愛の劇場『星の銀貨』

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 昔むかし、ある処に可愛らしい女の子がいました。
 ですが可哀想に、その子はとてもとても貧しくて住む家もなく、一日のご飯も親切な人が恵んでくれるパン一つきりの毎日でした。
 でも女の子は世の中への恨み言もいわず、とても正直で親切に生きていました。

 ……あれ? 女の子さん、出番ですよ。
あゆ「うぐぅ、ボクいやだよう」
 何故です。主役ですよ。
あゆ「だって、このお話の主人公の女の子って、最後は、その…すっぽんぽんにされちゃうんでしょ!?」
 違います。最後は星が銀貨になって女の子に降り注いで、めでたしめでたしです。
あゆ「銀貨が振る前に裸にされちゃうんでしょ!」
 そう言えばそんな展開だったよーな。
あゆ「しらばっくれないでよおっ!」
 歳を取ると物忘れが激しくてのぉ。
あゆ「いきなり老け込まないでよ!」
 ええい、往生際の悪い。さっさと出ろ、あゆ。
あゆ「うぐぅー」
 ドスン、バタン。
祐一「主役だぞ、主役っ。やれって」
あゆ「やだぁ、やめて祐一君っ。ボク祐一君以外の人の前で裸になんかなりたくないよぉ」
祐一「うっ」 (←罪悪感)
あゆ「うぐぅー」 
 タタタタ。祐一がひるんだ隙に、あゆは逃げ出した。
祐一「あっ。……。まあいいか。仕方ない、代役を…」

名雪「いやだよ」
栞 「嫌です」
香里「嫌よ」
真琴「イヤッ」
美汐「お断りします」
舞 「…嫌」
佐祐理「ご免なさい、祐一さん」

祐一「頼…って、言う前から断られてるし。はぁ、なんてこった」
 うなだれる祐一。
祐一「はぁあ」
 と、そこに。
? 「祐一さん。わたしは構いませんよ」
祐一「え? …あ、秋子さん!?」
秋子「祐一さんさえ宜しければですけど」
祐一「お、俺は全然いいんですけど…。本気ですか?」 
秋子「はい」
祐一「……」

 で、では、再開。
 その女の………………………子?
秋子「…何か?」
 ビクゥッ!! すっ、すいません! ゴホン。女の子はその日のパンを持って、森の方に向かって歩いています。
秋子「今日も美味しそうなパンを頂けました。神様、ありがとうございます」
 もう日は暮れ、空には星が輝いています。

 野原を横切り歩いている女の子の前に誰か現れました。
真琴「あぅー。真琴お腹ぺこぺこ」
秋子「まあ、可哀想に。生憎パン一つしかありませんが、どうぞこれをお食べなさい」
 そう言い、女の子はパンを差し出しました。
真琴「わぁ、ありがとー」
秋子「ついでにこれを塗って食べて下さい」
 そう言い、女の子はジャムを取り出しました。オレンジ色です。
真琴「あぅっ!?」
 それを見た途端女の子はビクリと身体を強ばらせ、脂汗を垂らし始めました。
真琴「あっ、あぅあぅあぅ…。真琴、パンだけでいいっ」
 お腹を空かせていた少女は一目散に逃げていきました。
秋子「残念です。神様のお恵みがありますように」
 小さく祈ると女の子は歩きだしました。

 また誰か現れました。
あゆ「うぐぅ、床屋さんで髪の毛を切られすぎて、頭が寒いよ」
秋子「まあ、可哀想に。どうぞ、この頭巾をお被りなさい」
 そう言い、女の子は被っていた頭巾をあげました。
あゆ「ありがとう、おねえさん」
秋子「どういたしまして。じゃあね、あゆずきんちゃん。狼さんに気を付けて」
あゆ「うぐぅ。秋子さん、それは別のお話だよ」
秋子「あらあら、そうでした。あなたにも神様のお恵みがありますように」
 小さく祈ると女の子はまた歩きだしました。

 また誰か現れました。
栞 「寒いです。何か着る物を下さい」
秋子「まあ、可哀想に。どうぞ、このショールを羽織りなさい」
 そう言い、女の子は羽織っていたショールをあげました。
栞 「ああ、ありがとうございます」
 女の子は頭を下げてお礼を言うと、受け取ったショールを身体に捲きました。
秋子「暖かいですか?」
栞 「はい。でも少し重いです」
秋子「それは銅線とタングステンワイヤーで編み込んだショールですから。対衝撃、防火仕様です」
栞 「わあ、すごいですっ」
 おいおい。
秋子「あなたにも神様のお恵みがありますように」
 小さく祈ると女の子はまた歩きだしました。

 また誰か現れました。
名雪「足下が寒いよー」
 おおおおおお、生足! シャツの裾からパンツが見えそうですっ!
名雪「祐一…」
秋子「まあ、可哀想に。どうぞ、このスカートをはきなさい」
 そう言い、女の子ははいていた…スカートを…脚から抜いて…。
 ……。
秋子「祐一さん?」
 はっ、すいません。あまりの美脚に目を奪われていました。
 ゴホン、ゴホン! 女の子ははいていたスカートをあげました。
名雪「ありがとうございます。よいしょ」 
 少女は受け取ったスカートをはこうとして、動きを止めました。
名雪「…」
秋子「どうしたんですか?」
名雪「…。ファスナーが、上がらない…」
祐一(…。名雪、それってお前が秋子さんより太いってこと…)
 ガツン!! (←名雪に投げられた舞台装置が祐一を直撃した音)
祐一(あぐっ!)
名雪「あ、ありがとうございます…」
 すごい悔しそうです。本当に感謝しているのでしょうか。
名雪「祐一うるさいよ」
 女の子は優雅に微笑み、
秋子「あなたにも神様のお恵みがありますように」
 小さく祈ると女の子はまた歩きだしました。

 女の子は薄手のキャミソール一枚で歩き続けます。
 …はぁ…。綺麗な脚…。
秋子「祐一さん?」
 はっ、すいません。見とれていました。

 やがて森が見えてきました。と、女の子の前に誰か現れました。
舞 「…肌着を下さい」
 ………。
秋子「祐一さん?」
 ガタン! (←慌ててどこかに腕をぶつけた)
 あっ、す、すいません。現れたのは…ぼろぼろの布を纏った、半裸の…ブッ!(鼻血)、少女…。
秋子「まあ、可哀想に。分かりました、肌着ですね」
 シュッ。(肩紐をはずした音)
 スルスル。(身体から抜いている音)
 ブバッ! ぐっ、んブッ! …は、肌着を脱いだ女の子は、少女に差し出しました。
 半裸の絶世の美少女と、ブバッ! 全裸の同じく絶世の美女が、ブッ! 星明かりの下で、ぐブッ! 向き合っています。
秋子「さあ、どうぞ」
舞 「…ありがとうございます」
 少女は、ブッ! …受け取った肌着を抱き、んブッ! 女の子の、む、胸を…見ています。
舞 「……」
祐一(? どうしたんだ、舞)
舞 「…負けた」
祐一(何だそんなことか。大丈夫だ、秋子さんが普通じゃないんだ。お前の胸も十分魅力的だぞ)
舞 「…でも悔しい」
祐一(そんなに悔しいのか。よし分かった、明日から俺が揉んで大きく…)
 ゴギァ! ドガバギ、ガツッ! (←女性陣の投げた舞台装置が祐一を直撃した音)
祐一(ぎゃあっ!)
 …あっ、目を離している間に少女は肌着を着込んでしまいました。
舞 「…どうもありがとう」
秋子「どういたしまして。あなたにも神様のお恵みがありますように」
 痛て…。小さく祈ると女の子はまた歩きだしました。

祐一「よし、じゃあ俺はスタンバるから。後は頼んだ」
あゆ「うん、ここからはボクがナレーターさんをやるね」
 えっと、女の子はもう何も身にまとってはいません。星々の神々しい光を浴びながら、女の子は歩き続けました。
 …うぐぅ。秋子さん、すごいボインボイン…。ボクもあれぐらい大きかったら祐一君も…。
栞 「あゆさん。あなたの気持ち、よく分かります!」
 栞ちゃんっ。 (ひしっ)
 …え、話を元に戻せ? うぐぅ、わかったよ。

 女の子は森に辿り着きました。
秋子「今日は、どの樹の下で眠りましょうか」
 そう言いながらしばらく歩いていると、樹々の途切れた場所に出ました。上を見上げれば、美しい星々と月が輝いています。

 と、そこに一人の酔っぱらいが現れました。
 ……。あれ?
北川(おい久瀬、早く出ろよ!) 
久瀬(断る! なぜ私がこんな破廉恥な役を与えられなければならんのだ!!)
斎藤(くじ引きで負けたからだ)
久瀬(ぐっ…! わ、私はうぐぅ娘相手だと聞いていたから承諾したのだ! あんな美しい方だとは一言も聞いていないぞ!)
北川(俺達も聞いてねーよ。まあ冥土の土産だと思って目に焼き付けておけ)
斎藤(さっさと逝け)
久瀬(嫌だー。死にたくないよぉー。ママン、僕いい子になるよ。だから助けてママン!) 
 どかっ (←蹴り出された)
久瀬「ひぃー」
 森の奥から、酔っぱらいさんが躍り出て…って言うか、転がり出てきました。
秋子「まあ」

久瀬「お、おのれ、あいつら…はっ!」
 酔っぱらいさんが顔を上げると、そこには月の光を浴びながら佇む女の子がいました。
久瀬「はぅっ! う、宇津櫛ゐ…」
 文字化けを起こしながら呻く酔っぱらいさん。
秋子「大丈夫ですか? お身体の具合が良くないようですが」
 恥じらいながらも、酔っぱらいさんの心配をする女の子。
久瀬「…」
 女の子の神々しい肌を目にし、言葉を失っています。
秋子「あの、」
久瀬「結婚して下さいっ!」
秋子「えっ」
 酔っぱらいさんは女の子の手を取ろうとして、
祐一「アホか―――っ!!」
 ズゴォオ!! 横から現れた祐一君…じゃなかった、王子様に、酔っぱらいさんは打ち倒されました。
久瀬「ぐは!」
祐一「はぁ、はぁ、このばかが…」
 と、王子様は女の子の方を向こうとして、慌てて眼を逸らしました。

 王子様は女の子の裸を見ないように目を逸らしたまま、
祐一「え…ええっと、なんと美しい瞳をした少女だ」
 見てないよ、祐一君…。

 女の子は嬉しそうに微笑みました。…あれ、なんか違うよ?
秋子「ああ…。危ないところを助けて下さって、ありがとうございますっ」
 ひしっ!
祐一「!!!!」
 ああっ! 秋子さん、じゃない、…お、女の子は祐一君、じゃなくて王子様に抱き付きました! 裸で!

名雪「ああっ! ずるいよお母さん!! わたしだってあんなことしたことないのに!」
栞 「祐一さん、私という物がありながら…!」
真琴「あぅーっ!!」
舞 「…(ギリギリ ←歯を食いしばっている)」

 女の子は艶っぽい笑みを浮かべ、
秋子「ああ…あなたをずっと待っていました」
 秋子さん、そんなセリフ無いよっ!?
祐一「あ、あっ、秋子、さん…?」
秋子「いや…。どうか、秋子と呼んで下さい」
 王子様の胸に頬を擦り寄せる女の子。
秋子「わたしは、あなたの所有物(もの)なのですから…」
 そんなセリフ無いってばー!

 ああ、祐一君…じゃない、王子様の顔から感情が消えていってるよ!
祐一「あ、秋子さん…。秋子さんっ!」
 がばっ!
秋子「あんっ」
 王子様は女の子を抱き上げ、近くの藪の中に…って、展開が違うよぉっ!

名雪「もう我慢出来ないんだよっ!」
栞 「祐一さん、もう許せません!」
真琴「あぅーっ!!」
舞 「……(こくこく!)」

 草むらに女の子を横たえ、王子様は服を脱いでいます…って、祐一君っ! なにをする気なのっ!?
祐一「秋子さん、秋子さん、秋子さん、秋子さんっっっ!」
秋子「ああん」
 王子様が、女の子に覆い被さろうとした時!!

 バシィッ!!
祐一「いてっ!」
 何か固い物が、王子様の頭にぶつかりました。手に取って見てみると、
祐一「銀貨?」
 王子様が上を見上げると、
祐一「…うげっ!」
 舞台装置…じゃなくて、ええと…とにかく上に女の子が四人いました。

名雪「祐一、覚悟するんだよ!」
栞 「舞先輩、どうぞ」
 舞さんに銀貨を手渡す栞ちゃん。
舞 「…任せて」
 ビシッ! 指先に銀貨を乗せ、力を込めて弾く(俗に言う指弾)!
祐一「うわっ!」
 ボゴォ! 間一髪で避けた祐一君のすぐ脇に、銀貨が穴を穿ちました。
真琴「あ、外れた! 次、はいっ」
 真琴ちゃんが次の銀貨を舞さんに手渡し、
舞 「…覚悟!」
 ビシッ! 次弾が放たれました。
 バチッ! 王子様の方に当たりました。
祐一「あいて! よせ、やめろぉ! っ、いてぇ!」
 ボゴ! ボゴ! ボゴ! ビシッ! 必死で避ける王子様ですが、避けきれる物ではありません。
祐一「あゆ、淡々と実況するな!」
 ……。ボクだって怒ってるんだよ。
祐一「ひぃー」
 ガツッ! ビシビシ!!
祐一「あいっ! や、やめっ…痛!」
 バシッビシッ! ガツガツガツッ! ガガガガガガッッッッ!!!
祐一「………!!」
 嵐のように降り注ぐ銀貨を受け、王子様は沈黙しました。

 小山のように積み上げられた銀貨を前にし、女の子は(今までどこにいたの?)天を仰いで小さくお祈りをしました。
秋子「神様、ありがとうございます」
名雪「お母さん、いい加減に服ぐらい着てよ!」
 空からひらひらと、上等なドレス…じゃなくて、ブラウスとスカートが落ちてきました。
秋子「まあ。ありがとうございます」
 女の子はそれをいそいそと着込み、もう一度お祈りをしています。

祐一「うう…」
 あっ。祐一君…じゃなくて、王子様が呻きながら眼を覚ましました。
秋子「お目覚めになりましたか。では、わたしと結婚しましょう」
祐一「え!?」
 ギラリと女の子の眼が光りました。
祐一「はい」
 女の子のプレッシャーに負け、王子様は即座に承諾しました。

 女の子は、積み上げられた銀貨を前にして言いました。
秋子「では、これはもうわたしには必要ありません」
 女の子は銀貨をすくい上げ、
秋子「これを必要とする全ての人達に、神様のお恵みを」
 そう言い、思い切り天に投げ返しました。
 空に還った星の銀貨は、きらきらと輝きながら世界中に散っていきます。

 王子様が訊ねました。
祐一「これでよかったのかい」
秋子「ええ。わたしには、あなたの愛がありますから…(ぽっ)」
祐一「あ、愛!?」
秋子「ええ…」
 女の子は王子様の腕に手を回し、妙に艶っぽい微笑みを浮かべました。
祐一「あ、秋子さん、そんなに胸を押し付けないで下さい!」
秋子「いいじゃないですか。さ、参りましょう」
 王子様を引きずるように歩き出しました。

 そして女の子は王子様と結婚し、いつまでも幸せに暮らしました。めでたしめでたし。


                                             愛のコント劇場『星の銀貨』 おしまい

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 ……。あれ? 終わりじゃないの?
 ええっと、ここは王子様と女の子の…愛の巣…ええっ!?
 つ、月明かりの差し込む部屋の中、天蓋の付いたベッドの上で、王子様と女の子は愛を確かめ合おうとしていました…わぁぁ! 秋子さん、どうしてバスローブ姿なの? ああっ、祐一君も!
祐一「あ、秋子さん…うっ」
 女の子は王子様をベッドに押し倒し、馬乗りになりました。
秋子「…もう…秋子と呼んで下さいといったのに…」
 淫らな表情を浮かべた女の子はバスローブのベルトを抜き、襟元を開きました。豊かに実った…ち、乳房を眼にして、王子様は息を飲みました。
祐一「あ、う…」
秋子「さあ…」
 女の子は動けなくなっている王子様の頭を引き寄せると、かき抱くように乳房に埋め、うっとりと声を上げました。…ちょっと、ねえ! いつまで続くの!?  
秋子「あぁっ…」
 秋子さんも『あぁっ…』じゃないよぉ!

名雪「ああっ! あんな、あんなこと…! 祐一、許せないよ!」
栞 「名雪さんはいいじゃないですか! わ、私なんかあんなことしたくても出来ないんですよ! …胸が小さいから…」
真琴「キィィ――! シャァ―――ッ! (←野生化している)」
舞 「…祐一…! (←握りしめた拳から血が垂れている)」
 あっ、みんな! 早く止めて! このままじゃ文部省推薦図書から、有害指定図書に180度変わっちゃうよ!(もう手遅れのような気もするけど!)

 王子様は顔を上げると怖ず怖ずと手を伸ばし、女の子の細い肩に乗せました。
祐一「…ほ、本当にいいんですか?」
 女の子は凄艶な微笑みを浮かべ、
秋子「ええ…。どうぞ」
 自分から王子様の胸に頬を寄せました。その瞬間、王子様の理性が飛んでいきました。
祐一「あ、秋子さんっ!」
 王子様は獣のような迫力で女の子に覆い被さると、肩に掛かっていたバスローブを剥ぎ取り…うう、もうイヤだよぉ。

 その時です。
 ガシャァ―――ン! 窓ガラスが砕け散り、夕闇の空から四つの影が舞い降りました。
名雪「そこまでだよ!」
栞 「それ以上の破廉恥な行為は私が許しません!」
真琴「そうよ、祐一…じゃない、えっと、この間男!」
舞 「…斬る!」

 生まれたままの姿で女の子をベッドに横たえさせ、今まさに唇を重ねようとしていた王子様は硬直しました。
祐一「…はっ!? 俺は今まで一体なにを…?」
 やっと我に返ったようですが、もう手遅れです。

 窓から飛び込んできた女の子達は四方に散って、王子様を取り囲みました。
祐一「待て、俺が悪かった。反省してる。だから話し合おう。人は分かり合える生き物だ」
名雪「許せないんだよ、祐一!」
栞 「よくも乙女心を踏みにじりましたね!」
真琴「覚悟するのよ、祐一!」
舞 「…許せない」
 憤怒に燃える美少女戦士達(←?)は聞く耳持ちません。

 東天、青龍の座に立った女の子が、カエルのぬいぐるみを天に掲げて、
名雪「お願いけろぴー! …ハイドロ・エクスプロージョン!!」
 カエルのぬいぐるみの眼が輝くと共に大量の水が現れ、凄まじい水圧が王子様を襲いました。

 西天、白虎の座に立った女の子が、ショールを広げて、
栞 「冬の空に煌めく雪の聖霊よ…輝け! スノー・ホワイト!」
 幾万、幾億もの超低温の氷の結晶が王子様を取り巻き、一斉に襲い掛かりました。

 南天、朱雀の座に立った女の子が、
真琴「…狐火・伍式! …灼炎轟覇!」
 灼熱の炎が王子様を焼き尽くしました。

 北天、玄武の座に立った女の子が、剣を正眼に構え、
舞 「…天命斬!」
 次元をも斬り裂く超高速の斬撃が王子様に叩き込まれました。

 ズバッシャァーン 待て ビョゴォォォ ぎゃ ゴォアァッ やめ ザドシュッ 許し ゴギァ

 ・
 ・

 こうして破廉恥な王子様は誅殺され、女王になった女の子の見事な政治的手腕により国は安泰、人々はいつまでも幸せに暮らしました。めでたしめでたし。

                                                          ホントにおしまい

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 愛の舞台裏

秋子「お疲れ様でした…あら?」
名雪・栞・真琴・舞・あゆ「…………」
秋子「どうしたんですか、皆さん」
名雪「……。お母さん、本気だったの?」
秋子「何がですか」
栞 「で、ですから、その…ら、ラブシーン…」
秋子「まあ、そんなことですか」
あゆ「そんなことじゃないよぉっ!」
名雪「そうだよ! 確かにお母さんは綺麗だけど、祐一とは三親等だよ! その…いけないんだよ!」
秋子「大丈夫よ名雪、わたしは保護者ですから。皆さんもわたしのことを信用して下さい」
名雪「…お母さん…」
真琴「あぅ…」
栞 「すみませんでした、秋子叔母様。わたし、失礼なことを言ってしまって…」
秋子「いいんですよ、栞ちゃん」
あゆ「うぐぅ、秋子さんごめんなさい」
名雪「ごめんなさい、お母さん。そうだよね、お母さんは祐一の保護者だもんね」
秋子「ええ。…保護していたつもりがいつの間にか護られていた事に気が付いて、全てを委ねてしまうということもありますけれど…」
名雪・栞・真琴・舞・あゆ「ゑ゛!?」
秋子「あら、時間ですね。それではご機嫌よう」 ダッ!
名雪「あっ、ちょっと待って! お母さん、今の…!」
真琴「あぅー、秋子ママ速い…」
舞 「…追い付けない」
あゆ「うぐぅー」

                                                      愛の舞台裏 おしまい

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 星牙でございます。
マキ「マネージャーの小原マキです」
 これが『秋子さん主演:大人の童話シリーズ』の先駆けです。男塾です(←?)。
 大人の色気で祐一にぐいぐい迫る秋子さんと、その誘惑にあっさり負ける祐一(笑)が織りなす奇跡のファンタジー。
マキ「よう分からん」
 むい。大丈夫、小生もだ。

 作中で名雪女史達が繰り出している技は、深く考えないで下さい。
マキ「おい」
 名雪女史が『名雪女』内で氷の技を使っているのは、見なかったことにしておいて下さい。
マキ「おーい」

 お読みいただきありがとうございました。
マキ「それでは、ご機嫌よう」


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