愛の劇場『白名雪姫』

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 昔、むかし。あるお城に美しいお妃様がいました。
 お妃様は不思議な方で、一日に一度鏡に向かって問い掛けをなさいます。
香里「鏡よ鏡。世界中で、一番綺麗な女は誰?」
 すると鏡は答えます。
久瀬「フッ、笑止! 世界で一番、否、宇宙一美しい女性は佐祐理さんに決まっておろうが!!」
香里「なんですってぇ!」
 ドカッ、バキィ! ガシャーン!
久瀬「ぐわぁーっ!」
 鏡は叩き割られ、窓から放り投げられました。
香里「はぁっ、はぁっ!」

北川(おい相沢、久瀬の奴息してねーぞ!)
祐一(放っておけ、それより鏡役だ! 北川、お前行け!)
北川(仕方ない、わかった!)

 お妃様は新しい鏡を出してもう一度問い掛けました。
香里「鏡よ鏡。世界中で、一番綺麗な女は誰?」
北川「おお、麗しの君よ。世界一お美しい方、それはお妃様、あなた様でございます」
祐一(さすが北川、上手い!)
香里「ほーっほほほ!! そうよ、あたしが一番美しいのよ!!」
祐一(か、香里?)
香里「なのに何故! どうして皆あたしの美しさに気が付かないの!? 秋子さんより老けて見えるとか、暴力的だとか…どうしてそんなことばかり言うの!! どうしてっ、ねえどうしてよっ!!」
 ドカバキ、ガツッ! お妃様は鏡に拳を叩き込みながら絶叫しました。
北川「あぐっ、お、落ち着け美坂っ、ぎゃっ!」
祐一(おい、香里っ。落ち着けって!)
香里「はぁっ、はぁっ、はぁっ!」

 そんなある日。お妃様はいつものように鏡に問い掛けました。
香里「鏡よ鏡。世界中で、一番綺麗な女は誰?」

北川(相沢ぁ、このセリフ俺が言うの?)
祐一(仕方あるまい。久瀬は死んだし、俺は怪我をしたくない)
北川(俺だってしたくねぇよ!!)
祐一(行け北川、愛に死ぬんだ!)
北川(なっ、何言ってんだ、俺と美坂は別に…)

香里「鏡よ鏡ぃっ! 世界中で一番きれいな女は誰かって訊いてるのよ!!」
 お妃様の怒声が響き渡りました。

祐一(北川!)
北川(ち、ちくしょう、死んだら絶対化けて出てやる…)

北川「…えっと。世界一綺麗なのは、その…白名雪姫ですぅ!」
香里「……」
北川「…あ、あの…お妃様?」
香里「…ぬぅぅぅあんですってえぇぇぇーー!!!」
 キシャァァァァァァァァァーーーッッッ!!!
北川「ひゃあぁぁーーっ!」
 ドガーン! バゴォッ、グワッシャーン!! 凄まじい咆哮をあげ、お妃様は暴れ狂いました。
北川「あ、相沢! 助け…って、居ねえ!」

 瓦礫と化したお城の上に立ち、お妃様は白名雪姫を呼びました。
香里「白名雪!! 来なさい!!」
名雪「ううっ、香里、怖い…」
香里「白名雪ぃ!! さっさと来なさい!! ぶち殺すわよ!!」
 お妃様、さっきから怖すぎです。
名雪「あ、あの。わたしっ、狼のいる森に捨てられるんですよね。わかりましたっ、行ってきます!」
香里「あっ! 待ちなさい白名雪!!」
名雪「待ちませーんっ」
 タタタタタッ。白名雪姫は陸上部(?)で鍛えた脚力で駆けていきました。
香里「チィッ、逃がしたか! 忌々しい!」
 だから怖いって。
香里「大臣、追討部隊を組織なさい。白名雪の首を獲ってくるのよ!」
 そんな展開はありません。

 さて、ここは狼の森。
名雪「ふう、なんとか助かったよ」
 そーじゃねぇだろ。
名雪「そうだったよ。ええっと、これからどうしよう」
 白名雪姫はあても無く森の奥へ歩き始めました。
名雪「うーっ、お腹空いたよ。イチゴサンデー食べたい」
 わがまま言うな。
名雪「あっ。お家がある」
 気が付くと白名雪姫は小さなお家の前に立っていました。

名雪「わーい」
 ガチャ。白名雪姫はノックもせずにドアを開けました。何という礼儀知らずでしょう。
あゆ「うぐぅ?」
真琴「あぅ」
栞 「きゃっ」
佐祐理「あははーっ」
舞 「…」
秋子「あらあら」
美汐「どなたですか」
 家の中には七人の小人さんが住んでいました。どうやら食事中だったようです。

名雪「あっ。美味しそう」
 お腹が空いていた白名雪姫は勝手にお呼ばれしました。
名雪「いただきまーす」
真琴「あぅー、それ真琴のぉ。わーん」
美汐「よしよし。泣かないで真琴」
名雪「あ、これ食べないの? じゃあわたし食べてあげるよ」
あゆ「うぐぅ、ボク何も言ってない…」
名雪「それも食べないの? じゃあちょうだい」
栞 「そんなことする人、嫌いですっ」
名雪「美味しい、美味しい」
舞 「…(怒)」
 ポコ。舞ちゃんの突っ込みも小人では効果がありません。
佐祐理「あははーっ」
名雪「お母さん、お代わり」
秋子「あらあら」
名雪「ふう、ごちそうさま。お腹一杯になったら眠くなってきたよ。お布団敷いて」
 言語道断の振る舞いです。

 こうして白名雪姫は小人達と一緒に住むことになりました。
秋子「了承」
あゆ「うぐぅ、いや…」

 ・
 ・

 さてその頃。お妃様は自分が崩したお城を半日で建て直させ、いつものように鏡に問い掛けています。
香里「鏡よ鏡。世界中で、一番綺麗な女は誰?」
 懲りない人ですね。

祐一(よし北川、出番だ!)
北川(嫌だぁーっ!!)
祐一(バカ野郎、何言っているんだ! 漢なら一度始めたことは最後までやり通せ!)
北川(嫌だ嫌だ嫌だ嫌だーっ! 絶対に嫌だ! もし無理矢理やらせるってんなら、いっそ殺せぇーっ!)
祐一(ちっ、仕方がない。おい、そこの転がっている久瀬を立たせてくれ)

 ガクンと揺れながら、鏡が写りました。
久瀬「う…」
香里「鏡よ鏡。世界中で、一番綺麗な女は誰?」
 鏡が答えました。正確には、下の人が答えました。
祐一「アンタもわかんねぇ人だな! 白名雪姫が一番だって言ってるだろ!?」
香里「キィィーッ!! お黙りっ!」
 バリッバリッバリッ! ガリガリッ! ギリリィィーッ!!
久瀬「あぎゃぁっ!? ちょっ、あがっ!」

祐一(手に伝わってくる振動と、上から聞こえてくる音が怖くて顔が上げられない)
北川(俺もだ。うおっ、血が垂れてきたぞ!)

 バリリリッ! ブチブチブチィ!!
久瀬「たっ、助け…! あいっ!! おいこら、離…! あ゛ー!」

祐一(…香里、爪長かったもんな)
北川(ああ…)

久瀬「ぎゃ! や、やめ…! あ゛あ゛あ゛あ゛――!」
 さようなら、鏡さん。

香里「おのれ、白名雪!」
 怒り狂ったお妃様はお城の地下室へと走りました。地下室はお妃様の私物が保管されて(押し込まれて)います。
香里「ええっと、これでもない、これも違う…。あ、あった!」
 お妃様の手には『魔法の毒イチゴサンデー』が握られていました。
香里「ほほほほっ! こんなこともあろうかと用意しておいたのよっ!」
 アンタは一体今まで何を考えて生きてきたんだ。

 そんなことは当然知らない白名雪姫は、小人達のお家でお昼寝中です。小人さん達はお仕事に出かけてしまっていて、居ません。
名雪「…くー。もうお腹一杯」
 そこに、お婆さんに変装したお妃様がやってきました。
 コンコン。
香里「もしもし、お嬢さん。ここを開けておくれ」
名雪「くー」
 ドンドン!
香里「もしもーし、お嬢さん! 起きなさい!」
名雪「くー。…だぉー」
香里「…(ブチッ)」
 バキャッ。お妃様は鍵を破壊して家の中に押し入りました。

 白名雪姫は目を覚ましました。
名雪「うにゅ。…誰?」
香里「見ての通り、ただのお婆さんですよ」
名雪「本当。そのまんまだよ」
 ピキッ。お妃様の額に青筋が浮かびました。
香里「はぁーっ、はぁーっ。落ち着くのよ、香里」
名雪「どうしたの、お婆さん」
香里「いいえいいえ、なんでもありませんよ。それより、お前さんにあげたい物があるんですよ」
名雪「わたしに? どうして?」
香里「お前さんが余りに…クッ、か、可愛いから贈り物をあげたくなってね。ほら、これを…」
 と、お妃様が懐から『魔法の毒イチゴサンデー』を取り出そうとすると、
名雪「わぁ、ありがとうございますっ」
 ビリビリーッ! 白名雪姫はお妃様の着ていたローブを引き裂いて、イチゴサンデーを奪い取りました。
香里「きゃああーっ! イヤぁーっ!」
 美しい柔肌があらわにされ、お妃様は悲鳴を上げました。燃えますね。
名雪「いただきまーす」
 ぱく。泣き叫ぶお妃様を無視して、白名雪姫は『魔法の(略)』を一口で食べてしまいました。

香里「はぁ、うっ、ううっ。グスッ、ひっく…た、食べたわね白名雪! ほほほっ!」
 涙を拭いながら、気丈にもセリフを言うお妃様。
名雪「あれぇ、変な味がする」
香里「さあ、眠りなさい白名雪! 永久(とこしえ)に!」
名雪「なんか、お母さんのジャムみたいな味…」
香里「さっさと死になさいよ!」
 ズドン! お妃様の崩拳が白名雪姫の鳩尾に叩き込まれました。
名雪「きゅう」
 白名雪姫はバタリと倒れました。

 夜になって、小人さん達がお仕事から帰ってきました。
佐祐理「あははーっ、今日も一日お疲れ様でしたーっ」
舞 「…お疲れ様」
あゆ「でも、お家にはあの人が居るんだよ…」
真琴「あぅー、真琴あの女の相手するの嫌ぁ」
栞 「あっ。皆さん、あれ見て下さい!」
美汐「倒れていますね」
秋子「あらあら」
 小人さん達は倒れている白名雪姫を見つけました。

真琴「やったぁ、死んでるんでしょ?」
あゆ「うぐぅ、ボク見たくない」
 検死をしていた小人さんが言いました。
佐祐理「あははーっ。まだ死んでないみたいですよーっ」
美汐「…はい、残念ながらまだ息があります」

栞 「じゃあとどめを刺しましょう。舞さん、お願いします。さあ、その剣でズブッと!」
美汐「駄目です。とどめを刺したのが舞さんでは、周りにいたわたし達も罪に問われます」
栞 「駄目ですよ舞さん。人殺しなんて!」
舞 「……」
佐祐理「あははーっ」
秋子「あらあら」

 犯罪計画を立てている小人さん達。
佐祐理「佐祐理は、自然死に見せかけて始末するのが良いと思いますけどーっ」
美汐「…そうですね、そうしましょう。では、この棺桶に入れて埋めるというのはどうでしょうか」
秋子「了承」

 七人の小人さん達は白名雪姫の入った棺桶を森の中に運んでいます。
真琴「あぅーっ」
あゆ「うぐぅ、重い」
舞 「…こっち」
美汐「夜だったのが幸運でした」
佐祐理「あははーっ、そうですねーっ」
栞 「ここら辺に埋めましょう」
秋子「了承」
 こうして白名雪姫は棺桶に入れられて森の奥に埋葬されました。

 何年か経ちました。
 また、何年か経ちました。
 そしてまた、何年か経ちました。そんなある日のことです。

 遠くの国の王子様が森に狩りにやって来たのです。
祐一「やっと出番だ。さて、少し疲れたな。おう、あんな処に茶店がある」
 茶店じゃねーよ。小人さん達のお家だ。民家だよ。
祐一「少し休んでいくか」

 ガチャ。勝手に入りました。なぜ偉い人はこう礼儀知らずなのでしょう。
あゆ「うぐぅ?」
真琴「あぅ」
栞 「きゃっ」
佐祐理「あははーっ」
舞 「…」
秋子「あらあら」
美汐「どなたですか」

 ドカッ。王子様は手近な椅子に腰掛け、オーダーを言いました。
祐一「女将。午後の紅茶、ミルクティをアイスで頼む。ついでに何かお茶請けを持ってきてくれ」
秋子「はいはい」
美汐「秋子さん、素で返さないで下さい。ここは喫茶店ではありません」
祐一「なにっ、違うのか!? じゃあ何だ」
あゆ「うぐぅ、普通の家だよ」
祐一「普通の家でも茶ぐらい出せるだろ。くれ」
真琴「あぅー、こいつも嫌い」
祐一「ムカ。そうだ、獲物がいなくて苛ついていたんだ。ちょうど良い、お前らを城に連れて帰ろう」
佐祐理「あははーっ。それは誘拐ですよー」
舞 「…」
 チャキッ。臨戦態勢に入る舞ちゃん。
栞 「そんなことする人、嫌いですっ」
あゆ「うぐぅ、いや…」

美汐「待って下さい」
祐一「なんだ」
美汐「家の外に私たちの姫が眠っているんです。その方を差し上げますから、私たちは見逃して下さい」
祐一「ほう、姫」

あゆ(うぐぅ、姫ってあの女の人のことかな)
真琴(でも、とっくに腐ってるんじゃないの?)
栞 (大丈夫です。私が防腐処理しておきましたから)
あゆ(…)

美汐「ここです」
祐一「ここって…。この土の下か!?」
美汐「頑張って掘り出して下さい」
祐一「…」

 ザクザク。王子様は汗だくになりながら掘り出しました。
祐一「はぁ、はぁ、おい。これ棺桶じゃないか!」
美汐「はい。姫はこの中で眠っています」
祐一「それじゃ吸血鬼だ」

 パカッ。蓋を開けました。中には白名雪姫が眠っています。
祐一「おい、起きろ」
 ペチペチと頬を叩きましたが、そんな程度で起きるのなら苦労はありません。
美汐「時間がもったいないので、さっさとキスして下さい」
祐一「な、何言ってんだ。って、おいお前ら!」
 気が付くと小人さん達全員が固唾を飲んで見守っています。
あゆ「うぐぅ。ボク、ど、ドキドキしてきたよっ」
真琴「あぅ、あぅ」
栞 「あっ。そんなっ、すごいですっ」(←まだ何もやっていません)
佐祐理「あははー」
舞 「…(ドキドキ)」
秋子「了承」

祐一「わかったよ。やりゃあ良いんだろ、やりゃあ!」
 ガシィ! 白名雪姫の肩を掴んで、
祐一「うおりゃあぁー!!」
 王子様は鬨の声を上げ、白名雪姫にキスをしました。

名雪「…くー」
祐一「って、なんで起きねぇんだよ!」
栞 「起きないから、奇蹟って言うんですよ」
舞 「…愛が足らない」
 グサッ!! その一言は王子の胸に突き刺さりました。どうやら過去に何かあったようです。

祐一「ぐぉぉ」
秋子「あらあら」
美汐「口先だけのキスでは想いは伝わりません」
舞 「…祐一は、口だけ」
佐祐理「一途さが感じられませんねー」
祐一「くっ。お前ら…」
 ブチ。なにやら物騒な音が王子の頭からしました。
祐一「…ふふふ。はーっはっはっは!!」
 突然王子様は笑い出しました。
あゆ「うぐぅ。祐一くん、怖い」
祐一「はっはっはぁ! いいだろう、見せてやるよ。俺の愛の『精一杯』をなぁ!」
 そう叫ぶと、王子様はおもむろに白名雪姫の服を脱がせ始めました。
祐一「ふはははは! 名雪の腹と言わず顔と言わず、全身に俺の愛のほとばしりをぶちまけてやるぜ!」
 王子様の眼がやばいです。
名雪「くー」
 貞操の危機だというのに白名雪姫はまだ寝ています。
美汐「! いけません、このままでは18禁小説になってしまいます!」
真琴「あぅー、秋子さん何とかして」
秋子「了承」

 最早ケダモノと化した王子の手が、白名雪姫の下着に掛けられようとしたとき、
秋子「先着一名様、イチゴサンデー無料食べ放題」
名雪「えっ、どこ!?」
 ガバッ! ガツン! 飛び起きた白名雪姫の頭が、覆い被さっていた王子様の顎を直撃しました。
祐一「ぐはっ」
 王子様は気を失いました。
名雪「ねえ、どこ。イチゴサンデー食べ放題!」
秋子「その方が招待して下さるそうですよ」
名雪「わーい。じゃあ行こう」
 白名雪姫は気絶している王子様を棺桶に入れて行ってしまいました。

 こうして王子様のお城に乗り込んだ白名雪姫はかなり強引に結婚し、毎日イチゴサンデーを食べて幸せに暮らしました。
 王子様の方も、白名雪姫は美人でぷりぷりの身体の持ち主だったので、毎日満足して(←何に?)幸せに暮らしました。

 ・
 ・

 お妃様は白名雪姫が眠っている間に歳を取ってしまい、お城からも追い出され村外れの小さなお家にひとりぼっちで住んでいました。
 お妃様を美しいと褒め称える人は、もう誰もいません。
香里「はぁ…」
 お妃様が鏡に写った自分の姿を見て溜め息を付いていると、鏡が話し始めました。
北川「お妃様。私は貴女を愛しています」
香里「ふっ…。わたしはもう、綺麗じゃないわよ」
北川「…世界で一番美しいのは、白名雪姫ですが」
香里「?」
北川「お妃様。私はずっと貴女だけを見ていました。私にとって世界一美しいのは貴女様です」
香里「北川君…」
 お妃様は本当の自分を愛してくれる鏡と一緒に、幸せに暮らしました。

佐祐理「あははーっ、やっと静かになりましたねー」
舞 「…うるさかった」
栞 「もう人間さんは懲り懲りです」
あゆ「秋子さん。ボク静かなところで暮らしたいよ」
真琴「あぅー、真琴もぉ」
美汐「そうですね。秋子さん、引っ越ししましょう」
秋子「了承」
 小人さん達は森の奥に引っ越しをして、静かに幸せに暮らしました。

 めでたし、めでたし。


                                                愛の劇場『白名雪姫』 おしまい

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 愛の舞台裏

名雪「お疲れ様でしたー」
真琴「あぅ、お疲れ様ぁ」
あゆ「お疲れ様でしたー」
佐祐理「あははー、お疲れ様でしたーっ」
舞 「…お疲れ様」
美汐「お疲れ様でした」
秋子「はい、お疲れ様」
香里「お疲れ様でした…はぁぁぁ」
名雪「わっ。香里、すごい辛そうだよ?」
栞 「お姉ちゃん、大丈夫?」
香里「ふう…。あたし、もう疲れたわ…」
祐一「しっかりしろ香里」
北川「大丈夫か?」
香里「…あなた達が疲れさせたような気がするんだけど、気のせいかしら…」
祐一「気のせいだ」
北川「うむ、気のせいだな」
名雪「ねえ祐一。今思ったんだけど、わたし主役なのに扱い悪くない?」
祐一「それも気のせいだ」
北川「うむ、気のせいだな」
名雪「うー」
香里「はぁ…もう良いわ。打ち上げ会場に行きましょう」
あゆ「うぐぅ、ボクお腹ぺこぺこぉ」
秋子「はいはい、準備は出来ていますよ」
名雪「わーい」
秋子「みんな、忘れ物しないようにね」
佐祐理「舞、荷物は持ってますよね」
舞 「…持ってる」
美汐「真琴、忘れ物はないですか?」
真琴「うん。大丈夫」
栞 「こっちもありませーん」
秋子「それじゃあ行きましょうか」
名雪「戸締まり戸締まり」
ガチャン。鍵がおろされました。
祐一「ようし、行くか北川」
北川「おうっ」
香里「…あなた達、何でそんなに元気なのよ」
 タッタッタ…。 足音が遠退き、舞台には誰もいなくなりました。
 舞台の片隅で、ぼろ屑のような姿の久瀬が転がったまま…。

                                                      愛の舞台裏 おしまい

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 星牙でございます。
マキ「マネージャーの小原マキです」

 香里女史がガラッパチな性格になっているのは、小生の愛ゆえです。
マキ「愛か」
 うい。裸にしているのも愛。
マキ「……イヤな愛じゃ」

 話しは変わるんだけど。
マキ「なんじゃ」
 作中で美汐女史が『いけません、このままでは18禁小説になってしまいます!』と危惧していたけれど、そっち方面に行っても良かったね。
マキ「良くないわ、ボケ!」
 むいー。ケチー。

 お読みいただき、ありがとうございました。
マキ「それでは、ご機嫌よう」


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