愛の劇場『牡丹灯籠 後編』

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 〈第三幕〉

 七日目のお昼、祐一は村の茶店で昼食を食べていました。
祐一「はぁ…。太陽が黄色い…」
 と、そこに、友人の香里が通りがかりました。
祐一「なんでまた香里なんだ」
香里「あたし以外はみんな出演拒否だそうよ」
祐一「そうかい」

 香里は祐一の顔を見つめ、
香里「…ちょっと相沢君、ホントにやつれてるわよ!?」
 本気で心配する香里。
祐一「あー。そうかもな」
 祐一の顔は土気色で、頬もげっそりと痩せこけています。
祐一「この場所に来るのだって、地面を這いずってきたぐらいだからな」
香里「そ、そこまで…」
祐一「だって今日ここに来ないと話が終わらないだろ」
香里「…この話が終わったら、病院行きなさいよ」
祐一「そうする」

 たわいない日常会話(←どこが?)が終わり、ふと香里は痛ましい表情になりました。
香里「それにしても…お露さんは気の毒だったわね」
祐一「?」
香里「あんなに元気だったのに、病気であっさりだなんて…」
祐一「どういうことだ、香里。お露さんは元気だぞ」
香里「え!?」
祐一「今朝だって、俺と朝まで…ごにょごにょ」
香里「フケツよ、相沢君! …じゃない、どういうこと?」

 祐一と香里は互いの話を聞き、驚きました。
香里「そんなはずないわ。お露さんは六日前に病気で亡くなっているはずよ」
祐一「六日前と言えば、お露さんがイメージプレイを始めた頃だな」
香里「フケツよ、相沢君! …それはもういいから」
 香里はうつむいて考え込み、
香里「それは…きっとお露さんの亡霊ね」
祐一「…そんなばかな。だってお露さん、…あんなに、その…」
 お露のたぷたぷぽよぽよのカラダを思い出し、言葉に詰まる祐一。
香里「フケツよ、相沢君! …はぁ、はぁ…。…あたしも出演拒否すればよかったわ…」
 香里は息を整え、
香里「いい、相沢君。このままではあなたはきっとお露さんの亡霊にとり殺されてしまうわ」
祐一「!」
香里「とにかく、お露さんの亡霊を近付けないこと。…これを」
 と、香里は懐からお札を取り出しました。
香里「肌身離さず持っていて。これで、お露さんは近付いてこられないはずだから」
祐一「………」
 祐一は香里の差し出しているお札をじっと見つめました。


 〈第四幕〉

 夜になりました。秋口だというのに生暖かい風が吹き、空は一面の雲に覆われています。
祐一「………」
 祐一は一人、座敷の真ん中に座って天井を見上げていました。
 突然虫の声がやみました。と、扉が叩かれ、
秋子「…………………………祐一さん」
 か細いお露の声が聞こえました。
祐一「………」
 祐一が黙っていると、
秋子「……………開けて下さい」
 またお露がか細い声で言いました。それでも祐一が黙っていると、
秋子「……………入ります」
 音もなく扉が開き、お露が戸口に姿を現しました。

 雲間から差し込む月明かりが、お露を禍々しく照らしています。
秋子「…………」
 いつも通りの、着物姿のお露。生気を失い青白く輝く顔は、人を越えた美しさです。
祐一「………」
 祐一は黙ってお露を見つめました。
秋子「…………祐一さん………どうなさったのですか?」
 戸口に立ったまま、可愛らしく首を傾げるお露。祐一は何も言わず、お露を見つめています。

 と、お露は哀しげに瞳を伏せました。
秋子「……そのご様子では、私のことを知ってしまったようですね…」
祐一「…はい」
秋子「……残念です」
 お露はうなだれたまま、静かに言葉を続けています。
秋子「何も知らないままでいて下されば、私もこんなことをしなくてもよかったのに」
 顔を上げたお露の瞳が、ギラリと蒼く輝きました。と同時に、家の中に風が撒き起こりました。

 解けたお露の髪が風になぶられ、ばさばさとはためいています。
秋子「………祐一さん。私と死んで下さい」
祐一「………」
 祐一は何も言わずにお露を見つめています。
秋子「お願いです。…私と一緒に来て下さい…私を、拒まないで…」
 風に流されることなく、ふらふらと祐一に近付くお露。哀しげに曇ったその瞳は、真っ直ぐに祐一だけを見つめていました。
祐一「……」
 風はどんどん強くなり、家の中の家具は壁に叩き付けられて砕け散っていきます。祐一も風に飛ばされないように手足を踏ん張ったままお露を見つめ返しています。

 とうとうお露は黙ったままの祐一の目の前まで来ました。
秋子「祐一、さん…」
 怖ず怖ずと祐一に指を差し出すお露。
秋子「…………なぜ、」
祐一「………」
秋子「……なぜ、祐一さん…」
祐一「………」
秋子「……どうして、私…近付くことが、出来るのですか………」
 お露はがくりと膝から崩れ落ち、祐一の胸の中に崩れ落ちました。それと同時に恐ろしい勢いで吹き荒れていた風がピタリとやみました。

 お露は祐一の腕の中で身体を震わせています。
秋子「…祐一さん、お札はどうしたのですか」
祐一「帰る途中、河に流しました」
 あっさりと答える祐一。
秋子「どうして…」
祐一「いりませんから」
秋子「そうではなくて。…わ、私は…」
祐一「香里から全部聞きました。それで、いらないと思ったんです」

秋子「…祐一さん、怖くはないのですか」
 祐一の腕に抱かれ、お露は小さく呟きました。
祐一「何がですか」
秋子「…わ、私はもう人間ではないんですよ。そのうえ、あなたを、こ、…殺そうと…」
祐一「ああ、死ぬのは少し怖いですね」
 飄々と答え続ける祐一に、お露はとうとう、
秋子「それなら、どうしてっ。………どう、して…祐一、さん…私、私は…あぁぁっ」
 肩を震わせ、お露は涙を流し始めました。

 祐一はお露の肩を抱き、
祐一「お露さん。俺を殺してお露さんの魂が安らぐのなら、俺を殺して下さい」
 その言葉を聞き、祐一の胸で泣いていたお露はぎくりと身体を強張らせました。
秋子「……そ、そんな…」
祐一「本気で惚れた女性のいない人生に未練なんてないです」
秋子「………わ、私…あ、あなたを殺そうとした、のに…」
 涙に濡れた瞳で祐一を見上げるお露。
祐一「俺はバカですから、細かいことは気にしないんです」

 と、祐一は真剣な表情でお露の顔を覗き込みました。
祐一「でも、俺を殺してお露さんが後悔して、死にきれなくなるのなら…思いとどまって下さい」
秋子「……」
祐一「香里から聞きました。人を殺した魂は汚れて、安らかになれないと」
 祐一はお露の方をそっと抱き寄せ、
祐一「…俺、お露さんが苦しむのは見たくないです。だから、お願いです。このまま…、……」
秋子「……祐一さん…。泣いて、いるのですか…?」
祐一「…………本気で好きになった人と別れることになって、泣かない奴はいませんよ」
 抱き寄せたお露の肩に目元を埋め、くぐもった声で答える祐一。
秋子「………そうですね…」
 お露は祐一の背中に手を回し、あやすように抱き締めました。

 しばらくそうして抱き合って、祐一もようやく泣き止みました。お露は静かに立ち上がり、
秋子「……祐一さん。お別れです」
祐一「…すいません、お露さん。一緒に行けなくて」
 お露は普段通りの、柔らかく優しい微笑みを浮かべ、
秋子「そうですね。少し残念です」
 明かり取りから射し込む月の光を受け、お露は清らかな笑顔を浮かべて答えました。
秋子「祐一さん。あなたを殺そうとしたこんな女のことは早く忘れて、幸せになって下さいね」
祐一「お露さんよりいい女性がいればそうしますけど。まあ、九分九厘無理でしょうね」
秋子「まあ、うふふ。………」
 お露は何かを堪えるように天井を見上げ、
秋子「…祐一さん、ありがとうございました。私は、幸せでした」
 顔を隠すように、深々とお辞儀をするお露。
祐一「……お露さん…」
秋子「…………さよならです」
 深くお辞儀をしたまま、お露の身体は月明かりに溶け込むように霞んでいきます。

祐一「………待った!」
 祐一がお露の腕を掴むと、消えかけていたお露がまた実体化しました。
秋子「どうしたんですか、祐一さん」
 お露が小首を傾げて訊ねると、祐一はごにょごにょと、
祐一「いえ、あの…そんなに急いで逝かなくてもいいんじゃないですか」
秋子「?」
祐一「ですから、その…最後の晩なんですから…」
 ようやくお露も祐一の言いたいことを察しました。嬉しそうに微笑み、
秋子「…うふふふ、分かりました。そうですね、じゃあ…」
 お露は祐一の胸の中に飛び込みました。

 ・
 ・

 ごそごそ。
秋子「うふふ。朝まで、眠らせませんよ……」
祐一「お、お手柔らかに……うぉぉっ!」
秋子「はぁっ、はぁっ…ゆうぅいぃちさぁぁ〜ん」
祐一「ちょ、ちょっと怖いです、秋子さ…じゃなかった、お露さ……おぉっ!」
 どすん、ばたん。
秋子「はぁっ、はぁっ…。祐一さんが、祐一さんがいけないんです! 私に、女を思い出させたあなたが…ああっ、あーっ!」
祐一「何を言って…くっ、おっ…! あっ、秋子さんっ!」
秋子「ぅふぅっ、ふぅっ……あぁっ、あっ! あぁん!」

 ・
 ・

 〈第五幕〉

 朝です。朝靄の中を香里が足早に歩いています。
香里「相沢君、どうなったのかしら」
 祐一の家の前に着き、扉を叩きました。
香里「相沢君、香里よ。いる?」
 返事はありません。
香里「なによ、まさか死んでるんじゃないでしょうね。…入るわよ」
 扉を開け、中に入りました。

 雨戸が閉められていて、家の中は薄暗いです。
香里「相沢君…? ちょっと、本当に死んでるんじゃないでしょうね…」
 恐る恐る脚を踏み入れる香里。
祐一「おう香里、おはよう」
香里「キャアアアァァァァァァ!!」
 突然声を掛けられ、香里は悲鳴を上げました。
祐一「なっ、なんだよ。朝っぱらから大声出すなよ」
香里「はっ、はぁっ…あ、相沢君? なによ、いるのなら最初から言いなさいよ!」
 逆ギレしている香里。
祐一「すまんすまん。寝てたんだ」
 祐一は悪びれずに答えました。
香里「はぁ…。人が気にして来てあげたのに…。それで、その様子だと上手くいったみたいね」
祐一「何が?」
香里「だから、お露さんの霊にとり殺されなくてすんだみたいねって」
 祐一はポンと手を打ち、
祐一「ああ、そのことか。いやあ、そのことなんだけどさ」
香里「?」
祐一「俺、死んじまったんだよな」
































香里「…………はい?」
 思考が真っ白になっていた香里は、ようやく口を開きました。
祐一「だから、死んじゃったんだって。ほれ」
 陽の下に手をかざす祐一。確かに、少し透けています。
香里「………」
 香里がまだ呆然と見つめていると、
祐一「なんだ、信じられないのか。俺の身体ならそこの布団の中にあるぞ。見るか?」
 言いながら座敷に上がり、掛け布団をめくろうとする祐一。
香里「イヤやめて! 見たくない、お願いやめてっ!」
 ヤバイ色合いの腕が見えて、香里は大慌てで祐一を止めました。

香里「な、なによ、どういうこと? お露さんにとり殺されたの?」
秋子「呼びましたか?」
香里「キャアアアァァァァ―――ァァアァッァァ――――ッ!!!!!!」
 布団から立ち上がったお露を見て、超音波絶叫悲鳴を上げる香里。
秋子「あらあら。香里さん、人の顔を見て悲鳴を上げるのは、少し失礼ですよ」
 柔らかく微笑みながら、香里をたしなめるお露。
香里「はぁっ、はぁっ…死体が寝ている布団から立ち上がられたら、誰でも悲鳴ぐらい上げると思いますけど…」

 お露がお茶を煎れ、三人は座敷に上がりました。ようやく落ち着いた香里が口を開きました。
香里「それで、何がどうなっているのよ」
祐一「何から話せばいいのかな…取り敢えず、順に話すぞ」
香里「ええ」
 祐一は話し始めました。

 昨晩、お露が家にやってきた事。お露が家の中に入り、祐一と話した事。
 ここまで話したとき、香里が『あたしがあげたお札はどうしたの?』と祐一に訊ね、祐一が『いらないから河に流した』と悪びれずに答えたところ、香里が『あれ一枚作るのにどれだけ苦労してると思ってんのよ!!』とマジギレし、少し話が中断しました。

 お露が祐一の説得で、大人しく成仏することを決めたところまで話した途端、祐一とお露は黙り込みました。
香里「…どうしたの? それから」
祐一「いや、だからその…」
秋子「え、ええとですね…」
 もじもじしている二人を見て、香里も事情を察しました。
香里「あー…分かったわ、なんとなく」

 やれやれと息を吐き、
香里「それで? どうして相沢君は死んじゃったの? 見たところ、お露さんの魂は汚れていないみたいだけど」
 また言葉に詰まる祐一。
祐一「いや、だからその…お露さんと、ええと…4、5回目か?」
秋子「………いやです、私に訊かないで下さいよ…」
 真っ赤になって恥じらうお露。
香里「あー。話す気がないんならあたし帰るわよ」
 立ち上がりかける香里。
祐一「待て待て。それじゃ話が終わらん」
香里「………」
 祐一に引き留められ、渋々腰掛ける香里。

祐一「まあ何度目かはどうでもいい。お露さんに婦警さんの格好をしてもらっていたときだったと思う」
香里「こっ、このケダモノ野郎、そんなことまで…!」
 呆れを通り越し、激憤する香里。
祐一「それで気が付いたら、お露さんの腕の中で死んでた」
香里「は?」
祐一「心臓麻痺かショック死かは分からんが。まあ、俗に言う腹上死だな」
 淡々と言う祐一。
秋子「私も驚きました。突然祐一さんが『ウッ』って言ったきり動かなくなってしまって…」
 あんまり驚いたようには見えない話し方をするお露。
祐一「俺が勝手に死んだ訳だし、先に誘ったのも俺だったから、お露さんの魂には影響は出なかったみたいだな」
 うんうんとうなずきながら話を進める祐一。ちなみに、香里は呆然としています。
祐一「まあ、死んじまったものは仕方がないって事で納得して、ついさっきまで、その…お露さんと…」
秋子「……もう…、そんなことまで言わなくてもいいじゃありませんか」
 照れながら、祐一を指先で小突くお露。
祐一「お露さんの方こそ、『もう死んでしまう心配はありませんね♪』って何度も…」
秋子「いやです、祐一さんたら…」
 いちゃいちゃし始める二人。
香里「………」
 香里は据わった目つきで二人を睨んでいます。

祐一「そういうことで、話は終わりだ。香里、わざわざ来てくれてありがとうな」
香里「…どーいたしまして」
 疲れ切った表情で答える香里。
祐一「それじゃあ、俺とお露さんは用事があるから」
香里「用事? ………ああ」
 赤くなっているお露を見て、意味を察する香里。

香里「じゃあ、あたしは帰るから」
 立ち上がり、足早に戸口に向かう香里。
祐一「おう。気を付けて帰れよ」
香里「腹上死の幽霊に言われるようじゃ、あたしもお終いね」
祐一「ははは。あ、そうだ。悪いけど、俺の死体を適当に葬っておいて…」
香里「自分ことぐらい自分でやんなさい!」

 帰りかけた香里は戸口で振り返り、
香里「あ。そうそう、やり残したことがあったわ」
祐一「?」
 香里は懐に手を差し入れ、
香里「悪霊退散!」
 お札を取り出し、祐一とお露に張り付けました。
秋子「あらあら」
祐一「ぐわっ! 不意打ちとは汚いぞ、香里!」
香里「あんた達みたいな色ボケ幽霊、野放しに出来るわけないでしょうが!」
祐一「それでも友達かぁぁっ」
香里「原典通りの展開よ!」
 ズバン! 破裂音がして、祐一とお露の幽霊は消えました。
香里「はぁ…やれやれ」
 香里は一息付くと、家に帰りました。

 ・
 ・

 その夜。香里が寝ようと寝床に入ると、
? 「ふふふふ…」
香里「?」
 妙な声が聞こえました。
香里「…気のせいかしら」
 香里が目をつぶると、
? 「んふっ……あ、あん…はふぅ…」
 また妙な声が。

香里「…ちょっと、何よ!」
 香里が身体を起こすと、
祐一「俺だ」
秋子「私もいますよ」
 祐一とお露が天井から首を出しました。
香里「キィィャァァアァァ―――ッッアァァアァァア―――――ッッッ!!!!!!!!」
 悲鳴を上げる香里。

 祐一はニヤリと笑い、
祐一「香里、俺ならともかく、お露さんまで祓えると思ったのか」
秋子「うふふ。よくもやってくれましたね」
 いつもの笑顔のお露。今は逆にその笑顔が怖いです。
香里「ど、どうする気? あたしをとり殺すつもり?」
 完全に腰が引けている香里。
祐一「まさか。そんな残酷なことはしないぞ」
秋子「ええ。ただ、このお部屋の天井をお借りします」
香里「え?」
 祐一とお露の姿が天井へと消えました。やがて、
祐一「…はぁ、はぁ」
秋子「ぁんっく、…ぅふぅ…うぁっ」
 妙な声が聞こえ始めました。
香里「ちょ、ちょっと…」
秋子「あぅ、うぁ…っ、ゆ、いちさ…」
 お露の掠れた声。
香里「ちょっとあんた達! 他人の部屋の天井裏で何してるのよっ!」
 祐一とお露は無視しています。
秋子「はぁ、あぁ〜…。ゆぅいちさん、んっ……」
祐一「………ウッ」
秋子「………はぁ」
香里「『ウッ』『はぁ』じゃないでしょ――っ!」
 大声でわめく香里。

秋子「…祐一さん…もう一回…」
祐一「はぁ、はぁ…はい…」
香里「イヤ―――――――!!」
 香里の絶叫が屋敷に響き渡りました。


                                               愛の劇場『牡丹灯籠』 おしまい

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 愛の舞台裏

祐一「お疲れ様でした、秋子さん」
秋子「お疲れ様でした♪」
香里「…………………」
祐一「いやぁ、いい話でしたね」
秋子「ええ、本当に♪」
香里「…………(どこが?)」
祐一「特に第四幕なんて、感動物ですからね」
香里「…………………」
秋子「あら、私は第二幕の方が…(ぽっ)」
祐一「えっ、ええと…。それはまあ、俺もホントは…」
香里「…………………」
秋子「……祐一さん、これからお時間はありますか?」
祐一「え? ええと、…はい、あります」
秋子「そうですか…じゃあ」祐一の手を引く秋子。
祐一「はい……よっ」秋子を抱き上げる祐一。
秋子「あっ……」祐一の胸に頬を寄せる秋子。
 そのまま去っていく二人。

 最後まで無視された香里。
香里「………………あ、あたし、あたしっていったいなんなの……?」

                                                     愛の舞台裏 おしまい

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 星牙でございます。
マキ「マネージャーの小原マキです」
 元ネタがマイナーだから、好き勝手書けて面白かった。
マキ「好き勝手書き過ぎじゃ」
 むい。でも、大分抑えてあるんだよ。
マキ「なにぃ! どこを?」
 前編の方。秋子さんと祐一のイメージプレイ(←ぉ)を逐一描写していたら、こんなもんじゃなかったね。間違いなく5、6倍の文章量になってる(キッパリ)。
マキ「…ぬおお、それは悪夢じゃ」

 香里女史がヒドイめに遭っているのは、愛だとゆーことで勘弁して下さい。
マキ「どこが愛じゃ」
 だって他の女性陣なんて、出演もしていないし。
マキ「…それは生け贄として、香里女史が駆り出されただけではなかろーかと思うのじゃが」
 むい。そうかも。

 お読みいただきありがとうございました。
マキ「それでは、ご機嫌よう」


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