろぎをした。
「うおっ」
名雪のすべすべした肌がこすり付けられ、胸板を撫でるように動く。
「ううー」
むずかる子どものように、ぐりぐりと躰を揺すりながら後ろに体重を掛ける名雪。
「ぐああっ」
ぷにぷにと柔らかい肢体を押し付けられ、頭が痺れるように熱くなってきた。
「ま、待て! 分かった、分かったから」
掠れた声でそれだけ言い、名雪の肩から手を離す。
「ほんと?」
身じろぎをやめた名雪が、可愛く小首を傾げながら訊いた。
「ああ、本当だから、躰を揺するのはよせ」
理性と欲望の葛藤にへろへろになりながら、うなずく。
「うん」
名雪はにっこりうなずき返すと、甘えるように体重を掛けてきた。
「……」
分かったと言ったものの、いざ揉むとなると抵抗がある。
「あの…名雪、いいのか?」
「うん、いいよ」
即答だ。
名雪は親子のスキンシップと言ってきたけど、無論俺と名雪は親子じゃないし。でも触るぐらいならいいか、とも思うし…ううー。
「どうかしたの、お父さん」
名雪がいつものほえほえのほほんとした表情で訊ねた。
「…うー。また焦らすの?」
名雪が瞳を細めて、拗ねた口調で囁く。いかん、これ以上待たせるとまた身じろぎし始めるかもしれない。
「あ、ああ」
よし、ここは父親の心情になりきって凌ごう。コンセプトは『愛娘の成長を喜ぶ老父』だ(←錯乱気味)。
「ふう」
軽く息を吐いて、気持ちを落ち着かせる。
「名雪」
呼び掛けてから、名雪の脇の下に腕を通し、抱き締める。
「んっ…」
びくっと緊張するように身を固くする名雪。俺は名雪の耳元に口を寄せて、
「触るぞ」
「…うん」
名雪がこっくりうなずいたことを確認してから、手の平を名雪の胸元に持っていく。
「……」
お湯を掻くように手を近付けていくと、ふにゃっとした感触があった。
「んくっ」
名雪がしゃっくりをするようにのどを鳴らして、背中を丸めた。
手の平を添えるように、軽く乳房に触れたまま、
「いいか」
耳元で囁くように言うと、名雪の躰がまたビクンと跳ねた。
「…んっ、うん…」
名雪は小さくあごを引いてうなずいたのを確認してから、指に力を入れて、優しく揉み始める。
「ん…あっ、あっ、あっ」
ほんの少し指先が乳脂に潜り込んだだけで、名雪は未知の感覚に怯えるように、わたわたと腕を動かしてか細い声を上げた。
「怖がらなくても、大丈夫だ」
名雪を安心させるように、体全体で名雪を優しく抱き締める。
「あっ、はあ、はあ、あ……、…うん…」
突っ張っていた名雪の肩が、力が抜けて柔らかくなった。
名雪を怯えさせないように、揉むと言うより撫でるように手を動かしていく。
「んん…はあ…、…ああっ、あん」
ゆっくりとほぐすように揉み上げていくと、じょじょに名雪の声が甘えたようなものになってきた。
「あ、うぁっ…あん、ああ…」
緊張が緩み、艶めいた喘ぎ声を上げ始める名雪。
名雪の乳房は、見た目通りすべすべしていて、お湯で温められていたせいか、ほにゃほにゃ柔らかい。少し力を入れると、指先どころか手の平全体が乳脂の層に沈み込む。
押し返してくるような弾力はあまりないけれど、それを全体の張りが補っている。流体のように、力を加えられると自由に形を変えて、離すと波打ちながら元のまん丸い球形に戻る。
「……」
面白いように形を自在に変える乳房を、無心で揉み続けていく。
「あっ、あっ…、ああ…う〜」
やがて、名雪の声が上擦って甘えたようなものになってきた。
「んっ…は、…あぁん、うぅん…」
名雪はうずうずと肩を揺すりながら、焦れったそうに躰をくねらせている。
「…ん」
いつの間にか俺の手の中で、名雪の乳首が小さく勃ちあがっていた。
「ふぅっ…んん、う〜〜」
うっとりと鼻に掛かったような吐息を漏らしている名雪が可愛らしい。いつもの癖で、意地悪な気持ちになった俺は、
「そろそろやめるか」
名雪の耳元に口を寄せ、息を吹きかけながら囁いた。
「えっ…あ、や、やだっ…もうちょっと…」
ギクリと躰を強張らせて、慌てたようにもがもがと身じろぎをする名雪。
「ほら」
乳房から手の平を浮かせる。
「あっ。…うー、だめだよー」
名雪はおねだりをするように泣き声を上げ、俺の手を掴んで引き戻そうとした。
「おっと」
捕まえようと近付いていきた名雪の手を逆に掴み返し、そのまま動けないように抑える。
「あーん」
両手を掴まれた名雪は、いやいやをするように肩を動かして腕を振りほどこうとしたが、不自由な体勢のせいか全く力がこもっていない。
「はあ、はあっ…うーっ…いじわる、いじわる…」
呼吸を弾ませた名雪が、首を振り向かせて濡れた瞳を向けた。
「はあ、ああ、はあっ、…うー…」
やがて、中途半端なところで断ち切られた快感の余波に、名雪の躰ががたがたと震えだした。
「あっ、うぁっ…あ、あっ…、…や、やだっ…お、お、お願い…」
くらくらと頭を左右に揺らし、掠れた声で懇願する名雪。唇がわななき、瞳も焦点が合っていない。
「何をして欲しいんだ」
さらに深く追い詰めるように、低い声で訊ねる。
「あっ、ああ…、…はああ」
快楽への渇望と廉恥の板挟みになり、名雪の表情が目まぐるしく変わる。
「ふぅ、あっ…ああ」
やがて、名雪の瞳が大きく揺らいで、表情も覚悟を決めたように固くなる。
「…はっ、はあっ、はあ…っ、…んん…」
わななく唇をぱくぱくと開けたり閉じたりしながら、必死で声を絞り出そうとしている名雪。
「…ほら」
俺は名雪の後押しをしてやるように、名雪の耳元に口を寄せて、軽く耳たぶを甘噛みした。
「あっ、ああ――っ!」
その途端、名雪は両手首を押さえられた不自由な体勢のまま悲鳴を上げて、躰を弓なりに反らした。
「…あ…はぁ、はぁっ…うー…いじわる〜」
ふらふらと頭を左右に揺らしながら、名雪が半泣きの声で責めた。さすがに気の毒になってきたので、
「ごめんな」
手首を離して謝ってから、ほほに軽くキスをする。
「…あ…」
桜色に火照っていた名雪のほほが、さらに濃い桃色に染まる。
「…うー」
恥ずかしそうにもじもじと身じろぎをして、俯く名雪。
「じゃあ続けるぞ」
「…ん」
名雪がこくんと小さくうなずいたのを確認してから、再度ふくよかな乳房に触れる。
「…は…あ」
くすぐったそうに身をよじり、悩ましげな吐息を漏らす名雪。お湯に浮いている乳房を下からすくい上げるように持ち上げ、手の平の上で弾ませる。
「あはっ! んっく…、く、くすぐったいよー」
愉悦に満ちた声で抗議して、名雪はうずうずと身を揺すった。名雪の反応が面白いので、乳房全体を揺さぶるようにして、何度ももてあそぶ。
「あっ…きゃ! …やんっ…だめ…ひゃ! …はっ、んふぅっ、あんっ!」
名雪がはしゃぐように声を弾ませ、手足をもがかせるたびに、ばしゃばしゃとお湯が撒き散らかされる。
ふにょふにょした手触りを愉しみながら揉み続けていると、名雪の声がまた悩ましげに上擦ったものになってきた。
「ふぅっ、あん…、…んっ、はあ、はあっ、…んふ…」
名雪はゆらゆらと躰をくねらせながら、無意識なのか、甘えるようにお尻や背中をこすり付けてきている。
「ああっ…う〜…」
指に力を入れてじょじょに刺激を強くしていくと、名雪の声と仕草が、今まで聞いたことも見たこともないほどに、媚びと色艶に彩られていく。
「んっ、んっ…はぁ、あぁ、あ…っ! …んっ…く、うぅん、ふぅっ…」
鼻に掛かった喘ぎ声を上げながら、誘うように柔らかな肢体をくねらせて、ぐいぐいと押し付けてくる名雪。
名雪の媚態に頭をくらくらさせながら、さらに乳房を揉む手に力を込めていく。
「はっ、はぁっ、あっ、…んっ!」
とろけるような揉み心地の乳房を撫で回しながら、その真ん中に勃ち上がっている乳首を指先で引っ掻く。
「うぁっ! …はっ、あっ、ああ…」
名雪が一瞬肩を震わせ、うっとりと息を吐いた。そのまま人差し指で乳首を転がすようにいじると、名雪の声が一段と弾んだものになる。
「ひゃっ、ああっ! あっ、はあっ、あっ! …あっ、あん、んんーっ!」
名雪は全身を駆け巡る快楽に翻弄されるように、ばしゃばしゃと手を振り回して湯舟のお湯を撒き散らした。
乳首を指先で引っ掻いたり、中指と人差し指で挟んだりを繰り返しながら、名雪の乳房を揉みしだいているうちに、名雪の声が切羽詰まったものになってきた。
「はっ、はぁっ、はぁっ、ぁはぁっ、はっ…! …んっ、んぅ…!」
肩を震わせ、何かを堪えるように息を引きつらせる名雪。
「はっ、はあっ…! …あ、う…っ、…ま、まっ…待って…だめっ」
小さな頭をぶるぶると痙攣させながら、名雪が怖ず怖ずと振り向いた瞬間、偶然俺は名雪の乳首を中指で押し込んでいた。
「…ひゃっ…」
振り向いた名雪が息を飲み、瞳が揺らいだ、と思うのと同時に、
「……っ、……〜〜〜!」
声なき悲鳴と共に名雪の躰がぐにゃりと折り曲がり、がくがくと震える。
「……っ、んっ……あ、あーっ……、……は…ふぁ…」
名雪の背中の痙攣がようやく収まり、こわばっていた肢体が急に柔らかくなる。
「…う〜……………………ぶくぶく」
そのまま全身を弛緩させた名雪が、お湯に沈んだ。
「うわっ、おい名雪」
慌てて名雪のわき腹に手を添え、持ち上げる。
手を離すとお湯に沈む名雪のお腹に腕を回し、抱きかかえて安定させた。
「どうしたんだよ」
「ふぁ〜」
名雪はまだぼーっとして、うっとりと顔をほころばせている。
「…うー…わたし、おっぱいだけでこんなふうになっちゃったの、初めてだよ…」
「へ?」
どうやら、名雪は胸だけで絶頂を迎えたらしい。
「…はふ…」
名雪はうっとりと濡れた瞳を向け、甘えるように躰をすり寄せてきた。
「えへへ…おとーさんのえっち…」
頬ずりしながら漏らした名雪の呟きに、ようやく我に返る。
「……はっ」
ふと正面を見ると、
「……………………………………………………………………………じー」
湯舟の向かい側で放ったらかしにされていた秋子さんが、上目遣いに拗ねたような視線を俺に投げ掛けてきていた。
「あ、あの」
秋子さんはフッ…と小さく吐息を漏らして、
「…やっぱり私は、放置プレイなんですか?」
「はぅっ」
《当日 その七に続きます》
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星牙でございます。
マキ「マネージャーの小原マキです」
裸だらけです。映像化はどうひっくり返っても無理ですな。
マキ「する気か!?」
しかも名雪女史の乳まで揉んでいるし。アニメ版でこーいう展開があったらいいなぁと思う今日この頃ゴロゴロゴローッ。
マキ「転がっていくなぁっ!」
お読みいただきありがとうございました。
マキ「それでは、ご機嫌よう」
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