愛の劇場『お茶目な秋子さんR誕生日編 当日その参』
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「はあ」
溜め息をついて、ソファに深く腰掛ける。結局一時間近いあいだ、秋子さんと名雪から、交互に熱烈なキスを受け続けた。
「ふう」
心なしか、唇がふやけているような気がする。まあ、嫌ではなかった…って言うか、ものすごく幸せだったんだけど。
「うふふ、何を考えていらっしゃるんですか? …あ・な・た♪」
「…う」
隣のソファに腰掛けていた秋子さんが、体重を預けるように、体全体でしなだれかかってきた。
「うふふ」
ふんわり微笑みながら、甘えるように躰を揺する秋子さん。そのたびに、二の腕に当たっている秋子さんの乳房がぐにぐにと歪む。
「うっ…あ、あの、あんまり躰を揺すらないで下さい、秋子さん」
「……」
黙殺。
「…あ、秋子」
「はい、あなた♪」
にっこり微笑んで、秋子さんは躰を揺するのをやめた。
「はふん」
さっきからずっとこの調子だ。
「月〜明か〜りの〜海〜〜〜♪」
台所の方から、名雪が唄を口ずさみながら、何か洗い物をしている音が聞こえる。
ついさっき、名雪はさんざんキスしまくった後、
『今日の晩ご飯はわたしに任せておいてよ』
ドンと胸を叩きながら言いきった。俺が手伝おうかと言うと、
『お母さんとお父さんは、のんびりくつろいでいてよ』
と、やんわり断わって、名雪は台所に消えた。
「はあ」
名雪が台所に行ってから、俺は片時もくつろいでいない。
「うふふ…あなた」
秋子さんが甘ったるい声音で囁いたかと思うと、細指があごに掛けられ、顔を振り向かされた。
「…んー」
瞳を細めて、唇を近付けてくる秋子さん。
「ちょ、ちょっと、秋子さん!?」
「……」
秋子さんは止まらない。
「…あ、秋子、待った!」
残り数センチの距離で、秋子さんの顔が止まる。
「…ぶう」
秋子さんは拗ねた表情を浮かべ、上目遣いに俺を見つめた。
「はあ、はあ」
さっきからずっと、秋子さんはキスを求めたり、躰(特に胸)を押し付けてきたりしている。これでくつろげるわけがない。
「……」
まあ、嫌じゃないんだけど、まだ抵抗がある。夫婦ごっこみたいなものとは言っても、そんなにベタベタしているのは気恥ずかしいし。
「…んー」
「…って、考え込んでいる最中に迫らないで下さい!」
秋子さんの肩を押し返す。
「ああん」
「ふう、はあ」
いかん、このままでは秋子さんに押されっぱなしだ。ここは軽く反撃をして、秋子さんを牽制するのがいいような気がする。
「……」
秋子さんの方をうかがう。
「うふふ」
秋子さんはいつも通りの柔和な微笑みを浮かべて、愛おしげに俺を見つめている。秋子さんには悪いけれど、ここは心を鬼にして、
「秋子さ…、秋子」
「はい、なんでしょうか」
嬉しそうに返事をして、可愛らしく小首を傾げる秋子さん。隙が出来たのを見計らって、
「ていっ」
素早く秋子さんの細い腰に腕を回し、引き寄せる。
「きゃあっ」
小さく悲鳴を上げた秋子さんを横抱きにかかえ込んで、押さえ付けた。
「あ、ああ…」
秋子さんの表情が、驚愕と怯えに歪んで…ない。それどころか、歓喜と愉悦に彩られているよーな。
「はあ…あなたっ」
感極まったような声を上げ、秋子さんが抱き付いてきた。秋子さんの腕が背中に回り、抱きすくめられる。
「うわっ」
ああ、秋子さんって、胸以外のところもふわふわ柔らかくて、温かいんだなあ…って感心している場合か。
「ああ…嬉しいです…♪」
うっとりと囁き声を上げ、うずうずと躰を揺する秋子さん。
「ああ、ちょっ…ううー」
成熟した肢体を押し付けられて、頭がくらくらしてきた。
「あの、秋子さ…むぐっ」
不意を突かれて、唇を奪われる。
「んんっ、ふ…」
秋子さんの舌が素早く口の中に入り込んできた。とろとろと溶けるような感触が、口腔内を撫で回していく。
「ん…ぅん」
柔らかく温かい舌の愛撫に、また頭の奥がくらくらしてくる。
「う、うう…ぷはっ」
理性をかき集めて、引き剥がすように唇を離した。
「んっ……ああん」
脳髄が痺れるような、切ない声を上げる秋子さん。
「…んん…」
秋子さんは名残惜しそうに唇を指で撫でて、寂しげに鼻を鳴らした。
「はあ、はあ…あの、秋子さん」
「……」
秋子さんは拗ねた表情で俺を見つめて、黙殺している。
「あー、秋子」
「はい、あなた♪」
俺に抱き付いたまま、にっこり微笑んで返事をする秋子さん。
「ええと…どうして驚かないんですか?」
俺がそう訊ねると、秋子さんはきょとんと瞳をまたたかせた。
「どうして驚く必要があるんですか?」
「どうしてって…」
不思議そうに訊ねる秋子さんの表情を見て、言葉に詰まる。
「私は祐一さんの妻なんですから、夫の要望に応えるのは当たり前じゃありませんか」
「え」
秋子さんはうずうずと躰を揺すって、
「さあ、続きをどうぞ」
ほほを朱色に染め、瞳を閉じた。
「え!? あ、あの…ええっと」
続けていいのだろーか。秋子さんはこう言ってるけど、実際には甥と叔母なんだし…ああ、でも据え膳という言葉もある。
「ううー」
俺が煩悶していると、
「…うふふ…あ・な・た」
秋子さんは瞳を細めて微笑むと、少し躰を離して、
「手を出して下さい」
「は、はあ」
秋子さんに言われるまま、空いていた手を差し出す。
「何を…あ」
突然秋子さんの指が俺の手に添えられ、言葉に詰まる。秋子さんの指はほっそりとしていて柔らかくて、触れてもらっているだけで気持ちがいい。
「秋子さ…、秋子?」
呼び掛けると、秋子さんはにっこりと微笑んで、俺の手を引っ張った。
「うふふ」
秋子さんはうっとりとした媚笑を浮かべて(微笑ではない)、そのまま俺の手を自分の胸元に導いた。
「あっ」
重い手応えと共に、手の平が秋子さんの豊穣な乳房に埋まる。
「え…あ」
ふかふか柔らかくて、温かくて…って、
「うわあっ」
大声と共に思わず手を退こうとしたが、
「あん、だめです」
秋子さんが指に力を入れて引き留め、逆に手の平がより深く秋子さんの乳房に埋まる。
秋子さんの乳房は、カーディガン越しにでもはっきり分かるほどふくよかで、柔らかい。
「…あ、あの」
「うふふ」
あたふたとしている俺とは対照的に、秋子さんは悠然と微笑んでいる。
「私に任せておいて下さい」
秋子さんは呆然としている俺を見つめて、可笑しそうに微笑んでから、ゆっくりと指を動かし始めた。
「あっ」
誘導されるままに、秋子さんの乳房を揉み上げる。秋子さんの乳房は、手の平の中でたゆたゆと柔らかく形を変えながら、弾むような手応えを返してきて、頭がくらくらしてきた。
「ふう…、…んん」
秋子さんは薄く瞳を開き、うっとりと淡い吐息を漏らしている。
「う、うう」
頭が熱くなり、考えがまとまらなくなってくる。
「…はあ、はあ」
いつの間にか秋子さんの指は止まり、俺は誘導なしに秋子さんの乳房をまさぐっていた。
「あっ、ああ…んっ、…はあ」
秋子さんはほほを赤く火照らせて、躰を揺すりながら、時折ぶるぶると肩を震わせている。
「はあ、はあっ、あっ…んん」
手の平を開いて、秋子さんの胸の膨らみ全体をゆっくりと揉み上げる。
「はっ、はあっ…あ、あんっ」
秋子さんがもどかしげに唇をわななかせているところを、急に指に力を込めて、少し強めに揉みしだく。
「ぅあっ、ああっん!」
途端に高い啼き声が上がり、秋子さんの脚が跳ね上がった。
「はっ、はあ、はあっ、ああ…ん」
秋子さんは瞳を熱く潤ませ、俺を見上げている。その深い瑠璃色の瞳を見つめていると、吸い込まれるような錯覚に捕らわれる。
「…秋子さん」
「はあ…」
秋子さんのあご先に指を掛けて、顔を近付けて…って、待て。
「ぐああっ!」
理性を総動員させて、顔を背けながら、秋子さんの乳房に添えていた手を引き剥がす。
「ああん…」
また甘く切ない声を上げて、秋子さんが寂しげに指で宙を掻いた。
「…はー、ふー」
荒い呼吸を必死で整える。危ないところだった。
「はあ…どうしてやめてしまうんですか…」
切ない表情を浮かべた秋子さんが、か細い声で囁いた。
「うっ」
秋子さんの可憐な仕草に、下腹部に重く響くよーな衝撃が走る。
「あ、あの…ええと」
俺がしどろもどろになって言い訳を考えていると、秋子さんは物憂げに人差し指を口にくわえた。
「…はぁ…う…、…んん」
そのまま、うっとりと指先をしゃぶり始める秋子さん。
「うわああ」
何故か、自分の指を舐められているような気がして、ぞくぞくとしたモノが背筋を駆けた。
秋子さんはふらりと躰を揺するようにして、俺にしなだれかかった。
「うっ」
秋子さんは俺の胸板にほほを寄せて、ゆっくりと頬ずりしながら、
「…ひどい人…」
恨めしげに囁いた。
「はうー」
あああ、秋子さんの温もりが…って、そうじゃない。
秋子さんはぴったりと顔を寄せていて、その表情は見えない。
「あの、秋子さん」
「……」
黙殺。
「あ、秋子?」
「…はい…なんですか、あなた」
さっきまでは、ぱっと顔を輝かせて返事をしてくれたのに、今は顔も上げてくれない。
「あの…もしかして、怒っているんですか?」
恐る恐る訊ねると、
「……いいえ」
秋子さんはほほを寄せたまま、首を横に振った。柔らかい温もりが、ぐりぐりと胸板をくすぐって、ちょっと気持ちがいい。
「…祐一さん」
唐突に秋子さんが顔を上げた。
「は、はい?」
気のせいか、俺を見上げる秋子さんの瞳の色が、普段より濃いような。
「…祐一さんに大事なお話しがあるんですけれど、よろしいですか?」
秋子さんが、にっこり微笑みながら訊ねてきた。
「話しって、なんのですか」
秋子さんは困ったように眉根を寄せ、
「いえ…ここだと落ち着いて話せませんから、私の部屋にいらして下さい」
俺の腕を軽く引っ張って、秋子さんが催促した。
秋子さんの態度が急変したのが気になるけど、まあいいか。
「はい、いいですよ」
「ありがとうございます」
にっこり微笑んで、ぺこんと可愛らしく頭を下げる秋子さん。
「…?」
お辞儀をする直前、秋子さんの瞳が輝いたよーに見えたのは、俺の目の錯覚だろうか。
秋子さんに腕を引かれて立ち上がり、そのまま秋子さんの後に付いていく。秋子さんは俺の腕を握ったまま、台所に顔を出して、
「名雪」
「なあに、お母さん」
名雪が野菜を洗っている手を止めて、振り向いた。
「私は部屋で祐一さんと大切なお話しをしているから、晩ご飯が出来たら呼びに来てね」
「うん、おっけーだよ」
あっさり返事をする名雪。
「では、行きましょうか」
秋子さんが振り向いて、にっこり微笑んだ。
「はあ」
振り向いた時、また秋子さんの瞳が輝いたよーに見えた。
秋子さんの腕を引かれるままに、廊下を渡る。何だか、牽引されているような気になってきた。
「……」
一階の一番奥まった位置にある秋子さんの部屋の前に着く。
「どうぞ」
引き戸の脇に控えて、秋子さんが先に入るように促した。
「はあ」
取り敢えず、言われるままに先に部屋に入る。
「……」
秋子さんも俺の後について部屋に入ってきた。
秋子さんの部屋の中は綺麗に片付けられていて、持ち主の性格を表すように、こざっぱりとしている。
「あの、それで話しって何ですか?」
振り向きながら訊ねると、秋子さんは扉を背にしたまま、妙に深みのある表情で俺を見据えていた。
「……祐一さんが、いけないんです」
俺を見据えたまま、抑揚のない声で呟く秋子さん。
「へ?」
「……っ」
秋子さんは一瞬、ぶるっと躰をわななかせると、意を決したように、その場で衣服を脱ぎ始めた。
「うわっ! あ、秋子さん?」
俺の呼び掛けを無視して、秋子さんは少し恥じらうような素振りを見せながら、次々と服を脱いでいく。
カーディガンを手早くたたんで床に置いてから、スカートのファスナーを降ろし、躰を屈めて膝を折り曲げて、丁寧に脚から抜く。
「うっ」
ベージュ色のストッキングに包まれた、ほっそりと伸びたふくらはぎ、肉付きのいい太もも、そしてストッキング越しに透けて見える紫紺色のショーツの刺激に、頭がくらくらした。
俺が目眩を感じている間に、秋子さんのブラウスが脱ぎ払われる。
「…あ」
ショーツと同じ色のブラジャーの包まれた、ずっしりと重そうな乳房が晒された。
「……っ」
ついさっき居間で触れたその感触を思い出し、頭が熱くなる。
下着姿になった秋子さんは、ふらふらとおぼつかない足取りで近付いてきた。
「…祐一さん」
秋子さんが一歩歩くごとに、豊満な乳房がたゆたゆと波打つように揺れる。
「うう」
思わず気圧されて後ずさると、脚がベッドの縁に引っ掛かった。
「ちょ、ちょっと待って下さい、秋子さん!」
「……」
秋子さんは何も言わずにふらふらと近付いてくる。
「…あ、秋子?」
「……」
秋子さんは脚を止めずに、にっこりと微笑んだ。
「…あ・な・た」
色っぽい囁き声で呼び掛けながら、秋子さんがしなだれかかってきた。
「うっ…く」
ベッドに押し倒されそうになり、何とか踏ん張って持ち直す。
「…はあ」
秋子さんは俺にしなだれかかったまま、うっとりと溜め息を吐いた。秋子さんの手が俺の躰に添えられ、
「…ああ…祐一さんがいけないんですよ? …私をおかしくしてしまったのは、祐一さんなんです…」
甘い吐息に乗せて、凄艶な文句を呟く秋子さん。
「うう」
柔らかく弾む膨らみが、俺の躰を圧迫している。居間での余熱が残っていた分、頭が熱くなるのが早い。
「あ、秋子さん」
離れて下さい、と俺が言うより早く、
「…えいっ」
秋子さんが可愛い掛け声をあげて、俺の躰を押した。
「うわ」
不意を突かれて、ベッドに仰向けに倒れ込む。
「うふふ」
秋子さんはうっとりと微笑み、素早くのし掛かるように覆い被さってきた。乳房が押し付けられ、形を歪める。
「ううっ…ちょ、ちょっと、駄目ですよ秋子さんっ」
かき消えそうになる理性を繋ぎ止めながら、掠れる声で押しとどめる。
「大丈夫です」
何がですかっ!? と訊く前に、秋子さんは潤んだ瞳で、俺の顔を覗き込むように見つめて、
「んむぅっ」
唇を強く押し付けて、俺の言葉を留めた。
「んぐっ」
唇を離した秋子さんは、濡れた瞳で俺を見据えて、
「…ああ…もうこれ以上、焦らさないで…」
「うっ」
胸の奥が、大きく揺さぶられたような気がした。
「…愛して下さい」
「……っ」
バチッ、と頭の中で何かが弾けた。
「…あ、秋子さんっ」
名前を呼ばわりながら秋子さんを抱きかかえ、躰を転がして上下の体勢を変え、組み伏せる。
「あん…」
秋子さんはうっとりと顔をほころばせ、快楽の予感に震える声を上げた。
・
・
「…あふ」
生まれたままの格好で身を寄せていた秋子さんが、掠れた溜め息をついた。秋子さんの火照った躰から伝わってくる、少し熱い体温が心地よい。
「…ん…んん」
秋子さんはもそもそと肩を揺らして、俺に向き直った。
「…うふふ…やっぱり、祐一さんはひどい人ですね」
紅潮した顔を寄せ、小さく呟く秋子さん。
「え」
思い当たることが多すぎて、何を責められているのか分からない。
「どこら辺がですか」
秋子さんのほつれた髪の毛を撫でながら訊ねる。
「あん…うふふ」
秋子さんはくすぐったそうに首をすくめてから、ふんわり微笑んだ。
「…それはですね、あんなに焦らすだけ焦らしてから、…あ…あんなふうに、されてしまったら…あ…」
何を思い出しているのか、秋子さんの顔がぱぁっと薔薇色に染まっていく。
「…はあ…あ」
秋子さんは瞳を潤ませ、ふらふらと頭を揺すっている。
「秋子さん?」
惚けてしまった秋子さんの肩を軽く揺する。
「…あ…え? …あ…祐一さん」
秋子さんがぱちぱちとまばたきして、きょとんとした表情で俺を見つめた。
「あ…すみません、ええと…何のお話しでしたか?」
火照って薔薇色になったほほに手を当て、はにかむように上目遣いに訊ねる秋子さん。…う、むちゃくちゃ可愛い。
「俺が意地悪だとか、焦らされてどうのって言ってましたけど」
「…あ…」
恥じ入って瞳を伏せる秋子さん。
「…そうですよ…祐一さんは、意地悪です」
秋子さんはそう言うと、躰を転がして、覆い被さってきた。成熟した肢体が、惜しげもなく押し付けられて、温もりが伝わってくる。
「あぐっ…ちょ、ちょっと…う!」
秋子さんはうっとりと蠱惑的な媚笑を浮かべて、俺の顔を覗き込んだ。
「うふふ…私がこんな女になってしまったのは、祐一さんが意地悪をなさるせいです…」
ふらふらと頭を揺すり、上擦った声で囁く秋子さん。
「そういうことですから…えいっ♪」
「あー」
《当日 その四に続きます》
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星牙でございます。
マキ「マネージャーの小原マキです」
一線を越えてしまいましたとさ。
マキ「とさじゃない」
道産子のうえに土佐犬がどさどさ落ちてきましたとさ。
マキ「わけが分からーん!」
お読みいただきありがとうございました。
マキ「それでは、ご機嫌よう」
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